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2015年6月11日(木)18:34 東京都文京区・ホテル椿山荘にて撮影
カランコエ・ブロスフェルディアナ
花言葉:「幸福を告げる、貴女を守る」

 

 

 

6月12日(金)より、『Lawyer’s MAGAZINE(ロイヤーズマガジン)』2011年7月号に掲載された私のインタビュー記事<巻頭特集「Human History 弁護士の肖像」>を転載しています。

このインタビュー記事のなかで、私は、これまでの弁護士人生を振り返り、二人の恩師、新人時代からの血沸き肉躍る労使紛争を経て学び取った信条、現代リーダーシップ論、そして、若手法曹への助言などの一端について述べております。

この記事をお読みいただければ、各位の中には、同時代人として生きられた当時の喜びや悩みを感慨深く思い出される方、あるいは、これから待ち受ける極めて困難な時代への心構えとして活かしていただける方がいらっしゃるのではないかと考えています。6月12日(金)分6月19日(金)分よりお読みいただければと思います。

 

 

 

書き、伝えることで生きることの意味を問い続ける

 

高井氏を語るにあたり、その意欲的な執筆活動を忘れてはならない。これまで出版された著書(※15)は40冊、新聞や雑誌の連載はこれまでの総数が50本に及ぶ。そもそも物を書き始めたのは、勤務弁護士だったころ(※16)。40代から本格的に取り組み始め、50代以降その勢いが加速、74歳となった現在も執筆意欲と筆力は衰えない。労使関係が会社運営の肝であった時代から多くの経営者と接してきた高井氏ならでは、その経験から独特の経営者哲学を生み出してきた。「いまや高井先生は、法律家というより、経営学者のようだ」と評する弁護士仲間もいるほどだ。


※15 専門書や実務書の、単著・共著・監修を含め40冊。連載は、エッセイも含めて通算50本。単発の論稿は82年以降に限っても53本(2011年7月現在)
※16 『労働経済判例速報』に「団体交渉覚書」という連載を開始。「会社側弁護士としての立場から、多くの団体交渉に関わった。当時、労働紛争の解決のほとんどは団体交渉ないし労使の話し合いによってなされたのが実情。しかしそうした状況にもかかわらず団体交渉・労使間の話し合いそのものについて十分な検討はなされていないと感じていた。それによって労使間の紛争が長期化し、守勢に立ちがちな経営者側は無用な譲歩を強いられるということも多くみられた。私は、交渉技術と労働法、具体的には不当労働行為との関連を明確にしないまま経営側が現実の団体交渉に臨んでいることに一つ原因があると考え、”交渉担当者の法律知識習得の一助になれば”と執筆を始めた」(高井氏)

 

高井氏は、”この1年ほどでまとめあげたいテーマ”として、「現代リーダーシップ論(※17)」を掲げる。

※17 2011年5月号より「月刊公論」(財界通信社)に「リーダーの条件」として連載が開始されている。他に「労働新聞」連載「人事労務 散歩道」(2010年4月~6月「リーダーシップ」・各全3回)、および2009年に連載されていた同紙「四時評論」に詳しい。

 

「今の日本には”絶対的なリーダー”があまりに少ない。ゆえに、それを追究し、論じてみたいと思っている。到達点はまだ見えていませんが、現段階で言えるのは「リーダーシップがある人とは、合意の形成をうまく行える人である」ということ。そして合意の形成の幅を広げている人こそが、真のリーダーであろうと考えます。『合意の形成ができる』とは、『大義名分をきちんと作れる』ということ。これからは、”自分一人の信念で周囲をひっぱっていく"というリーダーの時代ではありません。例えば今の日本を見れば、優れたリーダーには必ず、”股肱(ここう)の臣、頼れる参謀”が付いているもの。もはや”孤高の人”では、リーダーにはなり得ないのです」

 

「書きたいし、伝えたい。弁護士として得てきた知見や考えを広く世の中に広めたい」から、執筆を続ける。特別な戦略や目的を持って臨むわけではなく、「”直感力”で書き進めるだけだ」と高井氏は言う。

 

「人が生きるということ、そして仕事というものは、『いかに思い、感じ、考えるか』に尽きる。弁護士の仕事では、そうした経験を積み重ねたうえでの感じ方、すなわち直感力が特に重要です。私は弁護士となってからずっと、相談案件・事件そして社会の諸事象を”一瞥(べつ)して直感する力”を涵養(かんよう)してきたといえるのかもしれません」

 

高井氏は、約半世紀に及ぶ弁護士人生を、次のように振り返る。

 

「20代はがむしゃらに勉強する。30代は方向性を見極める。40代は深みをつける……と、自身がその通りにできたか否かは別として、それを意識してきました。たくさんの本を読み、丁寧に資料を点検することを継続し、わからないことはすぐにその分野の詳しい方へご教授をお願いして、理解を深める努力もしてきました。常に学ぶ心を忘れず、『無用の用』を信条として、専門分野外のことも積極的に習得してきたのです。そして当然のことながら、これからは特に、若い人の成長を促すことが自分の務めであると思います」

 

氏が実践してきたこれらの事柄は、若手法曹人にとって示唆に富む。「これからを生きるためのヒント」がいくつも提示されているからだ。

 

「私がしてきたことを踏まえ、これからの弁護士に必要なことを挙げていけばキリがありませんが……。一つめは『無用の用』ともいうべき心理学の勉強でしょう。法律知識だけでなく心理学によって、人の心をさまざまな角度から理解すること、理解しようとすることが弁護士には大切です。二つめは、物を書く習慣を身に付けること。物を書くというのは、つまり思索することです。これも”軽い弁護士”にならないために、大切。三つめは”三現主義”。現場、現物、現実を重視するということです。何か問題が発生したときは必ず現場に足を運び、現実を確認し、考え得る最善の施策を提示すること。コンピューターに頼り切って仕事を終えてはいけません。この三つを実践し、あなたの成功への道を、見つけてくださることを願います」

 

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