高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~の最近のブログ記事

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第15回】組織を固定化しない~毎年1回は見直せ~(1994年11月16日)

 

 スピード経営のために現実問題として何をすればいいか。

 まず不要な会議を減らすことである。電話をかけると「会議中です」と返ってくることがしばしばある。「外出中」ならまだいいが、会議がやたら多い。

 不要な会議を減らすには、会議室を減らすこと。最近、いろんな企業で会議室の空室が目立つ。そのコストの高さを思うと執務室や作業室に変えたらいいと思うが、ワンフロアーを堂々と会議室に使っている。

 営業のチャンスを求めて外に出ることが大事だ。社内でいくら会議しても営業成績にはとかくつながらない。

 次には、組織の階層をなくすこと。私の事務所には30名程いるが、私と所員との間にチーフが3、4人いるだけ。そのチーフも権限が多いというわけではなく、連絡調整役程度ですごく権限が少ない。私と30人が直結しているわけだ。社長の下に専務、常務、平取、部長、課長、係長、主任、などとやっていてはダメだ。

 ソフト化時代は、頭脳労働が中心となるから成果は頭の中にあり、見えない時代だ。だから、専務や部長に「よきに計らえ」と言っていたら会社はダメになる。成果を見せようとしない者に仕事を任せて、しかも責任を取らなくていいとなると企業は無茶苦茶になる。

 成果が見えない時代だから社長自らがやらないといけない。そのためには、組織の階層をなくすこと。「社長は自分の頭越しに部下に指示する」と文句が出ないためにも階層を少なくする。

 階層をなくすと同時に、組織の改廃を少なくとも毎年1回、実行するシステムにしないといけない。人事異動ではなく、組織の改廃だ。

 組織が固定化すると、その組織にへばりついたかの如き仕事ができ、それにとらわれて付加価値が減退していく。ソフト化社会では斬新さの中にこそ初めて付加価値が生まれる。斬新さを求めて既存の付加価値を絶えず革新しなければならないからである。

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第14回】信用社会から契約社会へ

~契約書の本質は権利と義務の限界を明確にすること~(1994年10月26日)

 

 国に対する信頼、企業に対する信頼がなくなった。これから大切になるのは「契約」、信用できない社会になると契約社会になるということを念頭に置かなければいけない 。

 契約書にハンコを押すときは、慎重の上にも慎重を期さないといけない。どんなに忙しくても社長自ら声を出して読むこと。本文だけでなく隅々まで読みあげる。そして、再度、弁護士なり会計士なり第三者の専門家と一緒に読む。違法か適法か、だけではない。経営者は損得という価値基準も加えて見ないといけない。これが非常に大切だ。

 契約書についての日本の法学者の話は曖昧模糊としているが、法律書によると「契約の本質は権利と義務を確定すること」とある。単に話し合ったことを書くのは合意書でも覚書でも契約書でもない。自分がやらなければならないことと相手にやらせること、権利と義務をきちんと書くのが契約書である。

 もっと突きつめて言うと、請求できる限界と、やらなければならない義務の限界を、明確にすることである。即ち「権利の最大化と義務の極小化」を意識することである。

 日本の契約書は、そういうギリギリの判断がないまま、「お互いにうまくいかなかったら、信義誠実の原則にもとづいて協議して決めましょう」とわけのわからないことが書いてある。それではダメだ。これが第1点。

 第2は所有権概念。所有権ということを絶えず意識すること。モノ、金、人、そしてソフトについて、誰が所有権を持つのか、誰が支配権を持つのかを意識して契約することだ。支配権をもってコントロールするとなれば責任も負わないといけない。

 気のいい会社はお金ばかり出して所有権は1つも増えない、支配権は何もない、という例が多い。お金ばかり出すのではない。その見返りに何が確保できるかを、契約時にきちっと抑えることが大切である。

 

 

 

 

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【第13回】役員の退任規定には「社長が推薦し」の一項を入れよ(1994年9月28日)

 

 人事権は社長の特権である。新任役員の選任についても、前項の「神棚意思決定」で指摘したように、他人の意見は聞いてもそれに左右されないことが大切である。最終決定はあくまでも社長が独自に決めたというプロセスを演出することが非常に重要。

 さて、社会も企業も実力主義が色濃く反映するようになったが故に、協調性、連帯感、助け合いが大切だ。企業は組織社会だからである。そこで役員の選任にあたっては、能力だけでなく、ことのほか人間性を尊ぶ心構えが必要である。正確的に偏った人物を選んではならない。実力主義が言われるだけに、能力については多くを語られているが、それだけに人間性、とくに社長との信頼関係が問われなければならない。

