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左上から時計回りに 
2015年8月16日(日)14:49 諏訪坂にて百日紅を撮影 花言葉:「雄弁、愛嬌」
2015年8月23日(日) 千代田区丸の内1にてカリオプテリスを撮影 花言葉:「悩み」
2015年9月26日(土) 軽井沢町長倉727にてコスモスを撮影 花言葉:「優美」 

 

 

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2015年9月28日(月)8:00 中目黒公園にてセンニチコウを撮影しました。
鮮やかに咲き誇る夏の花に比べると、色のせいか、
秋の花は寂しげなものが多いように思います。
淡い日差しの下で見る花々は、秋の情緒を感じさせてくれます。 

 

 

7月24日(金)から、2011年5月~2012年4月にかけて、計12回、『月刊公論』(財界通信社)にて私が連載いたしました「高井伸夫のリーダーの条件」を転載しています。 

私の半世紀にわたる経営側の人事・労務問題の専門弁護士としての経験もふまえ、リーダーのあり方について述べた連載です。 

これからは、自分一人の信念で周囲をひっぱっていくというリーダーの時代ではありません。優れたリーダーには必ず、”股肱(ここう)の臣、頼れる参謀”が付いているものです。もはや”孤高の人”では、リーダーにはなり得ないのです。 

ブログ読者の皆さまに、現代におけるリーダーシップ論を考えていただく一助となれば幸いです。

 

 

求められるスピード、革新者たる能力
「すぐやる」を企業内で徹底
(『月刊公論』2011年10月号より転載) 

 

インターネットの普及・定着は、経営のスピードを急加速させ、世界を一挙に狭くしました。このなかで、リーダーは複雑な連立方程式をより俊敏に解くことが迫られるわけですから、独力ですべてをこなすことは不可能です。企業が生き抜くために、リーダーにはこれまで以上に人格が求められているといえるでしょう。

 

「迅速・スピード・時間」

千葉県松戸市役所に「すぐやる課」ができたのは、1969年(昭和44年)、今から42年前です。同課は、当時の松本清市長が唱えた「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」という精神のもと、立ち上げられたそうです(松戸市ホームページより)。このとき既にドラッグストア「マツモトキヨシ」を創業していた実業家としての松本氏の目には、行政のスピードの遅さは致命的欠陥であると映ったのでしょう。

いまの社会のスピードは、そのときとは比べようもなく加速しています。この42年間で空と陸の交通網が格段に充実したことはもちろんですが、なんといっても、ここ15年間ほどのITのめざましい進歩=インターネットの普及は、変化の速度をまったく質的に変化させました。

1990年代後半には、「アジル経営」(俊敏性が競争力の源泉であると考える経営)、「ドッグ・イヤー」(犬の1年は人間の7年に相当する)、「マウス・イヤー」(ネズミの1年は人間の18年に相当する)のように、経営の速度にまつわる言葉も登場しました。社会のスピードは、加速化の一途をたどっているのです。

ちょうどその頃から、日本経済は斜陽化し続けたままの状態です(いわゆる金融ビッグバンが始まったのも1996年のことで、金融自由化が進みました)。それは、勝てることが保障されない社会であって、いまは生き残るだけでなく、生き抜くことが必要な時代となっています。こうしたなかで、企業が生き残り、生き抜くためには、迅速性・スピードを旨とし、経営は時間の勝負であることを意識して行動しなければなりません。

競争に勝ち抜くには、他に先んじて、新商品・新サービスを提供し、消費者の利便性を高めることに注力することが必要です。企業間には、品質確保や低価格化をめぐる競争もありますが、実は、社会の変化に的確に対応する開発スピード、そして、新たなビジネスモデルの策定こそが、競争の中核といえるでしょう。変化に対応する者だけが生き残るという格言を実行するには、スピード勝負しかないといっても過言ではないと思います。

私たち弁護士の世界でも、「あとでやる」という姿勢では、生き残れない時代になっています。何事にもスピードが尊ばれる社会的状況があることに加えて、弁護士数が増えているのですから、依頼者は悠長に待ってくれません。仕事の遅い弁護士を切り捨て、他の弁護士を選ぶことになります。午前中に依頼された相談に、午後に対応すればよいという姿勢では話にならないのです。「いますぐやる」という姿勢が、依頼者をいらだたせないすなわち安堵させるために必要であり、それは弁護士としての信用に大きく関わってきます。信用の有無は、弁護士に限らず、すべての職業にとって生命線なのです。

