高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~の最近のブログ記事

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<第44回>企業経営に必要な「空気」づくりを

(1998年1月13日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 サッカーW杯日本代表チームの岡田武史監督の心の支えになった本は山本七平の『空気の研究』だったという。

 刑事訴訟法は刑事裁判の手続きで、民事訴訟より厳格な証拠を要求する裁判手続きだが、後に東京大学の総長になった刑事訴訟法の平野竜一先生は「裁判に勝つのは法廷の空気がどちらを味方しているかで決まる」と述べていた。「証拠」ではなく「空気」だというのだ。

 中国の方言にも「お白州で決まるのではなく、村で決まる」とある。村の空気で決まるというのだ。

 企業経営で忘れてならないのはこの「空気」。だが、経営者は空気だけに頼ってはいけない。細かいデータを踏まえた空気づくりが大切。うまく経営の出来ない経営者はこの空気づくり下手だ。空気とは「勝ちムード」である。

 そして経営者は、数字を忘れてはいけない。それが細かいデータである。その上で、会社が伸びているとか、発展しているとか、よその会社よりよくなっているとか、回復基調にあるとかいったような、空気づくりを念頭に置かなければならない。

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<第43回>年頭教書は「販売即経営」プラスもう1つの柱を

(1997年12月9日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 社長の仕事そして年頭の挨拶は自分で作らないといけない。秘書や総務が作った文章を読むようではダメ。自分の言葉で挨拶できないような人は社長の資格がない。それには、血となり肉となった経営方針、経営理念が大切だということである。

 そのとき社長として何か1つの柱を立てること。

 私がコンサルをしているある会社は来年20年目を迎える。新しい、次なる20年に向けて会社の構造をしっかり作り上げようと相談を受けている。来年はまず、そのための地ならしをする初年度であり、新しい取引先を集中的に開拓すべき年である。営業基盤の強化、新技術体制、コンピュータライゼーション等々、会社の構造をしっかり作り上げ、次なる20年のために地ならしをする準備期間である。

 皆さんも「販売即経営」という従来の思想に加え、もう1つ柱となる思想を確立しなければいけない。

 どの企業も時代に合った企業への切り替え戦略を社長のテーマにしないといけない。「来年はこうする」、「こうしたい」を、できるだけ1点に焦点を合わせて、企業をより時代に合わせる戦略行動を目指さないといけない。

 そのために幹部の人事をどうするか、投資のための資金調達をどうするか、あるいは提携先との関係づくりをどうするか、という、人・モノ・金についての具体的な実践方策を明示することだ。これが経営の基盤づくり、安定に不可欠だ。

 「統一的な刺激は数少なくても、散漫で数多い刺激に勝つ」とよく話しているが、そのために年頭教書をきちんと発表することが大切だ。

 社長個人の立場から言うと、「世代交代」「継承」がテーマになるだろう。これを従来以上に真剣に考えないといけない。株式公開、自社株の譲渡または分割を、社長として考えないといけない年である。買収、合併、売却も考えないといけない年だし、地域貢献、社会貢献の推進もいよいよ考えないといけない。今までのように成り行き・事なかれ・その場しのぎの経営は限界に来ている。

 対外的な問題として心がけないといけないことは何か。それは、銀行の貸し渋り対策は十分か、取引先の倒産対策は十分か、そして仕事の急減対策は十分か、ということ。

 ここまでを社長が毎年、年始めに明らかにしないといけない。

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<第42回>営業のコツは、他社が参入できないようにすること

(1997年11月18日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 昔、近江商人が越中富山の薬売りに「あんな高い山を越えてわざわざ薬を売りに来るのはご苦労でしょうね」と言った。すると越中富山の薬売りは「あの山がもっと高ければ商売はもっと楽です」と答えたという話がある。それは競争相手が少なくなるからである。近江商人は物理的な山の高さを言ったが、越中富山の薬売りは「参入障壁の高さ」として言ったわけだ。これが商売のコツだ。

