2012年5月4日のアーカイブ

仕事(その4)


 

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(2012年4月30日(月)朝7:19 東京都目黒区中目黒公園にて撮影)

 

 

  4月13日(金)付記事より、「仕事」をテーマにした連載を掲載しております。仕事をとおして本当の意味で成長するにはどうすればよいのか、仕事をうまく運ぶコツとは何かなどについてのヒントとなれば幸いです。

 

 

【いま・すぐ・ただちに】

世の中が目まぐるしく変化し、しかもその変化のスピードが日増しに速くなっていくいまの時代において、仕事で「スピード化」を意識することは、なによりも大切なことです。そして実際に、多くの人が、常にスピードを求められる日頃の業務のなかで、仕事を先延ばしにしないための、自分なりの努力や工夫をしていることでしょう。

 

しかし、スピード化とは、先延ばしにしないだけでは不十分で、「即時対応」が大原則です。たとえば「急いで」と指示されたときに、「わかりました、明日やります」「来週やります」と答える人がいますが、これでは落第点でしょう。たとえ、今やらずに明日でも来週でも、さほど結果は変わらないと一見思える仕事であっても、情報も流行も刻々と変わる時代においては、ごく短期間のうちに状況が一変してしまうことも珍しくありません。「あのときにすぐ処理しておけばよかった…」と後悔しても取り返しはつきません。やるべき仕事をすぐしなければ、致命傷になりかねないのです。

 

一方で、「拙速は避けるべき」という考え方があります。しかし、私は、むしろ「孫子」に出典の求められる「拙速は巧遅にまさる」という言葉こそが、いまの時代のビジネスパーソンに必要な心構えであると思います。いくら時間をかけて巧みに仕事を遂行したとしても、それが遅くては、時機を逸したりしてよい結果に結びつかないからです。7~8割の完成度であっても、まずは仕上げて、一応の結論を出すべきです。これは決断力を要することでもあります。

 

「孫子」作戦篇には、「兵聞拙速。未賭巧之久也」(兵は拙速を聞く。未だ巧みの久しきを賭〔み〕ず)という有名な言葉があります。これは、「戦いは、たとえ拙劣でも速決が大事である。いかに戦争巧者でも、長引いて成功したためしはない」という意味です。:諸橋轍次『中国古典名言事典』(1972年)講談社 参照

 

即時対応という仕事のスタンスに対しては、「急いては事を仕損じる」という反論もありましょう。確かに、慎重になることも大切ですし、あせらないことも肝要ですが、これらが「いま、しないこと」の言い訳にはなりません。私のこれまでの経験からいって、「あせらず行こう」「じっくり考えてから」といったセリフは、90%以上が引き延ばしのための言い訳であると思います。

 

いま・すぐ・ただちに仕事を行えない人のなかには、仕事の優先順位がつけられなかったり、もっとよい方法があるのでは、と悩んでしまったりする人もいるでしょう。それは、自分のなかの判断基準がぶれてしまっているからではないでしょうか。

 

私は、選択肢を決める際に、ある基準をもとに判断・決断しています。それは、正邪・和戦・勝敗・損得です。正邪にこだわるか、平和的に解決するのか戦いで決するのか、勝ち負けにこだわるのか、損か得かで決めるのか、という基準です。この基準でも悩んでしまう人は、原点に戻ることで判断しましょう。原点とは、たとえば、企業であれば、「お客様の満足を第一に考える」といった経営理念として掲げているものです。

 

「迅速に構想し決断し実行に移す」-ここにこそ、いまの時代において、ビジネスパーソンの真価が問われる世界があるといってよいでしょう。

ダーウィンのものとされる言葉のように、強いものが生き残るのでも、智恵のあるものが勝つのでもなく、時代の変化に目覚め、それに鋭敏に対応できたものだけが生き残っていけるのだと思います。

 

(リライト 加藤・宮本)

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