左上から時計回りに([ ]内は花言葉)
ボケの花[早熟]、コエビソウ[真の友情]
(2015年1月11日<日>7:30 東京都目黒区中目黒公園)
ニワナズナ[美しさに優る値打ち]、マーガレット[秘密の恋]
(2015年1月11日<日>8:00 渋谷区東1丁目)
※「労働新聞」2011年6月27日 第2830号「髙井伸夫弁護士の<人事労務の散歩道>」より転載
自己研鑚と組織の維持
「(日本の相次ぐ首相交代をさして)このような指導力では、震災や原子力発電所の事故など危機に対応することは不可能だ」「小国でも強い指導力があれば国は強くなる。逆に国が大きくても政治が弱ければ国は衰退する。その典型が日本だ」これは、中国の清華大学現代国際関係研究院・閻学通院長が、6月2日に北京市内で行われた講演で述べた言葉である(2011年6月3日付日本経済新聞)。
私は、この閻院長の指摘にひとことも反論できない。そして、「一国の政治は国民を映し出す鏡にすぎない」(スマイルズ『自助論』)というように、政治のレベルは国民のレベルそのものであるから、国民を埒外として政治家だけを批判することは、潔しとしない。
既に政界を引退された某有力元国会議員の秘書の方が、「中選挙区制になってから、国会議員間の競争がなくなり議員が勉強しなくなったように感じる」旨述べていたが、選挙制度の運用面はともかく、日本の政界も社会全体も、あるべき競争や切磋琢磨のなかから、ボスとなるべき人材が選りすぐられ登り詰めていく試練のプロセス・修羅場体験が忌避されていることは、深刻な事態として受け止めなければならない。さらに、海外留学・海外赴任に極めて消極的になった日本の風潮は、多様な価値観のなかで厳しい競争を勝ち抜く強靱さを、日本人から失わしめている。これからは、どの分野の仕事であれ、海外経験が一層重要になることは言うまでもない。
さて、ビジネスの世界で優秀な働きをされている方々に、良きボスの条件とは何か、ボスとしてどのようなことに心掛けてこられたかとお尋ねしたところ、「自分を磨き続ける」「自ら研鑽・勉強を怠らない」「博覧強記を目指す」など「研鑽」「勉強」にまつわる回答が目立っていたのは、予想していたとはいえ重要な点である。リーダーシップを発揮し活躍している人は、決して自分の地位に安住することなく切磋琢磨を好み、よく勉強している。
また、「人間としての徳」「部下の成長を願う」「部下の人間性の尊重」「部下の話をよく聞く」など、部下への配慮の重要性に関する回答も多かった。良きボスは、実力主義の厳しさを熟知し、常に研鑽を積み、部下には人間的な温かさを示して信頼関係を醸成し、組織としての機能を心掛けているのである。
かつての終身雇用を旨とした時代とは異なり、実力主義・成果主義になればなるほど、組織の一体感は阻害される。個として能力の高い社員を「ソバ粉社員」、調整活動だけに携わる社員を「つなぎ社員」と呼ぶなら、実力主義のもとではソバ粉社員が評価されるが、ソバ粉社員が多くなればなるほど、一方で組織にきしみが生じる。自らの力を過信して、同僚や同志や組織を無視する悪しき個人主義の蔓延が、その典型例である。
組織のきしみを克服するには、上に立つ者は、組織性を維持することに敢えて腐心しなければならない。それには、部下それぞれの専門的知識の統合されるべき方向性を示すリーダーシップと、部下の専門的知識と知恵を連携させるマネジメント力が強く要求されることになる。自己研鑽は、自分自身の能力や資質だけに向けられるべきものでなく、組織との調和を強く意識してなされなければならないのである。
以上