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(2011年9月24日(土) 午前10:15
高知県幡多郡黒潮町上川口「朝鮮国女の墓」にて彼岸花とアゲハ蝶を撮影)

 

 

 

 

株式会社 升本フーズ 代表取締役社長 塚本 光伸 様 

 

9月26日(月)19:00から、東京都江東区亀戸にある「亀戸 升本」にお邪魔し、食事をいただきました。その際、同店を経営する株式会社升本フーズの代表取締役社長である塚本光伸様とお会いしました。私が塚本様と初めてお会いしたのは1996年7月ですが、以来親しくさせていただき、升本フーズが経営されている「亀戸 升本」は、折々利用させていただいております。

 

升本フーズでは、「亀戸 升本」以外にも新宿などにもお店を出しておられる等、色々なご事業を展開されておりますが、特筆すべきは「社員食堂の受託運営」事業です。

 

現在では、大和証券ビジネスセンターなど少数の事業所だけになりましたが、これはあまりにも企業が経費を節約し、社員のためにならないおおかたの社員食堂の経営に傾いていったため、升本フーズが社員食堂の経営から手を引かざるをえなくなったからです。

 

多くの企業では社員食堂を委託運営されていますが、升本フーズが受託運営される社員食堂は、他の社員食堂とは違い、私も拝見したことがありますが、社員食堂というよりちょっと洒落たレストランのようでした。これは、升本フーズの企業理念の内の一つである「お客様満足」を追求する姿勢の表れであり、「その企業の専用レストラン」として、社員等の利用者が仕事の忙しさからいっとき解放され、味も、サービスも、その時間も楽しんでいただけるようにと、徹底した思いやりの社員食堂を運営されているのです。

 

大和証券ビジネスセンターの社員の皆様の声としては、「こちらのビルに移る時、当時の社長が感動して、そのまま営業を頼んだのが、今も続いています。同じ条件で顧客満足度をこのレベルまで高い業者さんはなかなかいないですね。」という高評価も寄せられています。また、「週2回の特選ラーメン日が楽しみ」、「行列ができる店と遜色ない味が400円で食べられる」、「手造りのデザートやコロッケ等がおいしい」、「何よりも社員の希望にすぐ答えてくれる」などの声も寄せられているそうです。

 

しかし、日本が貧困になるにつれて、このような理念が理解されず影が薄れてきたことは、まことに残念なことといわざるをえません。

 

さて、「亀戸 升本」は、JR亀戸駅から歩いて約7分のところにあります。亀戸で江戸時代に自生していたといわれる幻の江戸野菜「亀戸大根」を、昔ながらの製法で丹精込めて育て、伝統の味を今につたえている名店としても知られています。

 

それにくわえて、昔ながらのアサリという貝をモチーフにして、料理をつくっておられます。「亀戸大根あさり鍋」というのが著名です。これは、他の具材と一緒になっても邪魔をせず、凛とした味わいを残す亀戸大根ならではの特徴を活かし、江戸前の新鮮なアサリと抜群の相性を醸し出している逸品です。

 

 

「亀戸大根」が「幻」といわれる所以は、江戸時代には亀戸周辺に自生していて、文久年間(1860~1864年)の頃、亀戸にある香取神社の周辺で栽培され始め、明治時代にかけて盛んに収穫されていたものの、宅地化が進み、畑が減り、大根作りがされなくなり廃れてしまったとの経緯から「幻」といわれているものです。しかし、「亀戸 升本」が、失われた亀戸大根をよみがえらせれば、地域の活性化にもつながると、働きかけ、町ぐるみで復活への機運を高め、ようやく現代に亀戸大根をよみがえらせるに至ったということです。現在、亀戸大根は、亀戸から5キロほど離れた葛飾区柴又で升本専属の亀戸大根農園で栽培されてます。

 

亀戸 升本 HP http://www.masumoto.co.jp

 

塚本様のご実家は明治38年から酒屋を営んでいた旧家でしたが、太平洋戦争の空襲で店が全焼したこともあり、塚本様のお父様とお母様は、夫婦で切り盛りするような小さな飲食店を経営されるに至ったそうです。塚本様は、その塚本家のご長男として1951年に生まれましたが、仕事に明け暮れるご両親を見て育たれ、飲食業に魅力を感じず、むしろ嫌気がさしてしまい、高等学校卒業と同時に家出したそうです。その後、お父様がご病気になったことから、ご実家へ戻られ、その後いったん独立し、不動産の仲介業などをはじめられましたが失敗してしまい、一時は倒産の危機もあったそうです。その後、飲食業をされている「うかいグループ」が経営されていた箱根の旅館や施設にたまたま訪れた際に、とても良い店ばかりであったので、感動され、「うかいグループ」の創始者・社長鵜飼貞男(うかい さだお)様にアプローチをし、八王子の本店まで出向き、お会いになったそうです。

