• 話題のテーマについて各界で活躍されている人と対談をする一問一答形式のブログの第2回です。
  • 今回は、会津大学 教授・工学博士趙強福先生にお話をお伺いいたしました。

 

■ ■ ■ ■ 時流を探る~高井伸夫の一問一答 (第2回)■ ■ ■ 
会津大学 教授・工学博士 
趙 強福 先生 
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


[会津大学 教授・工学博士 趙強福先生ご紹介・プロフィール]

 
趙強福先生は山東省济宁出身の中国人である。北京理工大学、日本の東北大学勤務を経て、1995年から創立間もない会津大学に迎えられたという。そして17年前に助教授から教授に任命された時に、会津大学が公立大学であることから、福島県庁に赴いて当時県知事であった佐藤栄佐久氏から辞令書をいただいたとのことであった。

中国人であるにも拘らず、流暢な日本語でお話しいただいた。開明的で学者肌であったが、市井の人と話のできるおおらかさもあった。

今回は、AIに関して趙強福先生に色々とお話を伺った。私どもはAIについてずぶの素人という立場であったが、平易な言葉で説明していただいた。質問したのは、主に株式会社新規開拓代表取締役社長朝倉千恵子様、同管理部古林央子様であり、小生はほとんど傍聴していた。佐藤栄佐久氏も終始立ち会ってくださり、英語でメモを取っておられた。当時、教育長をしていた遠藤教之氏も立ち会ってくださった。また、会津大学理事・事務局長宮村安治様も同席された。

1時間ほどお話をして、またお会いする日を約束して別れたのだが、小生は、AIに関する2年後の講演会に趙強福先生にご登壇いただくことを約束したのである。

 

[今回のインタビュアーは以下の通りです(順不同)]

  • 高井伸夫 
  • 株式会社新規開拓 代表取締役社長 朝倉千恵子 様
  • 同  管理部  古林 央子 様
  • 元福島県知事  佐藤栄佐久 様
  • 佐藤栄佐久様秘書(元福島県教育長) 遠藤 教之 様
  • 会津大学  理事・事務局長 宮村 安治 様

趙強福先生.JPG
会津大学にて撮影(2016年8月6日)

左から 会津大学理事・事務局長宮村安治様、株式会社新規開拓代表取締役社長朝倉千恵子様、佐藤栄佐久様秘書遠藤敎之様、元福島県知事佐藤栄佐久様、高井伸夫

 


 

 

趙先生

まずは、人工知能について少しご説明します。

知能と言えば、人間を基準にすることが多いのですが、人間は感情があるので、場合によってかならずしも知的ではありません。人工知能は感情に惑わされず、ルールに従って解決を導きだします。我々人間は感情が働くので、それが邪魔になってしまいます。感情に従って解を導き出すと、下手な解になってしまいます。

一方、スーパーコンピュータは私たち人間よりもはるかに速く解けますが、プログラムがないと解けません。問題を与えて、計画を立て、計画・ルールが正しければ解が導きだせます。我々人間から見ると、それは全く知能ではありません。ルールに従ってやっただけではないか、ということです。

しかし、最近のAIは、問題を与えると、白紙の状態からスタートして、自ら観測したデータを基にしてバーチャル空間で自ら学習ができます。学習した後、足りない知識はデータを吸収して補います。

知能は、問題を解決する能力です。問題を解決するということは、基本的に探索のです。探索がうまくいけば、うまく解がでます。人工知能は、探索のルールに従って行うと、効率よくできます。それが人工知能のいいところです。

全ての問題は、探索問題です。数学的に解決不可能という問題でも、なぜ不可能なのかを証明することが、探索問題に帰着できます。

探索の過程は、主に二つの動作を含みます。一つは、次に行くべき選択肢を求めること、もう一つは、選択肢を絞ってから探索を繰り返すことです。目標状態にたどり着くと、人間だったら、そこでストップしないでどんどん目標を更新していきますが、人工知能はそこで終わりです。

 

朝倉様

人工知能はゴールが明確で、それ以上のことはしないのですね。プログラムにない発想は人工知能はできないですか?

 

趙先生

これからの人工知能は、それができるようになります。プログラムを書かなくても、探索を繰り返せば、どんな問題でも解決できることは、理論上可能です。コンピュータはどんどん進化しています。そのうち、我々人間が一生かかって解くような問題も、コンピュータは一瞬で解けるようになるかもしれません。

 

朝倉様

医学の分野ではものすごく役に立つと思いますが、いかがでしょうか。

 

趙先生

NHKで「AIが命を救った」というニュースが放映されました。非常に珍しい白血病があって、人間はなかなか正しい診断ができませんでしたが、IBMのワトソンという人工知能が10分くらいかけて世界中の文献を調べて、正しく診断したというニュースです。

