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2018年12月30日(土)7:31 芝公園にてシロタエギクを撮影
花言葉:「穏やか」

 

 

<働き方改革> 第4回 株式会社グリーンハウス

 

今回は、株式会社グリーンハウス様に伺い、萩原貴子取締役、樋口道雄理事・人事総務部人事労政グループ部長に取材を行いました。

グリーンハウスは、オフィス・工場・学校・ヘルスケア施設での食事提供を受託するフードサービス企業。ほとんどの場合、営業所長が一定の管理責任者であり調理責任者でもあります。フードサービスは一般的に長時間労働のイメージがついてまわる業界ですが、そのイメージを覆す働き方改革への積極的な取り組みについてお話していただきました。

 

1 働き方改革プロジェクトのスタート

 

グリーンハウスでは、昨年7月に、全体プロジェクト責任者の下に3名の役員がそれぞれ自分の所管の部署を中心に改革をしていくために体制を整え、全社を挙げたプロジェクトとして働き方改革をスタートさせました。

プロジェクトの大きな目的は、当然「働き方の改革」ということになりますが、それを達成するために、短期の目標と中長期の目標を設定し、この両方を視野に入れながら推進していく予定とのこと。

具体的には、短期の目標は、人材不足により引き起こされる長時間労働の削減、中長期の目標は、働き方改革宣言を発して働き方改革をどのように進めていくかを全社に周知することとしています。

短期の目標を達成するために、まずは週2回のノー残業デーをスタートさせたそうです。

*参考)「GHG働き方改革 企業宣言(ウエルネスプログラム)」を制定http://www.greenhouse.co.jp/topics/2018/180221.pdf

 

2 ワークスケジュールの見直し

生産性向上のために、ワークスケジュールの見直しにも着手しました。

従来、営業所長自身が長時間労働ありきのワークスケジュールを組んでいましたが、これを見直し、自ら一手に仕事を引き受けるのではなく、負担を分散することを心がけるようになったといいます。また、一つ一つの工程に無駄がないかを日常的に確認するという見直し作業も実践しています。

このような作業は一見地道ですが、全体としての総労働時間の削減のためには避けて通れないものといえるでしょう。

 

3 労働時間ではなく仕事のプロセスと成果の評価を

グリーンハウスでは、単に長い時間働くことを『頑張っている』と評価するのではなく、これまで行ってきた業績(いわゆる売上げ)と成果がどれだけ上がっているかということを一義的に評価するというシステムをより明確にしていこうとしています。

これは、評価項目に業績評価と行動評価という項目を作成し、業績評価では結果を、行動評価では業績の結果を出すためにどういう行動をするのかということを、本人と上司で事前に確認して目標設定をしたうえで、設定したその行動自体ができたか、できたその行動が結果にどう影響を及ぼしているかによって評価を行うシステムです。

この評価システムの肝は、目標を設定する段階で、評価者側、上司側がいかに適切な指導をしているかという点にあります。

これと並行して、「長時間労働」を行っている社員には「働くこと」の意識を変えていくような働きかけを行っているそうで、その一例が、営業の責任者による率先した働き方改革プロジェクトへの賛意の表明とのことです。


4 女性の地位向上

同社はまた、女性社員の比率が高く、その力をもっと活かしたいという思いから、4年程前から人材の発掘と登用、育成といったことを推進し、女性役職者を増やしていく試みを行っています。女性役員比率を20%、部長職比率を25%以上、マネージャー比率を30%以上とすることを目標としています。現時点では、それぞれ達成率が半分程度ですが、各職場において積極的に女性管理職候補者の発掘、育成、登用の動きが定着しつつあるそうです。将来的には、女性だけではなく外国人社員の活躍も広がっていくことが期待されるため、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する活動は今後も重要だと認識しているといいます。

 

5 健康経営への取り組み

①従来からの活動

グリーンハウスの健康経営に対する取り組みは10年以上も前に始まっていて、現在も社内で様々なプロジェクトが進んでいます。特に「歩いて健康プラスワン」というウォーキング推奨プロジェクトは人気で、チームを組んで競い、毎年優秀なチームを表彰しているとのことです。

また、4,000人以上在籍しているという65歳以上の従業員について、体力面から業務負荷や労働時間の管理を徹底しているそうです。


②健康経営・ダイバーシティ推進室

昨年春に萩原取締役が「チーフヘルスオフィサー(CHO)」という健康経営推進の責任者として任命され、それを遂行するための組織として「健康経営・ダイバーシティ推進室」が設置されました。

もともとグリーンハウスはお客様に健康的な食事を提供することを業とする会社であるため、健康促進に関しては、ビジネスとして長年培ったノウハウを蓄積していた。このノウハウを社員に対しても積極的に活かしていこうということで、昨年オフィシャルな形で組織化したのがこの組織です。

今までプロジェクトとして動いていた健康経営に関する活動を、健康経営・ダイバーシティ推進室ができてからは、全社を組織化した定常的な活動として定着を進めています。例えば、毎週フロア全体で行う会社全体朝礼の際に、月1回程度の頻度で、オフィスで働く人たちのための手軽にできるストレッチの紹介などをして、従業員の健康意識を高めるよう努めているそうです。

また、健康経営・ダイバーシティ推進室のメンバーがメールマガジンで季節ごとの注意事項や健康に関するちょっとした情報を発信するという形で、ヘルスリテラシーを上げるための情報発信を継続して行っています。

この活動には、グリーンハウスが開発した「あすけん」という会員180万人に増加中の食事管理アプリも大いに役立っているといいます。「あすけん」を利用したダイエットプログラムにチャレンジする人を社員から募集し、管理栄養士の指導のもと実践したり、上述の「歩いて健康プラスワン」参加者に「あすけん」に登録してもらい、これを利用して歩数の管理を行ったりしているそうです。


③広がる活動

さらにグリーンハウスは、受託する企業等の健康経営を食を通してサポートしており、2014年には「第3回 健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働省健康局長優良賞を受賞しました。「Kenko企業会」という民間団体の創立メンバーでもあるそうです。同団体には、今現在60社程の会社が所属していて、メンバーで「禁煙取り組み」、「食事による健康管理」等、色々なテーマを決めて分科会を作り、勉強会を開催して互いに啓発し合っており、社内外に活動の幅を更に広げているとのことです。

 

6 まとめ

取材前は「フードサービス業界において働き方改革は本当に達成しうるのか?」という疑問を持っていましたが、萩原様と樋口様のお話を伺うと、地道かつ着実な努力により、問題を一つずつクリアし、確かな改革を行うのだという強い意志を感じました。

グリーンハウス様にはぜひフードサービス業界の先頭に立ち、同社が目標としている働き方改革を達成していただきたいと思います。

以上

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