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(2011年6月4日(土) 朝9時46分 長野県飯山市 ある日本画家のご自宅兼アトリエで撮影)

 

【被災地の皆様からの生のお声】

 さて、この度の東日本大震災についての記事の執筆に当たっては、私自身、新聞や雑誌、テレビ番組などのマスコミ報道はもちろん、多くの書籍を購入し、情報の収集に努めましたが、ブログ内で引用したのは幸田露伴、船瀬俊介、E・F・シューマッハ―、M・ハイデガー、渋沢栄一、H・シュリーマン、寺田寅彦、山田真美等の書籍の一部です。様々な情報源の中でも一際参考になったのは、何と言っても、実際に被災された私の知人の皆様からの生のお声でした。

 

 ここに、被災地の皆様からのご意見を、いくつかピックアップし、ご紹介させて頂き、この度の東日本大震災・原発事故についての結びとさせて頂きます。紙幅の関係で、全部をご紹介出来ず申し訳ございませんが、震災ご対応等に追われご多忙の中にもかかわらず、アンケートにご協力くださいました皆様に、この場をお借りして、深く御礼申し上げます。

 

 

 

 

【4月20日付 財団法人竹田綜合病院 理事長 竹田 秀 様からの声】

 財団法人竹田綜合病院・・・福島県会津若松市にある綜合病院。「信頼されるヘルスケアサービスを提供し地域に貢献する」「職員が成長し喜びを感じられる組織風土を造る」「21世紀にふさわしい新しいヘルスケア組織づくり ⇒ 日本のリーディング組織へ」を経営理念とされ、「質の高い保健・医療・福祉の機能を提供し地域の方の健康に関する問題解決を支援する」ことを使命として医療活動をされています。ホームページはこちら

 

ⅰ 今一番困っていること

 

 今一番困っていることは、原発問題の先行き不透明感です。先般、東電から工程表が開示されましたが具体性に欠けており、地元福島県及び隣県の住民がいつ地元に戻れるか、どれだけの負担が発生するかが明らかになっていません。東電が民間企業である以上、今回の事故に対する補償額が到底まかなえるものでないことは想像できますが、国有化をせず私的整理での処理・再出発は困難であると考えます。経営と運営を一時的にでも国有化し、これまでの体質を正していくことが重要であると考えます。

 

 津波による被害に加え、原発に関する補償問題まで国が税金を投入していくとなると、財政面の逼迫は避けられず、国民負担の増加により経済の更なる疲弊が懸念されます。復興対策と並行して、経済への梃入れも必要と考えます。

 

 

ⅱ 「マスコミに取り上げてほしい事柄」について

 

 新聞・テレビともに中央の各キー局が中心となって報道を構成しているため、本当に必要な地方の情報が「正確に」「早く」伝わっていません。こんな時であるからこそ、地方の新聞紙・テレビ局が地元の情報を地元の視聴者に「正確に」・「早く」伝える必要があると考えます。そこには思想的考えやスポンサー企業への配慮は不要です。

 

 また、NHKなどの影響力のあるメディアは、専門分野のコメンテーターを毎回変えることなく、首尾一貫した放送姿勢を取る必要があると考えます。

 

 今回の原発問題については、あまりにも恣意的な報道操作がなされており、且つ、情報量の格差が年代・地域によって大きくなっていることが問題であると考えます。

 

 

 

【4月29日付 株式会社ディアー 代表取締役 栗原利行 様からの声】

株式会社ディアー・・・福島県南相馬市鹿島区にある有名デザイナーブランド作りの工場。国際的夢企業、ファッションエンジニア集団。(代表取締役の栗原利行様は、地方の企業家として、福島大学経済学部の非常勤講師を務められる等、特に若者を中心とした各方面への講演活動をも行われています。) 

 

