2016年12月10日(土)7:20 中目黒公園にてゴールデンボーダーを撮影
花言葉:「友情、献身」
平成28年10月12日「AIと人事労務セミナー」 開催報告第4回
10月12日(水)開催の特別セミナー「AI(人工知能)が拓く未来 ~人事労務分野への影響を探り可能性を考える~」について、第4回は、第2部「今なぜ、人事がAIに向き合わなければならないか~その背景と今後の可能性について~」について、講演要旨と、講師である藤井 薫 氏(株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長)のご感想を掲載する。
----------------------------------------------------------------------------------------------
1.講演要旨
【第二部:㈱リクルートキャリア リクナビネクスト編集長 藤井薫氏】
<新しい時代の幕開け>
今は第四次産業革命。AI で加速している。
・「新しい人事」の幕開け:能力の刷新、仕事の定義、人類のあり方が問われている。
・民多利器、國家滋昬。民多智慧、邪事滋起。(老子の言葉より)
訳:民に利器(=AI)が多く行きわたると、国はますます混乱する。老子の心配が現実になりつつある。
・今こそ民多智慧になるべき。訳:民に知恵多くなるべき。
人事プロフェッショナルこそ、現代の利器(=AI)の可能性と留意点を知らならない。
<人事は何故、AIに向き合う必要があるのか?>
・企業を取り巻く3つの変化:
GDP(Global/Diversity/Productivity)、サービス経済化、KKD(勘と経験と度胸) → KDD(Knowledge Discovery in Database)
・人事に要求される新たな力
L人智を超えた多様性対応力、人智を超えた可視化力、人智を超えた意味抽出力
<AI ×人事 何ができる?>
・人事のあらゆる領域でAIの利活用が広がっている
人材採用、労働生産性の向上、優秀人材の保持、業績管理・評価、動機付けなど
・グローバルでは既に5割前後の企業が、データで未来予測をしている。
<未来の活用例>
・AI×採用
AIが、世界中のWebの海から自社の戦略やタスク、ポートフォリオに合った人材を自動探索したり、景気シミュレーションを活かして、早めに組織構成・配置を変えるように提案する。
・AI×リテンション(維持)
従業員が希望するキャリアプランやプロジェクトアサイン期間、労働時間や日常のコミュニケーションデータから、意欲の低下や体調不良などの異常値がある場合に警告を発し、予防的に仕事やキャリアの見直しを提案する。
<人事×AI どう利活用する? 未来の留意点は?>
・Archiveなくして Analyticsなし
・Account (勘定)よりAccountability(説明責任)へ
※AIの限界を示す思考実験
・AI が下記のような提案をしてきた場合、それを実行できるか?
「5 年後、売り上げを、10 倍にする打ち手があります。その答えは、経営陣全員クビ。その理由は説明できません。」
→人事は、「最適解」より「納得解」が大事である。人間の脳を真似る人工知能は説明しづらい。(例:「好き」に理由は無い。)
私たち人間は、「最適解<納得解」が必要 。
2.講師からの感想
高井先生の構想で始まった『労働新聞社』様の連載「人工知能が拓く未来」にお声がけいただいたご縁で、講演の機会をいただきました。「今なぜ、人事がAIに向き合わなければならないか?」随分、遠大な演台でお話しましたが、思いは一つ。AIが駆動する第四次産業革命の前夜の今こそ、「新しい人事」の幕開けであること。能力・仕事・会社の在り方も激変すること。その推進には、人事プロフェッショナルの概念工事が不可欠であること。そのことをお話しました。
可視化→最適化→自動化。AIが突きつける原因と結果の連動システム(因果律)の広範な社会適応は人・組織の新たな可能性を拓く。ただし全て可視化できるかと言われれば否。縁が起こり、臨機応変が生まれるのが社会の実相です。因果の間には縁がある。因果律ではなく因縁果律。その目に見えない「縁」を見つめ、臨機応変する力こそ、AI全盛時代に人事プロフェッショナルの正念場、真骨頂なのだと思います。私自身も、引き続き、機に臨み、変化に応じ、縁を観つめてゆきたいと思います。
(リクルートワークス研究所 兼 リクナビNEXT編集長 藤井 薫)
---------------------------------------------------------------------
※次回(最終回)は、参加者のお一人である鮒谷周史氏(株式会社ことば未来研究所)よりお寄せいただいたご感想を掲載する。