高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~の最近のブログ記事

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

第31回>実力主義になればなるほど組織性が失われる(1996年9月19日)

 

 実力主義になればなるほど個人主義的、自己中心的な、手段を選ばずの世界になる。企業たる意味は、10人、20人、100人が組織として活動するところにある。

 まず第1に考えなければいけないことは、組織の本質は「助け合い」だということである。互助の体系化・制度化・規範化である。体系化・制度化とは誰の指導のもとで仕事をするか、ということであり、規範化とはルールに違反したら懲罰がくる、ということ。

 連帯心を刺激するシステムこそ、実力主義成功のポイントだ。

 その実践策は、まず経営者自ら社員と「目を合わせる」こと。アイコンタクトである。疎通性と連帯性を強める努力が必要。目線が合わないのは疎通性の欠如である。

 それと挨拶。「おはようございます」、「ご苦労様です」、「お疲れさま」、「いってらっしゃい」、「ただいま」。挨拶を全社員に実行せよ。ここから人間的な結合、信頼関係が始まる。中小企業なら目も声も届きやすい。だから中小企業の時代なのだ。必然、企業は小型化する。

 実践策の第2は、結果オーライだけに陥らないようにプロセスを重視する、即ち手段を選びコンプライアンスを重視すること。実力主義はとかく結果主義になりがちだ。結果主義は企業の社会性を失う。実力主義なるがゆえにプロセス重視を掲げなければならない。仕事のプロセスを大切にするように絶えず企業風土の刷新に意を用いよ。

 仕事のプロセスだけでなく教育のプロセスも重視しなければならない。教育の中心課題は、自律心を高める、連帯心を強める(アイコンタクトもその1つ)、向上心を強める(目標をつねに新しく高く与えつづける)こと。

 実力主義にも弊害はある。その最たるものが「結果主義」。勝てば官軍の世界だ。そうならないように様々な工夫が不可欠だ。

 時に慢心する者が出る。これは実力主義における深刻な課題だ。鼻をへし折ると辞めかねない。ではどうやるか。

 ひとつは陰叱り。「○○君、君の成績は立派なものだけど、△△君が言っていたが(実は社長が言っている)、これこれの批判があるから注意しなさい」と陰から欠点を指摘する形をとる。ささやく。

 それで効かなかったら第三者から言わせる。「社長も困っていたよ。かばいきれないことが時々あるって」。これをまずは満座ではやらない。1対1で言う。

 満座でやるときは固有名詞は言わない。「お客様の声だが、電話の切り方が乱暴だ、応対が横柄だと。お互いに注意しましょう」と言う。

 なるべく口頭でやるのがいい。しかし最後には文書で叱る。ここまでくると辞める。なぜ文書は最後かというと「詞は飛び、書は残る」からだ。

 

高井伸夫の社長フォーラム100講座記念~1講1話・語録100選~

【第30回】信用・人脈・情熱~経営強化に必要な3要素~(1996年7月17日)

 

 経営者として必要な要素は様々あるが、経営強化に必要な3つの要素について述べたい。この3要素は「人事の時代」にあって、その人間が優秀であるかダメであるかの判断基準として考慮すべき点でもある。

 ひとつは信用。信用は迅速な応答より生ずる。即時の対応、俊敏かつ緻密な経営が、ホンモノの経営をつくる。信用経営である。

 信用とは、「人の言を用いる」と書く。言がなければ信は生まれない。ただしその言は的確であり、バランス感覚と精神力に満ちていること。後退的な言は用いてはならない。マイナス状況をプラスに変える創意が必要だ。

 前進的、開拓的、前向き、未来志向的を基本とする意見を述べ、その場その場において創意工夫ができ、状況を構築できる力、そこからプラス思考が出てくる。

 言はまた、実現されなければならない。実現することによって「信頼」=その言に頼られる存在となる。その言を成す、実らせる=「誠実」に至ることが大切だ。

 2つ目は人脈。人と人との結合。契約関係ではなく、淡くとも信頼関係での結合が大切である。

 そのとき「人脈定年」対策を考えること。歳をとると友人・知人がだんだん少なくなってくる。人脈定年の克服策は、若い人と付きあうことだ。その場合、信頼だけでなく尊敬、人望が付け加わらないと人脈として形成されない。単なる友達関係では年長者はうるさがられるだけ。尊敬、人望の根源は「実績をあげる」ということに尽きる。

