2014年3月21日のアーカイブ

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2014年3月9日(日)朝8:05  東京都文京区4丁目にて椿を撮影
花言葉「理想的な愛情」

 

 

「好奇心」

 

 

昨年、ロボット(コンピューター・プログラムによる人工頭脳)が米長邦雄永世棋聖と対戦して勝った。数年前、ロボットがチェスを負かせた時、関係者は『日本の将棋はチェスより複雑なので勝つのは無理』と言われたものだが…すごいことである。このテンポですすむとやがては、一昔前には「魔法」と思われていたことが次々と現実になってくる気がする。でも、コンピューターで支配される“味気ない社会”には抵抗を感じなくもない。もちろん、技術進歩によって生活が便利になり、安全になっていくのは良いことだが、コンピューターが人間の上に位置しているような環境は、やっぱり嫌なものである。でも、心配することはない。いくらコンピューターが発達してもコンピューターが人間を凌駕することなど、絶対にありえない。なぜなら、人間にはコンピューターにない「喜怒哀楽」という感情と、「菜の花や 月は東に 日は西に」のたった17文字で宇宙をも描きだす感性がある。コンピューターが逆立ちしても「朝顔に 釣瓶取られて もらい水」なんて句はつくれないはずだ。

 

以前に読んだある雑誌に、人間と人工知能の最も大きな違いは「嘘」と「好奇心」だそうである。なるほど、コンピューターは嘘をつかない。ましてや、「好奇心」なるものは絶対に、人工知能に置き換えることはできない。

 

好奇心…人類における文明の発展は、すべて「好奇心」から出発している。あの海の向こうに何があるのだろう?…という好奇心に嗾けられて米大陸を発見したコロンブス、木からリンゴが落ちるのを見て引力を発見したニュートンなどなど、歴史を彩った偉人たちは、感性に触れた些細なことに疑問を抱き、その疑問に好奇心を滾(たぎ)らせたことで数々の発見・発明に“辿りついた”。そう、IQではなく「辿りついた」のである。いうなれば、好奇心は、知性や知識を凌駕する結果をもたらすのである。

 

好奇心が最も威力を発揮する…威力というと変だが、人間の「出会い」や「縁」の始まりは好奇心からと言っても過言ではない。お見合いでも旅先でも、お会いした相手に対する好奇心をして、その人の人格・人間性・価値観・個性に興味が芽生え、それが関心に注がれることで交わりにおける物語がスタートする。

また、人間、好奇心がなくなったら進歩はない。「学ぶ」「体験する」という行為も、自分の知らなかった世界に対する好奇心、未知の世界への興味である。

好奇心が最も旺盛な時期はというと、幼年期から少年期である。この年頃は、何事にも興味を抱く。ところが、年齢を重ねるほどに、好奇心が衰え、打算や処世という「邪気」に惑わされて生きてしまう。

 

好奇心といえば「高井伸夫先生」の右に出る人はいない。高井先生は常に「縁」と「出会い」の大切さを説いており、縁と出会いの延長にコミュニケーションが存在すると語っている。事実、高井先生ほど「好奇心の塊」のような方は今までお会いしたことがない。いつだったか、先生の徳島出張に同行した時、ケーブルカーに乗り合わせた観光客に「どこから来たのですか」「どこに勤めているんですか」と話しかけ、最後には「連絡先を教えてください」、とまで言っていた(この部分は以前のコラム[昨年12月9日付記事]にも掲載)。

 

高井先生は、ケーブルカーに乗り合わせた瞬間、その旅人について「どこから来たのだろう」「何をしている人だろう」といった好奇心が芽生え、話しかけられずにいられなかったのだろう。多分そうである。この件だけではない。高井先生は行く先々で、出会った人ごとに、好奇心に嗾けられた言動を繰り出す。それを「高井流」で言うなら「袖すり合うのも多生の縁」ということになろう。そもそも、高井先生は年中、国内外を問わず旅行されているが、これも、未知の土地に対する好奇心からではないだろうか。さらに、高井先生の口癖が、会う人ごとに『何かいいニュースある』という言葉である。自分の体験だけでは足りずに、相手の体験の中に、先生の好奇心・関心・興味にひっかかるものがないかと確認しているようである。でも、こうした、積極的な、前向きな生き方こそが、生きている証しであり、存在感かもしれない。

 

好奇心とは、われわれの潜在意識の中に刻まれた「前向きの生き方」への原動力、とも思える。反対に、好奇心のない人は、何事にも興味が湧かず、関心すら示さない。それだけに、「うつ病」という状態は、好奇心が失われた状態、ではないだろうか。

 

好奇心によって興味が芽生え、興味が関心を抱かせ、関心が人間社会の縁を紡いでいるとすれば、それはきっと、神様が人間に植え付けた聖なるプログラムかもしれない。

だが、好奇心が旺盛だと「悪いこと」に関わってしまうこともある。アダムとイブが蛇に誘惑されて禁断のリンゴを食べたのも、彼らの中に芽生えた好奇心からである。

 

好奇心のことを羅列してきたが、どんな些細なことにも目を向け、そこにて何か新たな発見をした時の、充実感や喜びは、生きている実感につながるものだ。とくに、素晴らしい「縁」や「出会い」にめぐり合うためには、出会った人に対して興味・関心を注ぐことから始めなければならない。

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