高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
<第44回>企業経営に必要な「空気」づくりを
(1998年1月13日)
※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。
サッカーW杯日本代表チームの岡田武史監督の心の支えになった本は山本七平の『空気の研究』だったという。
刑事訴訟法は刑事裁判の手続きで、民事訴訟より厳格な証拠を要求する裁判手続きだが、後に東京大学の総長になった刑事訴訟法の平野竜一先生は「裁判に勝つのは法廷の空気がどちらを味方しているかで決まる」と述べていた。「証拠」ではなく「空気」だというのだ。
中国の方言にも「お白州で決まるのではなく、村で決まる」とある。村の空気で決まるというのだ。
企業経営で忘れてならないのはこの「空気」。だが、経営者は空気だけに頼ってはいけない。細かいデータを踏まえた空気づくりが大切。うまく経営の出来ない経営者はこの空気づくり下手だ。空気とは「勝ちムード」である。
そして経営者は、数字を忘れてはいけない。それが細かいデータである。その上で、会社が伸びているとか、発展しているとか、よその会社よりよくなっているとか、回復基調にあるとかいったような、空気づくりを念頭に置かなければならない。