高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
【第28回】「人材含み損」清算の時代(1996年5月22日)
経営改革の課題はムダを省くことにあるが、ムダの最たるものは能力のない人間を使っていること。ここに「人材含み損清算」の本質がある。ムダをムダと認めなければならない。
全社員を対象に、ムダかムダでないかを○△×で印をつけてみればいい。○が3割あったら優秀な会社である。×を継続的に入れ替えていくことによって会社は活性化する。
例えば、給料50万円の課長。この人が50万円の働きをしているかどうかを点検しなければならない。そのときの尺度は、給料の3.5倍の粗利益をあげているかどうかをみること。50万円の給料をもらうためには粗利で毎月175万円稼がなければツーペイにならない。その基準に達しない人は含み損社員として、社長や人事部長だけでなく全員が認識することだ。
これからは、個人ごとに適切かどうかを点検する必要がある。時間が給料を決定する時代は去った。彼が「どれだけ成果を出したか」によって決定する時代だ。
例えば、早足で歩く。社長だけでなく全員が早足で歩く。それが実力主義賃金とか成果主義を旨とする人事制度である。時間の経過で給料がもらえた時代から、早足でどれだけの距離を歩いたか、を測定するシステムである。
定期昇給制度はやめた方がいい。やるなら定期昇給制度と定期降給制度と抱き合わせでやる。昇進制度も昇進だけではなく降格制度も取り入れる。
明日、会社に帰ったら管理職を集めて「これからは人材含み損清算の時代になった、と昨日聞いてきた。うちの会社でワースト10の役職者を挙げろ、部下を挙げろ、紙に書いて提出せよ」と言えばいい。そうすればたちまち活性化する。