 

「社長の資質・能力」

製品の品質を競う時代から、人材の質・能力を競う時代に変わってきたということを、私は12~13年前から述べています。これは、ちょうど前述のITの急激な進展に代表されるような社会のソフト化に伴い、頭脳の能力格差が、人材の決定的な格差として強く意識され始めた時期でもあります。質の良い人材を集め確保し、彼らに気持ちよく働いてもらえる組織を構築することが社長の役割であると、それまで以上に強く社会的に認識され始めたのです。

企業のスピードの実現は、優秀な社員のやる気、チャレンジ精神にかかっていることは確かですが、実は、最も問われるべきは社長自身の資質・能力であることを、敢えてここで強調したいと思います。社長は、単にやる気や積極性があるだけでは不十分です。社長は、物事を迅速に、しかも的確に処理する能力を持ち、さらには、新商品・新サービスの開発にひたむきに取り組み、新しい世界を打ち立てる構想力を持ち、そして何よりも人間的魅力を有していることが必要なのです。社長の人間性自体が、企業活動において問われている時代であり、良心をもって実行することが全ての経営者に必要です。極めて難しいことですが、意識的に良心を磨きあげ、社会の変化を鋭く察知して対処することこそが、社長に必要な心構えといえるのです。

現在は、より高品質の製品・サービスを、消費者により迅速に提供することが企業に求められていますから、全社員が、社長のリーダーシップのもと、全力をあげて一心不乱に、全身全霊で取り組む姿勢が必要な時代になってきています。品質が良いのは当然であり、それをいかに速く提供できるかということが主たるテーマになっているのです。

社長の資質・能力として何が一番に問われるかといえば、やはり「チャレンジ精神」でしょう。それは、勇気をもって経営にあたるということです。たとえば、新しい製品・サービスの開発を実行に移すには不安もあるでしょう。しかし、その不安に打ち勝たなければならないのです。よく検討し、分析し、勇気をもって実行に移すことが必要です。それには先見力が必要ですし、また、実行力が必要であることはいうまでもありません。そして、先見力は洞察力であり、実行力は、困難という壁を乗りこえて新しい事態を招く精神力ということになるでしょう。

 

「ヒト・モノ・カネ・信用・情報・組織」=企業の6大要素

社長の資質・能力として、勇気と先見力と実行力を挙げましたが、これらはいったいどの領域で発揮されるべきものでしょうか。かつて、企業の三大要素は「ヒト・モノ・カネ」といわれていましたが、いまではこれらに「信用」「情報」そして「組織」を加える必要がでてきています。社長の目配りは、「ヒト・モノ・カネ・信用・情報・組織」の全般について、なされなければならないのです。これらが革新的であるように、絶えざるイノベーションが行われなければ企業は生き残れない時代なのです。

企業の6大要素のうち、情報・組織が経営資源として重要である所以を少し述べましょう(ヒト・モノ・カネ・信用は一般によく言われますので、語るまでもありません)。

まず、情報を得ることは、先見力なり実行力を発揮する端緒です。情報を得てこそ、ヒトもモノもカネも信用も活かすことができます。情報がなければ人間は先見力を発揮できないし、更には実行力も機能しません。情報とは、要は人より先に物事を知るということで、アンテナを張り続けているということです。それは当該事業の専門情報だけではなく、無用の用として、さまざまな社会的情報に接する機会が必要です。異業種交流という世界は随分以前からありますが、これからの複雑な社会では、情報を得るためのコミュニティ作りが必要になります。共同開発・共同研究、更には共創(共に創る)という世界は、情報があって、初めて可能になります。いまは自分ひとりの力だけでは生きることのできない時代になっているがゆえに、一層情報が必要なのです。

次に、組織については、企業内外のいずれの場合でも、これからはすべてを独力で成し遂げようとせず、他者・他社との協力関係を重視する必要が出てきます。これを私は、新しい共同体思想・コミュニティ思想と位置づけています。スピードが重視され、課題が複雑化した社会にあっては、企業間の連携・提携・事業統合さらにはM&A等を明確に念頭に置いている企業ほど、生き抜く力が強いということになると思います。現状を見れば、こうした絆を築くためには、結局は経営者同士の信頼が極めて肝要であるという結論に達します。つまり社長は、企業の信用と信頼の根源となるべく、人格を磨き上げ、組織の革新者として機能しなければならないということなのです。

 

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