 3つ目は情熱。人一倍勉強する、新しいものをつかむ、社長自ら体を張って朝早くから夜遅くまで働く。これが情熱である。

 その逆は成り行き経営、その場しのぎ経営、ことなかれ経営。みんな倒産する。

 

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【第29回】「気」の時代~やる気、人気、活気(1996年6月19日)

 

 「心の経営」の次は「気の経営」である。時代背景としてコンピュータ化や国際化などいろいろあるが、やはり仕事に対処するやる気、お客様の信頼を得る人気、職場の活気が、いま一番要求される。

 気の経営の第1は「やる気」だ。やる気とは、人に言われなくても自分で仕事をつくるという姿勢。わが社にはやる気のある人が10人中何人いるか。1人なら普通、2人ならまあまあ、3人なら優良企業だ。3割いるかどうか常にチェックすること。やる気を刺激するには褒めること。特に朝礼で褒める。

 2番目の「人気」とは、名物商品と名物社員の有無である。

 先日から私は、20店舗あるスーパーの再建に取り組んでいる。そこで、ジャンル別に売れ筋(名物)商品があるかどうか、ただし本部の推薦品はダメという条件をつけて1点ずつ出させてリストアップさせた。「なし」ならまず1個つくる。この名物商品が当初のリストを絶えず更新しながら3倍になったら改革は終わる。

 次は名物社員がいるかどうかだ。余人をもって代え難い人をリストアップさせる。万引きの摘発がうまい人、掃除の上手な人、なんでもいいわけだ。そして第三者から評価を聞くこと。みんなが名物商品、名物社員を意識し始めたら成功だ。

 3番目は「活気」「雰囲気」。社長、営業部長、店長はプラス志向でなければならない。「出来ないこと」ではなく「出来ることを課題にする」ということである。

 「気」の営業でもうひとつ大切なのは、お客様の満足感を念頭におくこと。リピート客が増えるかどうか、常連客の数を意識しているかどうか、この1点を営業マンに意識させ続けることだ。

 

 「やる気」、「人気」、「活気」は企業の血液である。「気」をひとつにし、気を整えることが大切。この3つを意識すれば、生き残れる経営体になる。

 

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【第28回】「人材含み損」清算の時代(1996年5月22日)

 

 経営改革の課題はムダを省くことにあるが、ムダの最たるものは能力のない人間を使っていること。ここに「人材含み損清算」の本質がある。ムダをムダと認めなければならない。

 全社員を対象に、ムダかムダでないかを○△×で印をつけてみればいい。○が3割あったら優秀な会社である。×を継続的に入れ替えていくことによって会社は活性化する。

 例えば、給料50万円の課長。この人が50万円の働きをしているかどうかを点検しなければならない。そのときの尺度は、給料の3.5倍の粗利益をあげているかどうかをみること。50万円の給料をもらうためには粗利で毎月175万円稼がなければツーペイにならない。その基準に達しない人は含み損社員として、社長や人事部長だけでなく全員が認識することだ。

 これからは、個人ごとに適切かどうかを点検する必要がある。時間が給料を決定する時代は去った。彼が「どれだけ成果を出したか」によって決定する時代だ。

 例えば、早足で歩く。社長だけでなく全員が早足で歩く。それが実力主義賃金とか成果主義を旨とする人事制度である。時間の経過で給料がもらえた時代から、早足でどれだけの距離を歩いたか、を測定するシステムである。

 定期昇給制度はやめた方がいい。やるなら定期昇給制度と定期降給制度と抱き合わせでやる。昇進制度も昇進だけではなく降格制度も取り入れる。

 明日、会社に帰ったら管理職を集めて「これからは人材含み損清算の時代になった、と昨日聞いてきた。うちの会社でワースト10の役職者を挙げろ、部下を挙げろ、紙に書いて提出せよ」と言えばいい。そうすればたちまち活性化する。

 

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【第27回】1回の訪問機会を最大限に活かす(1996年3月22日)

 

 私は1日に10本前後の手紙やFAXやメールを出す。書くのは大変だからテープに吹き込む。それを秘書が文章にして送っている。

 内容は、まずはアポイントをいただいたお礼状。2日ほど前になると「予めご検討いただければ幸いです」と、訪問するにあたってのお願いを出す。そして訪問した後のお礼状。

 1回の訪問を多重的に使う。これは人間関係を密にする最もいい方法だ。15分間の面談の前後も手をかえ、品をかえて意思疎通をはかる。そのとき、自分が相手に求めることはなるだけ少なく、できたら1つだけにしておく。情は人のためならず。結局は全部自分に返ってくる。

