「AIと私たち」 第8回

AIがAIをつくる未来

 

 AIは幾度かの「冬」を超えつつ(当連載第1回参照)も、着実に研究・発達・進化を遂げ続けている。四半世紀後に迫る「2045年問題」は現実となるのだろうか。

 

■2045年問題とは

 コンピューターチップの性能は18ヶ月(1.5年)毎に2倍になる、と予測した「ムーアの法則(1965年発表)」に基づいて計算すると、2045年にはコンピューターの性能が人間の脳を超える。これが2045年問題である。

 実際に、これまでコンピューターは「ムーアの法則」並みの速さで進化を続けており、「学習」が可能となったAIを備えればその進化は加速度的に進む。人類の知能を超えたAIが、更に自分よりも優秀な「AI」を開発すれば、AIは爆発的スピードでテクノロジーを自己進化させ、人間の頭脳ではもはや予測・解読が不可能な未来が訪れると予測されているのだ。文字認識や画像認識、フィンテックなど、既に特定の分野では人間を超えたAIが多々活躍しており、機械が独自の進化に踏み出す可能性を大いに感じさせる。

 コンピューターが人間を超え、人間にとって予測のつく限界の時点は「技術的特異点」と呼ばれており、これ以降の世界についてNASAとGoogleが協働で研究機関を作って議論しているが、コンピューター対人間の戦争が起きるとする説、私たちが現在いる宇宙とワームホールで行き来することができるもう一つの宇宙をコンピューターが創るとする説など、まるで映画や小説のような仮説ばかりである。この仮説こそが人間の脳の限界を示しているのかもしれない。

 

■AIは自発的な意思を抱くか

 AIが感情や意思を持つ可能性について、今のところ有識者の意見はまったく統一されていない。

 「人間の脳をそのまま再現できれば、AIも感情を持ち得る」との声や、「意識が生成されるカラクリが分かっていないのだから、AIが設計者の思惑を超えて原始的な意識を創発する可能性は0ではない」という声もある。

 一方で、「生命を持たないAIには生存本能がない。したがって、生存や増殖といった目的を自発的に持つこともない」として、それに伴う感情や意志も持ちえない、という声もある。肉体があるからこそ備わる感覚もあり、ロボットにセンサーを付けて感覚器を作っても完全に補えるとは言い難い。たとえば人間は赤ん坊でも「空腹になったら食べる」とか「動いているものに注目する」ということを知っている。これは人間が生物進化の長い歴史の中で、いわば遺伝子で獲得した常識である。生命があるがゆえのそういった基礎を持たないAIには、それを知識として学習することはできても本質的に身に付けることは難しいように思われる。

 しかし、冒頭で述べたとおり、AI技術は加速度的に進化しており、今日できなかったのだから明日もできない、というスタンスでの議論には意味がない。「人間がAIを作る」という固定観念を離れ、人間ならではの自由かつ豊かな発想で未来を描かねばならない。

 2019年時点において、生命の有無は人間とAIの最大にして決定的な違いである。しかし、「生命」あるいは「肉体」の定義は、50年後、100年後も変わらないだろうか。「生命」や「肉体」があるからこそ生まれ出るとされる目的を、AIが持つことはないと言い切れるだろうか。人間の意思によるものか、あるいはそうでないかは分からないが、「AIがAIを作る」とき、人間の推し量れないAIが生まれる可能性は否定のしようがない。

 誰かが課題を指摘し、解決したいという需要が出てくれば、その技術的限界はなくなっていく傾向にある。人間がより進化したAIを求め続ける限り、AIが、創造力・感情・本能といったものを備える可能性はあるといえよう。それを念頭に置いた上で、人間とAIとの共存を考えなければならないのである。

 

まとめ

・2045年にAIが人間を超えると予測されている

・AIが意思を持つ可能性は否定できない

・あらゆる可能性を視野にAIとの共存を検討せよ

(第8回ここまで/担当 高井・團迫・宇津野)

 

 

 

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