 逆に言えば、社長自ら全役員と信任関係に立てるよう努力研鑽することが大切だ。「社長はやり手だが人間的にはイヤ味だ」ではいけない。

 役員の選任にあたって社長の支配力を表現するポイントは、役員に就任するには「社長が推薦し、株主総会にはかり、その議決を得なければならない」という項目を役員規定に明文化すること。「社長が推薦し」は商法の規定にはないが、役員規定として入れる。

 そして新任役員を発表するときは、まず神棚に祈って、次に「中には勇退していただく方もあるが、しかしこれは、わが社の展望を見据えた末の経営責任者としての私の決断であるので、ご了承いただきたい」と前置きして進めることが大切である。

 

 

 

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【第12回】社員の人事権と神棚意思決定(1994年7月6日)

 

 

 社長の支配力の原点は人事権だ。人事権とは、どんな仕事を担当させるかということ。仕事を割り付ける権利、これを人事権という。その決定権を社長が持っている。

 仕事を割り付けるとは、人間性の発揚にかかわってくる。つまり人事権とは、どの程度人間を人間にするか、人間になるかを規定することである。だから社長は、ゆめゆめ人事権を手放してはいけない。

 「専務、今度の役員昇格候補は誰がいいですか」、「営業の加藤がいいと思います」。「常務、人事担当としての意見を聞かせてください」、「開発にいる佐藤を推薦します」。このやりとりから社長は、加藤と佐藤が候補者であるという社内的な認識があると理解する。

 専務はその瞬間、加藤に対して「君を推薦しておいた。次期役員としてがんばってくれたまえ」と言う。それは励ましよりも自分の勢力を張ろうとする目的があるわけだ。一方、常務は佐藤に向かって「専務は加藤を推したけれども、僕は君こそと言っておいたよ」と言う。

 その結果としてこの人事がそのまま決まると、専務が加藤を決め、常務が佐藤を決めたことになる。社長の人事権は霞んでしまう。

 だから社長としては、意見は聞かなければならないが、どうやって他人の意見の介入を遮断するかが課題となるわけだ。この問題に対して私が編み出した方法が「神棚意思決定法」である。

 まず社長が直筆で書く。「第○期株主総会において新たに役員に迎える者、加藤一郎、佐藤治郎」と書く。その内容を秘して3日間神棚にあげておく。そのことを社内に知らしめる。即ち「役員候補者の名は神棚にあるよ」とリークすることだ。それを3日後にみんなの前で読みあげる。そうすると社長と神様が合議のうえで決めたということになる。これが日本人の感覚に極めてふさわしい社長の支配力確保表現の方法になる。

 ここで大事なのは「書くこと」と「神棚に供える」こと。神棚がなければ金庫に入れる。入れてあることを社内に知らしめておく。社長の人事権犯すべからず。社長が独自に決定したという世界を演出することだ。

 

 

 

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【第11回】社員を鼓舞する「大義名分」をつねに意識せよ

~「この施策に展望あり」~(1994年6月8日)

 

 今は皆苦しい。何かやって成功する確率は従来に比べてはるかに小さくなった。原則倒産、原則失敗の時代だ。不安や挫折、とまどい、躊躇、恐怖などがいつも心の中にある。しかし「座して死を待つ」という世界であってはならない。何かアクションを起さないといけない。そこで「動機を与えて意欲を起こさせる」、これが経営者に要求される。

 これを実践するには、何といっても「大義名分」が必要である。これを確立しないとやる気は起こらない。挑戦意欲を沸き立たせるには、社員を鼓舞する大義名分を意識させることである。当該施策の必要性を語り切ることが大切である。

 大義名分は、現場感覚・職場感覚にマッチしたもの。即ち社員の心をとらえ心を打つにたるものでないといけない。さらに美辞麗句ではなく、デジタルであればあるほど効果的だ。

 第2は、想定問答を予め想定しておくこと。予想される質問に対する答えを想定しておくことだ。

 第3は、想定状況を設定すること。即ち予想されるリスクへの対処を想定しておく。危険の大きさ、障害の厳しさは昔以上である。危険を乗り越え障害を克服するには、様々な事態を予め想定したうえで、しかも推進力を維持しながら進む以外にない。それが社長のみならず社員に自信を持たせることにつながる。備えあれば憂い無しの世界をつくる。

