2012年3月16日のアーカイブ

縁(その6)


 

20120316.JPG

(2012年3月11日(日)14:27 
東京都千代田区北の丸公園にて梅の花を撮影
花言葉:「厳しい美しさ、あでやかさ」)

 

 

 

 

2月10日(金)より「縁」をテーマにブログ記事を連載しておりますが、今回も引き続き「縁」に関係するお話をしたいと思います。

 

 

【セカンドオピニオン】

価値観の多様化や、さまざまな分野での専門化の進展から、自分の力だけで即座に的確な判断を示すことが難しい時代になりました。ある一つの問題について議論するにも、いろいろな意見が飛び交い、しかもどの意見にも一長一短があり、正解を導きにくくなっています。判断を下さなければならない問題に直面したとき、どれが正解なのか、選択に迷うような微妙で複雑なことが多くなっているということです。

 

このような時代で生き抜くには、助言、いわゆるセカンドオピニオンをお願いできる人を、常に念頭におけるような人間関係を構築していることが大切になります。多様化の時代においては、自分だけの経験や知識、情報、発想をもとに導いた結果が、不十分であったり、誤りを含んでいたりする場合も少なくありません。その怖さを知り、信頼のおける専門家に助言を求め、セカンドオピニオンを求める癖をつけることが必要です。妙な自信のある人ほど、他人の意見を聞こうとしないところがありますが、これだけ世の中が目まぐるしく変遷しているのに、他人の意見を聞かずに自分の狭い視野の範囲内で物事を考えていては、的確な判断を下すことができません。「疑は知の基(もとい)である。能(よ)く疑う者は能(よ)く知る人である」と寺田寅彦(1878年~1935年:物理学者にして俳人・随筆家)は述べています。

 

 

【ファーストオピニオンの重要性】

さて、セカンドオピニオンという言葉は、医療診断の世界の言葉で、専門・聖域領域とされてきた医師の権威主義的・独占的判断への疑問を解消するひとつの手立てとして生まれました。患者側がもつ一種の医師不信のように受け取られがちですが、現在では、医学の専門分野の細分化が進んだ結果、医師の側もセカンドオピニオンを望むようになってきたそうです。私は、企業側の弁護士として人事労務問題を専門に取り組んできましたが、弁護士にもセカンドオピニオンが求められる時代になったということを10年ほど前から意識しています。法律の細分化・専門化にともない弁護士も専門化が進み、特定の分野で高い見解・見識を示さないと、クライアントから信頼を得られない状況であるからです。

 

医師や弁護士など専門的職業人の世界に限らず、ひろくビジネスの世界でも、同じことがいえるでしょう。自分が専門の分野を持っていたら、新しい知識や情報を吸収することが重要なのはもちろんですが、それだけでは足りません。セカンドオピニオンをお願いできる人との縁を大切にすることが必要です。

 

ただし、セカンドオピニオンをとることは大切ですが、誤解してはいけないのは、「肝心なのは自分自身の勉強とファーストオピニオンである」ということです。ファーストオピニオンという言葉はあまり使われませんが、あくまで最初に下す判断の正確さ、適切さを確認するためにセカンドオピニオンがあるのです。言いかえれば、セカンドオピニオンとは、ファーストオピニオンの充実をもたらすものであるということです。

 

なお、セカンドオピニオンだけでなく、さらにサードオピニオンを求めるのもよいでしょう。複数の意見を比較検討して、自分なりの判断を下すことが大切です。もっとも危険なことは、自己過信・自信過剰であるということです。

 

 

(リライト:加藤・宮本)

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