 

その時、鵜飼貞男様から、自殺を決めていたある2人からの、「箱根のガラスの森美術館(うかいグループが経営している美術館)に行き、感動し、自殺を思いとどまった。けっして今も裕福ではないが、楽しく生きている。」といった内容の一通の手紙を見せていただいたそうです。その時、塚本様は、「飲食業は人を救うこともできるんだ。」との感を深くされ、改めて飲食業の良さを知り、家業であった割烹店を継がれたということです。それがいまの「亀戸 升本」の原点であるそうです。

 

箱根のガラスの森美術館HP http://www.ciao3.com/top.htm

 

【参考】 塚本様のインタビュー記事

http://www.in-shoku.info/foodfighters/vol92.html

 

 

塚本様の「食」に関する思い入れ・ご理念は非常に高くていらっしゃいます。例えば、今から38年前、1973年には、日本で初めて、代表的な飲食店の若手オーナーまたはその2代目が集まり、外食の地位と質の向上と発展を目的とした「フードサービス研究会」を設立されましたが、そこでリーダー的な役割を果たされました。そのときに、私は塚本様とお会いしたのです。2006年には理事長を、現在は理事を務められていますが、「フードサービス研究会」は、つばめグリル、グリーンハウス、三笠会館、人形町今半、船橋屋など、日本を代表する飲食店が現在計53社加盟しているとのことです。

 

升本の美味しさの源は、そもそも「われわれ自身が自分の大切な人に食べさせてあげたいものを作る」というお考えに始まっているそうです。「手間をかけてでも品質と安全を第一に優先することで、(升本フーズの)社員一人一人が自分の仕事に誇りを持つことができ、それによって一層おいしい料理が生まれ、人が集まり、それがそのまま顧客満足度に繋がる」という株式会社升本フーズの会社案内によせる塚本様のお言葉には、まさに「志」「魂」をもって食に取り組まれているお仕事への深い想い入れを感じることが出来ます。

 

この「交友録」を書くにあたって、塚本様に「食に対する理念、想い」を文章で送っていただきたい旨お願いしたところ、下記のような文章をいただきました。塚本様の、食に対する深い想いがよくお分かりになる文章だと思いますので、敢えて私の方で手を加えず、そのまま掲載させていただきたいと存じます。

 

レストラン等の飲食店経営に携わる者は、安全を心掛けるのはもちろんのこと、安心を与えることも必要ですし、さらに一歩進んで、お店を利用する顧客の皆さんに幸福感を抱いてもらうことが必要ですし、それには具体的には笑顔で来店してもらい、さらに笑顔を増してお店をあとにしてもらうことが大切だと思います。要するに「売らんかな」の姿勢では、いまの時代にはまったく受けないお店となることはいうまでもありません。東京都内のレストラン・飲食店すら閑古鳥が鳴き、廃れてきているのは、日本人の心が貧しくなったからでしょう。レストラン・飲食店の経営者が自分の目線で顧客のことを考えなくなり、心のデフレ状態に陥り、食事を提供する側としての心根が貧しくなっていることが根本原因であることを、改めて、升本フーズの塚本様をとおして私は知るのです。

 

 

【塚本様の「食に対する理念、想い」】

 

食に対する価値観は、人と動物とでは大きく異なります。生命維持の為の食事という点は動物と同じですが、「味覚」という、個人の「哲学」が入ったり、各個人の生い立ちや文化が違えば、食に対する価値観は人それぞれに変わります。これは、皆さんの日常生活で目にするところであります。 

 

話を戻しまして、生命維持を重点にした食の優先順位を申しますと、まず「利便性」が挙げられます。まず「空腹を満たす食物」が優先され、その次に、「必要な時に必要な栄養価のある食物」が適切な量で求められます。動物は、この点において、種の保存をかけて全てのエネルギーを注ぐと言っていいでしょう。 

 

しかし人間となると、食に関しては、動物と「生命維持」という点で最初の1歩までは同じですが、その後は厄介なくらい複雑になります。例をあげますと、戦場の兵士であっても戦いの最中に故郷の梅干しを食べ、涙を流したり、宇宙飛行士がおなじ味の流動食ばかりだと作業能力が56%落ちるデータもあります。コンビニ等で宇宙食に近いものが販売されています。これは、忙しいビジネスマンが仕事の合間にとるようですが、実はその場のシーンに合っているときに取るのです。つまり、仕事に追われ寸暇を惜しんで食をとるカッコ良さが、それを買う動機にもなっているのです。 

 

人は付加価値の為に命をかけます。終戦直後、飢餓状態のなか、わずかな食費をさらに削り、故人の為に一輪の花を買い陰膳に添える。こんな不合理なことは人間以外の動物は決してしません。付加価値に命をかける人間だけがなせる行為です。 

