高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第22回】製造物責任法(PL法)と社員教育(1995年9月20日)
PL法の施行によって、消費者からの問い合わせやクレームは間違いなく増加する。
あるメーカーでは、1995年の問い合わせは約25,000件で、前年比25%増。そのうち金銭要求をともなうクレームは0.3%あったという。因みにこの会社は支店ごとに顧問弁護士を雇った。
問い合わせをしてきたお客様がクレーマーになるかファンになるか、これは会社の将来を大きく左右する。そしてそれは、問い合わせを受けた社員の言動が分かれ道となる。これからは、電話の応対をはじめとするお客様とのクレーム対応教育は、いままで以上に意味をもってくる。
クレーム処理はトップダウンで取り組む課題だ。クレームが来たら、すべて社長まであげること。新商品、新サービスが出たときは、なおさらトップダウンでクレームを処理することが肝心だ。
営業担当に売上目標と販売テクニックだけを教える教育や、工場の社員にひたすらマニュアルによるチェックのみを教えるといった教育では、PL法への備えは生まれない。
PL法対応のキーワードは、「品質」と「安全」である。品質と安全がすべての部門で意識されるように社員教育を組み立てていく必要がある。理想的な姿は、それを何らかの形で1人1人の業務に組み込むことだ。さらには、取締役会をはじめとするすべての意思決定に際しては、品質と安全に配慮したかどうかを必ずチェックすることが必要であり重要である。