 営業のありとあらゆることが障壁づくりだ。セールスマン教育もその1つ。障壁づくりが営業のコツである。他社が参入しにくくすること。それが何かを問い続けること。それによって障壁が築かれる。

 その時に改良しよう、という発想では絶対にダメ。改良はすぐに真似される。改良型ではなく、根本的な所から問い続けなければならない。

 私は弁護士とは何か、弁護士業務とは何かを問い続けてやっている。専門家になることは誰でもわかる。しかし、単なる専門家ではなく、一流の専門家になること。そのためには信用だ。信用を高めるにはどうすればいいかを考え、そしてまた自分自身でも実行することだ。第1は勉強すること。第2は勉強したことを発表すること。先見性のあるテーマに取り組むことだ。

 会社のよい評判を、良質ともに今の10倍ぐらいに拡張して伝えよ。どんな小さな話でもいいから、よい話を遠くまで広めること。得意先との会合でよい話をする。そのうち心を打った1つの話をお得意さんは他の人に話をしてくれる。

 新しい仕事を始めるにも、新しい顧客を獲得するにも、今は情報化時代だ。この厳しい時代に、よい評判は価値がある。会社の評判、社員の評判、技術の評判、商品の評判、研究開発活動の評判など、何でもいい。いい話をどんどんすること。

 どの企業もサポーターに支えられて営業するのである。だから今まで1つだった良い話をこれからはその10倍発掘して伝えること。

 

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<第41回>社員のストレス解消策を急げ!お客様からのクレームに注意せよ!

(1997年10月14日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 企業の問題で最近多くなったのは自殺と放火。私が担当している会社も2社が新聞に出た。いずれも社員による放火が起きた。

 このような事件は、実力主義、成果主義で落伍する社員のフラストレーションが高揚して起こる。彼らの健康管理も大切だ。傷ついた社員が極めて罪の重い犯罪を起こしてしまう。殺人罪は3年以上の懲役から死刑までだが、放火は5年以上の懲役から死刑までと、放火は殺人罪よりも重い罪である。公共危険罪だから刑罰は非常に重くなっている。そういった重い犯罪を大企業の社員がやり出す時代になった。

 私は「上手に人を辞めさせたい」という本の中で、実力主義、成果主義ではフラストレーションが溜まる、と書いたが、まさにそれが現象として明確になった。社員のストレス解消策を積極的に行ない、気配りすることも経営の課題として大切である。

 手法は色々あるが、社員の異常な言動についてお客様から投書してもらうのが1つ。社員の異常な言動についてのクレームがあったら、慎重かつ果敢に対処する。上司や同僚の前では真面目でも、お客様の前で異常な行動をとっている者がいる。

 第2は、社員が精神科医と電話で匿名で相談するシステムを作り、社員の配偶者からの相談も受け付けるようにすること。たとえ匿名でも社員が電話したら会社にわかるから本人は絶対に相談しない。配偶者を通せば自分だとわからない安心感が生れ、率直に相談する。

 今、まさに精神健康管理が大事。自殺、喧嘩、放火などの様々な現象が、中小、零細、微粒子企業ではなく、一流企業で起きているのが問題なのである。企業は精神力の弱いものを抱えている以上、どこでも起こり得ることだ。

 それにはまず、社長は優しい言葉をかけたくない人にも時々は優しい言葉をかけないといけない。幼稚園で子供を成長させる方法として、声をかけることが第一に挙げられている。社長が目線を合わさないことが2か月もつつけば、自殺するか放火するかと言う時代になってきた。

 

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<第40回>「迅速・スピード・時間」を意識した経営を

(1997年8月20日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 「アジル経営(敏速経営)」の話をしてもう3年ぐらいになる。それから1年ほど前に「ドッグイヤー経営」という話をした。これは、犬の1年は人間の7年に値するから、今までの7倍速で仕事をしなければならないということだ。

 「考えるだけで実行しない」姿勢では経営は乗り切れない時代。つまり決断力を要請することが経営には不可欠だ。迅速な決断が経営体力を強める。的確な判断力・決断力を持った人を経営者に据えなければやっていけない時代だ。

