高井伸夫先生に学んだ「無用の用」
高井先生は「無用の用」という言葉を座右の銘の一つとされています。
(そういえば、このブログのタイトルも「無用の用」でしたね)
私も大きく感化されて、「無用の用」という言葉を座右の銘の一つと
しているのですが、高井先生とお話させていただいていると話題の幅が
社会、経済の分野はもとより、文化、芸術、政治、地理、歴史、医学などなど
非常に多岐に渡り、あらゆる分野について網羅的に概略は語れるといった程度の知識を持たれていることがわかります。
人事労務分野の弁護士として第一線で活躍されてこられましたので、
その関係分野はいうまでもありませんが、様々な分野に精通されていることが
窺い知れるのです。
間近で拝見し、いろいろな方との会合や会食の中で、ご縁を広げ、
深めていく、そのプロセスにおいて気づいたことがありました。
それは、高井先生が博覧強記な方ですので、どんな方とお会いしても、
おおよその話の接ぎ穂のようなもの、とっかかりを作ることができ、
「まったくその分野のことについては知りません」
「全然、その世界の話は分かりません、興味もありません」
ということがないのです。
お会いしている相手の方の専門分野について、その方の分野において、
ある一定のレベルまでは話が通じる。
そしてその「一定のレベルまで」という話の接ぎ穂が
あることによって、初対面の方とのコミュニケーションや、
自分の専門外の分野で活躍されている方との交流も円滑に進んでいく、
このプロセスを何度も目の当たりにしたのです。
これぞまさに「無用の用」でありましょう。
「どういう知識・情報がどんな場面で役に立つのか」は
事前に想定することはできません。
効率化優先の世の中において、効果を想定できないからこそ、
投下する資源に対して、費用対効果が悪いということで、
「自分の専門外はあまり触れない」
とか
「遠ざける」「学ばない」
という人も、あるかもしれませんが、
すぐにはその効果が想定できないことを継続して行うことで
時間の経過と共に知識が逓増していき、後々にコミュニケーションを
広げるための幅広い知見として活きてくる、効いてくるのではないかと
思われるのです。