病気の最近のブログ記事

 

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(2012年1月8日 朝7:39 東京都港区 仙台坂にて撮影)

 

 

 

前回、前々回に引き続き、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授 安保 徹先生をご紹介いたします。

 

 

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安保 徹先生 公式HP http://toru-abo.com/

 

 

【自分の生き方を問い直すこと】

さて、私たちは正反対のはたらきをする2つの神経(自律神経)から成り立っています。活動している時や、ストレス、緊張している時に使用する「交感神経」、そしてもうひとつは休息している時、体の修復をしている時、リラックスしている時に使用する「副交感神経」です。体の中で副交感神経が優位にたつと筋肉が緩み、血管が広がり、心拍はゆっくりとなって、内臓は活発になります。これは筋肉の中の血管、リンパ腺、神経が、血管が広がることによって、栄養・酸素・体温が体のすみずみに運ばれていき、老廃物や疲労物質などの不要なものもスムーズに排出されるからだそうです。

 

反対にストレスが多いと、交感神経ばかりが働くことになってしまいますので、副交感神経による「体の修復・疲労の回復」が体の中で追いつかず「疲れがとれない」、「不眠」等の不調をかかえてしまうそうです。交感神経の緊張が続くと「低体温」、「低酸素」の世界が続き、がんが発症しやすい状態が作られることになります。このような時は体を温めることを心がけ、ゆったり食事をとるなどして、副交感神経を優位にし、活発化させることが必要になってきます。副交感神経が活発だと酸素も活発に取り入れられますので、それに伴ってミトコンドリアも活発になります。これは「副交感神経が活発化」=「免疫力が上がる」ということを意味します。「無理をしないでリラックスする」、「物事に対しては常に楽観的でいること」など、興奮やストレスのない状態が、副交感神経を活発化することになります。

 

がんについて安保先生は「自分自身の生き方の偏りが特定の部位のガン化として現れる」とおっしゃっています。たとえば悩みばかりの人は頭(脳)の中でそのことばかりを日々考えて過ごすことになりますので、副交感神経を使いたくてもリラックスできず、常に脳が緊張し交感神経が優位にたち、ストレスを抱えていることになります。結果、脳腫瘍にかかる率がどうしても高くなるということです。ですから、「自分の生き方を問い直すこと」、生き方の改善こそが、がんの最大の処方箋だということです。

 

また、常に笑っていることでがんが治った人もいるそうです。安保先生はご自身の本、「ガンは自分で治せる」(マキノ出版、2002)」の中で「笑いと治癒力」(岩波書店、2001)の著者であるノーマン・カズンズ氏の言葉を引用し、「笑うこと」がストレスを緩和し、免疫系のバランスを回復させ、人間の自然治癒力を活性化させるということについて述べていらっしゃいます。笑う事は免疫力(リンパ球)が活性化することと関係しており、実際に「笑い」を治療の一環としている病院もあるということです。これについては7月12日付ブログ記事「交友録その2」でご紹介した船瀬俊介先生も、ご著書「笑いの免疫学」(花伝社、2006)の中で述べられています。

 

苦しみの最中、笑うということは非常に難しいような気もします。しかし、漫画家の故・赤塚不二夫先生による「天才バカボン」のパパの名台詞「これでいいのだ」があります。「これでいいのだ」と笑って過ごすことは、すなわち病気や老いといった、自分の力ではどうにもならない宇宙の法則に全て身をゆだね、受け入れるということでしょう。

 

人は病気になり、老い衰え、そして最終的には死に至ります。こういった宇宙の法則は、無常であります。しかしこの悲しみを、悩みや怒りをもって受け止めてはいけないと思います。悲しみを受け入れ、肯定することで、安保先生のおっしゃる「自分の生き方」がおのずと意識できるのではないでしょうか。人は病気になり、老い衰え、そして最終的には死に至るということは、肉体的な健康を失うということであると思いますが、人間の「生きること」に対する「苦悩」、「苦痛」、「苛立ち」、「怒り」、そして「不安」のない状態は、霊的には健康であるということでしょう。

 

 

【統合医療について】

本ブログでは度々「統合医療」について述べておりますが、安保先生もまた、統合医療の目指す対症療法・原因療法を相互発展・連携させていく医療のありかたが必要であると述べられています。

 

代替医療の治療は、ガン、リウマチ、アレルギーなど、西洋医学の治療を長く続けると破たんをきたすような病気に効果を挙げていることが多いです。その理由として、安保先生は、これらの病気は『慢性化する』という共通点があり、慢性化しているということは、つまり、自律神経、免疫系、循環系、消化器系等、体全体のバランスが破たんしているということですから、バランスを整える働きを全身で考える代替医療が功を奏すのだと述べられています。

 

 

 

 

「ガンの患者さんたちを見ていると、ガン医療というのが過渡期に差しかかっているように思います。たいていの患者さんは、まず西洋医学にたよります。そして、西洋医学でできることをやりつくした後で、何かほかにないかと、代替医療をためしはじめるという人がとても多いのが実情です。…西洋医学の薬で体力を消耗しきっている人がとてもたくさんいます。…代替医療は、生体反応を利用してゆっくりと治癒に向かわせる医療なので、やはり、ある程度生体反応自体が正常に働く余力が残っていないと、なかなか治癒に向かいません。…もっとたくさんの人に、西洋医学以外の選択肢があるということを普段から意識してほしいと思います。」(『免疫革命』274-275頁、講談社、2003)

 

草木の緑がかがやき木の葉がそよぐ音、潮騒の響き、暖かな太陽の日差し、心の奥底を寂然と照らしだす月の光等々の自然、宇宙のエネルギーは、私たちになんともいえない安心感や心地よさを与え、体中に力が満ち溢れてくることがあります。私は、これこそが「自然治癒力」であると思います。本ブログの7

月23日付交友録にてご紹介したリンゴ農家の木村秋則先生は、肥料も農薬も使わないリンゴ栽培を成功された方です。何も与えないので、リンゴを1年間収穫すれば、その分の栄養が土壌から奪われるはずですが、「うちの畑の土は、周辺のリンゴ畑よりも栄養分が多いという調査結果が出ています。…足りないモノを補っていく力が、自然界には備わっている。」と述べられています(日経ビジネス2011年11月28日号、148頁)。人の自然治癒力も、このリンゴの力と同じであると思うのです。

 

東洋医学をはじめとする伝統医学や代替医療は、「自然治癒力」という、人が宇宙から与えられた力を、最大限に生かした治療法であり、人がもっとも自然に(すなわち宇宙と調和して)生きることのできる治療法であると思います。

 

 

【最後に】

今回まで計3回、安保徹先生をご紹介する記事を投稿して参りましたが、全ての原稿につきまして、安保先生と読み合わせをいたしました。そして、お話をうかがった最後に一言コメントをとお願いしましたところ、「様々な角度から、様々な方の話を取り上げられ立体的に記されているので、大きな反響があるのではないでしょうか。楽しみにしております。」との言葉をいただきました。あわせて付記しておきたいと思います。

 

また、先生は、来年2013年に、65歳で新潟大学をご退任される予定ですが、その後の展望として、研究所を新潟に作り、引き続き免疫学の研究に励みたい、とおっしゃっていました。安保先生の益々のご活躍を心から祈念しております。

 

 

