境健一郎の「高井先生との出版」の最近のブログ記事

 

第3回 『3以内に話はまとめなさい』(1)
できる人と思われるために

 

(前)株式会社かんき出版 社長
コトづくり研究会 代表
境 健一郎

 

 高井伸夫先生が、かんき出版で2冊目に書かれた本が『3分以内に話はまとめなさい』で、これまたベストセラーになりました。

 この本は、先生が行動軸とされている仕事の濃密化・スピード化、そしてコミュニケーション能力について、「話す力」に焦点を当てながら書かれています。

 キーワードは「話をいかに短くするか」です。

 これを意識し続けていると、話し方がうまくなるにとどまらず、自分自身が磨かれ、デキル人と評価されるようになる――そんな本だと評判になりました。

 

 引き続き表題の書籍から、【高井語録】を集めてみます。

 

  • 3分以内に話をまとめる訓練の効果

 「自分の立場が上がったりお付き合いが増えてきたりすると、上司に報告・連絡・相談をする、部下に指示を出す、自分の提案をプレゼンテーションする、会合などでスピーチをする……など、話をする機会がますます増えてきます。

 そんなとき、長い話をする人は、何を話したいかを決める論理力、要約力がないと思われる。

 さらに、聞き手の気持ちを理解していないと思われる。なぜなら、人の話を聞くのは、話すより三倍以上エネルギーがいるのです。このことが理解できない人、思いやりがない人、と思われてもしかたありません。

 話す力を磨くためにも、『3分以内で話をまとめる』という訓練が一番よいと考えています。話を短くまとめる能力を磨くことで、日本人がとかく苦手としている

 ➀論理的な話の運び方

 ②独創的な発想

 ③状況変化に適応する即応性

 ……などが一緒に身についてくるからです。

 

 『ごく簡単な内容なら3分もあれば十分だが、本格的な交渉事や込み入った問題になったら、そんな短い時間で済むわけない』

と思われる人がいるかもしれません。でもデキル人の話しぶりを観察してみてください。みんな短く済ませています。だから多くの仕事をこなせる。話もその例外ではないのです。

 時間があると思うと、どうしても無駄な会話が増えてきます。

 『3分でまとめよう』としたら、どうしても必要な話だけを簡潔に要領よくしようと必死に努力するでしょう。人為的にそういう環境をつくって時間の無駄を省き、簡潔に話す能力を磨くことです。

 『デキル人は多くの時間を持っている』

 『仕事は忙しい人に頼め』

 とよく言われます。

 誰にも等しく与えられた24時間なのに、デキル人がたくさんの仕事をこなせるのは、一つの事柄に費やす時間が短いからです。短い時間を濃密に使っているのが、デキル人の特長なのです」

 

  • デキル人の話し方3要素

 「1つの話に対して3分以内のテンポで話がテキパキ進んでいくと、お互いに快感を覚えるようになり、自然に頭の回転もよくなり、動作も機敏になります。この仕事の快感テンポを味わえたらしめたもの。常にその線を目指して努力するようにすれば、自然に仕事のレベルアップができてきます。

 デキル人の備えるべき話の3要素は次のことです。

 ・きわめて手短である

 ・全体に対する目配りをしている

 ・確信を突く

 どんな場合でも、話はできるだけ『短く済ます』ほうがよいのです。

 その理由は、時間を合理的に使うということですが、もう一つ、短い方が印象に残るからです」 

 

  • 短い時間で感動を与える

 「話をする目的とは、広義の説得です。説得方法には、感動による説得、理性的・理知的な判断による説得、あるいは損得勘定による説得、場合によっては恐怖・脅迫による説得があります。

 もちろん一番好ましいのは、自分のしゃべったことに相手が感動してくれて、自分の思うとおりに行動してくれたら言うことはありません。しかし、それには手間がかかりそう。そこで人はどうしたら数分の短い話で感動してくれるか考えてみましょう。

 