 限られた時間に倒産から遠ざかるためには、一目散でなくてはいけない。ぼんやり時間を空費することは許されない。時間を意識しなければならなくなったのは、社会が委縮し、破たんに向かっている状況が反映されているからだ。右肩上がりの時には「安全だからゆっくりでもいい」という意識だったが、今はもうゆったり気分ではいられない。「一刻も早く安全な地帯に行きたい」という気持ちが時間を意識させているのだ。

 危機感が募っている消費者の心をつかむためには安全地帯に導くこと。消費者や一般市民がたくさんの防護策を講じるには、時間が必要になる。これが時間の大切さを意識していることになる。

 例えば、写真の現像が15分でできると保証すれば大当たりするだろう。時間に余裕が出来、安全が買えるなら少しぐらい高くても人は集まってくる。

 有能な人とは、何でも短時間で仕上げる人である。早く用件を済ませることで残りの時間をほかに使えるから、より安全な地帯に行ける。危険の淵から遠ざかることができる。それが時間を意識するということである。

 お客様を待たせるのは絶対ダメ。電話でもあまり待たされると切りたくなる。不安感、危機感が社会的に蔓延しているのである。

 経営の中で切迫感、焦燥感を与えるのは、社長の決済が遅いところから始まる。社長の決済は即日決済を旨としなければならない。何日考えても意味がない。私は即日決済だ。即時の判断力、決断力が要求されるが、それができない人は社長を辞めるべきである。

 何も社長だけ努力しろというのではない。営業部長、資材部長、経理部長も迅速決済をしなければ、この苦しい時期を乗り切ることはできない。後回しにせず「今」を心がけよ。少々間違っても何もしないよりはいい。

 最近はやっているのがCEO。会長が最高経営責任者になるシステム。社長は最高執行責任者、会長は最高経営責任者というシステムが日本でも取り入れられている。会長が考え、社長が実行する。これはアジル経営にとって好都合のシステムだ。会長が方針を示せば社長は考えずに実行できる。

 これからは鋭角的に経営政策を展開しなければならない。葛藤、矛盾、軋轢、煩悶を乗り越えてこそ、競争場裡で初めてイニシアチブをとることができる。そうなると、考える人と実行する人とを別にした方がいい。これからの経営はCEO(最高経営責任者)が当たる。この人が経営戦略を決定し、経営政策を鋭角的にCOO(最高執行責任者)に実行せしめる。

 

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<第39回>分配(シェア)の社会から競争(コンペティション)の社会へ

(1997年7月23日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 日本の社会で談合が続くのは日本の社会がシェア(分配)の世界だから。日本は非常に知的レベルは高く、組織性や社会の構造・秩序を保持する才能のある国だったが、基本的に貧しかったため、集団主義、富の分配で社会が成り立っていた。これが談合がなくならない理由である。

 欧米ではシェアではなくコンペティション(競争)という概念で社会秩序が形成されている。競争社会で生死をかけて皆が戦うため、フェアという概念が早く成熟した。

 アメリカではフェア・コンペティションといって、ルールの尊重が非常に厳しい。日本が不透明・不可解・怪しげな国だという印象を持たれるのは、日本がアンフェア・シェアになってしまっているから。欧米はフェア・コンペティションである。ここに概念の違いがある。

 日本ではシェアという概念で秩序を大事にすると言いながら、アンフェア・シェアになってしまっている。それが国際化によって叩かれ、野村證券や第一勧銀の問題が起こってきたのである。しかし日本社会はフェア・シェアになり切れない。コンペティションという世界を経ずしてフェアという概念は成長しない。そういう意味で日本は三等国ぐらいで終わってしまうわけである。

 1900年に16億人だった世界人口が2000年には60億人、2020年には80億人になる。インド人並みの食生活で地球が維持できるのが100億人。アメリカ人並みの食生活だと20億人。地球で維持できるのはせいぜい80億人が限界だろうといわれている。