【自分の生き方を問い直すこと】
さて、私たちは正反対のはたらきをする2つの神経(自律神経)から成り立っています。活動している時や、ストレス、緊張している時に使用する「交感神経」、そしてもうひとつは休息している時、体の修復をしている時、リラックスしている時に使用する「副交感神経」です。体の中で副交感神経が優位にたつと筋肉が緩み、血管が広がり、心拍はゆっくりとなって、内臓は活発になります。これは筋肉の中の血管、リンパ腺、神経が、血管が広がることによって、栄養・酸素・体温が体のすみずみに運ばれていき、老廃物や疲労物質などの不要なものもスムーズに排出されるからだそうです。
反対にストレスが多いと、交感神経ばかりが働くことになってしまいますので、副交感神経による「体の修復・疲労の回復」が体の中で追いつかず「疲れがとれない」、「不眠」等の不調をかかえてしまうそうです。交感神経の緊張が続くと「低体温」、「低酸素」の世界が続き、がんが発症しやすい状態が作られることになります。このような時は体を温めることを心がけ、ゆったり食事をとるなどして、副交感神経を優位にし、活発化させることが必要になってきます。副交感神経が活発だと酸素も活発に取り入れられますので、それに伴ってミトコンドリアも活発になります。これは「副交感神経が活発化」=「免疫力が上がる」ということを意味します。「無理をしないでリラックスする」、「物事に対しては常に楽観的でいること」など、興奮やストレスのない状態が、副交感神経を活発化することになります。
がんについて安保先生は「自分自身の生き方の偏りが特定の部位のガン化として現れる」とおっしゃっています。たとえば悩みばかりの人は頭(脳)の中でそのことばかりを日々考えて過ごすことになりますので、副交感神経を使いたくてもリラックスできず、常に脳が緊張し交感神経が優位にたち、ストレスを抱えていることになります。結果、脳腫瘍にかかる率がどうしても高くなるということです。ですから、「自分の生き方を問い直すこと」、生き方の改善こそが、がんの最大の処方箋だということです。
また、常に笑っていることでがんが治った人もいるそうです。安保先生はご自身の本、「ガンは自分で治せる」(マキノ出版、2002)」の中で「笑いと治癒力」(岩波書店、2001)の著者であるノーマン・カズンズ氏の言葉を引用し、「笑うこと」がストレスを緩和し、免疫系のバランスを回復させ、人間の自然治癒力を活性化させるということについて述べていらっしゃいます。笑う事は免疫力(リンパ球)が活性化することと関係しており、実際に「笑い」を治療の一環としている病院もあるということです。これについては7月12日付ブログ記事「交友録その2」でご紹介した船瀬俊介先生も、ご著書「笑いの免疫学」(花伝社、2006)の中で述べられています。
苦しみの最中、笑うということは非常に難しいような気もします。しかし、漫画家の故・赤塚不二夫先生による「天才バカボン」のパパの名台詞「これでいいのだ」があります。「これでいいのだ」と笑って過ごすことは、すなわち病気や老いといった、自分の力ではどうにもならない宇宙の法則に全て身をゆだね、受け入れるということでしょう。
人は病気になり、老い衰え、そして最終的には死に至ります。こういった宇宙の法則は、無常であります。しかしこの悲しみを、悩みや怒りをもって受け止めてはいけないと思います。悲しみを受け入れ、肯定することで、安保先生のおっしゃる「自分の生き方」がおのずと意識できるのではないでしょうか。人は病気になり、老い衰え、そして最終的には死に至るということは、肉体的な健康を失うということであると思いますが、人間の「生きること」に対する「苦悩」、「苦痛」、「苛立ち」、「怒り」、そして「不安」のない状態は、霊的には健康であるということでしょう。
【統合医療について】
本ブログでは度々「統合医療」について述べておりますが、安保先生もまた、統合医療の目指す対症療法・原因療法を相互発展・連携させていく医療のありかたが必要であると述べられています。
代替医療の治療は、ガン、リウマチ、アレルギーなど、西洋医学の治療を長く続けると破たんをきたすような病気に効果を挙げていることが多いです。その理由として、安保先生は、これらの病気は『慢性化する』という共通点があり、慢性化しているということは、つまり、自律神経、免疫系、循環系、消化器系等、体全体のバランスが破たんしているということですから、バランスを整える働きを全身で考える代替医療が功を奏すのだと述べられています。
「ガンの患者さんたちを見ていると、ガン医療というのが過渡期に差しかかっているように思います。たいていの患者さんは、まず西洋医学にたよります。そして、西洋医学でできることをやりつくした後で、何かほかにないかと、代替医療をためしはじめるという人がとても多いのが実情です。…西洋医学の薬で体力を消耗しきっている人がとてもたくさんいます。…代替医療は、生体反応を利用してゆっくりと治癒に向かわせる医療なので、やはり、ある程度生体反応自体が正常に働く余力が残っていないと、なかなか治癒に向かいません。…もっとたくさんの人に、西洋医学以外の選択肢があるということを普段から意識してほしいと思います。」(『免疫革命』274-275頁、講談社、2003)
草木の緑がかがやき木の葉がそよぐ音、潮騒の響き、暖かな太陽の日差し、心の奥底を寂然と照らしだす月の光等々の自然、宇宙のエネルギーは、私たちになんともいえない安心感や心地よさを与え、体中に力が満ち溢れてくることがあります。私は、これこそが「自然治癒力」であると思います。本ブログの7
月23日付交友録にてご紹介したリンゴ農家の木村秋則先生は、肥料も農薬も使わないリンゴ栽培を成功された方です。何も与えないので、リンゴを1年間収穫すれば、その分の栄養が土壌から奪われるはずですが、「うちの畑の土は、周辺のリンゴ畑よりも栄養分が多いという調査結果が出ています。…足りないモノを補っていく力が、自然界には備わっている。」と述べられています(日経ビジネス2011年11月28日号、148頁)。人の自然治癒力も、このリンゴの力と同じであると思うのです。
東洋医学をはじめとする伝統医学や代替医療は、「自然治癒力」という、人が宇宙から与えられた力を、最大限に生かした治療法であり、人がもっとも自然に(すなわち宇宙と調和して)生きることのできる治療法であると思います。
【最後に】
今回まで計3回、安保徹先生をご紹介する記事を投稿して参りましたが、全ての原稿につきまして、安保先生と読み合わせをいたしました。そして、お話をうかがった最後に一言コメントをとお願いしましたところ、「様々な角度から、様々な方の話を取り上げられ立体的に記されているので、大きな反響があるのではないでしょうか。楽しみにしております。」との言葉をいただきました。あわせて付記しておきたいと思います。
また、先生は、来年2013年に、65歳で新潟大学をご退任される予定ですが、その後の展望として、研究所を新潟に作り、引き続き免疫学の研究に励みたい、とおっしゃっていました。安保先生の益々のご活躍を心から祈念しております。

 

 

 

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(2011年12月24日(土)朝6:54 
東京都新宿区早稲田 鶴巻南公園にて撮影)

 

 

さて、前回12月23日付記事では新潟大学大学院医歯学総合研究科教授 安保徹先生が提唱する病気の2つの原因、「低酸素」と「低体温」についてお話しいたしましたが、引き続き、安保先生についてご紹介いたします。

 

【「身体を温める」ことが病を遠ざける】

家族や友人が風邪をひいたときに「温かくして寝てね」と声をかけたり、けがをした人や病気で苦しむ人を「温かく見守る」といった、看護の世界で「温かい」という言葉を頻繁に使うのは、先人からの教えでもあります。これは、20億年前から私たちのエネルギー産生を手伝ってくれているミトコンドリアが、身体を「温めること」で活性化し、人の癒し・健康になることを、体内から私たちに情報として知らせてくれているのではないでしょうか。

 

また、2011年11月17日付読売新聞(夕刊)では、北海道で同月15日夕方、81歳の男性が、運転を誤って河川敷に転落してしまい、同乗していた孫の女の子(3歳)とその男性は車の中で一夜を過ごしましたが、翌日無事に助けられたと報じられていました。零下3度以下という厳しい冷え込みであったにもかかわらず、2人は足に凍傷を負っただけですんだそうですが、大変驚くべきことです。2人は、愛犬であるラブラドールレトリバーの「ジュニア」をしっかり抱き、ジュニアの体温で身体を温め、寒さをしのいだということです。まさに「愛犬の温かい体温」が2人を救ったということです。このニュースを聞いた時には、私の心の中までもがホッと温まりました。

 

「身体を温める」ことに関しては丹羽クリニック院長 丹羽正幸先生が丹羽式統合医療の一つの柱である「温熱免疫ルーム」でも実践されている治療法です(詳しくは11月4日(金)のブログ記事「丹羽式統合医療 その他の施設について」をご覧ください)。

 

人間の体温は36度といわれています。36度を超せば高い体温になりますし、36度を割れば低体温になります。人間の体温が36度と決まったのは、太陽が1分間に呼吸する回数を表す18(それに合わせて人間の呼吸も1分間に18回)の、その倍の36という数字が体温の基礎数値になっているからであるといわれています。

 

ところで、私が親しくさせていただいており、2008年の弊所主催の年末講演会にて、「薬のいらない健康法」というテーマでご講演いただきましたイシハラクリニック院長 石原結實先生は、「身体を温める」ことについて深く研究されている先生です。ご著書には、『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房、2003)などがあり、他にも健康に関する数多くの書籍を出版されています。年末講演会で石原先生は、50年前は、大人の平均体温は36.8度、子どもは37度ありましたが、今の日本人の体温は高い人で36.2度位、多くの人が35度台にまで下がっている、とお話しされました。石原先生によると、身体の体温が1度下がると、免疫力が30数パーセント落ち、身体はマイナスのダメージを受け、病気になる頻度が高くなるのだそうです。35.5度という状態が恒常的に続くと「排泄機能低下」や「自律神経失調症状」、「アレルギー症状」が出現し、さらに35.0度まで下がると、身体の中で、がん細胞が最も繁殖する温度となってしまうそうです。このようなことからわかるように、人間の身体は「一種の熱機関」として働いているわけですから、体温は人間の健康や生命にとって極めて重要であり、強い寒さに襲われると、体温が低下して死に至ることもあるということです。どんな屈強な若者でさえ、冬山で遭難すると体温が低下して死に至ることがあるのはそのためです。たった0.5度の違いでも身体に与えるダメージは大きく、「体を温めること」は、病気を遠ざけるために極めて重要なポイントであるということです。石原先生は食べ物、飲み物を上手に摂り、体を温める生活習慣を身につけることが大切だとお話しされました。

 

さて、体内に取り込まれた糖、アミノ酸、遊離脂肪酸などのエネルギー基質は、各細胞の中のミトコンドリアがそれらを酸化させて、エネルギー源とするのだそうです。ミトコンドリアを活性化させるには、身体をミトコンドリアが活動する37度~39度の環境へと温める必要があります。ミトコンドリア系が優位になれば、「解糖系」ががん細胞を分裂・繁殖させてしまうことも抑えられるのだそうです。安保先生によれば、「お風呂に入ってホッカイロを貼って湯たんぽを使って24時間身体を温めれば、1カ月のうちにがんの進行は止まるでしょう。」とのことです。また、がんの化学療法である「抗がん剤」を使うと低体温になり、顔色が悪くなります。これではがん細胞がますます分裂・増殖してしまうことにつながるそうで、安保先生は「抗がん剤なんて、『増がん剤』です」ともおっしゃっていました。

 

低酸素・低体温を治療する方法として何があるか、安保先生にお伺いしたところ、下記の通りお教えいただきました。

 

(1)低酸素を治療する方法

時々深呼吸をする(対症療法)

生き方の無理をやめる(根本療法)

(2)低体温を治療する方法

からだを温める(対症療法)

ストレスを除く、体操する、日光浴(根本療法)

 

上記のうち、対症療法は、日頃から簡単に実践できるものですので、ブログ読者の皆さまも、日常生活に取り入れてはいかがでしょうか。(なお、「生き方の無理をやめる」ことについては、次回のブログ記事にて詳細を述べたいと思います。)

 

 

【生命の世界の本質】

さてこのように、安保先生は、私たちの身体は60兆個の細胞で構成されており、その中に性質の異なる2つのエネルギー工場を持っているというのです。そして、それは絶妙なバランスで成り立っているそうです。このバランスが崩れることで病気になるのです。何も解糖系を全く使わない(まったくストレスを感じない)ことが良いわけではなく、解糖系、ミトコンドリア系両方のエネルギーのバランスが大事なのです。安保先生は、「ストレスのない生活がいいわけでなく、楽することばかり求めても生きたことにならない。(身体の)機能を使いこなすことが重要。いわゆる『中庸の世界の本質』である。」とおっしゃっています。まことに名言であると思います。

