高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~の最近のブログ記事

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第25回】幹部の降格人事では何らかの選択的提示をすること(1996年2月2日)

 

 降格人事のとき、役員・従業員は、敗北の恐怖心が死の恐怖心を超えることがある。向上心が萎えるとき、向上心が抑圧されたとき、人間である意味を失う。これが自殺に奔る理由の1つとなる。

 それを避ける方法は、何らかの選択肢を提示する「選択的降格」をとること。「君はわが社の社員として不適だから、部長付参事として働くか、子会社の○○として働くか、決めてほしい」と、選択的提示をする。それによって彼は自分で選んだという状況ができる。そこから自分で活路を拓こうとする。選択の余地のないやり方はできるだけ避ける。

 そして「3日以内に君の気持ちを伝えてほしい」と、タイムリミットを決める。形だけでも了承したというプロセスをとらないと、破局的な降格になってしまう。

 降格人事は、つらいけれどもトップが本人に伝達すること。そのときの切り出し方は「残念だが」という言葉で始める。そして最後に温かい言葉の配慮が必要だ。人事部長が行うと、とかくぶっきらぼうになる。

 もうひとつ、トップが話す前に何気なく、さりげなく、前ぶれを出しておくこと。ある日突然はダメ。

 風土刷新が必要な場合は、まず役員に過去の様々な失態について責任追及をする。これが懲戒解任。降格の極致。これが一番難しい。

 「いろいろあったが、君は退任慰労金なしで辞めてもらわざるを得ないが、君が望めば私なりに今後のことはできるだけのことはしたい。私だけでなく会長も君のことを心配している。社長の私に相談するか会長に相談するか、どちらでもいいから、私にこだわらずに君の気持ちで選べばいい」。このように付け加える配慮がないといけない。

 何でもいい、選択の余地を残して救ってくれる人がいる、という世界を構築していく。そして、打ち明けることができる状況づくりも必要だ。カウンセラーや精神科医を顧問にして、匿名でも相談できるようにする方法もある。これが現実的な解決法である。

 

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【第24回】仕事は喜びであることを教えよ(1995年11月22日)

 

 私は30年ほど前に、労働組合との対応において、「従業員に対して仕事は喜びであることを教育していかなければならない」と主張した。これは私のセミナーの基調のひとつである。

 人間であることの証明は、まさに足腰を動かすこと、手を動かすこと、口先を動かすこと、頭を働かせること、つまり労働することにこそある。このように人間にとって根源的な労働が苦痛であるはずがない。言い換えれば、労働することは人間であることの証明である。

 その労働が苦痛であるとされる所以は、それが義務であること、拘束されているものであるが故だ。

 だから労務管理の基本は、統一した労働、組織ある労働、目標ある労働を、いかに義務感や拘束感を排除して実現するかにあり、その具体的実践に努力しつづけることにある。

 農業であれ、製造業であれ、商業サービス業であれ、みんな同じ。そしてソフト化が進行する。頭脳労働の時代になればなおさらである。

 「走れ」と強制すれば人は走るだろう。走れないとは言えない。しかし頭の方は強制されても「頭がまわらない」と言える。つまり、思いつかない、アイデアが浮かばない、と言える。労働が喜びであることを味合わせるシステムでないと、頭脳労働、「思う」、「考える」、「感じる」機能は発揮されない。ソフト企業は成果を挙げることができない。

 

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【第23回】ゴールドカラーが3人いたら企業は戦い抜ける(1995年10月18日)

 

 私は今まで、ホワイトカラーはグレーカラー化する、ブルーカラーはパート化すると言ってきた。そして、ホワイトカラーの上にゴールドカラーが出現する。

 これから生き残るためには、この人材の確保がまさに必要だ。100人凡人がいても仕方がない。原則倒産の時代に100人の凡人集団で乗り切れるわけがない。ゴールドカラーが3人いたら企業は戦い抜ける。

 もちろんグレーカラーもそれぞれ自律的な行動をするけれども、突出した人材がいなければ混迷から抜け出すことは不可能だ。

 これからは、引き抜きを念頭において経営しなければならない。「引き抜く」ことと「引き抜かれる」ことの2つのテーマだ。引き抜かれるような人材(ゴールドカラー)を育成し、それが引き抜かれないようにする。リテンション対応だ。これが経営の大きなテーマ。

