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2017年3月24日8:02 中目黒公園にて椿を撮影
花言葉:「控えめな優しさ、誇り」

 

 

第4回 コミュニケーションの取り方


株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門
青木 昌一 

 

1.きっかけは事件から

ビジネスマンに限らず日常生活においてもコミュニケーションを抜きにして人間関係は成り立ちません。

ビジネスにおいても様々な場面でコミュニケーションのとり方ひとつでその後の結果が変わってしまうことが往々にしてあります。

私自身は決してコミュケーションのとり方がうまい方とは思いませんが、高井先生にお世話になったある「事件」を通じてひとつのポイントを学びました。

前職の西洋環境開発時代に100名ほどの社員規模の会社の経営管理と売却先探しを、いわゆる親会社として担当していたことがあります。その会社は極めて優良な会社で毎年きちんと利益を出し、100%株主である西洋環境開発に配当を出している会社でした。

優良な会社ですので、親会社としては細かな指示を出すことは少なく、西洋環境開発から派遣されている取締役と社外取締役として経営ボードに名前を連ねている先輩等が月1回の取締役会で方針を決める程度の関与の仕方でした。

ところがある日、労働組合の委員長名でこの非常勤取締役である先輩のところに封書が届きます。

 

2.直訴

封を開けると、そこには現場の実質的な責任者で生え抜きのある課長(と言っても、課長はこの方ひとりで、プロパー社員として現場のことも一番よくわかっている方でした。)と意見が合わないケースがたびたびあり、その点を西洋環境開発から派遣されている取締役に調整してもらえるようにお願いしても、ほとんど取り合ってもらえない。挙句の果てにはこんこんと説教をされてしまう始末である。このままでは自分たちが労働組合として社員を守るために何かしらことを起こさざるを得ないところまで追い込まれている。という内容がつづられていました。

そこで先輩と私はすぐその会社がある関西に向かいました。労働組合の委員長と書記長は私とほぼ同世代の方々で、話しやすかったのも幸いでした。

二人と就業時間終了後、居酒屋で待ち合わせ、いろいろと話を聞きました。そこで出た話の細かい部分は割愛しますが、

(1) 課長の方針・指示は難しすぎて社員に徹底するのは厳しい部分があるのだが、命令として指示され、できなければ叱られるので社員としては我慢できない。

(2) そのことを取締役に話をしても、同じ調子で言われてしまい、しかも話をしているとさえぎられて、伝えたいことが伝えられない。

(3) 最後には、お前らがだらしないからだと説教をされてしまい、状況がまったく変わらない。

(4) 思い余って委員長と書記長が相談した結果、ダメ元で親会社である西洋環境開発でこの会社を担当する部署の部長で非常勤取締役を務めている先輩のところへ直訴状を送った。

といった、話しがありました。

とにかく、その場は一旦話を聞くにとどめ、翌日東京に戻り、先輩と私は市ヶ谷の事務所に高井先生を訪ねました。

なぜ高井先生か。

実は西洋環境開発には社員会があり、春闘は社員会と行うものの労働組合はありませんでした。したがって、その前年まで10年ほど人事部に所属していた私も労働組合との付き合い方などまったく分らず、すがれるのが高井先生だけだったのです。

 

3.コミュケーションのポイント

我々の報告を黙って聞かれていた高井先生はおっしゃいました。

「それはコミュケーションが成立していない。コミュケーションというのはお互いが意見をまず聞き、その意見に対して意見を伝える。この繰り返しの言葉のキャッチボールがなければコミュニケーションとは言えないんだ。」

さらに、「とにかくそれ以前に話をよく聞くことが重要だよ。単に話を聞くだけで問題が解決することもあるくらいなんだ。」ともおしゃいました。

この高井先生からの話を受け、先輩と私はふたたび関西に向かい、現地の常勤の取締役の方々、今回たまたま名前が出た課長、組合の委員長、書記長に別々に時間をとってもらいそれぞれ表現にだけ気を付けながら話をしました。

取締役の方々にはとにかく組合の話を聞くことに徹してほしいこと。課長には話を聞くことに加え社員の方々の様子を見極めながら指示出しをお願いしたいということ。

そして、組合の委員長、書記長には取締役等にこういうお願いをしてきたという話をし、一方で別の必要性もあったのですが、月一ではなく、もう少し頻度をあげてこちらに来るので、ざっくばらんに情報交換をして欲しいという話をしました。

その後、毎月2~3回、1泊~2泊くらいのスケジュールで関西を訪ね、高井先生に教えられたコミュケーションの方法を我々も守り、労働組合の幹部をはじめとする社員の方々とコミュニケーションを重ねていきました。

結果として、この会社は第1回目で申し上げたように西洋環境開発が特別清算になる前にある有名な企業に譲渡をすることができ、連鎖倒産を免れました。この譲渡の際に、社員の方々が大きく動揺することなく成功した背景にはこの労働組合の獅子奮迅の活躍がありました。

また、この課長さんは売却後、この会社の業容拡大に貢献され、今ではその会社の社長として活躍をされていらっしゃいます。

そして私は、、、今もこの高井先生からの教えを愚直に実践するよう心掛けています。

 

以上

 

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