高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
<第41回>社員のストレス解消策を急げ!お客様からのクレームに注意せよ!
(1997年10月14日)
※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。
企業の問題で最近多くなったのは自殺と放火。私が担当している会社も2社が新聞に出た。いずれも社員による放火が起きた。
このような事件は、実力主義、成果主義で落伍する社員のフラストレーションが高揚して起こる。彼らの健康管理も大切だ。傷ついた社員が極めて罪の重い犯罪を起こしてしまう。殺人罪は3年以上の懲役から死刑までだが、放火は5年以上の懲役から死刑までと、放火は殺人罪よりも重い罪である。公共危険罪だから刑罰は非常に重くなっている。そういった重い犯罪を大企業の社員がやり出す時代になった。
私は「上手に人を辞めさせたい」という本の中で、実力主義、成果主義ではフラストレーションが溜まる、と書いたが、まさにそれが現象として明確になった。社員のストレス解消策を積極的に行ない、気配りすることも経営の課題として大切である。
手法は色々あるが、社員の異常な言動についてお客様から投書してもらうのが1つ。社員の異常な言動についてのクレームがあったら、慎重かつ果敢に対処する。上司や同僚の前では真面目でも、お客様の前で異常な行動をとっている者がいる。
第2は、社員が精神科医と電話で匿名で相談するシステムを作り、社員の配偶者からの相談も受け付けるようにすること。たとえ匿名でも社員が電話したら会社にわかるから本人は絶対に相談しない。配偶者を通せば自分だとわからない安心感が生れ、率直に相談する。
今、まさに精神健康管理が大事。自殺、喧嘩、放火などの様々な現象が、中小、零細、微粒子企業ではなく、一流企業で起きているのが問題なのである。企業は精神力の弱いものを抱えている以上、どこでも起こり得ることだ。
それにはまず、社長は優しい言葉をかけたくない人にも時々は優しい言葉をかけないといけない。幼稚園で子供を成長させる方法として、声をかけることが第一に挙げられている。社長が目線を合わさないことが2か月もつつけば、自殺するか放火するかと言う時代になってきた。