高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第7回】「とりあえず3連勝」で勝ち癖をつける(1994年2月2日)
私がある会社の建て直しを手掛けたときのこと。「気がかりなことは何か」と聞いたら、「これだけ人数が減ったら、再建に必要な売上が達成できないのではないか」ということだった。倒産寸前会社だから、皆の士気が萎えているわけだ。挑戦への意欲を鼓舞するためには、まず勝つことの喜びを味合わないといけないと判断した。
そこで「3連勝主義」というのを掲げた。勝てる目標だけ3つ立てて毎日3連勝、あるいは毎週3連勝する。期間はどのように設定してもいい。とにかく勝ち癖をつける。どこかで負けたら、その時点でまた3連勝3連勝、とつづける。
目標は個人ではなく、チーム単位で立てて実践する。一番最初に3連勝した部・課・チームを賞賛するシステムをつくる。
弁護士はクライアントに「難しい」と言うのが常で、私のように「大丈夫、大丈夫」と言っていたらありがた味がなくなるように思われる。しかし、それによって結局は元気が出て、競争相手を凌駕し、難局を克服していく。
私は「大丈夫、大丈夫」とことさらに言う。クライアントが大丈夫と思っているときには言う必要はない。クライアントが、心配だ、危ないかもしれないと思っているときに言うわけだ。そう言われると出来るかもしれないな、と錯覚に陥る。それでいいのだ。だんだん本気になり、錯覚にとどまらないわけだ。
兵は勢いなり、「勝ってますます強くなる。」まさに孫子の兵法にある通りだ。とりあえず3連勝。その勢いをもって本丸攻撃に移る。