2017年2月1日のアーカイブ

  • 今、話題のテーマについて各界で活躍している方々と対談をする一問一答形式のブログの第9回目です。
  • 第9回目は メルコスール観光局 池谷光代様です。

 


 

■ ■ ■ ■ 時流を探る~高井伸夫の一問一答 (第9回)■ ■ ■ 

メルコスール観光局 池谷光代  様

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【池谷光代様プロフィール・ご紹介】池谷光代様お写真

東洋大学短期大学にて、観光学を学び、卒業後一貫して、観光業に従事。全日空商事株式会社を経て、サンフランシスコにて日系旅行会社に勤務。1997年に、ある偶然の出会いがきっかけで、アルゼンチンに渡る。その後、約10年間、アルゼンチン・ブエノスアイレスに滞在し、旅行会社勤務を経て、ブエノスアイレス市公認観光ガイド、各種コーディネーター等の仕事に携わる。

アルゼンチン観光省との縁より、現職であるメルコスール観光局〔※説明はブログ本文ご参照ください〕にて、メルコスール加盟国の観光のプロモーション業務の為、2007年に帰国。

現在、南米とひとくくりには出来ない、国柄も文化も違う5カ国の観光省とのコーディネート、観光PRイベントの企画、手配、運営、観光セミナー講師等を担い、2012年には、一般社団法人日本旅行業協会より、4カ国(当時)観光省とのコーディネート力、日本の旅行業界への貢献を評価され、「ツーリズム大賞2012観光局部門」を受賞。

日本、米国、アルゼンチンと国内外の民間企業勤務の経験と、現在アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ5カ国の観光省という外国公的機関とのコーディネート経験、国柄も文化も違う5カ国をコーディネートするコーディネート力、そのユニークなキャリアが業界から評価されている。

日本と海外の旅行社勤務の経験を経て、現在観光局で観光PR に従事するという、観光を学ぶ学生から憧れられるキャリアを持つ女性として、またユニークな経験談が評価され、大学や専門学校から、観光学科学生向けの講義依頼等も受けている。

【今回の同席者は以下の通りです】

  • 久佐賀義光様
  • 三井物産株式会社(1955年4月-1992年6月)にてアルゼンチン(ブエノスアイレス)化学品課長、ドイツ(デュッセルドルフ)化学品部長、中国(北京):初代中国総代表を歴任。アルゼンチン勤務は1962年12月~1968年1月の5年に亘る。

  • 高井伸夫

今回は、アルゼンチン勤務経験のある久佐賀義光様をもお招きして、お話をお伺いいたしました。
(取材日:2016年12月1日(木)中国飯店市ヶ谷店)

 

 

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高井

南米とかかわるようになって何年ですか?

 

池谷様

来年(2017年)で20年になります。

 

高井

南米に関するお仕事ですが、19年間どのようなことをされてきているのですか?

 

池谷様

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで旅行会社に勤務したのをきっかけに、一般旅行業務、ブエノスアイレス市公認ガイド、イベントのコーディネーター等をしていました。その後、アルゼンチン観光省と縁に恵まれ、現職の観光局に関わるようになりました。ずっと、観光業に携わっています。

 

高井

池谷様が日本に戻られてまもなく10年ですが、日本に戻られてから他の南米の国とも関わるようになったのですね?それが、メルコスールの国々だったのですね?

 

池谷様

そうですね。メルコスールというのは、日本では聞きなれない言葉かと思いますが、アルゼンチンとブラジルとパラグアイ、ウルグアイとベネズエラの関税同盟の名称です。

それまでは、アルゼンチンの観光だけに関わっていましたが、日本に帰国後、その周辺諸国にも関わることになりました。日本では南米というとまるで同じ国のようにひとくくりで見られる方が多いように感じますが、日本とその周辺のアジア諸国が異なるように、南米大陸の各国はそれぞれ異なります。それぞれに独自の文化があり、異なる面もありますが、お隣通しの国が手を組んで一緒に観光促進をするプロジェクトは、とても興味深いと思います。

 

高井

アルゼンチンの魅力は何ですか。

 

池谷様ペリトモレノ氷河

まず、アルゼンチンの最大の魅力は大自然ですね。アルゼンチンの国土は日本の約7.5倍です。

観光で特に人気なのは、南部のパタゴニア地方にある世界自然遺産ロス・グラシアレス国立公園の「ペリト・モレノ氷河」です。

アンデス山脈から30KMの距離を、氷河の名の通り、氷の河が湖に流れていて圧巻です。そして、遊歩道からその氷河を目の前に見ることができます。もし、東京の中心部にそれがあったとしたら、その氷の壁は、日本橋から浜松町まで続き、上を見上げるとその高さはビルの20階ぐらいと同じ。

そんな大きな真っ青な巨大な氷河があるんです。すごいと思いませんか?

