高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
<第33回>育成機能のない評価制度は凶器になる(1996年11月21日)
評価制度は単に格付けするだけではなく、「育成する」という意識がなくてはうまく機能しない。
実力主義は結果重視型になりがちだが、評価においては、努力、人間性、気配りなど、プロセスを重視することが必要だ。人間性をないがしろにする評価では人の活性化はできない。この意識がないと、とかく「結果さえよければいい」という、手段を選ばずの世界に陥る。育成機能のない評価制度は、恐ろしい凶器となる。
風土刷新を掲げつつ、原生な秩序づけを成果主義とともに同時並行的に推進することだ。
そして評価基準と評価結果は必ず明確にすること。とくに評価基準は、まずは管理職者に期首に公表しなければならない。評価がオープンでないために、評価する側の真剣さが低下する。また評価される側が、一般的能力ではなく特殊な能力を求められるならば、自分はどんな能力が欠けているのかわからない、といった弊害も生じかねない。
評価で格差をつけたら反発が起きるという心配は無用である。やってみると案外アッケラカンと進む。ざっくばらんにホンネでやる評価、そういう時代である。
マネジメントとは自分自身の働きではなく、部下にやる気を起こさせる働きかけであり、部下が他人を手助けしたいという気持ちを湧き上がらせる力である。
そこで評価による育成テーマは、社員によってターゲットの絞り方を変える。「君はこれだよ」とズケッと言う。そのうえで「だから、こうしろよ」と1つ2つ付け加えればいい。評価のときだけではなく、つねに現実の業務を通じて評価結果に照らし合わせた指導育成をはかることが大切だ。こうなると「人材育成」の世界が実践できる。