2017年8月5日のアーカイブ

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2017年7月29日(土)7:26 中目黒公園にてアフリカンマリーゴールドを撮影
花言葉:「信頼、逆境を乗り越えて生きる」

 

 

<働き方改革> 第3回 日本航空株式会社

 

働き方改革第3回では、天王洲アイルの日本航空株式会社(以下、「JAL」)本社に伺って、執行役員兼人財本部長の小田卓也様と人財本部人財戦略部部長の福家智様にお話を聞きました。お2人ともJAL内での働き方改革に尽力され、大西賢取締役会長が「実務派」と太鼓判を押す方々です。

2010年の経営破綻から7年。社員が心身ともに健康的に働ける環境を築き、見事に復活を遂げたJALの働き方改革に迫ります。

 

1 社員を大切にするための働き方改革

(1)社員の意識改革

①トップからのメッセージの発信

2010年の経営破たん後、組織改編や仕事のやり方の見直しに伴い、多くの社員が遅くまで残業する状態が恒常化していたそうです。

その中でも特に多忙であった調達本部が、「社員を疲弊させてはいけない」という思いから、ワークスタイル変革に先陣を切って取り組んだことから、JAL社内での働き方改革は始まったといいます。

この変革について、今回お話を伺った小田様と福家様のお二人が口を揃えて仰られたのは、経営トップである社長から発せられるメッセージの大切さです。

これは社内に発信される社長メッセージにより全社員に告知されるそうですが、2011年から発信を始め、過去にはダイバーシティや女性の活躍推進なども取り上げ、今年はワークスタイル変革の第二段階への取組みを明言されたそうです。

組織のトップからのメッセージには、当然強さがあります。お二人の言葉通り、このメッセージにより、社員が働き方に対する意識を変えて、JAL社内でのワークスタイル変革の推進はよりスムーズになったと言えるでしょう。

 

②ワークショップの開催

また、その他に、社員の意識を変える方法として、JALではワークショップを開催して、ワークスタイル変革について社員が学ぶ場を作り、意識の浸透に努めているそうです。

このワークショップは、収容人数300人ほどのホールを、6つくらいのテーマで分割し、各々のブースで「業務プロセス改革とは」、「テレワークとはどのようなものか」といったテーマを取り上げで講演を行うそうです。参加した社員は、大体1時間で3つ程度のテーマを聴講し、ワークスタイル変革への理解を深めることができます。

これまでに30回程開催されたということで、従業員数1万人を超える大企業ながら地道に取り組んでいく姿勢からは、ワークスタイル変革達成への強い意志が感じられます。

 

(2)ワークスタイル変革の中身

①残業時間の削減

社員の意識の変革については上で述べた通りですが、肝心のワークスタイル変革そのものとしては具体的にどういったことに取り組んでいるのか伺ったところ、まず出てきたのが「徹底した残業時間の削減」といった答えでした。

具体的には、年間就業時間を1,850時間とすることが最終目標ということで、そのためには、年休取得日数20日と、月の残業時間5時間というのが、条件となるそうです。

現在、JALでは部署でバラつきはあるものの、徹底した変革への取組みのおかげで、年休の平均取得日数は17日、月の平均残業時間は11時間になっているそうですが、目標達成のためには、これを更に超える年休の取得と残業時間の削減が必要になってきます。

 

②仕事の効率化

上記の目標を達成するための方策として、小田様と福家様ともに、「業務を見直して、効率の良い働き方、業務プロセスを作成する」ということを、まず検討しているとのことでした。

これについては、オフィスのレイアウトを変更して、無駄な資料を処分し、フリーアドレス化することで打合せの場として使用するスペースの割合を増やす、また、どうしても集中したいときに2時間限定で使用できる席をオフィスの端に設けるなどして、生産性の向上に努めているそうです。

オフィスの写真を見せていただきましたが、確かにすっきりとしていて使い勝手が良さそうです。また、集中するための席も、窓際に設置されているため、周囲を気にせず仕事に没頭できることが想像できます。

この席は実際に人気が高く、常に誰かが使用しているとのことでした。

 

③新しい制度の取り入れ

その他にJALが新しく取り入れた制度として、在宅勤務や不妊治療受診のための休職制度、配偶者の転勤同行休職制度、といったものがあるそうです。

週1回まで認められている在宅勤務は、メールでの申告を認めるなど、申告プロセスを簡易化することで利用しやすくなるよう努めたとのことで、利用延べ人数が直近12ヶ月では延べ人数5,000人超となり、昨年に比べて倍近くと

大幅に増えたそうです。

また、社員のニーズを捉えた休職制度について伺うと、「JALでは、働くためのサポートと休むためのサポート両面から両立支援の取組みを行っている。基本的には、働くためのサポートを主題として進めているが、セーフティーネットとして休むためのサポートには何が必要かという観点から社員のヒアリングを進めた結果、生まれた制度である」旨の説明をしていただき、前回の開倫塾と同様、健全な企業経営のためには、社員の声に耳を傾けることが大事であることを実感しました。


④健康推進企画 JAL Wellness活動

JALではまた、社員の健康管理をどう考えるか、という切り口から、産業医の力を借りて「健康推進企画 JAL Wellness」を2012年から継続して続けているとのことです。

当初は、ウェルネスリーダーを始めとした一部の社員の中での「健康推進のために階段を利用しましょう」、「運動会を開催しましょう」といった自主的な取組みだったそうですが、経済産業省と東京証券取引所が日本再興戦略の一環である「国民の健康寿命の延伸」に対する取組として主催する「健康経営銘柄」を獲得してから、徐々に社内でも注目され始め、今ではJALの目玉と言って良い企画となっています。

「健康経営銘柄」は、従業員の健康に関する取組についての調査を行い、その分析・評価結果を基準として選定する企業を決定するというものですが、応募をすると、健康経営銘柄に選ばれなかった場合でも、他企業と比較して優れている点や劣っている点、日本の企業の中でどれくらいのレベルに位置するのか、といったフィードバックを得ることができるので非常に有用な制度であるとのことです。

JALは2017年には3年連続での健康経営銘柄を獲得するまでとなりましたが、健康経営銘柄は毎年審査により入れ替わり、各業界につき1社しか選ばれないため、3年連続というのは実は非常に大変なことだといいます。

 

2 まとめ

今回、小田様と福家様のお話を伺い、最も印象に残ったのは、JALという企業がそこで働く社員を非常に大切にしている、ということです。

戦後必死に働くことで経済成長を果たした日本ですが、現代においては、企業で働く社員が心身ともに健康であることが、企業がさらに成長し、長く存続していくために必要不可欠な要素であると言っても過言ではないでしょう。

企業における働き方改革が形だけのものにならないためにも、「社員が健康に働くことができる環境を作る。ひいてはそれを企業の成長に繋げる」といった根底にあるべき意識を明確にし、動機付けを行うことは、極めて肝要だと思います。

 

以上

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