 

「俺はここに住みこんな食事をとれたら死んでもいい。」「一度でいいからこうなればいつ死んでもいい。」「あの人とあの場所で食べたおにぎりの味が忘れられない、もう一度それができたら何もいらない。」 

 

・・・よく耳にするセリフです。またそれは真実でもあります。自分の思いや感動、魂をゆするものに人は命すらかけます。そのことに他の者も共感すらします。断片的な意味合いのようですが、われわれは全て付加価値の為に、必死になり、生活し、進歩してきました。 

 

それが食文化、文明の進化だと思われます。 

 

人には幸せを求め生きる権利と義務があります。「しあわせは何か」…当社の定義は幸せの原点は健康が元であると定義付けております。健全な肉体、健全な精神。身体の健康に良いもの。身体に悪いと思われるものは提供しない、こころの健康によいものを考えるから美味しい味、空間、環境を提供する。人は人により幸せになる、だから善意を持ったヒトによるサービスができるようにする。それを食にたずさわる者として考えております。 

 

 

 

【自然食(和正食)】

 

升本フーズの色々なお料理の中で取り分け自然食(和正食)にこだわっているという特色を挙げなければいけません。「陰陽五行」に即した東洋的な食のバランスを踏まえた上で、添加物など余計なものを使わずに調理する食養料理に「マクロビオティック」があります。

 

【「陰陽五行」とは】

「陰陽五行」とは、2つの思想が組み合わさった古代中国から伝わる、宇宙から人事にいたる全ての現象を説明しようとする理論、考え方です。


2つの思想とは、1つ目は、「陰陽思想」という、古代中国神話に登場する帝王「伏羲」<紀元前3350年頃~紀元前3040年頃>が作り出したとされる、全ての事象は、それだけが単独で存在するのではなく、「陰」と「陽」という相反する形(例えば明暗、天地、男女、善悪、吉凶など)で存在し、それぞれが消長をくりかえすという思想です。


2つ目は、「五行思想」という、万物は「木火土金水」という五つの要素により成り立つとする思想で、夏<紀元前2070年頃~紀元前1600年頃、中国最古と伝承される王朝>の創始者「禹」<紀元前2070年頃>が発案したとされています。

 

升本の和正食弁当はこの流儀にならい、食材はもとより、塩・砂糖等々の調味料の一点一点までも自然食を用い、肉、魚、乳、卵、精白糖、化学調味料、保存料を一切使用しないというこだわりぬいた弁当です。食材はもとより、塩・砂糖等々の調味料の一点一点までも自然食を活用されているのです。

 

それゆえ人気抜群で、升本フーズの売上の総額は18億円ですが、そのうちの6~7割が和正食をはじめとする各種の弁当で占められているそうです。大企業の経営者・幹部の昼の食事にこのお弁当を採用しているところも沢山あります。健康第一という新たなる食事のジャンルを目指す料理として、企業経営者の幹部等多くの方がこれに拍手喝采され、自らのお昼休みの食事に活用されているのです。伊勢丹新宿店という日本有数のお店がありますが、そこではオンリーワン部門で第1位の記録を得ています。

 

自然食の権威者としては、桜沢如一先生(1893年~1966年)、久司道夫先生(1926年~)が有名ですが、実践家としては、塚本様に勝る人はいないと私は確信しています。この自然食を追求するという姿勢が、升本フーズの様々な事業ジャンルに生きているというのが私の評価です。

 

私は塚本様のお陰で、専門家嫌いで著名だった株式会社うかいの鵜飼貞男様に起用され、株式会社うかいの顧問弁護士に2005年8月に就任しました。鵜飼様とは最初は銀座の「アスター」という中華料理屋、二度目は「八王子うかい鳥山」でした。そのお店を決めてくださったのは塚本様でした。鵜飼様は2006年6月19日にお亡くなりになられましたので、私が株式会社うかいの顧問弁護士に就任したのは、鵜飼様が他界されるわずか10カ月前のことでした。

 

塚本様は良き友人・知人を見つけられ、これと切磋琢磨し、よりよい料理を提供する心意気に溢れた方です。もっと、和正食を広めたいというお気持ちがありながら、新たに工場を建てるには仮工場にしろ、何億円という資金が必要だということで、なかなかこれを可能にする現実にないことに塚本様は歯ぎしりされていることと思います。

 

 

銀座アスターHP http://www.ginza-aster.co.jp/

八王子うかい鳥山HP http://www.ukai.co.jp/toriyama/

 

株式会社升本フーズの益々のご活躍を祈るとともに、私もできるだけ升本フーズのお店を利用させていただくことなどを通じて、ささやかなりとも貢献させていただきたいと思っております。

 

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