 

私がお世話になっている三井温熱株式会社東京施術所所長 岩間功先生は、「三井温熱療法」で、瞬間的に訪れる強烈な熱さ、時間をかけて徐々に感じる心地よい熱さ、温かさや気持ちよさを感じる絶妙な熱などを利用して、自律神経のリハビリテーションを行っていくという治療法を実践していらっしゃいます。瞬間的に感じる熱さは受け手にある種の恐怖感を与えて交感神経の強い緊張を促し、心地よい温熱の流しや徐々に感じる熱さは安心感を与え副交感神経を促すことになるそうです。このような療法で緊張とリラックスを繰り返すことにより、自律神経に刺激を加えてバランスをとっていくそうです。この治療法こそ、『中庸』の実践であるということではないでしょうか。

 

三井温熱株式会社HP  http://www.mitsui-onnetsu.co.jp/   

 

なお、「三井温熱療法」によると、熱を与えた皮膚が「熱い」と感じたところ(温熱反応)を分析して、治療を施します。「温熱反応」は、「関連痛」すなわち内臓の不調が脊髄にて感覚神経に反映され、皮膚の痛みとして現れることと似ています。「関連痛」は、一種の錯覚であり、内臓の不調が脊髄内で皮膚の痛みとして伝達され、どの位置に痛みが出るかによって、どの内臓に不調がでているかが分かるものであるそうです。「関連痛」はある程度症状が進行してからでないと自覚症状が出ませんので、「三井温熱療法」では熱刺激を加えて、治療点を判断し、その箇所に熱を与えることで、次第に血流をよくするという方法をとっています。将来的には、まだ病気になっていない人、痛みが出ていない人たちが、予防医学という観点からこの治療法を捉えてほしいと、岩間先生は述べられていました。

 

さて、話を戻しますと、酸素を使わないエネルギー産生方法である「解糖系」は、瞬発力のエネルギーですので、アクセル全開で危機に立ち向かうことができるそうです。その時、血管の末端は無酸素状態となり、赤血球同士がくっついてドロドロになります。このことについて安保先生は、「血液ドロドロもすばらしい。血液ドロドロは、『戦いの世界』に対する身体の対応に他ならないからです。」とおっしゃっています。大事なことは、アクセル全開で働いた後に血液サラサラ(ミトコンドリア系)へとしっかり切り替えることだということです。

 

私は1973年(昭和48年)1月に開業して以来、年末年始も含め、年中無休で一心不乱に仕事をしてまいりました。時には親しい知人と食事をご一緒したり、旅行等にも赴いてきましたが、その間でも常に仕事・執務を忘れたことがありませんでした。特に、私の専門とする労働問題という世界は、「戦いの世界」でもありました。切り替えが大事であるということを、常々認識はしておりましたが、それを疎かにしてきたのです。やはり人間にはバランスが必要であるということを、安保先生の病気の原因論に触れ、深く考えさせられました。

 

安保先生はこの絶妙なバランスについて、「そうした生命の世界の本質に触れることができれば誰もが感動し、生きることのすばらしさを体感するはずです。これまでの医学には、そうした視点がありませんでした。目の前の症状ばかりに着目し、肝心の生命の世界が置き去りにされていたのです。」とおっしゃっています。

 

人間の力には限界があります。なぜ人間の力に限界があるのかといえば、安保先生のおっしゃる通り、人間には2つのエネルギー工場がありますが、「解糖系」という瞬発力のエネルギーによってアクセル全開で活動することを続けることはできないからです。それに人間は、「調和」を欠いては健康ではいられないからであると思います。また、人間は宇宙の小さな構成物に過ぎず、気が遠くなるほど長い宇宙の歴史、それが積み上げてきた法則にさからって生きてはいけないのであると思います。宇宙が伸縮しながら膨張し続け、そして最後には消滅するというプロセスがあるといわれますが、伸縮すること、即ち調和が絶えず必要なのでしょう。

 

安保先生は、ご著書『免疫革命』(講談社、2003)の中で、「何もかもが、人間の力で対応したり、適応したりできるわけではありません。そのことを、現代人は忘れているような気がします。やはり、自然の力というのは偉大です。…深い悩みから体調をくずしてしまった場合、悩みさえとれれば交感神経緊張状態から脱却できて、病からも解放されるとわかっていても、現実には悩みにとらわれてしまってうまくいきません。日常的なレベルの心のあり方では、どうしても解決できないことがあるのです。そんなときは、人間本来のもっと深い祈りにたどりついたり、あるいは伝統的文化に立ち返ることで、楽になることがあるのではないでしょうか。…そういう儀式を経ることで、悲しみから脱却したり、あるいは未来の安泰を願う心構えをつくったりしているのだと思います。たとえ科学で証明できることでなくても脱却しがたい心の苦しみから真に逃れることが目的だとしたら、そのためにできることは、積極的にとりくんでいい」と述べられています。

 

私は、人間の力がおよばないところに別の力、宇宙にある力が働いていると思います。人間の身体、とりわけ病気を引き起こすさまざまな要因のなかに大きく影響を及ぼしているのは、この「宇宙の力」であると思います。人間を取り巻く宇宙の調和を乱すから「病気」になります。であるからこそ、病気になると、「神にすがる」(宇宙の力にすがる)という心境が生まれるのでしょう。2011年8月2日付日本経済新聞朝刊36面「夜の祈り」という神戸大学准教授 宮下規久朗先生によるコラム(7月20日から8月2日まで同紙文化面にて連載)では、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年~1890年)の『星月夜』について、宮下先生は「病への恐怖や孤独の中から神を求める感情が激しく渦巻いているようだ。」と表現しています。病気になったとき、人間は宇宙の「気」、「波動」、「サトルエネルギー(微弱エネルギー)」に頼らざるをえないのが人間の本来的な姿なのだと思います。

 

次回も引き続き安保先生の記事を投稿し、まとめとしたいと思います。

 

なお、この記事をもって、本ブログ2011年最後の記事とさせていただきます。

来年もブログ記事を投稿してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

ブログ読者の皆様におかれましては、健やかなる新年をお迎えになられますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

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(2011年12月21日 朝9:25 千葉県富里市日吉台にて
ディッソディア(ダールベルグデージー)を撮影)

 

 

10月14日(金)より今まで計10回、「病気」をテーマにしたブログ記事を執筆しておりますが、このブログを執筆するにあたり、そもそもの「病気の原因」とはなにかを考えてみたいと思いました。

 

「病気の原因」については、私が日頃よりお世話になっている全国の病院、医者、治療家の方々に様々なご教授をいただいておりますが、先生方によって千差万別な考え方があります。どれもそれなりに頷くものばかりですが、特に私が関心を持ったのは、今回から3回にわたってご紹介する新潟大学大学院医歯学総合研究科教授 安保徹先生が提唱する病気の2つの原因、「低酸素」と「低体温」についてです。

 

安保先生は東北大学医学部を卒業され、米国アラバマ州立大学に留学中の1980年に「ヒトNK細胞抗原CD57に関するモノクロナール抗体」を作製され、更に「胸線外分化T細胞」の発見、「白血球自律神経支配のメカニズム」を解明されるなど、数多くの研究成果を発表されている方です。現在は新潟大学大学院医歯学総合研究科の教授として、免疫学の研究に全身全霊を注ぐ日々をお過ごしです。加えて「人が病気になるたった2つの原因」(講談社、2010)、「免疫革命」(講談社、2003)など数多くの本をご執筆されています。

 

私が初めて安保先生を存じ上げたのは、2006年10月に、当時、株式会社鵞湖書房 代表取締役であった小松茂生様のご紹介で、株式会社オピニオンパ―ク(長野県諏訪市沖田町)コンディショニングトレーナー熊谷清次様のところに治療にお邪魔した際に、安保先生のご著書をご紹介していただいたことがきっかけでした。爾来、安保先生の数々のご著書を見かけ、安保先生の研究内容に大変興味関心を持っておりました。そして今年9月7日(水)に新潟にて初めてお会いし、10月19日(水)、12月11日(日)と今まで3回お会いしました。安保先生は、分け隔てのないお人柄です。先生のお話しになる津軽弁が、先生が気さくな方であるとますます思わせるのかもしれません。

 

 

【ストレスが「低体温」「低酸素」を引き起こす】

安保先生は「免疫学」の権威です。「免疫」とは読んで字の如く「疫病(病気)を免れる」ことで、体内に侵入した細菌やウイルス、体内で発生した腫瘍など生命の存続に不利なものを排除する力のことですが、リンパ球などの白血球細胞がこれを担っているそうです。

 

そして、「ストレス」がたまって神経系の働きが乱れると、免疫力も徐々に低下していきます。安保先生によると、たとえば希望を持って治療に当たる人と、絶望感に苛まれながら治療を受ける人では病気の回復に大きな差が出てくるそうです。心と体は一体であり、物理的な治癒だけではありえず、患者が心の問題を抱えたまま(ストレス下にありながら)治療するのは不可能と言ってよいでしょう。

 

普段私たちが日常生活を送る上で、「ストレス」を抱えこむと、それによって、一時的にしろ血流障害が起きて体が冷えてしまうそうです。そして、「ストレス」が強ければ強い程、血流障害がひどくなり、「低酸素」「低体温」の状態が日常化し、人は病気になるのだそうです。

 

そもそもストレスとは何でしょうか。「ストレス」という言葉自体は、頻繁に使われる日常語として浸透しています。「ストレス」という言葉は1935年、ハンス・セリエというカナダの生理学者が唱え始めました。彼は、ストレスを「体外から加えられた要求に対する身体の非特異的な反応」と定義しました。つまり、ストレスとは、外部の何らかの刺激が体に加わった結果、体が示すゆがみや変調ということです。

 