実は、そこには落とし穴があります。なぜかというと、どういう病気なのか?人工知能が診断したものは正しかったのか?それはわかりません。

人間の医師は様々な経験を積み重ねて、経験やその場の計測によって正しい判断ができますが、人工知能は世界中から調査して調べます。その中には信頼性の高い資料もあるし、信頼性の低い資料もある。美人の顔を混ぜて平均化すると、普通の顔になってしまうのと同じように、様々な情報の集まりは、必ずしも信頼できない。それに基づく判断は、間違ってしまう可能性が高い。また、最終的に誰が判断するのか、そこは法律的な判断、責任が発生します。

今回はたまたま正しく診断しましたが、様々な病気に対して全て人工知能へ依存しすぎると危険です。

 

朝倉様

誤診が減ると同時に、そこへ依存しすぎると危険ということですね。

 

趙先生

人工知能はあくまで参考に、ということです。例えば、ひらめくためのヒントの種としてはいいですね。それを最終結論として使うと危ないですね。

 

朝倉様

人工知能にかかわらず、なんでもそうですよね。自分の意志で判断したことと、だれかの意見に左右されて決めたことは結果的に人のせいにしたり、後悔したりしますからね。

 

古林様

これから人工知能が発達した時に、ひらめくためのヒントと思っていても頼ってしまう時が来るのでは?

 

趙先生

我々人間は弱い、同時に見られるものが限られていますから、たくさんの情報を与えられたときに判断しきれません。特に時間が限られて、すぐに判断しなければならない時につい人工知能に頼ってしまうでしょう。

 

これは私が最近の国際学会で発表した論文ですが、その中にブラックボックス的に使うのではなく、学習した後にルールに直して、問題に対してステップバイステップで結論を出す。スタートからゴールまで、ルールの形で出して、人間が後から確認する。特に医療的な分野やセキュリティ分野、高速道路の交通管理、電力管理など、全て計算機に任せる。そこを検証できる形で管理しないと、後で危ないことになるでしょう。

 

 

朝倉様

去年、一昨年くらいに映画で、肉体は亡くなっていくのですが、その人の思考は残り、次世代に継承されていく、という物語を見ました。

 

趙先生

今そのような研究が様々なところでされています。自分の体はなくなっても、思考は生き続け、自分の子孫と会話ができます。あたかも、亡くなったおじいちゃんが生きている、ただテレビ会話しているだけ。

 

朝倉様

それってすごいですよね。思考は生き続ける、肉体は滅びるけれどもその人の思想、思考は生き続ける。

 

趙先生

倫理的に、我々人間が守るべきものは何なのか、というところです。体を物として、生命の主として体を残すべきか、魂だけでいいのか。神様に作られた体を簡単に捨てていいのか、別の生物が我々人間と同じように生きていけるのか。

一昨年、アトランタで国際会議があって、'international symposium on independent computing'という会議を催しました。

独立計算のミッションは、我々人間がインターネットやコンピュータに依存しすぎないように、ということです。依存しすぎていると、災害や大地震の時に何もできなくなってしまいます。

 

朝倉様

この人工知能が発展すれば発展するほど、アナログ力が問われると思っています。だからこそ、そんな中で我々が大事にしている「影響力・営業力・コミュニケーション力」を特化するための研修に力を入れていかなければならないと感じています。

 

趙先生

我々教員の立場からすると、明日の授業の準備などに人工知能を使えばいいですけど、人間自身の能力をもう少し伸ばさないと、なんでもAIに依存してしまうようになる。

 

朝倉様

その道を極めた人から認められるとうことは、唯一人間がAIに勝てることかもしれないですね。

 

趙先生

AIに勝つかどうかはなく、AIをいかに利活用することかは大事です。本講座の博士の学生がやっている研究で、携帯に入れるアプリの知的エージェントと言うものがあります。アプリの初期設定は共通ですが、各ユーザーはそれぞれ気持ちが異なっているので、フィードバックすることで、アプリが自分で学習して自分のユーザーに対してユーザーの思考をある程度把握できるようになります。

知的エージェントを、普通のサーバーへ置くと、それぞれの人が何が欲しいかなど現在のアマゾンのリコメンド機能が当てはまります。そこは人工知能のすごいところです。

今は最初のプログラムは共通のことしかできないかもしれませんが、世界中のユーザーが使うことで、AI自身が学習して、AI自身の判断を修正していくんです。会員登録をすると、それぞれの会員の特性、性格までも把握していくということです。ある意味、恐ろしいです。

現実の世界でどういうニーズがあるのかAIがわからないので、われわれ人間が違う立場からどのようなニーズがあるかAIに教ええるとAIが自然に人間のために成長していくかもしれないですね。

 

 

以上

 

 

 

ご利用案内

内容につきましては、私の雑感等も含まれますので、真実性や正確性を保証するものではない旨ご了解下さい。

→ リンクポリシー・著作権

カレンダー

2016年10月
« 9月   11月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

最近の投稿

カテゴリー

月別アーカイブ

プロフィール

高井・岡芹法律事務所会長
弁護士 高井伸夫
https://www.law-pro.jp/

Nobuo Takai

バナーを作成