2014年4月21日(月)7:32 東京都文京区4丁目にて藤を撮影
花言葉:「歓迎」「陶酔」
[3]明快さ
弁護士トークというものはあり得ない。法律第○条…ばかりを論じていては、専門家としても尊敬されなくなるだろう。弁護士は法律を易しい言葉でクライアントに説明する必要がある。そして、クライアントが求めているものは何か、法律論を踏まえつつも、さらには法律論を超えたところに本当に知りたいポイントがあるのか等々、想像力をも十分に働かせなければならない。
そのうえで、自分が受任できる相談内容かどうか、受任できるとして見通しはどうかなど、クライアントが納得できるように明瞭に伝えるのである。たとえ仕事を受けないことになったとしても、どのような局面においても次につながる信頼関係の端緒を作る努力をすることは、弁護士の営業の面でも非常に重要である。
また、クライアントが話したいことや、こちらの質問に対する答えを最後まで話してもらう(途中で話の腰を折らない)ことも大切である。そして、クライアントの関心事、質問に対して的確な応答をする。裏付け資料は必ず用意し、書面にして出すことが一番良い。加えて、基本的なことであるが、クライアントと接するときには姿勢を良くし、晴れやかな顔、自信のある表情で応対し、安心感を与えることである。弁護士だけでなく、ビジネスの場では、自分自身をいかに売り込むかが課題となる。話の内容が貧相で情熱がない、当意即妙な受け答えができない、不安げな顔、おぼつかない表情では、クライアントには魅力的な弁護士として映らないだろう。
ところで、クライアントに明快に説明するためには、昨今ビジネスマンの必須スキルとしても注目されている「地頭」「地力」が求められる。「地頭」「地力」とは、本来の頭の良さ、本来の実力であるため、もともとは生来的に身に付いているものであるが、勉強や、また、鍛錬や経験、特に修羅場を潜り抜けた経験などを通して、後天的に身に付けることもできる。「地頭力」は、知識に頼らず思考することで回答を導き出す力とも説明され、変化が激しい現代において、経験のない場面に遭遇しても解決の方策を導き出すことができる力として注目されているのである。
これは、経験にもつながる話であるが、若手のうちに経験がないから引き受けられないと仕事を断っていては、どれだけ経っても経験は積み重ならない。初めは誰しも経験のないところから始めるのであり、弁護士として経験したことのないことも、これまでの自身の経験や知識、先輩等から教えを受けたことや勉強していくことを繋ぎ合わせて解決の方策を導き出していく際に「地頭力」が発揮されるのである。
以上
以上、弁護士業における営業について、私の50年余りの弁護士歴の中で得た所感を、8回にわたって綴ってまいりましたが、いかがだったでしょうか。
突然で申し訳ございませんが、私、この程、体調が芳しくないため、誠に勝手ながら、今回をもちまして「弁護士の営業」ブログを一時中断させていただきます。
この続きにつきましては、体調が回復しましたら、いずれまた記す予定でおりますので、気長にお待ちいただければ幸いにございます。
それでは、またお目にかかれます日を楽しみにしております。