 抜擢・引き抜きの反対で、落ちこぼれ社員にどう対処するかも課題となる。落ちこぼれ社員を抱えると不活性の要因となり、発展を阻害するからだ。

 アメリカではアウトプレースメントといって、余剰人員を積極的に消去する転職促進策が進められている。

 これからは、ホワイトカラーのグレーカラー化が進み、ブルーカラーとホワイトカラーの中間の賃金しかもらえないグレーカラーが急速に増える。簡単に言えば、社員の身分化が進むことだ。選ばれた職分ゴールドカラー、中堅のグレーカラー、そしてパートタイマー。従業員の構成も賃金構成も、この3つとなる時代がやってくるだろう。

 

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【第22回】製造物責任法(PL法)と社員教育(1995年9月20日)

 

 PL法の施行によって、消費者からの問い合わせやクレームは間違いなく増加する。

 あるメーカーでは、1995年の問い合わせは約25,000件で、前年比25%増。そのうち金銭要求をともなうクレームは0.3%あったという。因みにこの会社は支店ごとに顧問弁護士を雇った。

 問い合わせをしてきたお客様がクレーマーになるかファンになるか、これは会社の将来を大きく左右する。そしてそれは、問い合わせを受けた社員の言動が分かれ道となる。これからは、電話の応対をはじめとするお客様とのクレーム対応教育は、いままで以上に意味をもってくる。

 クレーム処理はトップダウンで取り組む課題だ。クレームが来たら、すべて社長まであげること。新商品、新サービスが出たときは、なおさらトップダウンでクレームを処理することが肝心だ。

 営業担当に売上目標と販売テクニックだけを教える教育や、工場の社員にひたすらマニュアルによるチェックのみを教えるといった教育では、PL法への備えは生まれない。

 PL法対応のキーワードは、「品質」と「安全」である。品質と安全がすべての部門で意識されるように社員教育を組み立てていく必要がある。理想的な姿は、それを何らかの形で1人1人の業務に組み込むことだ。さらには、取締役会をはじめとするすべての意思決定に際しては、品質と安全に配慮したかどうかを必ずチェックすることが必要であり重要である。

 

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【第21回】サービス業は教育業でなければならない(1995年7月18日)

 

 これからはサービス産業が拡大していく。

 なぜサービス産業は需要があるか。一般には、社会が多元化して自分一人では生きていけないから、手際よくやってくれる人が必要になってくる、と言われている。

 私は、知識社会、知的社会という時代になってきたことと関係があると思う。人間は知識・知能が高まるにつれ、多くの人が晩年を思い浮かべ、さらには自分の死に際を想起しながら生きるようになっていた。それは極限での孤独を意味する。つまり、生きている間に多くの人と接触したいという集団欲が刺激されてくる。連帯したいという気持ちが強くなる。ここに、サービス産業の基盤がある。

 自動販売機で買うより、喫茶店でコーヒーを飲みたい、人と接触したいと思う人が大勢いる。高齢化社会になればなるほど、老後を意識する時間が長ければ長いほど、サービス産業は成長する。

 ただ、サービス産業は製造業ほど儲からないということを念頭におくこと。サービス産業は機械任せにすることができず、人手を必要とするからだ。連帯心を満足させる、触れ合いをもつ、安堵させるという世界は、対人技術である。対人技術だから省人化できない。ロボットに「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と言わせても成り立たない世界だ。

 低生産性、低収益性の中で、ひたすら対人技術を磨くことにサービス業の中心がある。つまりどんなサービス産業も、教育産業、教育事業でなければならないということだ。教育を持続的に展開し、均一の品質と臨機応変を保障し続けることに、常に配慮しなければサービス産業は成長しない。

 

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【第20回】分社経営のポイント(1995年6月19日)

 

 分社経営は権限分配の極みである。

 組織は目標を実現するためにある。それには絶えざる活性化が必要だ。活性化は競争原理を激化させることだが、競争しながらお互いに助け合わなければならないという難しさがある。分社経営は、うまく機能すればその役割を果たす。

