2016年1月8日のアーカイブ

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2015年12月30日(水)東京大学御殿下記念館にて水仙を撮影
花言葉:「うぬぼれ、自己愛」

 

 

2004年9月から2005年9月にかけて、上海のフリーペーパー「コンシェルジュ上海」に小生が連載として書いたものです。10年の年月が経ちましたが、原文通り転載しました。当時としては斬新な内容であったかと思いますが、多くが今でも通用する要諦であると考えております。

例をあげれば、日本企業は中国企業との取引において、全部疑うか、完全に信じてしまうかと二者択一に偏ることが多く、あいかわらず、「中国人は信用できない」とぼやく企業があとを絶ちません。過度に疑うことなく、また、過度に信じることなく、冷静な対応が健全な取引が継続する鍵となることは今も昔も同様です。

また、中国では個人主義も強まることすらあれど、集団主義的な要素は殆ど見受けられません。10年前と比べ、中国の台頭が顕著になった今、巨大市場を有する中国と、冷静かつフェアに付き合っていくために本稿が何らかの参考になれば幸いです。

 

 

『日本人と中国人 第2回』

 

■ 昨年9月号では、日本人と中国人の民族性の違いによる理解不足が原因で、多くのトラブルが起きていると示唆した弁護士・高井伸夫氏。今回は、ともすると眉をひそめたくなるような中国人の「変わり身の早さ」が、現代のソフト化社会には、日本人よりも適応していると言及する。日中関係が緊迫している昨今だからこそ一読し、相互理解を深めたい。

 

「中国人は目前の利益を優先する判断をするのに対し、日本人は長期的なビジョンのもとに判断する」とよく言われるが、実はそのことは、中国人の強みであり日本人の弱みとなりつつある。現代は、農業社会という第一次産業、工業社会という第二次産業、商業・サービス社会という第三次産業を経て、ソフト化・頭脳労働の社会になった。世俗的にいえばIT産業の時代である。

 

ソフト化社会に適応する中国人

農業社会は足腰の時代であり、工業社会は原始工業社会が手工業という言葉で表現されているがごとく、手が武器であった。そして、商業・サービス社会は、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」という挨拶に始まり、契約・取引ということを中心にした物の交換社会である。そこでは口による意思疎通が武器となる。そして、第四次産業であるソフト化産業は頭脳労働が武器となる時代である。こういう時代になればなるほど、実は「変わり身の早さ」ということが極めて大切になる。さらに直接的に言えば「飛び乗り・飛び降りの精神」がなければならない。孫子の言葉の中にも「兵形象水(兵の形は水にかたどる)」という格言があるが、これは、「水には一定の形がないように、戦い方も不変の体制はあり得ない。敵の情況に合わせて 臨機応変の対策を執ってこそ勝利を握ることができる」という意味である。ソフト化社会においてこそ、この臨機応変の変わり身の早さが最大の武器となるのである。

 

この点、中国人は目前の利益を極めて強く意識し価値判断の基準とする。まさにソフト化社会に相応しい変わり身の早さである。すなわち、「考えること、思うこと、感じること」が頭脳労働であるが、新しいことを考え、新しいことを思い、新しいことを感ずる、そしてそれを商品化する。このことを「新しいビジネスモデルの構築」と言うが、新しいことを考え、思い、感じることは、スピードと変化を絶えず行わなければならないということである。スローな社会では新しさは生まれないし、変化することに躊躇すれば、新しさを求めることに抵抗することになる。ここに中国人の特性は、ソフト化社会において花開くことになるだろう。

 

要するに、日本の社会は、農業社会、工業社会という物作りの世界において優秀さを発揮してきた。そこでは、年に一毛作という一年を周期とした思考が許されたし、また工場で商品を生産するということは、工場・敷地を手当てするとか設備を整えるということについても、また商品の変更についても長期間のレンジで考えていかなければならなかった。つまり、長期的なビジョンに立って物を作っていくということが、実は物作りにおける原点なのである。ところが、さきほど述べたようにソフト化社会においては、当然のことながら変化、新しさを求める。それはスピードを持っているということである。そこでは、中国人の特性が勝利することになろう。したがって、日本企業がその研究・開発拠点を中国国内に設置して、中国人による研究・開発を進めるのも極めて自然な流れであろう。日本の産業が喘いでいるのは、実はソフト化社会に乗り遅れている日本人ということになるのである。日本が物作りに注力したいという思いはITに不向きな民族性から言って相当なことではあるが、それは経済の上部構造ではなく下部構造を占めるにすぎないということも自覚しなければならない。

 

今春、プロ野球球団に名乗りを上げたのは、農業系企業でもなければ製造系企業でもなく、IT産業に所属しているソフトバンクと楽天であった。このことがいかにITを勝ち抜くことが大切かを示しているのであるが、日本人と中国人との特性の違い、すなわち冒頭に述べた、「中国人は目前の利益を優先する判断をするのに対し、日本人は長期的なビジョンの下に判断する」ことから考えて、IT時代には日本は中国に遅れを取ることになるだろう。

 

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