 そのためには『真・善・美』について語ることが効果的です。

 第1の『真』。これは『本音で語る』ということです。つまり真心をもって相手に語りかける。そうすれば相手の真心に触れる。こちらに真心がなければ、相手も決して心を開かない。だからどんな場合も、誠心誠意話をすることが肝要なのです。誠意を込めて語る言葉にワンフレーズが多いことは、名作映画の名場面を思い出していただけるとわかるはず。クライマックスに主人公が話す言葉は短い。

 第2の『善』。これは『前向きな気持ちを駆り立てる話』です。事務所に相談に来る人に私が言うことは『大丈夫、大丈夫』です。そうするとわずかな時間の面談で見違えるように元気になる。これは理性的な理解ではありえない。人を元気にさせるには、未来へ向け希望が持てるような前向きな方向で話をまとめること。これが感動を呼び起こす大きな要素になります。

 第3の『美』。これは『表現手段』と考えてください。同じことを語っても、とげとげしい言葉で語るのと、まろやかな言葉で語るのとでは、相手が受ける印象が違ってきます。だから語るときは、美の構成要素である明るさ・力強さ・優雅さを取り入れた話をすることです。

 

 真心を込め本音で、相手が前向きな気持ちを駆り立てられるような内容を、まろやかな言葉で語れば、短い時間でも相手は感動します。長い話はまったくいりません」

 

  • 最初に「結論」を持ってくる

 「限られた時間で簡潔に自分の言わんとすることを明示するには、まず結論をはっきりさせなければならない。ではどうやったら『最初に結論ありき』の話ができるか。

 条件はいくつかありますが、いちばん大切なのは瞬間的な判断力。これは日頃から意識して訓練しておく必要があります。そのためには、まず結論を先にもってきて、後で理由を縷々(るる)説明していく習慣を身につけるのです。もし説明が中途半端で終わっても、こちらの結論は明確に伝わっているので最低合格点はもらえます。

 結論がまだ簡単には出せないようなときでも、話を簡単に仕上げるには、結論でなくても結論らしきものでもいい。とにかく、両者の話の拠り所になるような前提を1つ掲げて、話を進めるのがベターなやり方と言えます。

 いずれにしても結論を先に言う訓練をすると、その分、思考力も鍛えられることになります。

 『あわてて結論を出して間違っていたらどうするんだ』と心配する人もいますが、中国の兵法に、『兵は拙速を聞く、巧遅を聞かず』(上手で遅いより下手でも早い方がいい)と書かれています。つまり、早ければミスに気づいても、すぐ次の手が打てるからです」

 

  •  相手巻き込んでしまう話し方

 「こちらが一生懸命に話しているのに、相手が少しも乗ってくれないときがあります。部下が他人事のように聞いて『私は関係ない』という態度をとるのは、参加意識が希薄だからです。そのようなときには次の三つのことを実行すれば効果があります。

  ・誉める

  ・頼る

  ・期待する

 

 『誉める』ということで、より効果が出るのは直接誉めるより、陰誉(かげぼ)めです。上司が部下を誉める場合、自分で誉めるだけでなく、当人がいないときに誉める。少し時間がかかるけど本人の耳に入ったとき、真実味を感じ、より嬉しくなるもの。

 山本五十六元帥の有名な言葉に、『やって見せて 言って聞かせて やらせてみて ほめてやらねば 人は動かじ』というのがありますが、ためしに『ほめる』を削除してみてください。名言も形なしになってしまいます。 

 『頼られる』と自己の重要感を感じられるので、人はその気になります。ご存知の人が多いマズローの法則によれば、人間には生理的欲求、安全欲求、所属欲求、自己尊厳欲求、自己実現欲求へと5段階の欲求があります。『頼りにされることによる満足感』は自己尊厳欲求に該当し、人を成長させる要素にもなるので、上司としては取り入れたい態度です。

 『期待される』と人間はそれに応えようとする。これを証明する心理学の実験があります。

 学校で新任の先生がアトランダムに数名の生徒に『成績が上がる』と期待する。そうすると期待された生徒の成績は『期待効果』によって本当に上がるのだそうです。

 