「ストレス」は誰しも多かれ少なかれ必ず生じるものです。少しのストレスであれば日常生活を送るにも支障がありませんし、活力の基礎にもなります。しかし、ストレスが過剰になると、体はその状態に適応しようとします。もともと人間には、刻々と変化する外界の環境に対して生体を安定した状態に保とうとする働きがあり、これをホメオスタシス(生体の恒常性)と呼んでいるそうです。

 

その結果、体は「低酸素」「低体温」の状態が続くことになります。たとえば寝不足が重なると顔色が悪くなります。これは、寝不足により自然と体温が下がり、酸欠状態になってしまうからです。また心配事が重なると、例えば恐怖に晒されると顔が青ざめますが、これはまさに「血の気が引く」という表現通り、血管が収縮して血が流れなくなるのです。これらの状態は誰もが一度は経験があるでしょう。東洋医学では病気のことを「気滞」と書きますが、まさに血が流れなくなり、病気になってしまうのです。

 

安保先生によると、この「低酸素」「低体温」の状態に陥ることこそ、病気の原因であるとのことです。安保先生は、病気の原因を「働き過ぎや心の悩みなどによるストレスと、それによる血流障害、すなわち冷えが主な原因」とおっしゃっています。健康でいるためには、「低酸素」、「低体温」を防ぐことが必要ですが、これには、ミトコンドリアを活性化させる必要があるということです。

 

 

 

【「解糖系」と「ミトコンドリア系」】

地球と太陽との距離は、生命にとって不可欠な「水」が存在することのできる温度環境を生み出しました。約38億年前、最初の「生命」と呼ばれるものが生まれたと考えられているそうですが、最初の生命は、まだ地球には酸素が無いため、海の底で、メタンやアンモニアから硫化水素を還元してアミノ酸などの有機物を作り出したり、地熱といったエネルギーを得るなどして、酸素を使わずに「解糖系」によってエネルギーを得て、分裂をくり返しながら生きていました。こういった生命は、原核細胞と呼ばれます。しかし、藍藻(ランソウ)、藍色細菌などと呼ばれ、植物と同じように光合成を行い、酸素を発生させる原核生物である「シアノバクテリア」の出現により、大気中には酸素が放出されるようになり、このため、酸素による酸化の害によって、酸素の嫌いな原核細胞は生きづらくなっていったのです。そこに酸素の大好きな「ミトコンドリア生命体」が出現し、原核細胞と共生をはじめました。これが、ミトコンドリアの起源であり、原核細胞は「真核細胞」へと進化しました。地球上に存在する植物と動物は、すべて真核細胞によって出来ているのだそうです。

 

ミトコンドリアとはゾウリムシのような原始生命体で、人の細胞1個の中に、数百から数千個共生しているのだそうです。ミトコンドリアはブドウ糖を分解し、酸素を使ってエネルギーを作ります。人は、全身60兆もの細胞にエネルギーの原料を送り込むために、食べ物の栄養素や呼吸から得た酸素を細胞まで運び、「解糖系」と「ミトコンドリア系」という2つのエネルギー生成系(エネルギー工場)によって活動エネルギーに変えることになるのです。

 

さて、「解糖系」と「ミトコンドリア系」の違いは、「解糖系」は食べ物から得られる栄養素をエネルギーに変換するシステムで、ブドウ糖(糖質)すなわち食べ物の栄養素が原料となっており、糖を分解するだけなのですぐにエネルギーが作り出せるのが特徴です。解糖系でつくられたエネルギーは、「瞬発力」と「分裂」(成長)に使われます。「ミトコンドリア系」は食べ物の栄養素に加え、日光、呼吸によって得られた酸素を使ってエネルギーを作り出します。ミトコンドリア系でつくられたエネルギーは、「持続力」に使われています。

 

たとえば短距離走のように素早い動作を行うためには、「解糖系」エネルギーが必要になります。なぜなら人は全速力で走るとき、息を止めて走っていますので、その間は無酸素状態になっています。ですから、酸素を使わないエネルギー産生方法である「解糖系」を使うのです。またイライラした状態が続いたり、カッ!と興奮して怒るだけでも血管の末端は簡単に無酸素状態になり、「解糖系」のエネルギーが使われます。

 

しかし「解糖系」を使い過ぎると酸素欠乏になり、疲労感を招く乳酸がたまります。その時はゆったりと休息をとって、ミトコンドリア系に切り替える必要があるのです。貝原益軒の書いた「養生訓」にも、「心気を養うことが養生の術(方法)の第一歩である。心をおだやかにし、怒りと欲を抑制し、憂いや心配をすくなくして、心を苦しめず、気を傷めないことが、これこそ心気を養う大切な方法である」とあります。仏教では「怒り」がもっとも激しい煩悩の一つであるとされていることからも分かるように、苦悩、苦痛、苛立ち、怒りが病気の原因であるということは、古くから先人たちの教えとして伝わってきたことであると思います。

 

このように、私たちは本来ならば「解糖系」と「ミトコンドリア系」の2つのエネルギー経路を使い分けているのですが、ストレス社会では「解糖系」ばかりが使われてしまい、「ミトコンドリア系」とのバランスが崩れてしまいがちです。「解糖系」ばかりが稼働するようになったとき、がん細胞が生み出されやすくなるそうです。そして、「瞬発力」の母体である「解糖系」は細胞分裂の際にも働きますから、がん細胞をも分裂によって繁殖を繰り返させてしまいます。

 

長期間、酸素を必要としない解糖系が使われると、ミトコンドリアの働きが抑制されてしまいます。そして、低酸素・低体温の状態であることが日常化すると、病気になってしまいます。ミトコンドリアを活性化させるには、身体をミトコンドリアが活動する37度~39度の内部環境(深部体温)へと温める必要があります。

 

ちなみに、父親のミトコンドリアは受精時に受精卵の中で母親のミトコンドリアに食べられて消滅し、父親のミトコンドリアの遺伝子は次世代には伝わらないそうです(2011年10月14日付日経新聞夕刊)。なぜ父親のものが排除されるのかは現在では分かっていないそうですが、母親のミトコンドリアの遺伝子のみが子に伝わるということです。これについては、現生人類の祖先をたどっていくと、数十万年前のアフリカの女性に行きつくという説「ミトコンドリア・イブ」が知られています。また、成熟した一つの卵子には、実に10万個ものミトコンドリアが存在し、逆に精子はミトコンドリアが極端に少ない分裂を繰り返す解糖系細胞であるそうです。つまり、精子は解糖系優位で、卵子はミトコンドリア系優位であることから、安保先生は、「男性は冷やすことでたくましくなる」し、「女性は温めることで成熟する」と表現されています。陰嚢と卵巣の位置がそのようになっています(戦前・戦後通じて、女性は暖かい沖縄県が、男性は寒くて高地<低酸素>の長野県が長寿の1位を占めていることは非常に興味深いデータであると安保先生はお考えです)。また、「解糖系細胞=男性」は、有害な酸素に苦しんでいたところを、「酸素を好む好気性細菌=女性」に救ってもらい、自らが産生した栄養を分け与えるのと引き換えに、これまでになかった莫大なパワーを手に入れたわけですから、女性の存在なくして男性は生きていけないのである、とも述べられています。私は常日頃から女性のエネルギーは男性より強いと感じておりますので、安保先生の理論には納得させられました。

 

次回は体を温めることが病を遠ざけること等について、述べたいと思います。

「医」(3)


 

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(2011年12月11日(日)午前11:16
茨城県稲敷郡阿見町イーグルポイントにてナンテンを撮影
「ナンテン」という語感は「難(ナン)を転(テン)じる」に通じることから
縁起木としても親しまれています。)

 

 

 

前回、前々回のブログ記事にて、「医」の字体・字源について触れ、「心」「巫」「仁」「愛」等々は、一見、医学・医療とはかけ離れた世界のものであると感じられていますが、実は医学・医療の基本原則であると述べました。

 

しかし今、日本の医者・看護師等が、医学・医療が「巫」「仁」に通ずべきことを理解しているか、いささか疑問に感じるところがあります。

 

例えば2011年10月25日、先進医療(厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養)などの保険外診療を通常の保険診療と併用する「混合診療」を受けると、保険診療分を含め全額が患者負担になるのは違法として、がん患者の男性が保険適用の確認を求めた訴訟の上告審で、最高裁判所は「混合診療の禁止は適法」、と判断して患者側の上告を棄却しました(事件番号・平成22(行ツ)第19号 健康保険受給権確認請求事件)。

 

最高裁は「医療技術や新薬の開発の発展は目覚ましく、海外で有効性や安全性が確認された新薬や医療技術は患者が切望している」といった補足意見を付しましたが、必要な医療は保険診療が原則だという考えのもと、患者側の訴えを退けたのです。この報道に関連して、読売新聞(朝刊)10月26日付38面の記事には「混合診療の拡大に努めるとともに患者側に疑問を抱かせない制度の構築に向けて議論を深める必要がある」と論じていますが、これが世論の一方の大きな声でしょう。要するに、混合診療の禁止の適法性を国は大きな声では必ずしも述べてはいけないということです。医学・医療ほど難しい学問はなく、それゆえ、未熟な学問と評価せざるを得ないからです。

 

映画化もされた小説「ある愛の詩」で有名なエリック・シーガルが1988年に発表し、ニューヨーク・タイムズが選ぶベストセラーとなった『Doctors』(邦題「ドクターズ」広瀬順弘訳、角川書店 1991)には、1958年9月に、ハーバード医科大学院院長が、新入生に向けた歓迎の挨拶の中で述べた「この世に何千という疾病があります。ところが、そのうち医学が経験的に治療法を確立できたのは、わずかに二十六に過ぎない」(3頁~7頁)という記述があります。26とは、なんと少ないことでしょうか。確かに未熟でありながらも医学は進んでいますが、難しい病気に悩む患者らが、希望する医療を受ける道が閉ざされるのは、なんとも遺憾なことであります。行政、立法、司法は混合診療の拡大に努めるとともに、制度の改革を速やかに行うよう、議論を進めていかなければなりません。