(写真;ペリト・モレノ氷河・手前に遊歩道あり)

また北東部にいくとアルゼンチンとブラジルの国境に、イグアスの滝と呼ばれる世界遺産に登録されている滝があります。この滝は、なんと275本の滝が連なって、幅が2.7KMにもなるんです。日本橋から新橋ぐらいの距離!(笑)イグアスというのは、この辺りに住んでいた先住民グアラニー族の言葉で、「大いなる水」という意味ですが、訪れた人はその言葉の意味を、思う存分体感することができると思います。日本にはない景色です。

北部に行きますと、190KM続くウマワカ渓谷のある村に7色の丘を持つ村があったりします。

 

高井

丘の色が7色なのですか?

 

池谷様

ウマワカ渓谷

そうです。地層の色が7色です。この丘は、世界遺産ウマワカ渓谷のプルママルカ村というところにあります。自然の作った素晴らしいグラデーションです。さらにアルゼンチンの自然の魅力を語りだしたら、今のこのお時間では足りないぐらいです。

他にもちろん、まだまだたくさんありますが、お時間もありますし、もしもうひとつしか選べなかったら、それは間違いなく「人の温かさ」と言いたいです。例えば、地下鉄に乗っていて、妊婦さんやお年寄りが乗ってくると、どなたか一瞬で席を立ちます。日本のように寝たふりをしている人なんて皆無です。そして、家族や友人をとても大切にするアルゼンチン人。例えば、もし、あなたが年末年始などの人が集まる季節に一人だったら?そんな時は、こんな声が聞こえます。「ひとりでいるもんじゃない、うちに来なさい!一緒に楽しもう!」日本では、家族の集まりに他人が加わるといった習慣は、あまりないかもしれませんが、アルゼンチンの人達は、あなたが誰だからというわけでなく、ただ人とのつながりをとても大事にしてくれる人々だと思います。

(写真;ウマワカ渓谷7色の丘)

 

高井

治安はどうなのでしょうか。

 

池谷様

南米の中では、比較的良いと思います。首都のブエノスアイレスには、東京にもあるような、バス停で乗り降りできる2階建て観光バスが走っています。治安が悪いところでは、バス車内強盗などがあったりしますが、乗り降り自由な観光バスが運行しているということは、比較的治安がいいといえるかと思います。

また、治安が悪い国ではお勧めできない長距離バスも、アルゼンチンでは全く問題ございません。

 

久佐賀様

アルゼンチンは南米で一番安全な国ではないでしょうか。私がいた当時は夜中の1時2時に町の中を1人で歩いていても、全然怖さを感じませんでした。

 

高井

観光業のお仕事で一番のやりがい、醍醐味は何ですか。

 

池谷様

やりがいは、仕事に限界、リミットがないことです。

 

久佐賀様

何でもできるということでしょうか。

 

池谷様

例えば、今観光地でないところがあったとします。その場所は、未来にはお客さんが来てくれるような場所に、育てることができます。創造性には、リミットはありません。

観光業は、代金を支払う時は、商品を手に取って品定めして買える商品でなく、その観光地にいる時、もしくは家に戻ってきてから、その価値がわかるものです。

同じ代金でも、同じ観光地でも、まあまあだったという人もいれば、一生忘れない思い出になる人もいればさまざまです。そんなひとりひとりの違う人生の一部に関われると思うと、ロマンを感じます。多様性があり、そういった面にもくくり(リミット)がありません。

また、お勧めしたところへ行ったお客さんに「楽しかった!いい思い出になった。」と言われること、その方の喜びが私の喜びになるときは、観光業に携わって、本当に良かったなと思います。

 

高井

池谷様が開発された観光地はありますか?