 誉める、頼る、期待する……3つとも『話すことだけ』で実現できることです。自分の話すことに相手を巻き込んでしまうためには、『言うことを聞いてくれない』と嘆くよりも、この3つを根気よく試してみることです」

 

次回は4月24日(金)に掲載いたします。

 

第2回 『朝10時までに仕事は片づける』(2)
モーニング・マネジメントのすすめ

 

(前)株式会社かんき出版 社長
コトづくり研究会 代表
境 健一郎

 

 前回1月31日にも書いたように、伊藤忠商事㈱は2013年に「朝型勤務」制度を取り入れました。社員からは「朝型勤務のほうが仕事の効率が上がる」「疲労が蓄積されない」「短時間で集中して仕事ができるようになった」などと好評で、その効果は業績にも反映されています。

 この「朝型勤務」を取り入れたのは、現在の代表取締役会長CEOの岡藤正広氏で、彼が社長に就任した後、提案し自ら実践したのです。「商社は不夜城と言われているが、ダラダラ残業をするよりも、朝早く仕事をするほうが効率的であり、身体にもいい。早朝から仕事をしているお客様にとってもすぐ連絡ができれば安心なはず、と考えていたからだ」と語っています。

 

 引き続き表題の書籍から、さらに【高井語録】を集めてみます。

 

  • 早朝はプラス思考の時間に向く

 「一流の人間、成功者はおしなべて早朝人間と言えます。人生が充実したものになるかどうかは、朝の過ごし方が極めて重要だと彼らは知っているからです。

 実際、戦略を考えたり、思考をめぐらしたりする頭をつかうビジネスパーソンにとって、朝の時間帯が仕事に向いていることは十分にうなずけます。特に朝は右脳が働きます。右脳は発想や着想(アイデア)などを導き出す脳ですから、なおさらです。

 いつもは忙しさに紛れて考えが及ばない『生き方や将来計画』などについても、プラス思考の発想が出てきます。脳波の状態でいえば、リラックス効果のアルファ波が出ているときですが、この脳の状態は健康にも寄与するので、まさにいいことずくめ。それに一人静かに過ごせるひとときとくれば、『早起きしないでいられるものか』という気持ちになって当然です」

 

 高井伸夫先生と面識のある多くの方は感じられていると思いますが、先生の行動軸は二つあるようです。

 一つは、仕事を濃密化すると同時にスピード化すること。本書には、そのためのツールや仕組みが数多く書かれています。

 もう一つは、お会いしている相手のために、自分のできることで何かお役に立てることはないかと瞬時に考え、すぐ行動すること。たとえば、会話のなかから、相手がいま関心持っていることがわかると、そのために参考になる人を紹介するなど数々あります。

 

  • 「凡事徹底」を意識する

 「仕事が遅いということは、『有言実行』ならぬ『有限速行』が求められる現代では、仕事人としては致命的な欠陥といえます。私の事務所では『明日やる』『来週やる』『来月やる』は禁句。すべては『今』。今が不可能な場合にのみ、でき得る最短速度で取り組むようにしてもらっています。

 会社で発生する一つひとつの仕事はそんなに難しいことではありません。そもそも仕事というのは9割雑事といってよく、本当に頭を悩ます、あるいは創造性を必要とする仕事は1割もあればいいほうです。

 ただ、その1割が重要なのですが、雑事もその積み重ねが大きな仕事の成就を支えるので、決しておろそかにはできません。『凡事徹底』です。仕事が遅い人というのは、凡事を軽くみておろそかにする人です」

 

  • 「時間」に対する固定観念を打破する

 「これからは時間ではなく、成果が賃金に反映される時代になります。中途半端に経験がある人ほど、『どんなに急いでも1週間かかる』『良い仕事をするには1ヵ月かかる』と言ったりする。

 さらに、仕事に伴う行動にも所要時間の常識がある。そういう常識を疑ってかかり、すべて固定観念を打破するつもりで、『どうしてそれだけかかるのか』『半分にできないか』『1/10にできないか』『もしそれを実現させるためには何を変えたらいいのか』と一つ一つ考えてみることです。

 そういう疑問をもって見直してみると、時間を短縮できることは山ほどある」

 

 たしかに、むしろ無くしてもいいものもある。役所なども、一度手にした予算を手放したくなく、継続させている仕事が多いと聞きます。企業にも慣れた仕事を手放したくない人がいませんか?

