2013年9月10日(火)12:01 秋田県鹿角市八幡平湯瀬
『和心の宿 姫の湯』 前にてヒマワリを撮影
花言葉:「私の目はあなただけを見つめる」
先週に引き続き、花の香りについてお話します。
花の香りやその成分は、近代医療が発達する以前、人間の健康のために欠かせない役割を担ってきたそうです。いまでいうところの、芳香療法(アロマセラピー)のルーツともいえますが、世界各国、各地で採取される植物のなかに、人々は多種多様な薬理効果を発見し、薬の代わりとして幅広く活用してきた歴史があるのだそうです。
中世ヨーロッパでは芳香植物の栽培と利用は主に修道院の仕事であり、植物成分を水や植物油・アルコールに浸出して用いていました。現代では、10世紀に発明されたといわれる「水蒸気蒸留法」によって植物の中にある成分を抽出するのが主流で、その抽出物は「精油」と称されています。なお、精油は、日本でも古くから作られ、800年代には京都で精油の技術が確立したといわれているそうで、江戸時代には庶民の間にも浸透し、明治時代には、ニホンハッカの精油の輸出も行われていたそうです(参考:ユニリーバ・ジャパン「Dove」ビューティーコラム)。
アロマテラピーというと、つい最近、日本に入ってきて女性を中心に流行している、というイメージが強いですが、古くから精油が作られていた事実は、ちょっとした驚きではないでしょうか。
数ある精油の中でも、特に人々を魅了するのは、やはりバラとジャスミンでしょう。前者は「精油の女王」、後者は「精油の王」と呼ばれるほど高貴で素晴らしい香りです。バラの精油は、バラ200輪に対し、たった1滴しか取ることができないそうで、しかも太陽が当たると精油分が気化してしまうという特徴があるため、早朝に摘み取った花のみを使用するそうです。そのため、精油自体の価値も非常に高く、大変高価なのだそうです。
バラの精油の働きは、抑うつ、悲観などの感情をほぐし、神経の緊張とストレスを和らげるそうです。これは、香りを嗅ぐことで、幸福感をもたらすホルモンであるドーパミンが放出されることによる効果だということです。また、体に対する働きとしては、鈍化した血液循環を活発にし、心臓の充血を緩和させ、毛細血管を強化することによって、心臓を強壮する作用を発揮するともいわれています(参考:『アロマテラピーのための84の精油』ワンダ・セラー著 フレグランスジャーナル社 )。
ジャスミンの花は、香りが最も強くなる夜間に摘み取られるそうです。バラ同様、1滴の精油を抽出するのに膨大な量を要するため、希少性が高く、やはり高価です。心に対する働きは、バラと同じように、神経を沈静させると共に、情緒を加温させ、積極的な自信を生み出すといわれています。とくに「人を助ける仕事」をしている人々に恩恵をもたらし、エネルギーを蘇らせ、全般的に活気をとりもどさせるといわれています。体に対しては、出産に役立ちます。子宮の収縮を強めて分娩を促し、同時に苦痛を和らげてくれるといわれているそうで、実際に多くの助産院や産科でこのような花の香りは補助的に利用されているのだそうです。また、呼吸器系にも有益といわれ、気管支の鎮痙や鎮咳にも適しているそうです。
このように、花の香りは、嗅覚を通じて脳へ届き、その結果として、私たちの心や体に多くの素晴らしい作用をもたらしてくれます。また、植物油に精油を入れ、皮膚から吸収させることで、毛細血管へ運ばれ、「身体への有効性」も注目されているようです。花の魅力を追求していくことで、このような奥深い一面が隠れていることを知り、花の世界に、ますます興味が広がりました。
~今回の記事執筆にあたって、ホリスティックサロン Lily セラピスト 小田島 彩子様、ランドブリーズ渡辺憲司様にご協力いただきました。ありがとうございました。