2015年10月2日のアーカイブ

 

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2015年8月22日(日)7:07 千代田区丸の内1にてルリマツリを撮影
花言葉:「ひそかな情熱」

 

 

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2015年9月26日(土)、折々の花を撮影することを目的の一端として軽井沢を訪れました。
軽井沢はすっかり秋模様で、上の写真のシュウメイギクを始め
コスモスやホトトギスなど秋の花が咲き乱れていました。
軽井沢の涼しい空気と草花などの自然に触れることで、
季節の移り変わりを肌で感じることができ、大変心地好い1日となりました。

 

 

7月24日(金)から、2011年5月~2012年4月にかけて、計12回、『月刊公論』(財界通信社)にて私が連載いたしました「高井伸夫のリーダーの条件」を転載しています。 

私の半世紀にわたる経営側の人事・労務問題の専門弁護士としての経験もふまえ、リーダーのあり方について述べた連載です。 

これからは、自分一人の信念で周囲をひっぱっていくというリーダーの時代ではありません。優れたリーダーには必ず、”股肱(ここう)の臣、頼れる参謀”が付いているものです。もはや”孤高の人”では、リーダーにはなり得ないのです。 

ブログ読者の皆さまに、現代におけるリーダーシップ論を考えていただく一助となれば幸いです。

 

『気』がある人こそリーダーになれる
経営の推進力は「気」の発する迫力が生み出す
(『月刊公論』2011年9月号より転載) 


私たちは、宇宙では吹けば飛ぶような儚(はかな)い存在です。誕生して46億年になる宇宙は、この先なお膨張し続け50億年後には雲散霧消するといいます。宇宙がたどる「誕生」「成長」「成熟」「枯れる」「たそがれ」「終焉」から、そこに生きる生命体である私たちも、逃れることはできません。だからこそ、生ある限り精一杯エネルギーを使って「気」を発し、社会に貢献しなければならないのです。2人で「あうんの呼吸」で協調作業をしているときには脳内活動が一致しているという記事がありましたが(2011年7月20日付日経新聞)、これも互いに気を合わせた結果でしょう。目に見えないものの重要性をリーダーは直感すべきです。

 

「気の時代」

「気」という言葉を聞いて、ピンとくる人、何も感じない人、頭から拒絶反応を示す人、さまざまだと思います。私は、これまでの50年間の弁護士としての仕事の体験や多種多様な方々とのお付き合いの経験から、人生にとっても、そして仕事・経営にとっても、「気」への共感と理解が極めて重要であると思っています。心のありようを重視すべきである「心の経営」の次には、「気の経営」が求められるのです。経営者には、「気」の存在自体を疑う人も多いようですが、「やる気」「人気」「活気」の3要素が企業経営の血液であるといえば、実感をもってわかっていただけるはずです。

第1に「やる気」とは、人にいわれなくても自分で仕事を作る積極的な姿勢をいいます。あなたの会社では、10人中何人が、やる気のある人でしょうか。1人なら普通、2人ならまあまあ、3人なら優良企業です。この3割を確保するために、常にチェックを怠らないことが必要です。やる気を刺激するには、朝礼など全員が揃うところでほめる・顕彰する等のちょっとした工夫が効果的です。

第2に「人気」とは具体的には、会社に名物商品があるか、名物社員がいるかということです。小売業であれば、本部の推薦ではなくあくまでも現場の意見として、ジャンル別に売れ筋・名物商品をリストアップさせ、なければまず1個つくる。このリストを絶えず更新しながら当初の3倍にまでなったら、立派な名物商品のできあがりです。名物社員については、清掃が上手な人、万引きの摘発のうまい人など、どのような分野でもよいから余人をもって代え難い人物をリストアップします。そして、それらの人物について、第三者の意見を聞いてみます。こうした経緯のなかで、皆が名物商品・名物社員を意識し始めたら、組織は活性化の端緒をつかんだといえます。

第3に「活気」は、組織のリーダーがプラス思考であることから生まれるものです。リーダーは、できないことや言い訳を並べるのではなく、自分たちができることを課題にして、組織全体に高揚感を与えて、鼓舞する責任を負っています。

このように、「気」を忘れた経営はあり得ません。社長自身が「気」を持っていなければなりませんし、それは一種のオーラやカリスマ性にもつながっていきます。エネルギーを伝播させる力のある人、すなわち迫力のある人が社長なり管理職にならなければ、組織は活力を得られません。経営において物事を推し進める原動力は、「気」から発せられる迫力しかないのです。

 