 

  • 時間を一刻も無駄にしないために「経過書」を

 「仕事のすすめ方で常に心がけたいことは、『核心を突く』ということです。仕事を完了させるためには、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が大きな要素になのはご存じのとおりです。しかし、これは目的ではないので、できるだけ短時間で効果的に済ませる。そのために、部下に『経過書』をつくらせ、さらに『気がかりなことは何?』『次の一手は?』を必ず確認し合う。この方法を朝いちばんでやれば、関係者の本音を早く把握でき、朝10時までに仕事の段取りと、準備を完了できます。経過書が持つメリットは3つあります。

 ①その案件の全体像がすぐに把握できる。全体が見えていてはじめて的確な手が打てる

 ②選択的に迅速な理解ができる。適切に表現された経過書は、各自が知るべき内容の強弱、重軽がおのずと出てくるので、素早く理解できるようになる

 ③推測、予見、予知が可能になる

 

 経過書を上手に作るコツは、

 ・箇条書きにする

 ・比較対象する

 ・図式、図解の多様

 ・イラスト化

 ・キーワードの抽出

 これらのことを念頭に置いて、実際に作ってみることが上達の早道。たとえば、新聞の特集記事、企画記事、小説などを読んで、その内容を1枚の紙にまとめる練習をしてみるとよいでしょう。表現の仕方を習得するには、週刊誌などのイラストや特集記事や漫画なども参考になります。経過書の作成は、どんな仕事にも通用するはずです」

 

  • 文書化の腕を磨く

 「提案書にしろ、企画書にしろ、メール文章にしろ、ビジネス文書としての良しあしは厳然として存在します。それはビジネス的側面からみて、目的に適ったものかどうかが重要なのです。会社にはさまざまな雛形があると思いますが、微妙なニュアンスも必要であり、オリジナルで正しく伝えられるだけの技法は身に付けておきたいもの。では、どうしたら簡潔で正しく伝わるビジネス文書がつくれるか。それを5つあげておきます。

 ・必ず要件見出しをつくり、最初に結論をもってくる

 ・読む気にさせる。そのためにはキーワードを意識して書く

 ・箇条書きを多用し、拾い読みでもわかるようにする

 ・最初の1/3で読むのを止めても理解できるようにする

 ・すべてを肯定的、前向きに書く」

 

  • バランス感覚の有無を判定する

 「人間は本能的に安定を求めます。しかし、変化の時代は安定性の維持が難しい。そこで大切になってくるのがバランス感覚です。

 私がバランス感覚の有無を判定するポイントは5つあります。

 第1は、結果を想定する能力があるか――こちらがこう言えば、相手はどうこたえるか。こちらがこう答えたら、どんな結果が生じるか。それを考えられるかです。

 第2は、視野は広いか――視野が狭ければ、選択肢が限られてきます。どんな場合でも最低3つの選択肢をもつ必要があります。

 第3は、自己改革ができるか――自分を変えていけるのかどうか。こだわりや頑固さが表面に出る人は、バランス感覚を欠いています。今はフレキシビリティが大切な要素になってきます。

 第4は、定石を疑えるか――現代は常識が通用しないことが多くなっています。つまり経験が活きないのです。知識も常に更新していないと、判断を誤ります

 第5は、迷ったときに人に相談できるか――どんな優秀な人でも、人に相談できない人はダメ。迷ったときだけでなく、些細なことでも相談できる人、つまりメンターを持っていることです」

 

