今回より、中国広州在住の私の友人による、中国における新型コロナウィルス対策をテーマとした連載を開始いたします。

 

【中国在住日本人から見た中国における新型コロナウィルス】
第1回 中国の防疫対策

 

 2003年のSARSは北京での封じ込めに成功したが、今回の新型コロナウィルスは武漢で封じ込めきれず、また運悪く春節直前という民族大移動の時期とも重なり、中国全土にそして更には世界中に一気に広まることとなった。

 2004年に初めて中国に足を踏み入れた際には、本来であれば北京で語学研修するはずが前年のSARSの影響で上海に場所を移した。そして、現在は2018年以降3度目の駐在で生活の拠点を広州としており、発生から現在に至るまで中国に駐在している日本人の目線で新型コロナウィルスを捉えてみたい。

 現在の欧米や日本における新感染者急増を鑑みると、中国における防疫対策と管理の徹底振りに目を見張らざるを得ない。2月に一気に封じ込め、3月も気を緩めず継続的に管理を徹底して諸外国からの入境を禁止し、4月初旬には回復を見極めた上で武漢と他地区の行き来を解放した。日本の動きが1ヶ月遅い!そして徹底が甘い!ともどかしく感じていた日本人もこちらには多い。以下中国の具体的な防疫対策事例を紹介する。

 

1.春節休暇の延長

 旧正月休暇(1月下旬~2月初旬)を1週間延期し、企業並びに学校などの休暇中の再開を禁止。

 

2.マスク着用義務

 外出時にマスク着用が義務付けられ、不要不急の外出を控える様に指示。当初はマスク不足もあり、1世帯1日1人のみ買物のための外出する以外は一切外出を控える期間が続いた。

※当初は、地下鉄でマスク着用していなかった男性が、駅員の下車要請を無視し続けたため強制的に降ろされる映像が出回った。

→感染者増のなくなった現在でも外出時のマスク着用は100%義務化されており、マスクをせずに外出している人は皆無。

 

3.企業・教育・商業等活動の管理

 企業・学校・商業・娯楽施設の営業・稼動停止を徹底。スーパーなど生活に必要な施設のみ営業。また、地方政府によっては国の指示を更に強化した施策を展開。

 

(1)企業の稼動

 春節休暇以降も必ずしも春節明けの2/9に再開できず、更に1週間2週間後に再開する企業もあり。また、再開後も在宅勤務・テレワークを推奨し、2月中は原則在宅勤務を徹底していた企業も多い。地方によっては在宅勤務を推奨ではなく強制させたエリアもある。 

→3月初旬からほぼ回復するも、テレワークを推奨し、会議はソーシャルディスタンスを確保。食堂は教室型に机を設置し、決して向き合うことなくしかも一定距離をおき、座る際にはその位置と時間を特定するためのQRスキャンが義務付けられた。

 

(2)学校の休校

 即全校休校、そのまま春休みとなり、4月開校は学校により少し遅らせるところもあり、早期にオンライン授業活用。

 

(3)娯楽施設・飲食店の営業停止

 レストラン・居酒屋などの飲食店、映画館や子供の遊び場などの娯楽施設などは、国の指示を受けて2月中は完全営業停止。

→2月下旬から順次許可を得て一部営業開始。入店前の検温・連絡先記載・署名は必須。レストランは開業当初、お客様同士のテーブル距離を離すなど対応。3月末までには全面回復。ゴルフ場などは、開業後も当面は更衣室・シャワーの使用は禁止。

 

 同じ対策を展開するにも、中国と日本においてはその徹底度合いは大きく異なる。中国は国の強制力が働くが故に早期の回復が実現したことは間違いない。自由度の高い日本において、ややもすると個人任せの状況が続けば危機を脱することはできないと危惧する。国・地方政府・企業・メディアなどからの各種発信や仕組みづくりと、個人が高い意識で対策を徹底してくれることに期待したい。がんばれ!日本!

 

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