 

私は11月4日から25日まで4回に亘って、丹羽クリニック丹羽正幸先生についてブログでご紹介いたしましたが、その中で、西洋医学と伝統医学や代替医療などが融合したものが「統合医療」であるとお話しいたしました。「統合医療」は「健康な身体そのもの」や、人の身体が保有している「自然治癒力」「自己治癒能力」の向上を目標としています。今までは西洋医学が中心で「病気そのもの」を重視し、医学・医療は医師や看護師等と患者とが共同しあう営みであることをないがしろにする傾向がありました。しかし、今後医学・医療は「巫」の世界に立ち戻り、「仁」を兼ね備え、「礼・信・義・智」を実践することが必要とされる中で、「統合医療」はますます注目され、そして最終的には「統合医療」が日本の、そして世界の医療の中心になっていくことを祈念しております。

 

産経新聞11月30日付記事で、世界に先駆け日本で実施している「がんペプチドワクチン療法」の臨床試験(治験)が最終段階を迎えており、その結果が来年3月に明らかになる予定で、承認されれば、がんペプチドワクチン療法として世界初となる可能性が高いと報道されました。

 

実は、この報道よりも1ヵ月も前に、ペプチドががんに有効であるというお話を丹羽正幸先生にお聞きし、実際に、私も健康の為に飲み始めています。そして、12月3日(土)に丹羽先生にお会いした際、11月30日付の報道についてお話ししたところ、丹羽先生は報道される以前より、ペプチドに着目し、実際、患者さんの治療に取り入れていて、驚くほど良い結果が出ているそうです。医事法に抵触するかもしれないといった問題があり、具体的に丹羽先生はその研究結果を発表されてはいませんが、丹羽先生のように、現実に治療にあたっている先生は、この世に存在する数々の難病に対して、どうしたら克服できるかということを日々真剣に考えていらっしゃいます。大がかりな実験装置、研究施設がなくても、自らの治療行為の中で、難病を克服できる治療の確立を目指しチャレンジ精神を豊富に抱いている、丹羽先生をはじめとした医者・治療家は多く存在します。そういった「仁」の心を兼ね備えた先生方による成果を、単に「科学的でない」「エビデンスがない」ということで、否定するのは、極めてお粗末ということに他ならないと思います。「医』というものは、非人間的な、あるいは非宇宙的な、非霊感的な感覚で携わってはいけないということです。それゆえに、統合医療は大いに真剣に検討する余地があると思います。

 

 

【「医は仁術なり」を実践する制度・システム】

私は今から14年前の1997年に、シンガポールのマウントエリザベス病院(Mount Elizabeth Hospital)という、東南アジアで最大といわれる病院を訪問しました。

 

マウントエリザベス病院は最新医療機器の設備が揃っており、それに加えて心臓手術数ではアジア最大といわれていました。まず病院のボードを見てびっくりしたのは、医師の名前が書いてあるだけではなく、各医師が独立して営業していることが明瞭だったことでした。幹部のお医者様にお話を伺ったのですが、当病院ではいわゆる受診者に希望医師を募る方法をとっており、毎年医師の入れ替えをしているというお話でした。内科の○○先生、外科の△△先生と、自分で指名して医者を選ぶオープンシステムになっており、『医師のランキング、人気投票』を行っているのです。例えば内科医師が15人いるとすれば、希望者が少ない最後の2人は毎年雇い止めし、新しく雇用するという方式です。これはまことに理にかなった、「医は仁術なり」を実践する方法でしょう。日本の病院に同様のシステムがないのは、医者の切磋琢磨を制度的に阻害していると思えてなりません。これは何も医師だけではなく、看護師にも言えることでしょう。そうすれば競争が猛烈になるという面もありますが、「医は仁術である」という世界を具現化できるでしょう。

 

また、看護師について厚生労働省は、高齢化に伴う医療需要拡大への対応として、2013年を目途に「特定看護師(仮称)」制度という、現在は原則として医師にしか認められていない診療行為を担う看護師制度を創設するそうです。そうなると看護師もいよいよ「仁」を旨として業務を行わなければならないということでしょう。特定看護師については、よもぎ倶楽部 西岡由記先生は次のようにお話しされています。

 

〈医療の中心にいるのは医師のように見えますが、実は医療の現場で最も重要な役割を果たしているのは看護師です。看護師のいない医療の現場とは、あたかも母親不在の家庭のようなもので、患者さんはその家庭の子どもにあたります。中国の古い医学書には、病人の寒暖の環境を調え、適当な衣服と動静を調整し、消化しやすい食物を与えることが重要だと書かれています。

もし不適格な医療行為が行われていたとしても、看護師が患者さんをしっかり支えていたら、治癒に至ることもあるのです。それが「祈り」と通じるものかもしれませんが、それが看護の全体なのであり、その「仁」の心を天性として生かすことのできる人が本来の看護師なのです。〉

 

看護師は、患者の生活の面倒をみるという側面がありますから、「医は仁術である」、すなわち治癒へ貢献することは言うまでもないのです。それには看護師は仁術に徹するということが必要です。これは、一面倫理感を欠きがちといわれている医師への警告として受け取らなければならないわけです。すなわち、特定看護師に一定の医療行為を認めるというのは、正鵠を得た仁術の精神に基づいてのことだと理解しなくてはならないのです。

 

私自身様々な病気にかかり、医学・医療と向かいあってきた経緯からして、「医学・医療のありかた」というのは、大切なテーマであります。しかし、「混合診療の禁止は適法」との最高裁判所の判断や、現行の医事法をはじめとする「医」についての法律・制度の問題点などについては、専門外である私が語るには勉強不足の部分が多くあります。今後勉強をかさね、専門家に取材等をさせていただき、また再度改めて「未来の医学・医療のありかた」といったテーマで書きたいと思っています。

「医」(2)


 

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(2011年12月4日(日)朝6:54 東京都港区芝公園にて椿を撮影
椿の花ことば「気取らない優美さ」)

 

さて、前回12月1日付記事では、「医」の古い字体に「巫(ふ)」という字が入っていたことについてお話しいたしましたが、今回は、「医」の字源から私が思ったことを述べたいと思います。

 

 

【「仁」】

現代でも「巫」の心を有する人、すなわち「いのち」は大宇宙に存在するサムシンググレートの力により与えられるものであると直感的・霊的に感じられる人は、「天・地・人」の働きを網羅し、「人・自然界・宇宙」の全てに通ずるまさに輝ける人であると思われます。つまり、「巫」とは、慈愛の持ち主をも指しているのでしょう。そしてそれは「仁」に通ずることになるのでしょう。

 

「仁」を備えた人物とは、「真・善・美」を追求する姿勢と、「夢・愛・誠」を旨として取り組み、またそれだけではなく、「道義、道理、道徳」を負うという態度を持って志を立てる人、即ち良心そのものの人物であると思います。

 

「仁」とは、広辞苑によると、「愛情を他に及ぼすこと。慈しみ。思いやり。」という意味もあり、「慈しみの心」をも意味します。また、「医は仁術」という言葉があります。「医は仁術」とは、広辞苑では、「医は、人命を救う博愛の道である」と説明されており、唐の時代の紀元後800年頃に、唐の宰相を務めた陸宣公が述べた言葉「医は以て人を活かす心なり。故に医は仁術という。」が語源となっているそうです。

 

「医は以て人を活かす心なり」という言葉は、10月28日付ブログ記事にて齋藤博保先生の言葉として「鍛錬のみの手の技術は相手を心底から得心させることは出来ず、ただの組上げ作業でしかなくなってしまいます。手に『気』を入れ『心気』のこもった手技による患者さんへの治療反応ははっきり表われます。」とあるところと通ずるものです。要するに「人を活かすということは仁術である」という本然があるということなのです。人を活かすということが医学・医療の本質であることに気付かなければならないし、それは実は身体、肉体だけでなくて、「心」に及ぶ医療・医学でなければならないということを物語っているのでしょう。

 

 

【「医は仁術」】

 

日本での「医は仁術」という言葉は紀元後982年、丹羽康頼によってまとめられた日本最古の医書「医心方」にあります。

 

「大医の病いを治するや、必ずまさに神を安んじ志しを定め、欲することなく、求むることなく、先に大慈惻隠の心を發し、含霊の疾を普救せんことを誓願すべし」

 

「大慈」とは、仏教典に由来し、「仏・菩薩が衆生を慈しみ、苦しみを救う、その広大な慈悲」という意味です。「惻隠」とは、孟子(約紀元前372年~紀元前289年)とその弟子たちの言行録である『孟子』の「公孫丑章句(こうそんちゅうしょうく)」上巻の儒教倫理に由来します。「惻隠の心」とは、人の不幸や、人の危険に対して、いたましく思う心のことで、孟子は、「惻隠の心は仁の端なり」としています。


このように、日本ではこうした仏教と儒教の思想によって「医は仁術」と説かれてきたのだそうです。

 

【参考】http://takezawa.iza.ne.jp/blog/entry/1138693/

 

そして、この「医は仁術」は、江戸時代に「仁術論」としてさかんに論じられるようになったそうです。これは大方の医師の倫理的衰退が、一つの原因であったと考えられているのだそうです。私が治療を受けているよもぎ倶楽部(鍼灸治療を中心とするヒーリングスポット)の西岡由記先生は、岩手、宮城、福島、栃木の4県で、本年の臨床研修医の研修先がいずれも減少したことなどからも「現代もまさに医師の倫理的衰退の時代である」と評釈されています。

 

よもぎ倶楽部 http://www.k4.dion.ne.jp/~yomoclub/index.html


現在においても盛んに仁術が唱えられていなければならないのですが、まさに「医」という字の意味をしっかり理解して志さなければならないのでしょう。すなわち大方の医師は「金権医師」と社会に認識されているからです。本来、政治も医療も「民」の味方でなければなりません。しかし、政治家は「対症政治」を行い、医療家も保身の為に「対症療法」を行い、この行き詰まりが、過剰な医療設備投資の為の検査漬け、薬漬けであり、「金権医師」の末路ではないでしょうか。明治の開国後の西洋医学の渡来期に、野口英世(1876年~1928年)等医学研究者に「志」があった時代を思い出し、現代の医師の目覚めを期待するところであります。

