2016年12月2日のアーカイブ

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2016年11月23日(水)8:42 武道館にて撮影

 

 

 

株式会社開倫塾
代表取締役 林 明夫 

 

「心の経営体を求めて」

 

Q:林さんが会長を務める開倫ユネスコ協会では、11月17日(木)に東京の青山学院大学の前にある国際連合大学本部のエリザベス・ローズ国際会議場で「ユネスコ世界哲学の日」の講演会を開催したそうですね。なぜですか。

A:パリに本部のあるユネスコでは、2002年に、毎年の11月第3木曜日を「ユネスコ世界哲学の日」と定め、「哲学なくしてユネスコなし」のスローガンの下に、平和の哲学に基づき国際平和と持続可能な社会の実現を目指しているからです。

 

Q:11月第3木曜日が「ユネスコ世界哲学の日」であることは、日本ではあまり知られていないようですね。

A:私はパリのユネスコ本部のホームページを見て「ユネスコ世界哲学の日」があることを知り、2011年の開倫ユネスコ協会設立10周年の記念式典のときから「ユネスコ世界哲学の日」の講演会を開催しております。

 

Q:ところで、高井伸夫先生は「心の経営体を求めて」という崇高なお考えをお示しになっておられます。林さんは、高井先生の「心の経営体を求めて」とは何だとお考えですか。

A:「経営を担う者は、自分なりの哲学をもって経営にあたるべし」「哲学なくして経営なし」ということを、高井先生は「心の経営体を求めて」ということばで教えてくださっているのだと考えます。その意味で、「哲学なくしてユネスコなし」というユネスコの基本理念と相通ずるところがあると思います。

 

Q:では、お伺いします。経営者としてどのように哲学を学んだらよいのでしょうか。多くの経営者は、学生時代には哲学の勉強をしたものの、社会に出てからは、特に経営者となってからは哲学の勉強などしたことがないという人がほとんどだと思います。手始めにどんな本を読んだらよいと林さんはお考えですか。

A:

(1)フランスのリセという大学進学を目指す高校では、高校3年生のときに「哲学」を正式な教科として学び、大学へ進学するようです。

(2)日本で哲学の基礎を学ぶのは、高校2年生の「倫理」の授業です。以前は必修教科でしたが、最近は選択教科になってしまったため、「倫理」を学ばずに高校を卒業する高校生が大半となってしまいました。大学に入学して哲学を履修すればよいのですが、哲学が必修教科である大学は数少ないようです。日本では旧制中学の時代にはあんなに盛んであったのに、高校でも大学でも哲学を学ばずに世の中に出る人が大半である今の日本は、「哲学不在」の国になってしまうようで残念でなりません。

(3)それはさておき、哲学を学ぶにはどのような本を読んだらよいかという御質問ですね。私の答えは、ズバリ、山川出版社刊の「もういちど読む山川倫理」(2011年4月10日刊)と「もう一度読む山川哲学―ことばと用語」(2015年10月20日刊)の2冊です。どちらも小寺聡編です。

(4)この2冊の本は、高校の教科書として使われている「現代の倫理」をベースに書かれたものです。高校で倫理の先生から哲学の基礎・基本のお話をお聞きするような態度で、同じ編者である2冊の本を絶えず参照しながら、一語一語かみしめるようにゆっくりと、できれば、ノートをお取りになりながら1~2年かけてお読みになることをお勧めいたします。

(5)この2冊の本を読むときには、必ず最初の1ページ目から読み終えたページまでをゆっくりと読み直してから、新しいページ、新しい内容に入ることをお勧めいたします。すべての学校の教科書は学問体系に基づいて書かれておりますので、倫理や哲学の基礎を高校の教科書で学ぶ際にも、今までに学んできたことを踏まえて新しい内容を学んだほうが理解が容易になると考えられるからです。是非、お試しください。

(6)このようにしてお読みになった2冊の本は、決して処分なさらないことです。皆様の倫理や哲学の基礎・基本の教科書として、生涯にわたって折に触れて読み返すことをお勧めいたします。

 

Q:興味のある内容や哲学者、思想家が出てきたらどうしたらよいですか。

A:

(1)少し高価ですが、中国の古典でしたら明治書院刊の新釈漢文体系をお買いになって、現代語訳である「通釈」の部分だけでもゆっくりと通読なさることです。内容がよくわかったら、漢文の「書き下し文」を音読したり、1つ1つの語句の解説である「語釈」、各章ごとの「余説」をお読みになることをお勧めいたします。

(2)日本や世界の古典は、岩波文庫や講談社学術文庫はじめ様々な文庫や新書で、読みやすい、また、わかりやすい現代語訳や日本語訳をお探しになり、ゆっくりと通読。興味がわいてきたら原文を探し出し、現代語訳をよく読んでから「音読(声を出して読むこと)」することをお勧めいたします。

(3)そして、お気に入りの文章や考えに出会ったら「書き抜き読書ノート」に書き写し、繰り返し読み直して自分のものとする。経営者として、また、人間としての基礎・基本を哲学に求める、高井先生の教えである「心の経営体を求めて」には、これが一番の方法と考えます。

 

Q:現代的な課題について経営者として、また、人間として哲学的に考えるには、どのような本を読んだらよいでしょうか。

A:

(1)ベストセラーになりつつある岡本裕一朗著「いま世界の哲学者が考えていること」ダイヤモンド社2016年9月8日刊と戸田山和久著「哲学入門」ちくま新書、筑摩書房2014年3月10日刊の2冊がお勧めです。

(2)哲学を本格的に学びたい方には、松永澄夫著「価値・意味・秩序―もう一つの哲学概論、哲学が考えるべきこと」東信堂2014年4月25日刊と同著「哲学史を読む」東信堂2008年刊の2冊がお勧めです。

 

Q:最後に一言どうぞ。

A:法律家の皆様に是非お読み頂きたいのは、少し厚めですが、ジョン・ロールズ著「正義論」紀伊國屋書店2010年11月24日刊です。イエリネックの「一般国家学」やラートブルフの「法哲学」も是非お読み頂き、国家とは何か、法とは何かを初心に返ってお考え頂きたく存じます。丸山真男先生や福田歓一先生の古典的著作も岩波文庫で容易に読めるようになりました。法律家として政治のあるべき姿をお考えになるときに、お二人の政治哲学は参考になると確信いたします。

是非、御一読を。

以上

2016年11月27日(日) 

 

 

開倫塾のホームページ(www.kairin.co.jp)に林明夫のページがあります。

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