 第4に大事なことは、タイムリミットの設定とそれに至るスケジューリング。いついつまでにこれをやり遂げるという進行表だ。

 第5は、責任者を決める。そして、第6は軍資金。これらを踏まえて計画書・提案書をつくるわけだ。

 そして第7は、それを発表するときは、内容がいかに深刻なものであっても「展望あり」という、明るさを演出することを忘れてはならない。それは、現実的可能性のある再建計画でなければならないということである。

 

 

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【第10回】内部告発をどう抑止するか(1994年5月11日)

 

 企業機密は漏洩してはならない、という形で日本の就業規則は成り立っている。これは忠実義務という世界。内部告発はそれに違反する行為としてとらえられてきた。それが、良心経営の時代に変わることで、不正を糾すという観点から内部告発も認知され始めた。

 内部告発するのは、落伍した者や不平不満の持ち主である一般社員だけではない。管理職や役員にもいる。不遇をかこつあまり、それを自分自身で慰める手段として、即ち報復として内部告発をするわけだ。

 日本の企業は、機密管理になじまない体質がある。それは、情報の共有化が企業活力の源泉になっているから。どうしても情報は拡散する。

 だから、内部告発の抑止は、経営者への信頼、感服の世界を構築する以外にない。言い換えれば、心をひとつにする社長の言動だ。社長自ら勉強する、話を聞く、討論する、共感する瞬間を多く持つ、三手先を読むなど、「あらゆる局面に手が打ってあった」と感服させる力量だ。

 さらに、処遇に不平不満が起こらないように公正を旨とし、恣意性を排除することも大切なことだ。

 内部告発の内容が誹謗中傷のたぐいであれば、徹底的に責任追及しないといけない。大げさに調査を進めることである。犯人探しに血道をあげているフリをしなければいけない。些細なことだとして放置すると、どんどんエスカレートする。「内部告発ぐせ」に陥る。

 企業機密の漏洩防止には、「誓約書」をとること。誓約を結んでも一見、価値がないように思えるが、極めて有効である。何よりも署名捺印したことが心理的に機能する。そして、最初の違反者に手厳しく対処することが現実的な実効性を担保する。誓約書は、まず入社時に出させる。ついで管理職・役員に就任する時に出させる。そして退職時退任時には必ずとる。そのことを退職金・退任慰労金と連動させる。具体的には、誓約書を出さないと退職金を支給しないという規定をつくることである。

 

 

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【第9回】合意の形成~営業力とは「偶然を必然にする力」(1994年3月23日)

 

 経営も営業も、根本は「合意の形成」である。少々のトラブルやクレームで引き下がっては合意の形成にならない。ひたむきに合意の形成に向けて努力することが、結局は合意の形成につながる。

 合意の形成には、まず、相手を自分化すること。相手の価値観をわが社の価値観に置き換えることが合意形成の第一歩だ。相手のためになる商品を開発し、提供しようという姿勢があって、初めて相手の価値観を洗脳できる。

 営業とは偶然と奇跡の連続であるが、最近の営業不振は、偶然性すら少なくなって奇跡が多くなったことにある。

 

 営業力とは偶然を必然にする力、奇跡を平常にする力である。そのための努力を継続しなければならないが、その原点は「創意工夫」しかない。

 創意工夫とは、自分の商品をよく勉強すること、お客様の商売を熟知する(彼を知り己を知りて百戦危うからず)ことだ。

 創意工夫の次には、お客様に好意をもつ、即ちお客様から好かれるのではなくお客様を好きになること。そしてお客様のお役に立つという精神をもつことである。

 

 事業資産は様々あるが、その中に「営業資産」という価値観を組み入れないと、これから企業は生き残れない。そのためにもクレーム対応力は大切になる。

 1つの言葉をきっかけに信頼を勝ち取っていく。そのきっかけとなる意味ある言葉が「不平不満」、「苦情」。それらに解を与える努力から営業資産がつくられていく。それはお客様の気持ちに応えることだからである。

 

 

 

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【第8回】社長への信頼感をいかに高めるか(1994年2月23日)

 

 まずは、コミュニケーション。意思疎通というのは非常に大切。仕事の関係が終わったからといって年賀状も出さないのは論外。私のことを覚えていてくれているという世界が精神的結合の基盤だ。その実践策がコミュニケーション。

 私の場合、先方が私の不在時に電話してきて「また電話します」と言っても、すぐこちらからかける。「午前中は不在ですが午後には戻ります」という伝言には、午前中であってもすぐに電話を入れる。不思議なことに往々にして在席している。すると先方は感激するわけだ。迅速に、密に。これがキーワード。

