2021年2月24日のアーカイブ

「明るい高齢者雇用」

第23回 雇用阻害要因:若返りが活性化か―労組も“自己保身”― 

(「週刊 労働新聞」第2169号・1997年9月22日掲載)

 

 企業側の姿勢にある障害に次いで、高齢者雇用を阻害する2つ目の要因は労働組合・社員自体のエゴである。制度上の問題以上に大きい障害となりかねないが、組合内部や社員の意識の問題かもしれない。

 (イ)“高齢者を抱える・養う”という感覚自体が高齢者雇用を阻害していることは言うまでもない。要するに、若年者が「自分の負担になる」ということで60歳以下の者の排除をサポートしようとする。労働組合・社員も活用に消極的なのである。

 (ロ)また昇進人事関係面での排除賛成論が根強い。人事ローテーションを図るためには、高齢者は不要である、むしろ障害になるという考えである。若返りこそが活性化であるという信仰は、社員にも根強い。それに労働組合も呼応している。そのことは、団塊の世代自体が、明るい職場には若返りが良いと考え、明日はわが身であることを忘れているということでもある。

 自らのエゴを若返りとスリム化の建前論で正当化する50歳前後の団塊の世代の諸君はあと10年もすればわが身に定年が降りかかってくるのであるが、その時になれば今度は65歳以上の高齢化率が20%を超えることになった現実を声高に唱えて継続雇用の主張を始めるというのであろうか。高齢者雇用はすぐにはできない、時間がかかるのであるから、その時になって始めろといわれても、団塊の世代の諸君には間に合わないことになるのである。

 (ハ)実力主義・成果主義と声ばかりは高いが、内実集団主義の美名の下で年功処遇が横行しているところが多い。その結果、働きのない者がいてもそれなりの人事労務管理上の処置をすることなくのさばらせながら、真に排除すべき者を放置しておき、定年制という無難なスクリーンに委ねて、安易な方法によって排除しようとする。つまり、定年制という便利な伝家の宝刀に任せてそれを持つということである。組合もこのやり方を良しとしているようである。定年で退職させられるのでは組合としても文句は言えぬが、定年前ではどんなに能力のない者でも守らざるを得ない。

 また、継続雇用を組合が要求しても見返りにベアを低く抑えられたりするし、継続雇用の低賃金労働者を抱え込むことで組合としては余り得策ではないと考える向きもあるのではなかろうか。パート労働者の取り扱いについてパート労働者を組合内部に吸収することは得策ではないとする議論が組合内部にあると聞くが、高齢者の問題も組合にとってはこれと軌を一にする問題のようである。すなわち組合は、継続雇用で低賃金労働者を容認することは絶対に出来ないとして高齢者の労働条件の高値安定を要求する。そのことが継続雇用を困難にしても、低賃金労働者や条件劣悪者を抱え込むことで自らの運動の足を引張られることにならず済む方が良いとでも考えているのであろうか。

 能力・体力・やる気に大きな差の出る高齢者の賃金を画一的に高値安定させようという要求は不可能を承知で言っているとしか思えない。ここにも総論賛成・各論反対の世界がある。

 

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