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2016年5月8日(日)8:20 千代田区永田町2にて紫陽花を撮影
花言葉:「移り気」

 

 

株式会社開倫塾
代表取締役社長 林 明夫

 

「雇用崩壊時代、労務も知らずに上司といえるか
―労務とは『上司と部下とのいい関係』を育む約束事―」


Q:高井伸夫先生の教えの一つに、「労務も知らずに上司といえるか」があるそうですね。

A:

(1)はい。高井先生が2009年にかんき出版刊の同名の御著書で予測なさった通り、大不況は2015年までどころか、2016年の現在も続いております。

 

(2)バブル崩壊後に始まった、一向に収まらないデフレが20年以上経った今も確実な終焉を迎えないため、超少子高齢化で増え続ける医療・介護・福祉の予算に充てるために必要不可欠な消費税の8% から10%への増税を再度見送る決定をせざるを得ない状況が続いています。

 

(3)この四半世紀に及ぶデフレに陥っているのは日本だけかと思いきや、今や世界中がデフレの状況に突入しつつあります。かつて、1873年から1896年までの約四半世紀、世界はデフレに陥りましたが、2015年から突入しつつあるデフレは四半世紀どころではなく、今世紀中ずっと続くのではないかと思われてなりません。

 

(4)デフレは需要不足であるにも関わらず生産過剰が原因で発生しますので、ものやサービスの価格はどんどん低下。売れ残りの在庫が山のように積み上げられる「売り手は地獄、買い手は天国」の時代になります。既存事業・既存店は対前年比売上減が毎年続きますので、「企業は原則倒産」という高井先生の教えが日本だけではなく、世界中でますます現実味を帯びてくると思われます。

 

Q:日本がバブル崩壊後に20年以上味わい、ようやく抜け出そうとしているデフレに、世界はこれから突入しようとしているのですか。これは大変なことですね。

A:

(1)はい。日本はバブル崩壊後、金融機関や巨大企業の整理統合が進み、四半世紀に及ぶ血の苦しみを経て、ようやく長い長いデフレから抜け出しつつありますが、確実とは言えず、いつ腰砕けになってもおかしくない状況にあります。

 

(2)世界は昨年2015年あたりからデフレに突入したのではないかと思われます。今般の世界的規模のデフレは四半世紀どころではなく、もしかしたら半世紀以上続くのではないかと思われます。

 

(3)このような世の中のしくみが根本から変わる時期にこそ、企業や非営利組織、政府や自治体を経営する上で最も大切なのが、変革期の人事労務といえます。

 

Q:それはどうしてですか。また、具体的にどうすればよいですか。

A:

(1)高井先生が教えてくださる通り、デフレの時代には「含み損社員」「リストラ」「派遣切り」「ワークシェアリング」「メンタルヘルス」など様々な課題が同時並行で多発するからです。「売り手に地獄、買い手に天国」のデフレの時代は「企業は原則倒産」で、昨日のように今日があり、今日のように明日があればよいと思う企業や事業所、NPOや自治体には明後日はないからです。

 

(2)イノベーション(刷新)と同時並行して、仕事のやり方や国外を含めた立地の変更は序の口で、廃業や撤退を含む事業の見直し、売却なども日常的に行わない限り、デフレは乗り切れません。

 

(3)現代はこれに加え、グローバル化が急速に進んでいますので、日本企業といえども多様な集団で活動する能力が求められます。日本への留学生の採用は当たり前、グローバル採用、グローバル人事労務なくして企業の存続はあり得ない時代はもうすぐそこの角までやってきています。

 

(4)とりわけ、人口爆発といわれるほど人口急増が予想されるアジア・アフリカのイスラム教徒の皆様と、どのように「いい関係」が築けるかが、企業や団体の命運を握ると確信します。

 

(5)人を用いる立場にいる人こそ、現代の日本はどのような時代なのか、現代の世界はどのような時代なのかという「時代認識」、とりわけ「現代についての時代認識」をしっかりと持ち、その中で人事労務のあるべき姿を考えなければ、働く人々と企業を守り抜くことはできません。

 

(6)その意味で、今年の8月に、日本政府が主催し、ケニアのナイロビで開かれるTICAD Ⅵ(ティカッド・シックス)、第6回アフリカ開発会議での議論には大いに注目すべきです。

 

Q:高井先生の言われる通り、現代はまさに「雇用崩壊時代」なのですね。

A:

(1)その通りです。私が法学部2年生の時に法思想史のサブゼミを担当してくださった慶應義塾大学法学部長の峯村光郎先生は、法哲学のみならず労働法の権威で、「労働法の目的は、国民経済における社会総労働力の保全および培養と労働基本権の保障である」と教えてくださいました。

 

(2)そうはいうものの、労働力の保全培養と労働基本権の保障だけでは済まされない、アジア・アフリカ諸国のイスラム理解をも含む「現代的課題」が山のように押し寄せてきているのが、デフレ時代・グローバル時代の経営といえます。

 

(3)経営トップや人事労務担当責任者だけではなく、「上司」とよばれる人は、「労務も知らずに上司といえるか」という高井先生の厳しい教えを自分の心の糧として学び続け、このデフレとグローバル化を、乗り切り、また、迎え撃たなければなりません。ご一緒に学び続けましょう。

 

2016年6月15日(水)

 

 

開倫塾のホームページ(www.kairin.co.jp)に林明夫のページがあります。

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