 

さて、「医は仁術」について言えば、『孟子』の中の「梁恵王章句(りょうけいおうしょうく)」上巻七(その一)に、医に関するお話ではありませんが、真に納得感のあるお話があります。

 

この話はどういう話であるかというと、概略は以下のようです。

 

鐘を作った中国の人が牛を引いていました。王様はそれを見て、その理由を尋ねました。牛を引いていた人は、「鐘を完全にするために、牛の血をもって塗って隙間をふせぐのです」と答えました。それを聞いた王様は「羊の血をもってあてがいなさい」と指示しました。ところが鐘を作った人はこれに納得せず色々反論を加えました。つまり、「牛を犠牲にすることに代えて、羊を犠牲にするだけではないか」ということでした。

 

反論の趣旨はある意味では正当ですが、しかし王様の指示ももっともなことでした。まさに今、屠殺されようとする牛を目の前にみて、憐憫の情を持ってしまい、目の前にいない「羊の血をもって隙間を埋めなさい」と指示したということは、実は私にも納得感のあるお話でした。

 

私は弁護士として交渉事を請け負っております。悪い話はなるべく早く関係者にして、他人からその話が関係者の耳に届く前にするというのが交渉を上手にする手だてです。要するに、先に生の情報を知らせた者に、一定の同情あるいは憐憫の情をもって、その次の情報を検討・検証するのが人間の常だからです。それと同じことだと私は感じました。王様の指示も同様の意味であると納得したのでした。

 

このお話は要するに、そのものに直面したとき、そのものに憐憫の情を浮かべるのは人間として自然なことであって、見えないものに対してとかく憐憫の情が湧かないということはごく自然なことだからです。西岡由記先生は「『仁術』とは不幸な存在に対する『忍びない』という人間の本能に基づく哀しい心のようです」と註釈されています。もっともなことです。

 

貝原益軒先生(かいばらえきけん1630年~1714年)も、『養生訓』の中で「医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救ふを以、志とすべし。わが身の利養を専に志すべからず。天地のうみそだて給へる人をすくひたすけ、万民の生死をつかさどる術なれば、医を民の司命と云、きはめて大事の職分なり」と述べています。貝原先生もまた、「仁」という慈しみの心と愛を持って医学・医療は行うべきだと述べています。

 

「医」を行う者(医者、看護師、治療家等)、その制度を作るもの(立法)、実践する者(行政)、判断する者(司法)は、「巫」の世界のもと「仁」を兼ね備え、「礼・信・義・智」を実践できなければならないのです。「医」を生業とする医者、看護師等は、「医」の基礎にある「巫」の世界から離れた医学に基づいた医療を施してはならないと思います。なぜなら、医学や医療は、さまざまな条件を背負った、いわば極めて個性的な病気で悩む患者に向けて施され、一つの医療は一人の患者のためになされるもので、医師や看護師等と患者とが共同しあう営みであるからです。パラケルスス(1493年~1541年。ルネサンス初期のスイスの医師)は「医学のもっとも基本的な原則は愛である」と述べたそうですが、まさに我が国では「仁」であると述べたことに通ずると思います。「愛」という字は人の心を受けるという字です。「心」「巫」「仁」「愛」等々は、一見、医学・医療とはかけ離れた世界のものであると感じられますが、これらは実は医学・医療の基本原則であるから、医学・医療はこれらを無視してはどだい成り立たないのです。

 

次回は、今の日本の「医」の問題点などについて述べたいと思います。

 

「医」(1)


 

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(2011年11月28日(月)朝6:53 東京都港区芝公園にてカラーを撮影
花言葉『素敵な美しさ』)

 

【「医」の字源】

 

今回から3回にわたって、「医」という漢字の字源、主に「医」の古い字体にあった「巫」について、医学・医療が神の力と関連があることに大変興味をもち、私なりに思い・感じ・考えたことを述べていきたいと思います。

 

「医」の古い字体は「醫」と書くそうです。右上にある「殳」は矛(ほこ)を意味し、これは、古代中国においては、外科術は矛、槍のようなものを使って行われていたことに由来するそうです。下の部分にある「酉」は、瓶のような形をしていることから、薬を入れる瓶や酒つぼを意味していて、昔は、医術にお酒の力も加えられていたということを意味しています。

 

また、現在使われている左上の「医」という字は、「医」は「匚」と「矢」が組み合わさってできたものだそうです。『説文解字』(最古の部首別漢字字典で、後漢時代紀元100年に成立。)によると「『医』は弓弩(きゅうど。弓の総称。)の矢を盛る器なり」とあります。また、「匚」は「隠す」という意味があり、つまり「医」とは「矢をしまいこむ箱」という意味だそうです。古来より、「矢」には厄や悪霊を祓う神聖な力があるとされ、現代でも、正月に寺院・神社で、魔よけ、厄払いのお守りとして授与される矢(「破魔矢(はまや)」と呼ばれます)などが名残としてあります。「神聖」とは清らかで尊いことを意味し、悪(邪悪)、または俗(世俗)の対義語です。このように、「矢」には厄や悪霊を祓う、世俗から離れた世界による力があるとされてきました。

 

さて、「学研漢和大辞典(藤堂明保編、学習研究社)」よると、「醫」の異体字として上記の字があります。よく見てみると、「巫」(ふ)という字が入っています。「医者はもと、巫女と同じ仕事だったので、『醫』は巫を加えて『毉』とも書く。」(同)ということだそうです。そして、「毉」の「殹」の部分は「えい」と読み、これは巫女が「エイ!」と叫んで、邪気を吹き飛ばすという祈祷をしていたということを意味しているのだそうです。

 

「巫」(シャーマン、シャーマニズム)とは、超自然的存在と交信する人、それにより成立する宗教を指します。「巫」の漢字には、二人の「人」が表示されていますが、それは「複数の人が工を施す」ことから生まれたのでしょう。すなわち、複数の人が、身振り手振りをもって、全身全霊で祈り、神に信じられないぐらいの高度な技(工)を発揮させてほしいという願いが込められているのでしょう。「医」の古い字体に「巫」という字が入っているということは、もともと医学・医療は、神の「神癒(しんゆ)」によるものであると考えられていたということではないでしょうか。また、「医」に「巫」の概念があったことは、漢字が発祥した中国だけでなく、古代バビロニア、いわゆるメソポタニア(現在のイラク南部)を占める地域でも同じような現象がありました。つまり、何も中国だけでなく、世界各国でみられた現象だということです。これを「巫の医学」と呼ぶそうです。

 

このように、「医」という字を成り立ちからひも解いてみると、人間が病にかかったとき、医学、そして医療という行為による効果や、病が治癒するということは、人の手によってだけではなく、目に見えないものの何らかの力によるものであると考えられていたことがわかります。わたしたち人間の意識をはるかに超越したサムシンググレート、神の力を借りることによって、初めて完成するものであるという考え方であると思います。

 

私たちの生きるこの世界は、途方もないほどに神秘につつまれていると思います。現在においても、科学の進歩は目覚ましいとはいえ、私たち人間がこの世界について知っていることは非常に限られていると思います。ましてや、「『いのち』はどこからきてどこへいくのか」という基本的な謎さえ、解明されていません。人の「いのち」を扱う「医」という字に、「巫」や「神聖な力」といった意味が込められているのは、医学・医療は、「いのち」について机上で科学的に考えても解決することができず、「いのち」とはサムシンググレートの力によるものであると、人間が直感的に、霊感的に感受していることの表れではないでしょうか。そして、現代でもなお、「医」の根本は「目に見えないもの」として観念せざるをえず、その文字が生きつづけているのでしょう。

 

 


【真の「健康」とはなにか】

さて、西洋医学は、人間の「知性」をフル活用して、人の病気を治すために輝かしい成果を挙げてきました。しかし、「知性」のみを活用して進歩する西洋医学の方向性には、そもそも限界があるのではないでしょうか。「巫」すなわち「霊性」(敢えて言えば「霊性」とは「人間は宇宙の中に存在する、即ち宇宙の一部分である」ということ)を再認識し、再度西洋医学にも活用することが、「知性」のみをもってした西洋医学の限界を打破することに繋がると思います。人間が、知性に加えて霊的にも進化を遂げれば、より多くの病気の治癒を可能にすることができるでしょう。

 

「霊性」「霊的」については、1990年に、WHO(世界保健機関)執行理事会で討議された「健康の定義」の改正案として、従来の「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的にも満たされた状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」という定義から、「霊的(spiritual)」を加えた「Health is dynamic state of complete physical, mental, spiritual, and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.」へと定義を改める検討が行われたそうですが、現在は議長預かりとなっているそうです。


そこで、「霊的な健康」とは何かと考えてみると、「身体的」「心理的」「社会的因子」を包含して、そもそも人間の「生きること」に対する(生きることへの本質が判然としないが故に[※私見によれば宇宙に漂う存在であるにすぎない自分への自覚がないことを言うのでしょう。])苦悩、苦痛、苛立ち、怒り、そして不安のない状態であると思います。単純なメンタルヘルスとは思考活動の健全性をいい、spiritual healthとは心の健全性をいうとも解釈できます。そのspiritualな世界は、人間が宇宙に漂う存在に過ぎないと自覚することに始まるです。

 

