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2014年10月11日(土)
東京都目黒区中目黒公園にてカモミールを撮影
花言葉 「逆境で生まれる力」

 

 


①判断力・決断力

 

弁護士が決断をする際に重要となるのは、予断と偏見があってはならないということである。予断と偏見があるということは、自分の視点、視座、そして価値観がいびつだということである。これらがいびつだと、営業をはじめとして全てのことに悪影響を及ぼすので、弁護士は務まらないのである。

法の適用が杓子定規であったり、硬直的であったり、固定観念にとらわれたりしてはおよそ有害無益である。多面的でしかも複雑な諸要素を巧みに看取し、法を包摂した人間行動の指針を見出すためには、極めて微妙にして細心、しかし柔軟性もある大胆な決断が要求されるのである。

弁護士の与える助言等は法律家としての大局観によるものであるため、必ずしも依頼者の意向と合致する訳ではないが、法律にもとづいて大局的な判断をすることこそ弁護士の役割である。この弁護士としての大局観というものは、弁護士一人ひとり、裁判や相談時に培われ打ち立てられていくものである。「これは、勝ち筋であろうか?負け筋であろうか?」と大局的に判断することに始まるのである。他にも、色々な手続きの中で培われる大局観がある。要するに、些細なことにこだわらず大きな視点から全体を見てどちらの言い分が正しいかを判断するということである。

私の弁護士としての大局観を培ったのは、人を見極めようと努めた経験であろう。相手が嘘つきであるかどうか、暴力的な言動に出ていないか、おおらかな所があるか、あまりにも細か過ぎて、そして牽強付会でないか、さらには、金銭的にやましいところがないかどうかといったことを見極めようとしたのである。また、最終的に裁判官という存在を意識することも重要だろう。

その他にも大局観を養うために必要なことは、当方の弱点は何かを見極めることである。弁護士として必要なのは、弱点を見極めた上でそれを補強することである。そして相手の弱点を覚知して常に意識し、それを当方の力点とすることである。

将棋棋士の羽生善治氏は、将棋を指す上で必要な要素は、まず直観と読みで、3番目の要素として大局観があると述べている。しかし、私にとっては、まず大局観があって、その後に直観があって、読みがあるというような感じである。しかし、順番はともかくとして、大局観は生来生まれ持った先天的なものが大きいであろう。もちろん後天的に会得する人もいるだろうが、ごく少数だろうと思う。

弁護士は勇気を要求される。助言を決断する勇気である。それはいかなる助言であっても万全ではなく、絶えず問題点、欠点をはらんでいるからである。そこで勇気に加えて気配りが必要となる。

そして、クライアントの意向と合致しない(クライアントに不利な)ことを発言することは勇気がいるが、それが一旦クライアントの反感を招くにしろ、クライアントに迎合的な発言ばかりしていては法律家として役に立たない。クライアントの意向に合わない発言をしても、最終的にクライアントに納得してもらえるようにするのが優れた弁護士である。

 


②記憶力

 

弁護士に必要な能力の一つに、記憶力がある。特に事実関係について、事案の当事者がふと漏らした関係ないと思われる一言でも、後に事案の解決に大きくかかわることがある。だからといって、弁護士であるものが全員記憶力に優れているという保証はない。記憶力というのは元来個人差があるものだし、年齢によっても、差が出るものである。また、どんなに記憶力のある人でも、あまりに古いことだと記憶を失うことがある。

そこで、私は思いついたことをすぐメモするようにしている。メモをすれば、覚え続けることはできなくても、メモを見て思い出すことができるのである。このように、弁護士には記憶力が求められる。もし、記憶力が足りないのであれば、メモ等のツールを駆使して補わなければ、弁護士は務まらない。

そして、記憶を失った場合でも、実は諦めてはならない。考え続けているとふっと思い出すこともあるし、何かのことがきっかけで連想的に当時のことを思い出すこともあるからだ。

 

 


③石にも目がある・閃き

 

弁護士活動の基本は、勝つべき事件については一日も早く勝つ体制に持ち込むことであり、私はそれを目指して「石にも目がある」という教訓を実践してきた。

私は、弁護士登録をした1963(昭和38)年4月、「孫田・高梨法律事務所」に入所し、孫田秀春先生に師事した。孫田先生から教えていただいたことは数多くあるが、そのうちの一つに、この「石にも目がある」という教えがあった。硬い石でも弱い点、筋目を突けば割れる、という剣聖塚原ト伝が剣術の極意を悟ったエピソードであり、これは自分の手に余る大きな仕事もどこかに必ず「目」(弱点・筋目)があり、そこを狙い突破口を開けばよいという意味である。見えるものだけに拘泥せず、弁護士活動も「目」を発見して核心を捉える能力、瞬時に「目」を見出す能力が必要なのである。

「目」を見出すことは、「閃き」と言いかえることができるだろう。同じ問題をひたすら考え続けていると、何かの瞬間に思いつくことがある。これが「閃き」であるが、それは素人には感じることができないものであり、着眼点を明示するということである。閃きのない弁護士は、お客様から「わかりきったことしか言わない」「相談した意味がなかった」と言われてしまうだろう。

 

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