高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第27回】1回の訪問機会を最大限に活かす(1996年3月22日)
私は1日に10本前後の手紙やFAXやメールを出す。書くのは大変だからテープに吹き込む。それを秘書が文章にして送っている。
内容は、まずはアポイントをいただいたお礼状。2日ほど前になると「予めご検討いただければ幸いです」と、訪問するにあたってのお願いを出す。そして訪問した後のお礼状。
1回の訪問を多重的に使う。これは人間関係を密にする最もいい方法だ。15分間の面談の前後も手をかえ、品をかえて意思疎通をはかる。そのとき、自分が相手に求めることはなるだけ少なく、できたら1つだけにしておく。情は人のためならず。結局は全部自分に返ってくる。
営業マン教育では「営業は偶然と奇跡の連続」ではあるが、「そうではない」と教えなければ「偶然を必然にする」とか「奇跡を平常にする」ことはできない。運を否定しなければならない。チャンスは自分でつくるという思想で教育しなければならない。
そしてチャンスを活かすためには、いつも工夫しなければならない。
私は、2回目の訪問で状況の進展がみられないと感じたら、3回目から別の方法を考える。セールスに100回通って注文をとったという成功談があるが、それは人的資源とヒマが充分にあった過去の話。いまはそれを実践してはいけない。反復行動が成功する確率は、行動を重ねるたびに小さくなっていく。3回目は別のやり方を工夫しないと成功率はしぼむ。
営業で初めてのお客様となった相手先には、社長は必ず訪問すること。これが営業の秘訣。初めてのお客様は、見込客がお客様になった歴史的瞬間である。営業部長と一緒に社長も行く。そしてこれは先方の社長、担当部長に会える絶好の機会でもある。営業安定の秘訣だ。そして訪問後は必ず礼状を出す。