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2016年4月9日(土)12:19 長野県松本市島内にて野沢菜を撮影
花言葉:「活発、快活」




第9回 勉強
(2015年9月28日より転載)

 

戦後の日本の教育の最大の欠陥は、教える立場にある教員に対して、教え方を専門的に教授していないことにあると思う。教え方を知らない教員は、児童・生徒・学生に学び方を教えることができないために、児童らは学び方・勉強の仕方を知らないまま長じてしまう。このように日本の社会全体が勉強の仕方を真に学んでいないことが、日本人の進歩を停滞させている根本原因ではないだろうか。

 

折しも、日本の高校生は米国・中国・韓国と比べて自己評価が著しく低いという調査結果が報道され、非常に気になった(国立青少年教育振興機構・8月28日発表)。高校生の生活の中心は学業であることを考えれば、勉強をやり抜いたという実感と自信が持てない者が多いことが、自己肯定感が低い大きな要因であると思う。

 

私の経験でいうと、豊かな人生を送り、仕事でも賞味期限切れにならず第一線で活躍し続けている人は、とにかく勉強家である。もし勉強法を身に付けていなければ、学生も社会人もどのように勉強してよいか分からず、成長は望めないだろう。

 

私が実践している勉強法は、まず自分でテーマを定め、そのテーマに関する事項を徹底的に調べ上げ、考え、疑問点をつぶし、重要なキーワードを収集することから始める。そのうえで、多くの資料をもとに自分自身の思考をめぐらせ、独創的な発想を構築するのである。つまり、大部の資料郡から自分の感性・理解・判断に照らして良いと思う要素をすくい取って真似てみて(真似ぶ=学ぶ)、最終的には、手垢の付いていない斬新な独自の思考と表現を確定するために、何度も推敲を重ねて文章化する。この過程でいつも感じるのは、勉強とは自分を磨き自己革新を図り続けることにほかならないということである。

 

弁護士の場合、依頼者の利益を実現するためには、相手方の弁護士を凌駕する勉強を必死でこなさなければならない。加えて近年では、裁判例のデータベースはおろか、大きな事件では人工知能の強力な情報処理能力が証拠の探索等にフルに活用されることも珍しくなくなっているから、勉強の質も常にブラッシュアップする必要がある。

 

勉強の本質は、自分で考え抜いて理解し、トレーニングを重ねて知識・知恵を身に付けることだが、勉強法も内容も時代とともに変容を遂げるのは当然である。あらゆる仕事について常在戦場であるためには、時代の変化に即した勉強を続けなければならない。IT等の新しい知識や最新の社会の動向が分からなければ、進んで若い世代に教えを乞う謙虚な姿勢も重要になる。まさに下問を恥じず(『論語』公治長篇)の理念の実践である。

 

「我以外皆我師也」(我以外、皆、我が師なり)とは、『宮本武蔵』などで知られる作家吉川英治(1892-1962)の造語であるというが、こうした謙虚な心がけが勉強には大変重要であると思う。

 

私は、多種多様なテーマに関する自分の考えを文章化して論稿や書籍にまとめて発表することが、多少なりとも社会貢献につながると信じて、これを勉強の大きな目標としていた。勉強は怠け心との戦いでもある。どの様な仕事に就いても、自分なりの確固たる目標を定めてキャリアを向上させるべく勉強し続けることが、自分自身を日々新たにし社会に貢献する結果をもたらすことを、読者の皆さんに改めて強調したい。

 

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