高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第8回】社長への信頼感をいかに高めるか(1994年2月23日)
まずは、コミュニケーション。意思疎通というのは非常に大切。仕事の関係が終わったからといって年賀状も出さないのは論外。私のことを覚えていてくれているという世界が精神的結合の基盤だ。その実践策がコミュニケーション。
私の場合、先方が私の不在時に電話してきて「また電話します」と言っても、すぐこちらからかける。「午前中は不在ですが午後には戻ります」という伝言には、午前中であってもすぐに電話を入れる。不思議なことに往々にして在席している。すると先方は感激するわけだ。迅速に、密に。これがキーワード。
第2は態度、礼儀。謙虚さが基本だが、加えて責任転嫁しない、反省する気持ちが大切。責任転嫁は一番嫌われる。苦しくなるとすぐ逃げ出す。これでは頼りにならない。不安感、不満感を抱かせる極みだ。
第3に能力。社長として要求される能力は様々あるが、信頼感の観点から言えば、包容力、指導力、統率力、企画力が大切だ。
包容力とは「違う心を受け止める力」である。人の話を聞いてやる。心をひとつにするとは「人の意見を聞いて自分の意見と違うことを確認する」ことから始まる。偽りや見せかけの一体感ではいけない。
指導力とは、相手の意見の欠点を上手に指摘できる力である。「君の意見もわかるが、この点はどうかね」と。
次は統率力。誰から口説いたら一番早くチームの心がひとつになる可能性が高いか、どうやったら心がひとつになるか。説得の手順と手段を決める能力でもある。
指導力と統率力は違う。指導力は1対1の家庭教師の役割である。だから欠点を上手に指摘して指導する力。統率力は、学校のクラス担任と生徒の関係、組織をまとめる能力である。
企画力の本質は「危険予知能力」。これをやったらどういう障害が起きるか、という状況の想定ができ、想定問答、想定状況が紙に書けること。