高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第13回】役員の退任規定には「社長が推薦し」の一項を入れよ(1994年9月28日)
人事権は社長の特権である。新任役員の選任についても、前項の「神棚意思決定」で指摘したように、他人の意見は聞いてもそれに左右されないことが大切である。最終決定はあくまでも社長が独自に決めたというプロセスを演出することが非常に重要。
さて、社会も企業も実力主義が色濃く反映するようになったが故に、協調性、連帯感、助け合いが大切だ。企業は組織社会だからである。そこで役員の選任にあたっては、能力だけでなく、ことのほか人間性を尊ぶ心構えが必要である。正確的に偏った人物を選んではならない。実力主義が言われるだけに、能力については多くを語られているが、それだけに人間性、とくに社長との信頼関係が問われなければならない。
逆に言えば、社長自ら全役員と信任関係に立てるよう努力研鑽することが大切だ。「社長はやり手だが人間的にはイヤ味だ」ではいけない。
役員の選任にあたって社長の支配力を表現するポイントは、役員に就任するには「社長が推薦し、株主総会にはかり、その議決を得なければならない」という項目を役員規定に明文化すること。「社長が推薦し」は商法の規定にはないが、役員規定として入れる。
そして新任役員を発表するときは、まず神棚に祈って、次に「中には勇退していただく方もあるが、しかしこれは、わが社の展望を見据えた末の経営責任者としての私の決断であるので、ご了承いただきたい」と前置きして進めることが大切である。