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5月11日(日)の母の日に寄せて カーネーションを撮影
花言葉:「母の愛」 

 

母の日に思う

 

5月の第二日曜日は「母の日」である。母の日は、世界中の子どもたちが日頃の母の苦労を労い、母への感謝を捧げる。

 

アメリカ南北戦争終結直後の1870年、女性参政権運動家「ジュリア・ウォード・ハウ」が、夫や子どもを戦場に送るのを拒否しようと立ち上がり「母の日」を宣言(Mother's Day Proclamation)した。ハウの「母の日」は、南北戦争中にバージニア州で、「母の仕事の日」(Mother's Work Days)と称して、敵味方問わず負傷兵の衛生状態を改善するために地域の女性を結束させた「アン・ジャービス女史」の活動にヒントを得たものだが、結局普及することはなかった。ジャービスの死後2年経った1907年5月12日、その娘のアンナが、亡き母を偲び、母が日曜学校の教師をしていた教会で記念会を開き、白いカーネーションを贈ったことから、白いカーネーションが母の日のシンボルとなり、5月の第二日曜日が「母の日」となったそうである。

 

 

世界には、母にまつわる故事やエピソードが数えきれないほどある。子の将来を案じて住居を三度も移した孟子の母の故事、「孟母三遷の教え」。人間社会だけではない。「四鳥別離」という故事もある。孔子が早朝に悲鳴のような泣き声を聞き、高弟の顔回に尋ねたところ、顔回は『桓山で鳥が四羽のヒナ鳥を育て、ヒナ鳥が巣立つとき母鳥は別れの悲しさに声をあげて鳴き送ると申しますが、あの声もその母鳥の鳴き声と同じです』と答えたという。

アフリカに生息する母猿は、子猿が死んで枯枝のようになっても子猿の死骸を離そうとせず、次の子猿が産まれるまで背負い続けるそうである。子のことを思う母性は、人間も動物も同じだ。それは、神様が地上の生物に植え付けた本能、聖なるプログラム、かもしれない。

 

 

子の死骸を背負い続ける母猿の姿も痛々しいが、巣立つヒナ鳥を見送る母鳥の鳴き声も悲しく、我が子を戦場に送る母親たちの悲しみに重なる。

子を戦場に送る母親たちの悲しみ…高井・岡芹法律事務所は「九段下」にあるが、戦時下につくられた「九段の母」という歌は今なお、戦争を知らない世代である私の中にも強く焼き付いており、我が子を戦争で亡くした母親の、痛いまでの悲しみが伝わってくる。とくに、「♪上野駅から九段まで 勝手しらないじれったさ 杖をたよりに一日がかり 母はきました会いに来た♪」「♪両手合わせて膝まずき 拝むつもりのお念仏 はっと気付いてうろたえました せがれゆるせよ田舎もの♪」…の歌詞に胸が疼いてしまう。この母親は、靖国神社に“英霊”として祀られている我が子を“国家の方針”としては拝まなければならないのだが、知らないうちにお念仏を唱えてしまったことで“はっと気付いて”うろたえてしまった。この悲しい心情こそ、当時の、軍国主義の空気に覆われた日本であったのだろう。親子の絆よりも国策が優先された時代、子が死路に向かう機に及んで「万歳・おめでとう」で見送らなければならなかった母親たちの悲しすぎる現実は、矛盾で塗り固められた悲惨な時代でもあった。こんなことを記すと、やれ右だの左だのと騒ぐ輩たちがいるが、親子の絆や情に右も左もあろうはずがない。

 

 

せっかくの「母の日」のコラムを戦争の話で汚してはいけないので軌道修正するが、今年の高井先生の誕生日は5月の第二金曜日(5月9日)、母の日の二日前である。日本では昔から「5月に生まれた男の子は大成する」と言われ、5月5日は子どもの日、男の子の節句となっている。

 

私は3歳の時に母を亡くしたことで母の顔をしらない。ところが、10歳の時に祖母から教えてもらった母の誕生日(5月22日)は今でも、大切に覚えており、母の誕生日に重なる「5と2」の数字は最も重要な数字となってしまった。その5という数字が母の日と高井先生に重なっている偶然に、たまたまの偶然かそれとも、あの世にいる母が私のために導いてくれた縁・出会いなのか、と考えたことがある。でも実際は、99・99%は偶然であろうが、私は、幼くして別れた母が私のために導いてくれた縁だと信じている。そう信じることで「あの世から母が常に私を見守ってくれている」と自分に言い聞かせられるからだ。人生は、すべて“移ろいでいく”ことからして、人間が死ぬという物質的な死は一時的な悲しみをもたらすが、心の中に生き続ける精神的絆は、自分を見つめ直す機会を与えてくれ、慰め、癒し、新たな決意、希望をもたらしてくれる。そういう見地から、すでに母親が他界された方も、あの世にいる母に『私を産んでくれてありがとう』の、感謝の気持を捧げてほしい…今日の自分があるのは、母がいたからであることを尊く刻むためにも。

 

 

このブログにおけるトレードマークは花の写真だが、5月に限っては、何がなんでも母の日の花である「カーネーション」である。

 

 

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