 本書の最後に著者・高井伸夫先生は次のように結んでいます。

 「あなたの今日が、1年前、半年前、1カ月前、そして1日前と同じだとしたら、あなたはかなり時流から離れたところで生きていることになります。時流に少しでも近づく方法――それには朝の時間を活用することをお勧めします。

 『古(いにしえ)をもって今を制する者は、事の変に達せず』

 中国の史書『戦国策』はこう述べています。その意味は、昔のやり方で、今を治めようとする者は、事の事変を十分にわかっていない――ということです。早起きをして朝の時間を活用することは、世のなか全体が夜型に傾きつつある現在、限られた一部の人しか実践していないことです。

 しかし、その人たちは自分の目標を達成し、人生を謳歌できる数少ない人たちでもあります。その仲間入りを果たすことは難しいことではありません。あなたの目覚まし時計の針を2時間、たった2時間早めるだけです」

 

次回は3月27日(金)に掲載いたします。

 

第1回 『朝10時までに仕事は片づける』(1)
モーニング・マネジメントのすすめ

 

(前)株式会社かんき出版 社長
コトづくり研究会 代表
境 健一郎

 

 高井伸夫先生には、7冊の書籍をかんき出版から発行させていただきました。
 そのなかにはベストセラーになり、それがさらに図解のムック本になったものや、新書スタイルのポケット本になったものまであり、発行部数は累計41.1万部になっています。
 またこれらの書籍は、他の出版社から文庫本や新書になり、さらに多くの方に読まれていることになるでしょう。

 これらの本をもとに【高井語録】を集めてみます。

 『朝10時までに仕事は片づける』は、2002年12月に先生がかんき出版で最初に書かれた本で、多くのビジネスパーソンから支持されベストセラーになりました。
 この本の企画は、必然的に生まれたものとも言えます。それは私が高井先生の早朝出勤を知り、素直に強い興味をしめしたからです。なぜ朝6時に出勤するようになったのか? 時間の使い方をどう変えたのか? その結果、どのようなメリットがあったのか? などを書いてもらおうと……。

 著者のことばや文章を引用しながら進めていきます。

 

  • 優秀な人と同じ行動特性を備えた人は、成果を上げる確率が高い  

 高井先生も、30歳くらいまでは夜型人間だったという。ところがある人との出会いで生活態度を一変させることになります。
 「土光敏夫さんに出会ってショックを受けた。土光さんは、業績が悪化した東芝の再建を依頼され社長に就任、一年で再建に成功し、その後、経団連の会長などをされた人です。朝7時20分、土光さんの事務所へ書類をもらいに訪問したら、いつも朝6時半には出勤しているとのことだった。そんな刺激を受け、土光さんより若い自分は朝6時ころには事務所に出るようにした。その後も、多くの経営者・経営幹部の方と接してきて、学んだことがある。それは一流といわれ実績を上げている人ほど早く出社して、朝10時までには一仕事や大仕事を終わらせているということです」

 

  • 仕事の生産性と人間らしい生き方を両立させるために、朝を有効活用する

 「ビジネスパーソンにとって重要なことは、いかに上手に時間を管理するか、ムダな時間を整理するか、ということです。同じ時間でも、私がとくに注目しているのは、朝の時間です。わたしはこの概念を、【モーニング・マネジメント】と呼んで、親しいビジネスパーソンや仲間たちと実践しています。つまり、長年の悪しきビジネススタイルを打破し、新しいビジネス&ライフスタイルを確立するーーを提唱しているのです」

 

  • 普段からしたいと思っていることはスキマ時間に、「いますぐ」を心がける

 「ビジネスパーソンにとって、美しいものを観ることは右脳にとっても有効です。美術鑑賞などは、暇ができたらーーと考えていたらいつまで経ってもできないことは当たり前。商談などのスケジュールを決めたとき、訪問先の途中に美術館などがあれば、ちょっと立ち寄ることをお勧めします。私の見方は独特で、まず部屋の中央に立ってぐるりと見回す。印象に残った絵を1つだけ探し鑑賞する。その基準は、この部屋のなかにあるどれか1点、あなたにあげると言われたら、どの絵をもらおうとするかな? その絵が決まったら、近づいてじっくり見る。同じことを各部屋で繰り返して出てくる。これだったら15分もあれば見終わる。これを繰り返しているうちに鑑賞眼が養われます。この場合も留意したいことは、所要時間です」