 権限を委譲するにあたっては、その前提としてホウレンソウ(報告・連絡・相談)というタテの意思疎通をシステムとして確立すること。またヨコの意思疎通の仕組みとして、合議制の充実をはかることが大切だ。

 社長は、分社の社長に予め期待値(経営目標)を決め、提示しなくてはいけない。それで競争原理を機能させる。全分社を競わせ、目標を達成することによって充実感を体感させるシステムである。分社政策をとるときは、本社社長の支配権を忘れないこと。特に人事権、解任権を堅持しなければならない。したがって分社の株式の3分の2以上持つことが不可欠だ。できることならキーとなる分社は100%の株式を保有すること。

 分社の社長に株を持たせないとやる気が起こらない、というのは一見正論のように聞こえるが、惑わされてはいけない。株による支配権の確保を十分に意識する必要がある。

 また、経理担当者に意を用いること。本社ですべての経理をやっているところもあるが、それでは分社意識が希薄化する。分社ごとに経理担当者を配置した方がいい。

 分社する部門は自立できる部門、一定のスピードで走れる部門でなくてはならない。今は力不足だが分社したらうまくいくだろう、という考えは間違いだ。走る能力がある部門を分社したら、もっと速く走れるようになる。

 

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【第19回】著者は年功序列よりも実力を評価されることを望んでいる(1995年5月18日)

 

 リクルートが7,000人を対象に調査した結果によると、「独立して仕事をしてみたい」と答えた人は42%超。その内4分の1は「すぐにでも独立したい」か「近いうちに独立したい」と答えた。

 日本の経済は沈没の方向に向っている。このことは社長フォーラムで論証し続けてきたとおりだ。国に対する信頼が失われ、同時に企業に対する信頼も失われつつある。

 企業も成長が止まる、衰退が始まる、社員数がどんどん減る。企業とともに歩んでいけば自分も小さくなっていく、という不安感、焦燥感。その一方で、しかし人間である以上、自律心、向上心を持っている。それ故に独立志願が強くなる。

 皆さんの会社の社員100人中42人が独立したいと思っている。専務が、あるいは営業部長が独立するかもしれない。社長は、この調査結果を意識して経営にあたらないといけない。

 再就職するとしたら、半数強が「年俸制の会社を希望」という記事がある。富国生命が20歳~59歳のサラリーマン500人を対象に行った調査結果だ。

 これまで日本的経営として特徴づけられてきた制度の崩壊を目の当たりにしたサラリーマンたちが、意外にしたたかな考えを持って変化に対応している様子が読み取れる。

 例えば、年俸制が導入された場合、自分の年収が「減る」と見るのはわずか6%弱。「同じくらい」が約半数の53%を占めるものの、「増える」が40%にものぼり、自負(うぬぼれ)のほどをうかがわせる。

 再就職するとしたら、「年功序列の会社」(42%)よりも「年俸制の会社を希望」(52%)の方が多い。自分の実力を正当に評価される企業で働きたいという風潮が強いのだ。年俸制の会社の方が若者たちに歓迎される。これは独立志願が4割強いるのと同じこと。社員にどのようにしてやり甲斐という希望を与えるかが、企業経営者の課題となる。

 

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【第18回】経営内紛と株主代表訴訟(1995年3月17日)

 

 同族の内紛は他人同士のケンカより激しい。

 兄弟の序列が確立しているとか万世一系がよいのだが、現実には、愚兄賢弟で争いが起きる。承継問題で、よく長男と次男に株を分けることが行われるが、原則として兄弟を同じ企業で働かせてはいけない。長男は往々にして親に対して反抗的であり、次男は協調的である。次男は兄貴に対して対抗的だから「敵の敵は味方」になるわけだ。強打宇井一貴に会社を相続させることは親父を中にしてケンカが始まる。

 株主代表訴訟は、株主が監査役に対して会社に損害を与えた役員の責任の追及を促すシステムだ。監査役が行動を起こさなかった場合、株主は訴訟が提起できる。公開会社、未公開会社にかかわらず留意が必要。