 そこで再びシェアという概念が登場する。一時、シェアという概念は共産主義国家として成長し、崩壊した。共産主義は考え方を単一化しなければ分配の公平があり得ないため、思想の自由、表現の自由が重要とされる世界では考えられず、結局崩壊するのだ。

 しかし改めてシェアの世界が後10年ぐらいで登場する。その時に日本は残念ながら勝ち抜けない。世界のシェアはフェア・シェアであり、それに比べると日本のシェアは怪しげだからである。そこで太刀打ちできなくて、日本は二流国、三流国になっていくだろうというのが私の見通しである。

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<第38回>企業には「ターゲット・セッター」が必要だ(1997年6月25日)

 

※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。

 上海に法律事務所を設立する申請書を上海市政府に提出するにあたり、日本企業20社ほどの推薦状が必要になったため、先日ソニー副社長の橋本綱夫さんにお会いしお願いした。

 ソニーの業績を訊ねると、橋本さんは「うちはターゲット・セッターに恵まれていますから」とおっしゃった。ターゲットとは経営目標のこと。セッターとはバレーボールのセッターと同じで、様々な条件の中で、得点をあげるためにボールを誰に打たせるかを瞬時に決定する人。

 橋本さんは、アタッカーやポイントゲッターに恵まれている、とは言わず、ターゲット・セッターに恵まれているとおっしゃった。私は目からウロコが落ちる思いだった。

 企業にターゲット・セッターがいないところはダメである。年間のターゲットを定めても、厳しい変化に対応するために目標を微調整する人が重要になる。橋本さんはまさに人事と人材の時代にふさわしい話をして下さった。

 原則倒産の時代の中で生き残るためには、同業他社の客を奪い取っていかなければならない。共存共栄の思想はない。「打倒、同業他社であれ」という話は社長フォーラムで繰り返ししているが、ターゲット・セッターとは、同業他社をつぶす戦術を展開する人でもある。

 今回はこれに加えてドメインの話をする。ドメインとはビジョンとフィロソフィーを合体させて自社の事業領域を確定すること。ビジョンと経営哲学を持っていても、限られた時間と戦力でライバルを倒すためには、ドメインの決定が非常に大事になる。事業領域の確定が経営体として今一番肝要なことである。

 規制業種には、ビジョンの発見、フィロソフィーの設定、ドメインの決定をする必要がなかった。こういうところでは事業家センスが要求されないだけに、競争社会でなくなる。当然、競争原理は否定され、優秀な人材が出たら殺されてさえしまう。

 いま企業としての事業領域、ドメインの決定が極めて大切な時代になっている。自社のセールス分野を確定しないでライバルとの戦いを乗り切ることはできない。

 今日のライバルだけではない。明日のライバル、明後日のライバルを絶えず意識して今日のライバルを潰さなければいけない。企業の安定地帯はもうなくなった。今日のライバルだけを意識してやっていると、社員はそれを倒したあと、次のライバルを倒す目標を見失い意欲さえ削がれる。今日のライバルと戦いながら、明日、明後日のライバルを社員に意識させるのが経営者である。

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<コラム>社長の接待学 その1・その2

 

社長の接待学(その1)~接待も成果主義で~

 私は、接待は大いにやりなさいと言っている。いまこそ接待が効果を発揮する時代だ。

 接待も成果主義でやらないといけない。つまり、話がまとまったときに接待する。まとまる前だと食い逃げされる恐れがある。これは私の実感だ。だから「この話がまとまったらパッとやりましょう」と堂々と言うわけだ。そうすると、まとまらない話もまとまる可能性が少し出てくる。少なくとも結論が早くなることだけは確かだ。

 