 

  • 時間は先回りして待ち伏せする必要がある

 「人を待たせて急いでいるときの時間は早く感じ、逆に、人を待っているときの時間は遅く感じる。ここに時間の秘密があり、時間の使い方のコツがある。つまり、時間は平等ではなく、追われると時間を奪われる。待ち伏せするとは、全体のなかから、今という時間を考えることです。新幹線で大阪へ行くとして車内での2時間40分にできることを実行するとき、意識はすでに2時間40分先まで到達しており、そこから逆算をして何かをしています。これが待ち伏せした使い方です。一流人物や成功者たちは、こういう意識で時間を有効有益にし、時間に追われることがなくなります」

 

  • 「すぐやらない」「先送り」「引き伸ばし」を無くす

「この原因は3つあります。

 ①自分の置かれている状況に危機意識がない。怠け者である
  やるべき仕事は、すぐしなければ変化とスピードの時代には致命傷になりかねない

 ②優先順位(プライオリティ)がつけられない
  自分の目的が明確になっていないので、最初にすべきことが見えていない

 ③判断基準が作れない。もっといい方法があるかもしれないと迷ってしまう
  私が選択肢を決める際の参考にするのが、正か邪・和か戦・勝か敗・損か得です

 これでも悩む人は、原点にもどること。原点とは幼少のころ、親によく言われた『人様に迷惑かけるんじゃないよ』でもいいし、『自分のやりたいことをやりなさい』でもいい。企業であれば『お客様の満足を第一に考える』でもいい。その一点を基準にして考えると、悩んでいたことがすーっと見えてくる」

 

 本書が出版されてから10年後の2013年10月、伊藤忠商事㈱が「朝型勤務」制度を導入しました。20時以降の残業を無くし、朝5時からの出社を認め、夜の割増残業手当と同じ率で早朝手当を支給。8時前に始業した人には軽い朝食を用意して応援することを実施。それでもトータルの経費は削減され、今は約半数の社員が朝型勤務になっているという。結果、会議は夕方がなくなり朝早くの時間に代わったそうです。

 さらに「朝型勤務」の導入のほかに、「110運動」を徹底した。これは「夜の会食や飲み会は、
1次会だけで10時までに終わる」という改革で、これにより夜遅くまで飲むという習慣がかなり減少したそうです。

 その結果、「朝型勤務のほうが仕事の効率が上がる」「疲労が蓄積されない」「短時間で集中して仕事ができるようになった」「夜早く帰ることで、家族との時間やビデオを見る時間が持て、リフレッシュにもつながる」と実感する社員が増えているといいます。

 もちろん朝型勤務の効果だけではないだろうが、下記の数字が示すように、伊藤忠の業績も極めて順調に成長している。株価や従業員一人当たり経常利益にも反映しています。

 

  伊藤忠 三菱商事 三井物産 丸紅
株価  2011年12月30日(円) 782.0  2000.0  1250.0 469.0
   ※2013年12月30日(円) 1299.0 1900.0 1465.0  756.0
    2019年12月30日(円) 2534.5 2900.0  1950.0  810.0

    2011年対比(%)  324% 145% 156% 172%
従業員1人当たりの経常利益(万円) 7166 8000 3197 3685

 

(※伊藤忠が「朝型勤務」を始めた年)

 

 まず従業員が健康的になり笑顔になり、クリアなクリエイティブな頭で働くことで、生産性を上げ、顧客にも会社にも、三方よしの結果を生むことの一因になっていると考えられます。
 個人でも企業単位でも、「朝型勤務」がいろいろな面で有効なことを示している例といえます。会社も施策面でバックアップすることが求められる時代になってきたのでしょう。

 

                                             次回は2月28日(金)に掲載いたします。     

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