高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第24回】仕事は喜びであることを教えよ(1995年11月22日)
私は30年ほど前に、労働組合との対応において、「従業員に対して仕事は喜びであることを教育していかなければならない」と主張した。これは私のセミナーの基調のひとつである。
人間であることの証明は、まさに足腰を動かすこと、手を動かすこと、口先を動かすこと、頭を働かせること、つまり労働することにこそある。このように人間にとって根源的な労働が苦痛であるはずがない。言い換えれば、労働することは人間であることの証明である。
その労働が苦痛であるとされる所以は、それが義務であること、拘束されているものであるが故だ。
だから労務管理の基本は、統一した労働、組織ある労働、目標ある労働を、いかに義務感や拘束感を排除して実現するかにあり、その具体的実践に努力しつづけることにある。
農業であれ、製造業であれ、商業サービス業であれ、みんな同じ。そしてソフト化が進行する。頭脳労働の時代になればなおさらである。
「走れ」と強制すれば人は走るだろう。走れないとは言えない。しかし頭の方は強制されても「頭がまわらない」と言える。つまり、思いつかない、アイデアが浮かばない、と言える。労働が喜びであることを味合わせるシステムでないと、頭脳労働、「思う」、「考える」、「感じる」機能は発揮されない。ソフト企業は成果を挙げることができない。