 さて、中小企業では本来の意味で株主代表訴訟がなされている例は少ない。起こり得るとすれば経営権の争奪戦のひとつの手段として使われる。経営内部に内紛があるとき使われる可能性があるのだ。

 経営判断の是非が問われる。経営結果の責任を問うのではない。経営判断にミスがあったから責任を問う、という世界だ。ミスがあったかなかったか、ということが課題になる。いまは何をやるにも成功率は従来と比べて格段に低くなっているから、経営判断のミスをつきやすいのだ。

 だから、経営判断の妥当性を裏付ける資料を絶えず整えておくことが大切になる。専門家の意見を聞くのが一番いい。その内容を書面で残すこと。そしてその書面について公証役場に行って確定日付をとればなおいい。

 株主代表訴訟では、監査役が極めて重要な役割を演じる。なぜ監査役は責任を問わなかったか、が重要な課題になるわけだ。

 監査役に閑職意識をもたせてはいけない。飾り物にしてはならない。むしろ勉強家を配置する。そして人柄のよい人を置くことが大事だ。監査役が同時に株主の場合は要注意だ。ひとたび会社と諍いが起これば、一番訴訟を起こしやすい人物になるからだ。

 

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【第17回】営業社長の心得、営業部長の心得、営業マンの心得(1995年2月24日)

 

 社長にとって「営業マンは分身である」というスタンスで取り組まなければ、社長業は務まらない。分身であるから、営業部隊と共感しなければならない。共に感じ共に悩むという姿勢がないと、統率者、営業部隊長として務まらない。

 営業部長は営業マンにとって鵜匠であり、また羊飼いでなければならない。営業部長は、企業の存続発展のために営業マンが利益をあげることを目標にしているが、そのためには営業部員を育成する気持ちがなければならない。育成概念、育成感覚がないと営業部長は成功しない。それだけではない。即戦即決即利益の鵜匠である。3年後5年後までは待てない。

 営業マンの心得は、基本2カ条。1つは、自社の商品をよく勉強すること。少なくとも、まずはお客様から「商品を知らない営業マンだ」と指摘されない程度には勉強すること。商品の長所とともに短所も知ることが大切である。そして、絶えざる勉強によって商品開発への提案につなげる営業マンが優秀な営業マンである。

 2つ目は、お客様に好意をもつこと。松下幸之助氏は「お客様に好かれよ」と言った。言うは易く行うは難し。媚びになる。媚びになっては営業にならない。だから私は「お客様を好きになれ」と言っている。

 この2つがあれば、営業の本質である「合意の形成」に的確に近づきうる。営業とは、「偶然を必然にし奇跡を平常化すること」とは何回も言ってきたが、それはこの2つがあってこそ初めて実現できるのだ。

 また営業部長は、部下の弁解に耳を傾けても理解してはいけない。弁解とグチは限りなくある。弁解を「理解」したら創意工夫が始まらない。営業はとかくエクスキューズを言う。例えば、今年の冬は暖かいから売れない、問屋が納めてくれないなど。だからどうする、ということが何もない。エクスキューズを許してはいけない。これを認めないことが営業のポイントになる。

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第16回】あらためて人間尊重経営の視点をもて(1995年2月3日)

 

 文化とその基礎にある精神性を踏まえて日本人の育成を図らなければならないと思う。文化とは人間性である。

 これからは企業の人間性なくして収益をあげることはできない。平たく言えば、企業文化はカネになる。

 そのとき、経営理念と企業の人間性が重要になる。実力主義、成果主義の中で、人間がモノや道具としてしか扱われないというのは邪道である。企業は人で構成されている。いつの時代でも人間尊重経営でなければならないが、ソフト化時代から心の経営体に少しずつ移行していくにつれて、今、改めて人間尊重の視点が必要になった。

 日本の企業は原則倒産の時代。その中で生き延びていくためには、単に自らの企業に貢献する商品・サービスであってはならない。社会貢献型、人類貢献型、地球貢献型の商品・サービスであってこそ、初めて企業の存在が許される。言い換えれば、これが日本企業が息を吹き返す原動力となる。

 いずれの企業も、この思い入れこそを発信の基本波長にしなければならない。

 

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