高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第19回】著者は年功序列よりも実力を評価されることを望んでいる(1995年5月18日)
リクルートが7,000人を対象に調査した結果によると、「独立して仕事をしてみたい」と答えた人は42%超。その内4分の1は「すぐにでも独立したい」か「近いうちに独立したい」と答えた。
日本の経済は沈没の方向に向っている。このことは社長フォーラムで論証し続けてきたとおりだ。国に対する信頼が失われ、同時に企業に対する信頼も失われつつある。
企業も成長が止まる、衰退が始まる、社員数がどんどん減る。企業とともに歩んでいけば自分も小さくなっていく、という不安感、焦燥感。その一方で、しかし人間である以上、自律心、向上心を持っている。それ故に独立志願が強くなる。
皆さんの会社の社員100人中42人が独立したいと思っている。専務が、あるいは営業部長が独立するかもしれない。社長は、この調査結果を意識して経営にあたらないといけない。
再就職するとしたら、半数強が「年俸制の会社を希望」という記事がある。富国生命が20歳~59歳のサラリーマン500人を対象に行った調査結果だ。
これまで日本的経営として特徴づけられてきた制度の崩壊を目の当たりにしたサラリーマンたちが、意外にしたたかな考えを持って変化に対応している様子が読み取れる。
例えば、年俸制が導入された場合、自分の年収が「減る」と見るのはわずか6%弱。「同じくらい」が約半数の53%を占めるものの、「増える」が40%にものぼり、自負(うぬぼれ)のほどをうかがわせる。
再就職するとしたら、「年功序列の会社」(42%)よりも「年俸制の会社を希望」(52%)の方が多い。自分の実力を正当に評価される企業で働きたいという風潮が強いのだ。年俸制の会社の方が若者たちに歓迎される。これは独立志願が4割強いるのと同じこと。社員にどのようにしてやり甲斐という希望を与えるかが、企業経営者の課題となる。