2020年7月1日のアーカイブ

 

「中国の最新諸事情」
第7回 6月から続く豪雨

 

高井・岡芹法律事務所
上海代表処 顧問・中国律師 沈 佳歓

 

 中国では最近大雨が続いています。

 中国国営の宣伝部によると“四川省が80年ぶりの大雨に遇いました”、“その大雨の影響で各地域を合わせて、既に1000万人以上が被害に遭っています”。“数十年ぶりの大型豪雨に苦しんでいる、中国南部地域を中心に26の省、市、自治区を直撃し、甚大な水害をもたらしています”などの報道が相次いでいます。

 6月24日、中国人民日報も“雨が傾くように降り続く”という題を記事にし、6月に入って、豪雨により各地で洪水災害対応レベルをⅣ(最高級)まで切り上げました。

 問題は、その“未曾有”“歴史級”と言われる雨がまだ降り続いていることにあります。6月2日から、ほぼ毎日雨が降っていて、今日(7月3日)まで、一切止む兆しがありません。統計によれば、既に家や建物9300軒が崩壊し、直接的な経済損失だけで241億元(4000億円)に達しました。

 こうした中に、国外メディアから中国水利の奇跡と言われたあの三峡ダムが決壊危機に迫るのではないかという心配の声がまた上がってきました。

 三峡ダムは、中国のみならず、世界最大の水力発電ダムであり、全長は570kmにも及びます(東京から大阪までの距離は550kmです)。年間発電力はおおよそ1000億kwhで、この一つのダムで中国の年間総発電量の5分の1を占めます。

 三峡ダムに纏わる不祥事の声は、竣工当時から出ていました。設計ミスとか、欠陥工事などの見解は後を絶ちません。一定期間ごとに、カレンダーを巡る度に、ネットや外国メディアにより提起されてきました。2009年から10年間の間ずっと、本当に暇な人達です。まさに「隣の芝生は青い」ならぬ、「となりのダムは脆い」という発想です。

 こういうノストラダムス達に言いたいのは、時代は変わったということです。机上の空論からは何にも生み出せません。もちろん、私はテクノロジー至上主義者ではありません。自然に絶対勝つ、何も絶対に発生しない、というようなことは言いません。形あるものはいずれ崩れるでしょう、想定外の災害に遭遇したダムは今まで以上危険に曝されているでしょう。しかし、中国の政府、中国の人民達は必ず全力を尽くして、最善の方法でこの困難を乗り越えるでしょう。今までのように、これからも同じように。

 

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