2020年2月19日のアーカイブ

 

引き続き若手中国人の米留学生による米国所感を連載いたします。

 

第5回 アメリカのエンターテインメント
~Marvel Japan Market~

 

 派手な服装に身を纏ったスーパーヒーローが活躍し、世界を救う。そんなシナリオのいわゆる「アメコミ映画」は世界に浸透しつつある。ディズニーが所有するマーベルスタジオが制作するマーベル映画は現在20作品以上も上映され、2019年に上映された「アベンジャーズ/エンドゲーム」は「アバター」や「タイタニック」といった名作を抜き、興行収入歴代一位となっている。筆者がアメリカにいた頃、マーベル映画が公開される日は町中が浮き立つ空気になり、映画館では拍手喝采が起こるほどの一大イベントだった。

 しかし、「アベンジャーズ/エンドゲーム」が公開された2019年に、世界中で興行収入一位がマーベル映画に塗りつくされていた中、日本では名探偵コナンの映画が首位に立っていたことで注目を浴びていた。文化の近い隣国の中国や韓国でもメガヒットを出し続けるマーベルスタジオはなぜこうも日本の特殊すぎる市場で他国に比例するヒット作品を出せないのか。

 一つ理由として考えられるのが主人公の年齢だ。日本は漫画、アニメ、映画などのエンタメ業界でやたらと若い主人公を採用する。対してアメリカではハリウッド映画をはじめ、ほとんどの主人公が中年だ。ここには根本的な、成長に対する文化的な考え方の違いが存在する。日本では30歳を超えたら安定した定職につくことが昔から一般的、あるいは理想的とされているため、安定した将来のことよりも自由を謳歌できた10代20代を見ることを好む傾向にある。一方、個人主義の強い欧米では大人になり、親元を離れて独立することで自由を手に入れられると考える傾向にあるため、中年のスーパーヒーローは皆が将来なりたい理想像となっている。

 この理論からすると、青年のピーターパーカーを主人公とした「スパイダーマン」シリーズが日本でもヒット作になったのにも納得がいく。現在リブートされたスパイダーマン作品では主人公が高校生となっており、日本で最も人気なアメコミ映画の一つとなっている。

 メディアやコンテンツを他国に輸出し、相手国の文化を「アメリカナイズ」する手から免れ続ける日本の市場を誇らしいと称揚する声もしばしあるが、私は将来を希望的に見る文化と過去を希望的に捉える文化では生き方や幸福度に大きな違いが生じると危惧している。

 

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