 営業マン教育では「営業は偶然と奇跡の連続」ではあるが、「そうではない」と教えなければ「偶然を必然にする」とか「奇跡を平常にする」ことはできない。運を否定しなければならない。チャンスは自分でつくるという思想で教育しなければならない。

 そしてチャンスを活かすためには、いつも工夫しなければならない。

 私は、2回目の訪問で状況の進展がみられないと感じたら、3回目から別の方法を考える。セールスに100回通って注文をとったという成功談があるが、それは人的資源とヒマが充分にあった過去の話。いまはそれを実践してはいけない。反復行動が成功する確率は、行動を重ねるたびに小さくなっていく。3回目は別のやり方を工夫しないと成功率はしぼむ。

 営業で初めてのお客様となった相手先には、社長は必ず訪問すること。これが営業の秘訣。初めてのお客様は、見込客がお客様になった歴史的瞬間である。営業部長と一緒に社長も行く。そしてこれは先方の社長、担当部長に会える絶好の機会でもある。営業安定の秘訣だ。そして訪問後は必ず礼状を出す。

 

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【第26回】残心の世界を演出する(1996年2月23日)

 

 コミュニケーションこそ人間関係の基礎だが、私はそこに「残心(ざんしん)」を重要視する。

 「昨日は思いもかけず歓待していただき、たいへん嬉しゅうございました。あまつさえ、その後わずかな時間でありましたがカラオケで共に歌をうたったことが思い出に残ります。こんな機会をまた秋にでも、というありがたいお言葉をいただき、私も心待ちにしております。」とお礼のFAXを出す。

 「ご丁重なお便りをいただきありがとうございました。この秋を楽しみにしております」と返事が来る。

 その返事にまた返事を出す。

 「さっそく私のFAXにお答えいただきありがとうございました。あの時は申し遅れましたが、心ばかりの品を送らせていただきました。ご家族皆さまで召し上がっていただければ幸いでございます」。

 残心の世界である。残心とは、想いを連ねていくこと。営業は、心をつなぐこと、縁をつなぐことで結実していく。

 もちろん必ず書面で出す。電話では残心にならない。

 

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【第25回】幹部の降格人事では何らかの選択的提示をすること(1996年2月2日)

 

 降格人事のとき、役員・従業員は、敗北の恐怖心が死の恐怖心を超えることがある。向上心が萎えるとき、向上心が抑圧されたとき、人間である意味を失う。これが自殺に奔る理由の1つとなる。

 それを避ける方法は、何らかの選択肢を提示する「選択的降格」をとること。「君はわが社の社員として不適だから、部長付参事として働くか、子会社の○○として働くか、決めてほしい」と、選択的提示をする。それによって彼は自分で選んだという状況ができる。そこから自分で活路を拓こうとする。選択の余地のないやり方はできるだけ避ける。

 そして「3日以内に君の気持ちを伝えてほしい」と、タイムリミットを決める。形だけでも了承したというプロセスをとらないと、破局的な降格になってしまう。

 降格人事は、つらいけれどもトップが本人に伝達すること。そのときの切り出し方は「残念だが」という言葉で始める。そして最後に温かい言葉の配慮が必要だ。人事部長が行うと、とかくぶっきらぼうになる。

 もうひとつ、トップが話す前に何気なく、さりげなく、前ぶれを出しておくこと。ある日突然はダメ。

 風土刷新が必要な場合は、まず役員に過去の様々な失態について責任追及をする。これが懲戒解任。降格の極致。これが一番難しい。

 「いろいろあったが、君は退任慰労金なしで辞めてもらわざるを得ないが、君が望めば私なりに今後のことはできるだけのことはしたい。私だけでなく会長も君のことを心配している。社長の私に相談するか会長に相談するか、どちらでもいいから、私にこだわらずに君の気持ちで選べばいい」。このように付け加える配慮がないといけない。

 何でもいい、選択の余地を残して救ってくれる人がいる、という世界を構築していく。そして、打ち明けることができる状況づくりも必要だ。カウンセラーや精神科医を顧問にして、匿名でも相談できるようにする方法もある。これが現実的な解決法である。

 

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【第24回】仕事は喜びであることを教えよ(1995年11月22日)