「自分は何のために生きているのか」「なぜ自分がこんなに苦しむのか」と苦悩、苦痛、苛立ち、怒り、そして不安に感じることは、精神的なものであると同時に霊的なものでもあります。特に人生の終末に近づいた人にとっては、自らを許すこと、他の人々と「気が合うこと」等々と関連しているでしょう。私は9月9日に長女をがんで亡くしてしまいましたが、亡くなる前日の9月8日午後9時に、私は入院先で長女に「ありがとう。」と話しかけました。そのとき、長女がそれを理解して「ありがとう。」と返事をしてくれました。長女と私が霊的な健康を取り戻した瞬間でもあると思います。私の魂は、長女が宇宙へ旅立つ直前に、長女の魂によって癒され、慰めで満ち足りた気がいたしました。これは、お互いの魂が霊的な結合を取り戻した瞬間であると思いました。

 

また、愛する人を亡くした後、ふと近くに居るように感じることがあり、見守ってくれているよう感じることがありますが、これは、亡くなった人が戻っていった大宇宙との一体感を共に感じていることであると思います。霊的な健康とは、人間が「生きること」において不可欠なもの、人間の全体性に深く関わっているもの、自分と宇宙とのつながりをイメージできるようなものではないでしょうか。

 

私は9月22日付記事「祈りと気」において、「手術の名手も手術の直前に手を合わせて祈る」ということを述べた上で、「『祈り』という行為とは、純粋な人間的な行為である」と述べました。これはすなわち、人間の霊性に基づく「祈ること」という行為が、「生きることを求めること」そのものだと思うからです。

 

人間には4つのファクターがあり、身体的(フィジカル)、感情的(エモーショナル)、知性的(インテレクチュアル)、霊性(スピリチュアル)のそれぞれのファクターが調和することで、「自己免疫力」「自己治癒力」を発動させ、病気を治癒することができるという説があります(「ソマチッドと717Xの真実」ガストン・ネサーン寄稿、稲田芳弘著、ECOクリエイティブ、31頁)。目に見える科学に基盤を置いている西洋医学では、「霊性」のファクターを重視することなく治療が施されていきます。これは、「医」が「巫」という世界から離れてしまった例であると思います。私たちの「いのち」が与えられた元は宇宙である、との意識を欠いては「自己免疫力」「自己治癒力」を十分発動させることができないでしょう。

 

「医」の古い字体を見れば、「巫」という文字があります。この意味を再説すれば、「巫」の字には、二人の「人」が表示されていますが、これは、複数の人が、身振り手振りをもって、全身全霊で祈り、神に信じられないぐらいの高度な技(工)を発揮させてほしいという願いが込められているのでしょう。「医」という字の古い字体を改めて凝視し、尚、この意味を十分悟らなければならないほど、医学が今でも未熟な学問であることを改めて痛感した次第でございます。

 

 

【宇宙人に近づくか?】

さて、人間が、知性に加えて霊的にも進化を遂げれば、より多くの病気の治癒を可能にすることができると、先に述べましたが、齋藤博保先生は、人間の今後の進化について、次のように述べられています。

 

「地球上の生物が、サムシンググレートによって生かされるなか、私は現代社会においても『人間の心の支配』は『神の力に及ばない』ということを感じています。

真の『健康』とはなにかと考えた時、宇宙空間の宇宙の法則に従うことが『霊的な健康』を得ることであり、安らかなる適応力を得ることだと思います。たとえ『霊的な健康』から疎遠気味であっても、血は延々と受け継がれ、霊的結合が疎通され、心と心を結ぶことになるのではないでしょうか。

最近、私はこんなことを妄想します。『人類は、動物であったが人間となり、やがて、宇宙人となる。』

つまり、人間が他の生物と共栄、共存していた時代(動物の時代)から、現在は、人間だけの我欲の時代となりました。人間は、機械化あるいはロボット化に次第に頼るようになり、手足等を動かす脊髄神経が、次第に機能低下して退化していきます。そうすると、人間は脳ばかり発達し、つまり小生が子どもの頃漫画でみた、頭が大きく手足の細い火星人のような姿になるのではないでしょうか。」

 

人間社会のロボット化が進めば、それこそ「目配せ」だけでロボットが何でもしてくれるようになります。それに人間の『脳』が慣れていき、四肢を動かさなくても「目配せ」だけで活動できるようになり、それゆえ次第に四肢は細くなり、脳ばかりが発達する時代が来ます。この齋藤先生のお考えに触れて、古川聡宇宙飛行士が、2011年6月8日 から11月22日まで、宇宙に連続167日滞在した後地球に帰還した際、「気分は最高だが、体はまるで軟体動物のよう。立っていられない、歩けない。」と述べられたことを思い出しました。これは、わずかな力で脚を挙げることができた無重力環境に『脳』が慣れてしまったことが原因だそうです。ロボット化が進むことで、宇宙という無重力空間にいることと同じ現象を招く時代、人間が宇宙人に近づく時代が来るのだと思います。それが、千年後か、一万年後かは分かりませんが・・・。

 

石原慎太郎東京都知事は、オリンピックを東京でもう一度開催したいと招致に前向きな姿勢を示しています。これは色々と批判があるところではありますが、私は、オリンピックは、人間の身体的能力、心理的能力、あるいは動物性というものを確認し、再度チャレンジするために意味があることであると思います。オリンピックでは、人間の身体的、心理的能力の限界を極める各種のスポーツがありますが、世界新記録が出なくなった時、人間の身体的能力は限界に達し、さらに機能低下が始まるということを意味していると思います。つまり、人間が動物性から離れて、宇宙人へと近づく世界に突入する時代、ということであると思います。

 

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(2011年11月16日(水) 朝9:18 神奈川県横浜市 藤が丘駅前にて
「マリアカラス」を撮影)

 

 

【丹羽式統合医療 その他の施設について】

 

さて、前々回にご紹介した丹羽クリニックの提携施設「細胞賦活化療法(アスクレルーム)」のほかにも、「丹羽式統合医療」の一環として、丹羽先生は色々な治療法を、提携施設と協力しながらおこなわれています。


 

まず、「温熱免疫ルーム」です。これは、一見「サウナ」と混同されてしまいますが、「サウナ」は高温で身体を表面から温めて短時間で汗を出させるものですが、「温熱免疫ルーム」は、体温よりも2~3℃高い温度で時間をかけ

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て身体の深部を温めるのだそうです。内臓や深層筋など身体の深部が暖まるには、リンパの流れや血流などの力を借りて40分く らいかけてじっくり温める必要があり、「温熱免疫ルーム」では、それが可能なように温度と湿度を設定してあるそうです。身体が深部まで温まり、基礎体温が上がり、リンパの流れが促され、血流が良くなります。身体の深部まで温まると腸から汗のように免疫物質が分泌され胃腸機能が活発になるそうです。そして、自律神経のバランスが整い全身の緊張が取れ、心身共にリラックスすると、皮膚からも免疫物質や皮脂が混じったサラサラの理想的な良い汗が出て、防御機能が向上します。さらに、デトックス効果もあり、肌が美しく丈夫になるということで、病気治療中の方からリラクゼーション、アンチエイジング目的の方まで色々な方々が来院されているそうです。

 

 

 

 

次に、「音楽音響ルーム」です。音の響きを身体に与えることによって、身体と脳に、同時に刺激を与え、自律神経(交感神経/副交感神経)のバランスを整える療法です。特に副交感神経の働きを活発にすることで、末梢神経が改善され、交感神経(活動・緊張時に働く神経)優位から生じる身体の緊張やストレスを緩和します。また内臓器系統の働きを正常に戻し、自己免疫力を大幅に高めることから、多くの疾患を予防・改善へと導きます。


大自然のせせらぎや、美しい音楽を聴いていると、その音の持つエネルギーと、自然治癒力という自分が本来有するエネルギーとが共鳴し、自分本来の力を目覚めさせてくれるような、すがすがしい気持ちになり、心が晴れ晴れとすることがあります。ですから、私も音楽には秘めたる力があると思います。


 

 

 

 

 

最後に、「TRUE HANDS(正顔・フェイシャル・フットケア)」ですが、「丹羽式統合医療」の中で、丹羽先生は「美しさ」も1つのジャンルとして挙げられています。これは、丹羽先生の「健康だから美しいのでは正顔・フェイシャル.JPGなく、美しいから健康であり、病気を予防できる」というご理念のもと、統合医療システムに組み込んだのだそうです。

若い女性がカラーコンタクトレンズを入れて瞳を大きく見せようとして目の炎症を起こしたり、無理なダイエットをして体を壊したりと、歪な「美」を追求した結果、不健康になってしまうケースをよく聞きます。これは、「美しいから健康である」ということの真逆であると思います。また、肌が荒れていたり血色が悪いからと厚化粧をして、外見のみを美しく見せるのも主客転倒でしょう。「美しいから健康である」ということは、薄いお化粧でも(勿論素肌でも)美しければ、その人は健康であるということです。丹羽式正顔術というものを丹羽先生は実践されていますが、これは丹羽式正體の理論と技術を顔に応用し、肩、頚、頭を正常な位置に整え、顔面、頭部の筋肉を整えていくことで、その人本来の持っている、いい表情と顔を作り出すものだそうです。厚化粧をして肌に負担をますますかけるのではなく、自分本来の美しさを取り戻すように努力をするべきだと思います。

 

また、「美しいから健康である」といえるためには姿勢、立ち振る舞いの良さもその要素の一つであると思いますが、丹羽先生は「フットケア」も行われています。人間が直立二足歩行で「立つ」「歩く」「走る」といった動作をする時、身体を支えている足への衝撃は体重の3~6倍かかっているそうです。足に何らかのトラブルをかかえていることに

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より、身体のバランスをうまくとることが出来ず、正しく歩くことが困難になるそうです。足のトラブルを解消し、正しい歩行をすることで、身体全体のバランスが整った、歪みのない身体へと導けるそうです。

正しい姿勢は座った時も同様です。パソコンの普及により、デスクワークで長時間机に座った作業をすることが多くなってきていますが、同じ姿勢でいるとお尻の筋肉が圧迫されて血行が悪くなり、その結果、腰痛や足の冷えなど、悪影響を与えるそうです。腰痛を解消するためにはできるだけ筋肉を使うようにする、すなわちある一定の時間作業を行ったら、立ったり座ったりして筋肉を使用すること必要だそうです。

