2014年1月31日のアーカイブ

 

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2014年1月25日(土)13:16
愛知県名古屋市瑞穂区の蕎麦屋「そば 安江 瑞穂店」にて山茶花を撮影
花言葉:「困難に打ち勝つ」「ひたむきさ」 

 

 

間接的な営業

 

現在私が経営する法律事務所では、北京と上海にも事務所を設けているが、中国関係で意識していることは、然るべき立場にある人との繋がりを大事にし、持続する努力を怠らないことである。そのためにも、経営者を対象としたセミナーを企画し、実際に出席されるのが担当者であっても経営者宛に招待状を送付して、プレゼンス(存在意義)を高めることが大切なのである。

 

また、東京事務所では、マスコミ関係の方との繋がりも非常に重視しており、折に触れて自分の意見を取り上げていただくことで自分自身も精進しネームバリューが上がり、講演の依頼や取材を受ける機会も増えてくるだろう(講演や取材については後述する)。

マスコミのマス(Mass)とは「大衆」という意味である。マスコミは、大衆に向け情報を発信することで、大衆を啓蒙する、という使命を担っているのだ。

日本新聞協会の『新聞倫理綱領』には、「新聞は歴史の記録者であり…新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によって…公共的、文化的使命を果たすこと」とある。マスコミは、国民に対して知るべき情報を正しく発信し、国民の知る権利にこたえる役割を果たしているのであるから、私どもも、マスコミに働きかけて私たちの存在意義を知らしめることが必要である。

 

また、存在意義という観点から言えば、できるかぎり顧客と連絡が取れる状態を保つということも非常に重要である。弁護士は顧客の問題の解決のために力を尽くすことが仕事であるから、土日出勤はもちろん、年末年始も本当は働かなければならない。なぜなら、問題というものはいつ生じるか分からないものだからである。だから、朝9時から夕方5時までとか、土日出勤をしない、祝日出勤をしない、などと杓子定規なことを言っていたのでは、営業は成り立たないのである。当事務所は土日も含めて、学生アルバイトが、平日は夜9時まで、土日祝日は朝8時半から夜7時頃まで働いている。これは、弁護士事務所だけのことではなく、救急病院などにも言えることである。救急病院においても、一刻も早く連絡を取れるということが、問題解決の第一歩になるからである。いい話なら、報告・連絡・相談はそんなに急がなくても良いのだが、弁護士が働くのは、クレームなり、異議申し立てなり、あるいは訴訟なりという不安が渦巻く社会だから、顧客は誰しも一刻も早く不安を他人と連帯したい、そして少しでも不安から解放されたいという思いを抱えている。それを守るべき弁護士が、なかなか連絡を取れないとなれば、それは役に立たないということを意味し、弁護士の存在意義は大いに失われるだろう。

 

我々弁護士も高度専門職業人であるが、「高度専門職業人」とは、医師に代表されるように、高度の専門的水準において専門的性質の仕事に従事する者であり、その仕事を遂行するためには、大学・研究機関などにおける高度の専門的分野の訓練、又はこれと同程度以上の実務的経験が必要とされるが、弁護士も、この高度専門職業人として初めから高いレベルを要求されている。

弁護士が高度専門職業人として意見を言い、これがマスコミに取り上げられるということは、大衆を啓蒙し、国民の知る権利にこたえることになる。そうなると、その弁護士は一定のポジションあるいは権威ある地位が与えられる。それ故に、弁護士はマスコミと親密にならなければならないのであるが、それは問題意識を絶えず深化させる弁護士本人の勉強と連動するものである。

 

先ず隗より始めよ

 

何はともあれ、「先ず隗(かい)より始めよ」である。これは、中国の戦国時代に、燕の昭王が「どうすれば賢者を招くことができるか」と家臣の郭隗に尋ねたところ、「まず私のような凡人を優遇することから始めて下さい。そうすれば優秀な人材が集まってくるでしょう。」と郭隗が答えたという故事に基づいた中国の諺であり、「隗」とはこの郭隗のことを指す。要するに、物事は言い出したものから始めよという意味なのだが、この諺の通り、何事も、自分から積極的にやりださなければ始まらないし、先手をとって有利に事を運ぶこともできないのである。

 

私はイソ弁(雇われている弁護士)の当時から本を書くことに熱心だった。

最初に本を出版したのは、長野県経営者協会の『労研半年報』別冊5『団体交渉の円滑な運営のための手引 交渉担当者の法律知識』であった。これは、日本経営者団体連盟が発行していた『労働経済判例速報』に昭和45年3月から昭和47年11月に連載した「団体交渉覚書」(全15回)の最初の11回分を、長野県経営者協会専務理事の西原三郎氏(故人)が目に留めてくださり、小冊子にしてくださったものである。

次に昭和62年9月に『人事権の法的展開』を上梓した。これは、労働法学研究会報に昭和56年4月~60年5月にかけて全70回連載したものをまとめた書籍であった。その後の平成5年1月に、昭和54年8月に出版した『労使関係の原理と展望』と昭和57年12月に出版した『労働法理を活かす実学労務管理』を合本した『企業経営と労務管理』を刊行した。そして平成22年に『労使の視点で読む最高裁重要労働判例』を刊行した。