 

 私は30年ほど前に、労働組合との対応において、「従業員に対して仕事は喜びであることを教育していかなければならない」と主張した。これは私のセミナーの基調のひとつである。

 人間であることの証明は、まさに足腰を動かすこと、手を動かすこと、口先を動かすこと、頭を働かせること、つまり労働することにこそある。このように人間にとって根源的な労働が苦痛であるはずがない。言い換えれば、労働することは人間であることの証明である。

 その労働が苦痛であるとされる所以は、それが義務であること、拘束されているものであるが故だ。

 だから労務管理の基本は、統一した労働、組織ある労働、目標ある労働を、いかに義務感や拘束感を排除して実現するかにあり、その具体的実践に努力しつづけることにある。

 農業であれ、製造業であれ、商業サービス業であれ、みんな同じ。そしてソフト化が進行する。頭脳労働の時代になればなおさらである。

 「走れ」と強制すれば人は走るだろう。走れないとは言えない。しかし頭の方は強制されても「頭がまわらない」と言える。つまり、思いつかない、アイデアが浮かばない、と言える。労働が喜びであることを味合わせるシステムでないと、頭脳労働、「思う」、「考える」、「感じる」機能は発揮されない。ソフト企業は成果を挙げることができない。

 

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【第23回】ゴールドカラーが3人いたら企業は戦い抜ける(1995年10月18日)

 

 私は今まで、ホワイトカラーはグレーカラー化する、ブルーカラーはパート化すると言ってきた。そして、ホワイトカラーの上にゴールドカラーが出現する。

 これから生き残るためには、この人材の確保がまさに必要だ。100人凡人がいても仕方がない。原則倒産の時代に100人の凡人集団で乗り切れるわけがない。ゴールドカラーが3人いたら企業は戦い抜ける。

 もちろんグレーカラーもそれぞれ自律的な行動をするけれども、突出した人材がいなければ混迷から抜け出すことは不可能だ。

 これからは、引き抜きを念頭において経営しなければならない。「引き抜く」ことと「引き抜かれる」ことの2つのテーマだ。引き抜かれるような人材(ゴールドカラー)を育成し、それが引き抜かれないようにする。リテンション対応だ。これが経営の大きなテーマ。

 抜擢・引き抜きの反対で、落ちこぼれ社員にどう対処するかも課題となる。落ちこぼれ社員を抱えると不活性の要因となり、発展を阻害するからだ。

 アメリカではアウトプレースメントといって、余剰人員を積極的に消去する転職促進策が進められている。

 これからは、ホワイトカラーのグレーカラー化が進み、ブルーカラーとホワイトカラーの中間の賃金しかもらえないグレーカラーが急速に増える。簡単に言えば、社員の身分化が進むことだ。選ばれた職分ゴールドカラー、中堅のグレーカラー、そしてパートタイマー。従業員の構成も賃金構成も、この3つとなる時代がやってくるだろう。

 

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【第22回】製造物責任法(PL法)と社員教育(1995年9月20日)

 

 PL法の施行によって、消費者からの問い合わせやクレームは間違いなく増加する。

 あるメーカーでは、1995年の問い合わせは約25,000件で、前年比25%増。そのうち金銭要求をともなうクレームは0.3%あったという。因みにこの会社は支店ごとに顧問弁護士を雇った。

 問い合わせをしてきたお客様がクレーマーになるかファンになるか、これは会社の将来を大きく左右する。そしてそれは、問い合わせを受けた社員の言動が分かれ道となる。これからは、電話の応対をはじめとするお客様とのクレーム対応教育は、いままで以上に意味をもってくる。

 クレーム処理はトップダウンで取り組む課題だ。クレームが来たら、すべて社長まであげること。新商品、新サービスが出たときは、なおさらトップダウンでクレームを処理することが肝心だ。

 営業担当に売上目標と販売テクニックだけを教える教育や、工場の社員にひたすらマニュアルによるチェックのみを教えるといった教育では、PL法への備えは生まれない。

 PL法対応のキーワードは、「品質」と「安全」である。品質と安全がすべての部門で意識されるように社員教育を組み立てていく必要がある。理想的な姿は、それを何らかの形で1人1人の業務に組み込むことだ。さらには、取締役会をはじめとするすべての意思決定に際しては、品質と安全に配慮したかどうかを必ずチェックすることが必要であり重要である。

 

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