 当社は、原発事故地より32km地点に存在する南相馬市鹿島区にあり、海岸より4kmの場所にあります。3月11日の東日本大震災では、半分の2Km地点まで大津波で大被害を受けました。社員の3名の自宅が津波で流されました。残念なことに、自宅が心配で戻った社員の1人はタイミング悪く、津波にのまれて亡くなってしまいました。大小被災した社員、原発放射能危険等のため遠方に避難する必要があり通勤出来ない社員もおり、少数精鋭16名中5名が不在という状況では正常な生産活動はできません。出勤出来た11名で何とかやりくりして途中商品を完成させて無事納品をしました。

 

 その後の生産予定商品は手を付けず、お取引先に相談し返却したり、他の工場へ転送し、生産依頼された工場として最低限責任ある行動はとりましたが、万事休すといった状況でした。

 

 南相馬市であっても原発近くは避難地区でまったく無人地帯となっています。その地区での同業者と連絡を取りましたが、悲惨そのものでした。何一つ計画を立てられず、皆裸一貫ゼロから事業を起こしたパワフルな猛者なので、何らかの方法で立ちあがってくれるものと信じています。

 

 大変残念な事でありますが、当社全社員を解雇とせざるを得ませんでした。しかしながら、創業時より経営状態を公開してきたので、全員に理解して頂きました。妻、知人、若干名の力を借りて、物創造会社としての灯は消さずに続けています。

 

 今回の東日本大震災で有名になった南相馬市ですが、住民みんな元気です。国内外あらゆる地からの励ましのメッセージが一番の活力源です。ありがとうございます。

 

 

 

 

【5月3日付 学校法人朴沢学園 理事長 朴澤泰治 様からの声】

学校法人朴沢学園・・・宮城県仙台市青葉区にある明成高等学校、宮城県柴田郡柴田町にある仙台大学を運営。(高校、大学ともに建学の精神は「実学」と「創意工夫」であり、大学では「スポーツ・フォア・オール」=スポーツは健康な人のためだけでなく、すべての人にという志を教育理念として、人材育成にあたっていらっしゃいます。)ホームページはこちら

 

ⅰ 一番困っていること

 

 今一番困っていることは、福島原発について今後がはっきりしていないことです。大学部門は、毎年30数都道府県から学生が入学しておりますが、今回震災で、80kmの距離にあるにも拘らず、既に沖縄出身の在学生1名が地元の私立大学に転籍してしまいました。

 

 国には、東電の今後約9ヶ月の対応内容について公認しているのであれば、このような動向を断ち切るために、教育環境に関する風評被害防止のため、安全の保証に積極的に動いて頂きたいと考えます。

 

ⅱ 「マスコミに取り上げてほしい事柄」について

 

 マスコミ関係は映像・活字とも経営が厳しいようで、視聴者・読者、広告主迎合型の報道になりがちです。補正予算の内容、原発事故対応内容など、もう少し客観的に掘り下げて報道することが求められていると考えております。

 

 

 

【最後に】

 私はこの度の東日本大震災・福島第一原発事故を経験し、何か私にできることがないかと考えました。私は現在、表舞台から退き、執筆活動や後進の指導にあたっております。今の私にすぐできるのは「文章」を書いて発表すること、次の人に情報を伝えること、被災地の皆様の生のお声をお聴かせ頂きご紹介すること、と考えブログのテーマにして投稿して参りました。

 

 3月29日に行われたJリーグの「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」において、鹿島アントラーズの小笠原満男選手が、「思いやりの精神をもった我々日本人なら必ず復興できると信じています。皆さんでがんばりましょう。」とおっしゃっていました。当ブログの読者の皆様も、私の呼びかけもふまえて、それぞれ出来る範囲でご活動されることを願っております。そして何より被災地の一刻も早い復興を心より祈念致します。

 

以上

 

 

追記:4月1日(金)より、「地震・原発事故」をテーマとしたブログを投稿して参りましたが、今6月10日(金)更新分記事をもちまして一旦終了致しました。次回以降は「気」をテーマとしたブログを少しずつ書いて参ります。

高井・岡芹法律事務所
会長弁護士 高井伸夫

 

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