社長の接待学(その2)~「残心」の演出~

 接待は終わりが大切だ。まずお見送り。営業が成功するコツはエレベーターの前まで送ること。もっと熱心な社長は1階までついていき、車が見えなくなるまで頭を下げる。

 そして別れ際に「またこういう機会があればいいですね」と必ず言うこと。一度きりではなく、2度3度あり得ると思わせる。そして翌日、必ずお礼状を出す。

 これは「残心」の世界の極地だ。こういうことは社員にもしっかり教えないといけない。

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<第37回>絶対的な評価基準はない~社長の主観を明確にする以外にない~(1997年5月21日)

 

 人事と人件費の問題にメスを入れる時に、いつも遭遇するのは評価の問題だ。経営者は、いかに正しく評価するかを考え、それを見直し続ける努力を惜しまないこと。それが企業の発展と共に、浮揚感、上昇感を与えることにもつながる。評価の問題が一番難しいのだ。

 足腰の時代はスピードで評価できた。手先の時代はスピードと手際の良さ、即ち品質で評価できた。商業・サービス業の口先の時代は売上げという数字で決着がついた。

 ところがソフト化の時代となると非常に評価が難しい。評価する人の感じ方、考え方、思い方によって評価が左右されるからだ。

 主観で評価するためには八方美人ではダメ。経営者の個性によって評価されるということを社内に浸透させること。そして主観性を明確にすることだ。モノサシをはっきりさせて評価基準を社内に透徹する。社長がモノサシを明確に定めること。それを明確に語り続けること。

 年功序列給は年を重ねるごとに雪ダルマ方式に賃金が増えるシステム。一方、年俸制は下がる人もあれば上がる人もいるという世界を作ることである。各人が成果を上げ、そして企業の業績が上がれば給料も上がるというシステムだ。

 ただし年俸制は評価基準の明確化が一層求められる。ソフト化の時代になったがゆえに、管理職の評価基準が非常に難しい。社長は、企業のソフト化の要請に応じた管理職のマネージメント力を判定する数値的なモノサシを持たなければならない。モノサシを明確にし、それがなぜわが社に必要かを語らなければならない。

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

<第36回>これからは「人事と人件費」の時代 「抜擢と淘汰」の時代(1997年3月19日)

 

 これからの最大の経営課題は「人事と人件費」である。事業計画も人事問題に焦点を合わせたものでなければ意味がない。

 人事の本質は、優秀な者を引き立て、かつ無能な者を辞めさせることだ。引き立てる方は誰でもできる。ところが日本にはダメな者を辞めさせる仕組みがない。だから自社でつくるしかない。

 人件費の課題は、端的に言えば生きたお金を使えということ。つまり成果のあがらない者には報酬を払わないことである。

 要するに、実力主義・成果主義の時代に生き残るために、コア(核)になる人材の確保をいかに進めるかということだ。同業他社から引き抜かれそうな人間を何人抱えているか。社員100人ならば2人、いや3人は欲しい。社内で価値があるだけでなく、業界で価値ある人材を確保するのが人材・人事の時代ということである。

 そしてさらに、淘汰をすすめる人事でなくてはならない。そしてそれが企業の浮揚感、社員の上昇感とを実現できることが企業のコンセプトとなるから、人員削減や人件費削減も、この浮揚感、上昇感を与える手続きとして理解しないと本末転倒になる。

 今は水増しで10人のうち4~5人が管理職になっている。これを2人まで落とす。そのプロセスが人材含み損清算の手続きである。

 もうひとつは組織のフラット化だ。社長から平社員まで4段階以内にする、というLess Than Fourの思想を日本でも取り入れること。これはソフト化時代に対応してのこと。ソフト化時代には頭脳労働がメインとなり、知恵、情感、意思、といったものが価値ある時代になる。

 頭脳は個々の能力格差が大きい。その差の大きさは意欲によって決定的に左右されるため、自由、フレキシビリティのある世界が必要である。

 規模の小さい中堅・中小企業はもともと階層化されていないところが多いから、人材さえ確保されればフラット化できる。組織の複雑な大企業より迅速に対応できる利点がある。企業には人は少なくていい。3人分の仕事をしてくれる人に切り替えていくことが今後の課題だ。

 

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