高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~
<第48回>社長の話し方6例~部下に責任を推しつける話し方ではダメ~
(1998年6月17日)
※本稿は1997年当時の講演を元に2004年に編集されたものです。
1)部下に責任を推しつける話し方や、経営判断を回避する態度ではいけない。「私がいいと思うからやる」という話し方でないといけない。社内を引っ張っていくのに、「私が責任を取る」という話し方でないと社内はまとまらない。
「労働組合が悪い」と言う社長が多いが、それはその社長の経営力がないのだ。組合が会社を潰すことはない。経営が脆弱だから会社が潰れるのだ。その意識改革なくして再建はあり得ない。
2)社員に対して本人に不都合不利益なことを話す時は「残念だが」、「申し訳ないが」という一言を付ける。謝罪の意を表する態度でいかないと、その後の協力は得られない。
3)語尾が明瞭であること。明瞭でないと説得力がない。
4)幹部には、いいことにしろ悪いことにしろ、一般社員より一刻でもいいから先に話しておく。幹部と一般社員とに同時に話すのでは、幹部が統率力を失なう。
5)従来より少し数字を入れ込んで話をする。社会がデジタル化しているから、社長の話しもデジタル化しないといけない。抽象的なことを言うより、具体的な数字を入れること。
6)幹部には何でも真っ正直に話すこと。
今朝、再建問題である会社に行った。その時いくつか条件を出したが、その一つが「何でもいいから悪い情報を必ず伝えてほしい」ということ。そうでないと私は引き受けない。社長は「自分の会社にとって都合の悪いことは顧問弁護士に伝えたら不利」と判断してはいけない。己を知らないと何もできない。それと同様、幹部には真っ正直に話すこと。
もう、経営者が言葉巧みに部下を騙せる時代ではなくなった。逆に部下の方がよく知っていたりする。社長は裸の王様になってはいけない。企業の中で情報をディスクローズ(公開
する姿勢がなければ、社内で話をする資格も意味もない。