「信用・人脈・情熱」

人間は社会的存在であって(アリストテレス)、独りでは生きていくことはできません。別の見方をすれば、人間は、生来的に社会のなかで生きることが運命づけられているといってもよいでしょう。

そうなると、私たちにとっては、気が合う同僚や志を同じくする仲間の存在が、絶対に必要になります。そして、志をより具体的に表現すれば、「同じ意図・目的」であり、これが紐帯となって人の集合体は「組織」となるのです。このような人と人との結びつきを生じさせる要素を因数分解すると、どうなるでしょうか。私は、「信用」と「人脈」と「情熱」であると思います。経営強化に必要な3要素は何かと問われれば、私は躊躇なくこれらを挙げます。

「信用」「人脈」「情熱」は、個人が発展的に活動するための要素であると同時に、個々の構成員、組織全体の起爆剤でもあります。対外的にも組織内でも信用されるように、そして、良い人脈を形成できるように、さらには情熱を発揮できるようにということを目標に掲げて、互いに切磋琢磨することが重要なのです。

第1に「信用」とは、「人の言を用いる」と書くように、言がなければ信は生まれません。言葉には「気」の力がこもっていますから、重要なのは、プラス思考を生み出す前向きで未来志向の言であるべきことです。そして、言を実現することによって信頼を生み、その言を成して実らせる=誠実に至ることが大切です。

第2に「人脈」は、淡くとも信頼関係に基づくものです。ここで留意しておきたいことは「人脈定年」です。同年代の人との限られた交流であると、歳を重ねるにしたがい友人・知人が少なくなってきます。若い人と付き合うことも必要ですが、単なる友達づきあいでは年長者はうるさがられるだけです。年長者は、若い人から尊敬と人望をもたれなければ人脈として形成されません。

第3に「情熱」は、とにかく人一倍勉強することです。新しいものをつかむために、社長自ら身体をはって朝から夜遅くまで働くだけでなく、新しい知識・トレンドを吸収するようにし、かつ、社長自身の知恵を発揮できる場面を作ることです。

ところで、私が強調している言葉のひとつに、「事業戦略は、人事・採用戦略に宿る」というものがあります。これは、人事が経営の基本方針を踏まえていなければならないことを端的に示したものですが、いまを「人事の時代」と呼ぶなら、「信用」「人脈」「情熱」の3要素は、人事の時代にあって、人物の優秀さを判断する基準として考慮すべきものでもあります。要するに、これからの企業においては、「信用」「人脈」「情熱」という要素においてすら、実力主義を如何なく発揮することが求められているのです。

 

「実力主義と組織性」

年功序列・終身雇用制を旨としてきた日本企業において、成果主義が採用されはじめたのは1990年代後半のことです。組織が実力主義・成果主義になればなるほど、組織の一体感はうすれ、組織性は失われます。

私は、こうした事態を、わかりやすく「そば粉」と「つなぎ」の例に置き換えてお話ししています。個として能力の高い社員を「そば粉社員」、調整活動だけに携わる社員を「つなぎ社員」と呼ぶなら、実力主義のもとでは、そば粉社員が評価されますが、そば粉社員が多くなればなるほど、そして、つなぎ社員が少なくなればなるほど、組織にはきしみが生じてしまうのです。自らの力を過信して、同僚や上司や組織を無視する悪しき個人主義の跋扈が、その典型です。こうした組織のきしみを克服するには、リーダーは、組織性を維持することに敢えて腐心しなければならないのです。

このとき第一に考えなければならないのは、組織の本質は一丸になること、すなわち「助け合い」「互助」にあるということです。そして互助を実行させるためには、誰のもとで仕事をするかを明確に定め(互助の体系化・制度化)、ルール違反には懲罰があることを示すことが重要です(互助の規範化)。

互助をささえる連帯心を刺激するための実践策は、経営者自らが社員と「目を合わせる」(アイコンタクト)ことから始まります。そして、挨拶の励行です。「おはようございます」「ご苦労様です」「お疲れさま」「行ってらっしゃい」「ただいま」など、日常当然なされるべき挨拶が、コンピューター万能の社会ではおろそかになっています。挨拶がなければ人間的な結合や信頼関係は生まれません(因みに、「挨」と「拶」の漢字は、どちらも、くっつく、ぎりぎりに近づくという意味です)。

なお、実力主義の時代にも組織性を維持するための方策として、実力主義のどこに限界値を定めるかということも、経営者としては重要なことです。実力主義だけを貫徹すれば、企業の組織性は破壊されてしまいます。そこで、経営者としては、年功序列的な要素も一定の範囲で容認しなければならないのです。ただ、その按配は、ひとえに経営者の手腕・力量にかかっています。

 

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