ここでは3冊を挙げたが、これ以外に出版した42冊の本にも、それぞれ思い入れがある。とにかく、本を書くことを自分の実践策としていたのである。

 

また、講演は弁護士3年目の昭和40年(1965年)頃から盛んに行っていた。1カ月に4、5回は行っていたと思うが、テーマはさまざまであったからこそ実力がついたと思う。講演のために、沢山の判例を読んだし、文献も見た。勿論、新しい問題に直面した時は苦しかったが、それを乗り越えてきた事が私の財産になっている。それは誰かに勉強しろと言われてやらされたわけではなく、自分自身で敢えてチャレンジしたのである。

具体的には、先に述べた『団体交渉覚書』も、『人事権の法的展開』も、自分から進んで連載をお願いしたのである。「先ず隗より始めよ」とは、「チャレンジ精神」とも言えるであろう。

 

ワンモア精神

 

最後に、仕事として成果を上げるには「ワンモア精神」で取り組むことが必要である。それは営業のためでもある。「一歩広く、一歩深く。」これは、 2000年10月20日付日本経済新聞朝刊に掲載された、株式会社東急コミュニティーの当時副社長であった黒川康三氏の言葉だが、こういった精神がなければ、成果につながらないからだ。例えば手紙がきた時、会社名だけ書いてあった場合どこの会社かわからない時がある。そんな時は、名刺フォルダーを見て確認すれば、社長の名前を確認して会社のことを思い出す時がある。この、名刺フォルダーを見ることが「ワンモア」ということだ。これが出来るか出来ないかで、成果は大きく変わってくる。勿論、ツーモアでも、さらにはスリーモアでも良い。

 

私の人生訓である山本有三の小説の一節を紹介する。

「たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか」(山本有三『路傍の石』の一節より)

以上

 

 

付録 鍼灸治療の可能性を探る

 

今回は、前回(1月17日)に関連して、土屋喬先生に「鍼灸治療の可能性を探る」というテーマでご寄稿いただきましたので、皆様にご紹介します。

 

20年近く前、鍼の当診療所の看板に「WHO(世界保健機関)の認定した鍼灸の効能、効果」を表示したら、保健所から削除するように通告された。個人の主観では無く、頭にWHO認定とハッキリ表示したにも関わらずである。 合点がいかず問い合わせたら、昔から効能、効果は表記できない(昭和28年に医療法施行規則(省令)第1条の9により広告の制限がある。以後内容の変更等はない)と回答があった。 嗚呼これで、真の真たる深遠にして崇高な歴史ある医術が単なる算術に変わったのかと、妙に納得したものである。

 

現在日本では、 鍼灸治療の対象の多くは、筋肉および間接の疼痛性疾患が占めるものと推測される。 その要因の一つは、鍼灸資格の国家試験において、意図的か否かは別として、結果的に西洋医学的といえる解答を求めているとみられる出題が大部分を占め、鍼灸学校のカリキュラムにおいても甚だ西洋医学的な、たとえば、 解剖学・生理学・病理学・症候学等がその主流をなしていると思わざるを得ないという事実があるからである。元よりそれらを履修する重要性を否定するつもりは毛頭無いが、湯液・鍼灸処方の決定に重要な役割をなす東洋医学的・古典的、解剖学・生理学・病理学・症候学についても、 「事実に反する」「荒唐無稽」 と一笑に付する前に、少しはその勉学の機会を与える必要があるのではないかと考えられるが、如何なものであろうか。

また、 卒業後の学習・研究課題として、それを取り入れることにより、臨床面においても、向上的成果が期待できる可能性があるかとも考えられる。それが、そのきっかけとなすことができるとするならば、本当の意味での漢西医結合という大道を達し、多くの難治性疾患の福音となる可能性は限りなく大きいといっても、過言ではないといえよう。そして、歴代医学書によれば、さまざまな疾患に対して鍼灸治療が行われており、 中国の各種専門書によると、近代においても難治性疾患等に対して鍼灸治療が行われ、目覚ましい成果を上げている記載を目にすることもしばしばである。

 

WHOによって鍼灸治療の有効性が認められている疾患は、以下のとおりである。

 

◆運動器系:
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頸椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

◆神経系 :
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

◆循環器系:
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧症・低血圧症・動悸・息切れ

◆呼吸器系:
気管支炎・喘息・風邪およびその予防

◆代謝分泌系:
バセドウ病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

◆婦人科系:
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道症・不妊

◆小児科系:
小児神経症(夜泣き、疳の虫、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

◆耳鼻咽喉科系:
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・蓄膿症・咽喉頭炎・扁桃炎

◆眼科系 :
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・霞み目・ものもらい

◆生殖・泌尿器系:
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大、陰萎

 

以上の様に、WHOの認めた有効性を待つまでもなく鍼灸治療は、極めて広範囲な疾患に対応できるといえる。

 

これらのことを踏まえて私の言いたいことは、 医療に関する明治憲法下で制定されている法律を改定し、日本医学界に東洋医学専門の大学医学部を創設する必要があるのではないかということである。インドにおいては、アーユルベーダの大学、中国においては中医大学が存在するように。

 

因みに、明治天皇の御典医は、漢方医の浅田宗伯であったことを余談としよう。

(東邦大学医療センター大森病院東洋医学科顧問・ツチヤ鍼療所所長)

 

 

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