高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第6回】時短反対~労務管理のコツは忙しくすること(1993年11月17日)
労働時間の短縮が正しいなら、労働時間ゼロが正義となる。人は労働によってつくられる、というのが私の考え方の基調だ。だから労働時間の短縮は間違いだ。
人間が人間である所以の、手、足、口、頭を使って一番充実している時間は働いている時だ。働いている時間が一番人間的に機能しているわけだ。だから「責任ある仕事、厳しい仕事に耐えてきた人の顔は美しい」とか、同窓会で「各人の面貌に人生の軌跡を見る」などと言うのは、そのことに起因している。
労働時間の短縮は人間的劣化を招く施策であると言ってよい。
労務管理のコツは、忙しくすること。「小人閑居して不善を為す」というが、ヒマはろくなことがない。忙しく働くことによって、生産性向上という側面ばかりではなく、人間的な充実感を味あわせることが大切だ。
企業としての適正な労働時間とは何か。これは、競争力を保持できることを原則として、各企業で考えなければならない。私は「中小企業では年間2,000時間」と言っている。再建会社だと2,400時間。
私は、ある会社の再建の過程で社長代行を経験した。そのとき朝礼は朝7時からにした。労働時間の延長であるが、その努力を裁判所も認めてくれた。
ほとんどの企業では土曜日・日曜日は休みが慣例化しているが、社長、幹部は土・日も働かなくてはいけない。また、有能な人材は早く管理職にして労働時間の拘束から解放する方向をとらないといけない。
働くことは人間をつくるのだから、働き過ぎは悪いことではない。