第11回 生物界での「無用の用」の効用

 

あすか人事コンサルティング
代表 太田 正孝

 

 秋も深まり夜空も透明度を増して宇宙や天文好きの人には良い季節になってきました。

 今年も宇宙に関する話題は豊富でしたが身近なところでは「はやぶさ2」が小惑星リュウグウでのミッションを完遂して地球への帰還の旅についたことでしょうか。来年の今頃はサンプル回収の成功で大きなニュースになっていることでしょう。2020オリンピック・パラリンピックと共に来年の楽しみの一つです。

 

 デジタル技術の急速な発展によって天体の観測技術や探査手段が高度になり宇宙の謎がつぎつぎに解明され特に天体ファンの好奇心を刺激してくれています。太陽系の外から飛来した長さ400mの葉巻型をした不思議な物体(オームアムア、宇宙人の乗り物か?)を詳しく観測できたことなど夢のようです。iPS細胞を駆使して長生きすれれば宇宙人に会えるのでは、といったSF的妄想も少しは現実味を帯びてきています。

 

 「最近の宇宙の話はなに?」と高井先生からお会いするたびに聞いてもらえるのでUFO話をするのですが今いち話が弾んでいかないのが現実です。理路整然さを誇る弁護士先生を相手にその対極?にあるUFOをネタにすること自体に問題がありますが、私の「言いくるめ」能力を磨いて機会があれば再トライしたいと思っています。UFOを含む宇宙がらみの話は最終回で書こうかなと思っていますので今回は前振りとして生き物と時間の関係などを書いてみたいと思います。

 

 映像や音声の世界もデジタル技術の進展で様変わりしました。この技術の応用範囲が広がったことで悪用されるケースも増えてフェイク映像・音声も日常茶飯事に見られるようになりました。普通のTV放送でも真偽の判別がつかないような映像が流されたり、さらには町中にある防犯カメラとAIと合わさることによって誰かを監視しようとすれば簡単にできる気色悪い時代になりました。勿論本来の目的に沿ったテロの抑止や治安維持などに役だっているのは当然で、身近なところでは犯罪現場に残された映像などから直ちに犯人を特定し逮捕できた事例などが挙げられます。

 今後さらに技術が進むとオリジナル映像に手を加えて映像を改変、ねつ造することも容易になってくるので近いうちに「監視カメラが捉えていた」というのもフェイク画像である可能性が出てくるようになることでしょう。究極には過去現在未来という時の流れも一方通行でなくなっていくかもしれません。

 

 先日ケーブルTVの番組で色んな植物が成長するさまを時間短縮の編集をしたもの、「超早回し映像」を見ました。蒔いた種があっという間に芽吹き、動物のように激しく身を振り動きながら成長していく姿、さらには植物が発する独特の声というか音、さまざまな音楽を聴かせると明らかに異なる反応をする様子など、感動的でもありました。

これを見たあと「植物と動物は本質的に同じではないか?」とか「時間とはなんぞや?」など今までの常識が正しいのかと思うと共に生物学に興味がわいてきました。

 

 昔、歌う生物学者として知られていた本間達雄氏の著書「ゾウの時間ネズミの時間」に書かれていたことをその時に思い出しました。

 あらためて本を引っ張りだして調べると「哺乳類は心臓が15億回脈打つと寿命がつきる・・・動物共通の定め・・・激しい鼓動のネズミは早死にし、ゆっくりとした鼓動のゾウは長生きする」というようなことが書かれています。動物の寿命がこのような定めにあるとすれば動物種ごとに時間の進み方が違っているということを意味します。(例えば蚊を両手でたたこうとするとき蚊から見て人間の動作は超スローなので逃げおおせると聞いたことがありますので生物全体に成り立つ話かと思います。)

 

私たち人間が自然に生活できる環境で心臓が15億回脈打つということは40才を過ぎる頃に到達する計算になります。(織田信長の名台詞とされる「人生50年・・」は正解だった?)

 

  現在、清潔な生活環境や医療サービスが得られ長寿国になった日本では新陳代謝がすすまずに高齢化社会となり、人事の世界でも定年は60~65才位に上がりました。アニメで有名な「北斗の拳」のケンシロウの「おまえはもう死んでいる・・・」になぞらえれば40才で寿命が尽きているはずの多くの人が100才に向かって長寿になってきています。勿論これはハッピーなことであるのは言うまでもないのですが、老人福祉や年金など深刻な社会問題が生じているのも事実ですし、特効薬的な施策もなく難儀な道を歩んでいくほかないようです。

 

 また現代の人間は生命体として自然の中で普通に生きるのに必要なエネルギー量の30倍を消費しているという説があります。これは体重4トンのアジアゾウの必要量に匹敵するそうで多くの人が自然寿命を越えて生きるには更に大きなエネルギー負荷が社会にかかることを意味します。この負荷を担うためのエゴイスティックな紛争は残念ながら今後も絶え間なくつづき、将来、宇宙人が姿をあらわすまで人類の宿痾でありつづけることと思います。 

 次にエネルギーの量から効率へと目を転じてみたいと思います。

 一般に大きい動物の方が小さいものより生命維持に使うエネルギーの使用効率は高いそうで「進化はエネルギー効率があがる方向に向かう・・」ために大型化するのが進化ということです。

 これを人間社会に敷衍すれば「人工的な組織も効率アップの方向に進化する」ということを意味するので、企業組織にあてはめると大企業になるほど効率は良くなっている筈です。すべての企業の始まりは小さい企業であり発展の歴史を重ねて進化しつづけるうちにいくつかは大企業へと成長したわけです。小から大への道をたどったということは動物の進化と同じで、大企業と中小企業の社員一人あたりの労働生産性では大企業の方が上回るのが自然ということを意味します。実際に双方を比べてみると大企業では何を担当しているか不明でヒマそうな人がかなり多く見受けられますが社員数の多さの中で吸収され全体としての人員効率が高いのが普通です。

 外資系会社は大胆なリストラをすることがありますが日本の会社ではまだ一般的ではありません。なぜでしょうか。日本では解雇にいたる厳しい制約要件があること、家族的な経営スタイルから解雇が抑制されるなど、よく指摘されますがそれだけでしょうか。私が考える答えは高井先生のこのブログタイトルにある「無用の用」、まさにそれだと思っています。蟻の例でいえば一つの巣にいる蟻の二割が「サボリー蟻」、よく働く蟻だけを集めて巣をつくっても直ぐに二割が「サボリー蟻」になるという面白い観察報告があります。企業社会でも二割の「サボリー蟻」を養えるほど大きくなって「大きいことは良いことだ」と言えるよう進化していきたいものです。

終わり

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