「リーダーについて」その6


IMGP2746.JPG2012年11月18日(日)午前9:53
埼玉県川口市グリーンセンターにてコスモスを撮影
花言葉:少女の純潔

 

10月5日(金)付記事より、「リーダーについて」をテーマに連載を開始しております。本連載は、私が、50年間にわたる経営側の人事・労務問題の専門弁護士としての経験もふまえ、感じ・考えたことの一部です。ブログ読者の皆さまに、リーダーのあり方について考えていただくための一助になれば幸いです。

 

 大正から昭和初期において活躍した社会思想家、経済学者である河合栄治郎(1891年~1944年)は、「われわれを成長させるものは、人生における悪戦苦闘である」と述べています。業績をあげているビジネスリーダーであれば、この言葉に大いに頷くでしょう。

 

 企業や組織をめぐる国内外の厳しい競争を生き抜くためには、構成員が一丸となって、迅速かつ的確に取り組めるように、彼ら彼女らを統率する優秀なリーダーが求められますが、リーダーの統率力の根本である判断力、決断力、実行力等は、場数を踏むことで身につくものです。

 

 リーダーたる者は、場数を踏み、修羅場の体験のなかで、自らのアイディアで困難を乗り越え、これらを的確に処理しなければなりません。こうした数々の経験を重ねることこそが、精神的成長につながります。

 

 悪戦苦闘や修羅場の体験は、率いるべき規模の大小にかかわらず、それぞれの規模なりに重要なものです。少人数のグループやチームなど、小規模グループのリーダーとしての働きであっても、その段階を経ることが次のステップへとつながります。たとえば、より高品質の製品・サービスを、消費者・利用者により迅速に提供することが企業には求められますが、新製品・サービスの開発プロジェクトを実行に移す際には、不安がつきものです。プロジェクトチームのリーダーは、こうした不安に打ち勝ち、問題点等をよく検討し、分析し、強い精神力のもと勇気をもってこれを実行に移さなければなりません。

 

 ただ、根本的に、横並びや集団行動を尊ぶ傾向のある日本人は、競争原理に対応しにくく、そのため、競争に疲弊し、落伍の不安や淘汰の恐怖にさいなまれ、メンタルヘルス不調に陥ってしまう人が増えていることには留意すべきです。労働政策研究・研修機構による全国の従業員10人以上の民間事業所14,000カ所を対象とした「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」(2012年3月30日発表)によると、6割弱の事業所で、メンタルヘルスに問題を抱えている正社員がいると回答し、そのうちの3割強(31.7%)の事業所は、3年前に比べてその人数が増えたとしています。減少傾向であると回答した事業所は約2割(18.4%)で、増加傾向を見て取ることができます。また、メンタルヘルス不調者が現れる原因として、事業所がどのように認識しているかについて、「成果がより求められることによる競争過多」とする回答が全体の12.6%を占めています。こうした実情からみて、リーダーは、単に仕事の進捗のみに心を砕くのではなく、自らの心身の健康保持に留意するとともに、配下の人たちの心身の状態にも十分な配慮をつくす必要があります。

 

 なお、悪戦苦闘や修羅場の体験を乗り越えて厳しいグローバル競争に勝ち抜く強い人材を育成するのは、個別企業の努力だけでは限界があります。国の明確な政策の一環として、小学校・中学校という早い時期から職業教育を実施することが必要であると思います。これは、換言すれば、職業キャリアの意識を、学生から社会人になってゆく者に上手にリレーするための社会基盤の構築の必要性という問題でもあります。キャリア教育をめぐる問題については、新しいテーマとして、改めて論じることができればと思います。

 

(リライト 加藤・宮本)

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