 第2は態度、礼儀。謙虚さが基本だが、加えて責任転嫁しない、反省する気持ちが大切。責任転嫁は一番嫌われる。苦しくなるとすぐ逃げ出す。これでは頼りにならない。不安感、不満感を抱かせる極みだ。

 第3に能力。社長として要求される能力は様々あるが、信頼感の観点から言えば、包容力、指導力、統率力、企画力が大切だ。

 包容力とは「違う心を受け止める力」である。人の話を聞いてやる。心をひとつにするとは「人の意見を聞いて自分の意見と違うことを確認する」ことから始まる。偽りや見せかけの一体感ではいけない。

 指導力とは、相手の意見の欠点を上手に指摘できる力である。「君の意見もわかるが、この点はどうかね」と。

 次は統率力。誰から口説いたら一番早くチームの心がひとつになる可能性が高いか、どうやったら心がひとつになるか。説得の手順と手段を決める能力でもある。

 指導力と統率力は違う。指導力は1対1の家庭教師の役割である。だから欠点を上手に指摘して指導する力。統率力は、学校のクラス担任と生徒の関係、組織をまとめる能力である。

 企画力の本質は「危険予知能力」。これをやったらどういう障害が起きるか、という状況の想定ができ、想定問答、想定状況が紙に書けること。

 

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第7回】「とりあえず3連勝」で勝ち癖をつける(1994年2月2日)

 

 私がある会社の建て直しを手掛けたときのこと。「気がかりなことは何か」と聞いたら、「これだけ人数が減ったら、再建に必要な売上が達成できないのではないか」ということだった。倒産寸前会社だから、皆の士気が萎えているわけだ。挑戦への意欲を鼓舞するためには、まず勝つことの喜びを味合わないといけないと判断した。

 そこで「3連勝主義」というのを掲げた。勝てる目標だけ3つ立てて毎日3連勝、あるいは毎週3連勝する。期間はどのように設定してもいい。とにかく勝ち癖をつける。どこかで負けたら、その時点でまた3連勝3連勝、とつづける。

 目標は個人ではなく、チーム単位で立てて実践する。一番最初に3連勝した部・課・チームを賞賛するシステムをつくる。

 弁護士はクライアントに「難しい」と言うのが常で、私のように「大丈夫、大丈夫」と言っていたらありがた味がなくなるように思われる。しかし、それによって結局は元気が出て、競争相手を凌駕し、難局を克服していく。

 私は「大丈夫、大丈夫」とことさらに言う。クライアントが大丈夫と思っているときには言う必要はない。クライアントが、心配だ、危ないかもしれないと思っているときに言うわけだ。そう言われると出来るかもしれないな、と錯覚に陥る。それでいいのだ。だんだん本気になり、錯覚にとどまらないわけだ。

 兵は勢いなり、「勝ってますます強くなる。」まさに孫子の兵法にある通りだ。とりあえず3連勝。その勢いをもって本丸攻撃に移る。

 

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第6回】時短反対~労務管理のコツは忙しくすること(1993年11月17日)

 

 労働時間の短縮が正しいなら、労働時間ゼロが正義となる。人は労働によってつくられる、というのが私の考え方の基調だ。だから労働時間の短縮は間違いだ。

 人間が人間である所以の、手、足、口、頭を使って一番充実している時間は働いている時だ。働いている時間が一番人間的に機能しているわけだ。だから「責任ある仕事、厳しい仕事に耐えてきた人の顔は美しい」とか、同窓会で「各人の面貌に人生の軌跡を見る」などと言うのは、そのことに起因している。

 労働時間の短縮は人間的劣化を招く施策であると言ってよい。

 労務管理のコツは、忙しくすること。「小人閑居して不善を為す」というが、ヒマはろくなことがない。忙しく働くことによって、生産性向上という側面ばかりではなく、人間的な充実感を味あわせることが大切だ。

 企業としての適正な労働時間とは何か。これは、競争力を保持できることを原則として、各企業で考えなければならない。私は「中小企業では年間2,000時間」と言っている。再建会社だと2,400時間。

 私は、ある会社の再建の過程で社長代行を経験した。そのとき朝礼は朝7時からにした。労働時間の延長であるが、その努力を裁判所も認めてくれた。

 ほとんどの企業では土曜日・日曜日は休みが慣例化しているが、社長、幹部は土・日も働かなくてはいけない。また、有能な人材は早く管理職にして労働時間の拘束から解放する方向をとらないといけない。

 働くことは人間をつくるのだから、働き過ぎは悪いことではない。

 

 

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