引き続き、中国広州在住の私の友人による、中国における新型コロナウィルス対策をテーマとした連載を掲載いたします。
【中国在住日本人から見た中国における新型コロナウィルス】
第3回 中国の防疫管理 APP編
未だに各国で衰えることのない新型コロナウィルスに関して、これまでは2月に一気に封じ込めることに成功した中国における防疫対策と管理体制についてお伝えしたが、今回は中国におけるその管理が携帯電話のAPPを徹底活用することで、極めて効果的に成し得ていることをお伝えする。
1.穂康APP【本人入力情報】
企業や学校あるいは住居エリアの指示により、パスポートや生年月日の個人情報、過去の滞在履歴、湖北省在住者との接触有無、自身の健康状況などを携帯APPで報告することが求められた。最後に記載内容に偽りがないことチェック。その後は、QRコードの背景色で感染リスクの有無を一目でチェック、QRコードスキャンにより情報詳細の閲覧が可能となる。ほぼ全ての国民の情報がこのAPPを通じて一元管理されていると考えられる。商業施設などでは検温にプラスしてこのQRコード画面提示を求めるケースも多い。
①初期画面
②情報インプット画面(最終頁で申告内容に偽りがないことを保証する項目あり)
③QRコード(感染リスクがなければ背景が青色、リスクがあれば赤色)
「リスクあり」とは感染者のみならず感染者と接点があったケースも含まれる
2.疫病期間行程調査APP【携帯GPSの位置情報によるもの、本人入力不要】
過去30日以内の滞在場所を確認できるAPP。以下QRコードスキャン後に自らの携電話番号を入力すると、過去14日以内と15日~30日の滞在国あるいは滞在都市が表示される。当初は湖北省・武漢への渡航履歴が確認され、現在では国外からの渡航履歴が確認されている。商業施設・ゴルフ場など、人との接点が多い施設に入る際に、検温に加えて提示を求められるケースが多い。
①携帯電話キャリア別QRコード
②過去30日滞在国・都市表示画面
3.疫病情報共有APP
(1)感染者数(前日新増感染者数、総感染者数、死亡者数、完治者数)
エリアを入力することで当該エリアの感染者情報とその変遷を把握可能。
(2)感染者分布APP
住所を入力すると、当該エリアの地図にて、感染者分布のみならず居住マンション名までわかる。2月は感染者が多数確認できたが(以下①)、現在ではあまり確認できない(以下②)。
①2月22日時点
②4月12日時点
(3)公共交通機関感染者発生確認APP
日付と便名を入力すると、飛行機・鉄道などにおける感染者発生の有無を確認できる。
当初は自らが搭乗した交通機関にてリスクがあったのかを後追いながら確認するために活用した。
日本と中国では個人情報の取り扱いが大きく異なるため、現実的ではないこともあるが、こうして商業施設と国民のそれぞれが責任持った対応をせざるを得ない仕組みづくりは見事である。そして、実際に中国国民はコロナを恐れ慎重に対応している。長期化に備えてこうしたAPPによる対策も十分検討してもらいたい。コロナウィルスは対策さえしていれば避けることができること、誰もが保菌している可能性があること(発症しないケースあり)からも、一人ひとりが正しい知識と正しい行動で、早期回復を実現してもらいたい。がんばれ!日本!