 

池谷様

テレレ茶器

そんな大それたものはありませんが、アイディアを採用していただいたことはあります。パラグアイでの話ですが、テレレというマテ茶を冷たくしたものを、飲む習慣があります。このテレレは(アイスマテ茶)、ポットに注いで飲むのではなくて、特別な容器に入ったお茶を、銀のストローのようなもので飲むという、独特の飲み方をします。パラグアイでは家庭で飲むもので喫茶店等では飲むことが出来ません。しかし、街中では小脇にポットを抱え、日本人には見たこともない専用容器で飲んでいるのを見かけるのです。そんな姿をみたら、観光客は益々味わってみたいものです。でも、喫茶店やレストランでは飲めない。そこで、こんな提案をしてみました。旅行会社のツアーでは、お客さんに1日1本ミネラルウォーターを付けていたりします。パラグアイ滞在中は、ミネラルウォーターの代わりにテレレセットを用意し、テレレ体験をしていただき、その入れ物はお土産として持って帰れることにすればお客さんが喜ぶのではないでしょうか?ということを提案しました。現地の旅行社は、灯台下暗しとでもいいましょうか、自分たちの毎日の当たり前のような習慣が観光客にはとても興味深いということに、今までは気が付かなかったそうです。そして、思った通りそれを実行したら、お客さんにとても喜んでもらえたという例がありました。

(写真:パラグアイ、テレレの茶器)

 

高井

観光業のお仕事で一番苦労されるのはどのようなことですか。また、日本人がアルゼンチンに観光で行って一番苦労することは何ですか?

 

池谷様

現職では、文化の違いから価値観の違いもあることを、理解するよう心がけています。

日本人がアルゼンチン観光に行って一番苦労すること?なんでしょう?(考え込む)スペイン語の文字が飛び込んでくることでしょうか?(笑)観光地は、英語は通じますし、身振り手振りでも相手を理解しようという人がたくさんいるし、食事も素材を使ったお料理ばかりで日本人の口に合うし、苦労ではなく逆にたくさんの楽しみが待っているはずです。

 

高井

価値観とおっしゃいましたが、どのような価値観ですか。

 

池谷様

例えば、簡単な例だと、日本ではメールを受けとったら、それに対しての回答がすぐ出せなくても、受け取りましたという受信メールを返信する方が多いかと思いますが、私が一緒に仕事をしている人たちは、回答が出てから連絡がくることが多いです。ですから、数日間は、メールを受け取ったのか受け取っていないか分からない時間があります。

彼らたちにとっては、聞かれたことの回答がわからないから、確認してから書こうとただ思ったということだそうです。自分の価値観だけで考えてしまうと、その数日間はイライラするかもしれません。しかし、どちらがいいか悪いかではなく、お互いのやり方を尊重し、確認しながらミスコミュニケーションがないようにしています。また、各国間とは、メールのみで、ほぼやり取りするのですが、些細なことでも全てをちゃんとシェアしていくことを心がけています。これをとても大切にしています。5か国で仕事のリズム、文化が違うので、アルゼンチンもブラジルもウルグアイもパラグアイもベネズエラも南米大陸にありますが、国が違うわけです。日本だってアジアの1つだけども、お隣の中国とも違うし、韓国とも違う。それと同じです。

南米は、大陸でつながっているけれど、違う国同士、考え方の違いも生まれますし、そういうことを理解しながら、バランスを取りながら仕事を進めるというのが、一番、難しいと言うか、気を付けていることです。

 

 

高井

ところで池谷様はボランティア活動も積極的に行っていらっしゃると伺いました。どのような活動をされていますか?

 

池谷様

最近は行っていませんが、東日本大震災と広島の土砂災害でのボランティアの経験が印象に残っています。東日本大震災では、震災後に岩手の釜石と宮古へ行きました。

 

高井

ボランティアに行って、感じたことを教えて下さい。

 

池谷様

災害の現場に際して一番感じたことは、自分がテレビを見た時の想像と、実際の被害の大きさの違い、自然災害の恐ろしさは、テレビだけでは表現できないと感じました。そして、被災された方について、東北の場合は、何もなくなってしまって、更地になってしまっていて、平地になってしまって、それでも人は立ち直ろうとする、東北の人の強さを感じました。何にもない道を釜石から宮古まで走った時に、ただの更地といっても、平原ではありません。アルゼンチンの大自然の平原とは違います。町があった場所です。全く何もなくなってしまった、こんな状態になっても、立ち直ろうとする人のすごさを肌で感じました。

広島の土砂災害は、「横の家は大丈夫だったけど、うちはダメだった、というように、間一髪の差で全てがなくなっている、それを認めるまでは時間がかかったけれども、これからがんばっていく、復興していく」とお話を伺い、人間の強さというのは、すごいなと本当に思いました。

 

高井

本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

以上

 

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