高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
<第45回>自動化ラインよりも人間の力を活かす工場・経営体へ
~流れ作業よりもチームで完結するモノ作り~
(1998年3月18日)
※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。
前回(1月13日)に、セブ島のミツミ電機が13,000人を使って工場でモノづくりをしている話をした。自動化ラインがないことに驚いたが、完全自動化よりもその方が生産性が上がるという工場長の説明に感銘を受けた。その話をした日の夕刊に「自動車組み立てラインの新傾向」という記事が出た。私の方が数時間、早かったわけだ。
人間の力を活かす方法で経営体を考えなければいけない。機械は補助道具だと思って経営すること。人間が機械に使われる工程を作ってもうまくいかない、という結論を、人が有り余っている海外で実践している企業が成功しているのだ。
ワタベ上海を訪ねたら、生産性も品質も美意識も見事に整っていて唖然とした。教育次第である。中国人だからどうだということは全くない。
ワタベではウェディングドレスを作っている。非常に細かい仕事で美意識も品質もスピードも要求される。その中で様々な工夫をして生産性を上げていた。
流れ作業ではなく、各班10名の中で仕事を完結させる。そして、1着作るのに30時間かかるとしたら、それを25時間でやったら5時間分のボーナスを出すシステムをとっている。もちろん品質テストで合格したものに限る。これは日本でもどこでもできる。そして完全受注生産である。
また「必要なモノを、必要な時に、必要なだけ」というモノづくりの基本を徹底して教えこんでいる。
これまでいろいろな企業を見てきたが、ワタベ上海がナンバー1だ。本当に「やればできる」という世界を見た。