 

私が8月23日付「交友録その7」でご紹介した株式会社新規開拓 代表取締役社長朝倉千恵子様は、スーツを颯爽と着こなし全国の企業での社員研修や営業、指導、講演などを実施されています。いつも背筋をピシッと伸ばし講演先でお話なさっている姿は「美しいから健康である」のお手本のような方です。

 

朝倉様は「姿勢」の取り組みについて次のようにおっしゃっています。

 

〈気持ちを変えるのは難しいですが、形を変えることで気持ちは後からついてきます。たとえばつらい時は下を向いてトボトボ歩きたくなりますが、そんな時こそ胸をはり堂々と歩きましょう。そうやって歩いていれば周りは「元気な人」「自信のある人」と思うようになります。また声の大きい人に猫背の人はいません。胸を張っているから大きい声が出る、これは腰が立っている、すなわち姿勢がいいからです。〉 

 

「腰が立っている」いわゆる「立腰」については、主体的人間になるための 「立腰教育」などを汎く世に知らしめた哲学者であり、教育者でもあった故森信三先生(1896年~1992年)が次のようにおっしゃっています。

 

〈つねに腰骨をシャンと立てること-これ人間の根性の入る極秘伝なり。 

 

人間は心身相即的(「相即」とは「二つの物事が密接に関わり合っている」という意味)存在ゆえ、性根を確かなものにしようと思えば、まず躰から押さえてかからねばならぬ。それゆえ二六時中(四六時中)、「腰骨を立てる」以外に、 

真に主体的な人間になるキメ手はない。 

 

「腰骨を立てる」ことは、エネルギーの不尽の源泉を貯えることである。この一事をわが子にしつけ得たら、親としてわが子への最大の贈り物といってよい。 

 

一、腰骨を立て 

二、アゴを引き 

三、つねに下腹の力を抜かぬこと 

同時にこの第三が守れたら、ある意味では達人の境といえよう。〉 

 

(「新版 立腰教育入門」森 信三著 不尽叢書刊行会、1985)

 

「腰を立て、良い姿勢でいるということが人間のエネルギーを貯える」の「エネルギー」とは、「気」「波動」「微弱エネルギー」であると思います。つまり、姿勢を良くして大地に立つことではないでしょうか。また、姿勢を良くし「気」を貯えることが病気にならない身体づくりを行う上で重要であるということは、まさしく「病は気から」という言葉とおりであると思います。

 

また、10月14日付ブログ記事から計4回にわたってご紹介した齋藤博保先生は、月刊「公論」(株式会社財界通信社発行の総合誌)2011年3月号「リレー対談」(1983年から続く人気コーナーで、ゲストが次にホストとなり、新たなゲストを招聘するコーナー)で朝倉様と対談されました。齋藤先生に朝倉様の姿勢についてお聞きしてみたところ、以下のようにおっしゃっています。

 

月刊「公論」HP http://kohron.jp/index.html

 

<朝倉様の姿勢の良さは、身体の中心である『丹田』に気を収めることを無意識に体得されていることによるものであると思います。それによって姿勢が自然と正され、事を成すに至るときに一気に『気を吐く』ことにより、最大の力を発揮されているのだと思います。> 

 

「丹田に気を収める」ことを体得し姿勢をよくすることとは、森信三先生の「腰を立て、良い姿勢でいるということが人間のエネルギーを貯える」に通ずるものであると思います。

 

さて、朝倉様はこれまで数多くの講演や研修を行ってこられましたが、ご自身が、姿勢ひとつ変えるだけで、会場、参加者の空気も変わると感じられるそうです。それは、朝倉様が、姿勢を良くして貯えている「気」を、講演や研修の場で受講者に伝え、相手にそれを受け取ってもらえるということでしょう。私も、例えば、講演を行う時、「気を入れて」お話しすると、それまでザワザワしていた状況が静かになるということがよくあります。これは、「気」を、人間は持続的に保持、貯えることができるということの表れでしょう。(詳しくは、7月15日付ブログ記事「気を入れて」をご覧ください)

 

朝倉様のセミナーは参加者から大変好評で、日本だけではなく、海外でも講演をなさる機会があります。2011年11月2日及び3日の中国・上海で行われた講演では、中国人聴講者の方から「朝倉様と朝倉様のチーム3人のスタイルがとても印象深かったです。立ち方、座り方が正しければ、良い身体を保つために役立てることができ、人に与える印象も良く、健康にも良いと思います」という感想があったそうです。正しい姿勢は人に好印象を与え、また「健康」につながっていると考えられているのは日本だけではなく、中国でも同様であるのです。

 

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」といいますが、「健康」「健全」「健やか」の「健」という字は、人間が心身ともに健やかな状態にある姿が語源となっているそうです。「廴」は人が足を投げ出してくつろいでいる姿であり、気持ちがとても伸びやかであることを表しており、「聿」は手に筆をもった様子で、背筋がぴんとして姿勢のよい状態を意味しています。つまり、伸びやかで自然と背筋がぴんとしている人は、健康な人であると、漢字が成立した古代中国の先人たちも理解していたのでしょう。

 

 

【がん治療について】

 

現在、国民の3人に1人ががんで亡くなっている時代です。がんの患者さんは近年、急速に増加し、もはや身近な病気であると言っても過言ではありません。医学の世界においても、「がん治療」との戦いは年々、重要視されていると言えます。

 

これまで、がんに対する治療法は、

  1. 手術療法
  2. 化学療法
  3. 放射線治療

といった治療法が基本でしたが、この治療法が必ずしも良い結果を得られているのでしょうか?実際、化学療法や放射線治療を行い、副作用で辛い思いをされている方が多いことも現実です。

 

全身の免疫力を高め、抗酸化能力を強め、栄養状態を良くすることでがん細胞をアポトーシス(生物を構成する細胞が自分の役目を終えたり、不要になると自ら死ぬ<自殺>現象、細胞死ともいう)の状態にもっていき、がんに打ち勝つことが重要だと思います。

 

丹羽先生は、開業する前は、大学病院等で16年間、消化器外科の第一線で活躍され、多くのがんの症例を経験なさったそうです。そこでの経験から、クリニック開設以来、23年間、丹羽式統合医療の目的の一つに、がん治療を確立することがあったそうです。

 

敢えて研究発表はされていませんが、現在、がん患者さんに対する治療を確立し、信じられない程の治療効果を上げているとのことです。治療の基本は、患者さんの自然治癒能力、自己治癒能力を高めるために、独自のビタミン・ミネラル療法や全身の細胞賦活化療法(アスクレルーム)等を行っています。

 

 

【最後に】

丹羽先生はこれまで計4回にわたってご紹介した通り「丹羽式統合医療」によって、治療の対象を患部だけでなく、骨格や、筋肉、臓器、心、脳神経など人間の身体全体を総合的に捉えて西洋医学・古典医学問わず様々な治療法を活用され、研究を重ねられ、治療学に基づく独自の診断法と治療法を構築なさいました。開業して23年間でアトピー性皮膚炎、糖尿病、それからがん、慢性肝炎、喘息、アレルギー疾患(花粉症、アレルギー性鼻炎等)、筋骨格系疾患(腰椎椎間板ヘルニア、腰痛症、頸椎症、肩関節周囲炎、膝関節症)などのあらゆる難治性疾患において、治療効果を上げてこられました。

 

丹羽先生の「人となり」について、丹羽クリニックのスタッフの皆さまにお聞きしてみたところ、丹羽先生は、仕事人間で休みの日でもクリニックに来てお仕事をされているそうです(ここ10年間で年末年始も休んだことはないそうです)。また色々な事に興味をお持ちで、興味を持ったことは最後まで探求され、特に歴史や地理に関しては、専門家の方よりもご存じなのではないかと思うぐらいです。

 

開業以来、「病気を根本から治す」ことを念頭におき、これまで様々な疾患と向き合い、研究し、実践し続けています。こんなことが出来るのは、患者さんを良くしたいということと、日本における治療学を形成したいという丹羽先生の強い熱意があってこそだと思います。病気を心身・身体から治すという強い情熱には本当に敬服しています。

 

また、私の病状について、丹羽先生にお聞きしたところ、下記のお言葉をいただきました。

 

 

1997年、高井先生と初めてお会いして、診察した際にまず、「骨がしっかりしている。」と感じました。医師になって、多くの患者さんを診てきましたが、 

これ程、強靭な身体の方は後にも先にも高井先生だけです。 

 

ただし、高井先生は、首の緊張が強く、首の周囲の筋肉がかたくなっている状態でしたので、このまま放置しておくと脳の循環器障害(高血圧、脳梗塞、脳出血等)を引き起こしてしまうと推測しました(身体は、筋骨格系を精査するとある程度の疾患、またはウィークポイントを予測できます)。 

 

実際、高井先生はこれまでに、様々な病気に罹患されたと思いますが、やはり骨がしっかりしていることが身体を強くし、病気になっても、負けじと戦い、病気を克服して来られたのではないでしょうか。強靭な高井先生だからこそ、なし得たことだと思います。 

 

私は長らく自分の病気と闘ってまいりました。時として、自分の体調の悪化に心が折れそうになることも多々あります。しかし、このような丹羽先生のお言葉を有難く受け止め、自分の強靭さを信じて、病気と闘うことをやめず、これからも積極的に活動していきたく存じている次第です。

 

8月16日 付【交友録その6】でご紹介した、株式会社開倫塾代表取締役社長 林明夫様も、丹羽先生にお世話になっているうちの一人です。林様は、「丹羽先生は、私が不摂生のため、体調を大きく崩した折、救ってくださった先生のお一人です。丹羽先生は結果を出すことのできる数少ない医師という意味で名医のお一人と確信しています。どうしてもよく治らない病気をお持ちの方は、一度先生の治療をお受けになることを心からお勧めいたします。」とおっしゃっていました。私も全く同感であります。

 

丹羽先生は、「東と西、古きと新しき、そして全体と部分の医学を包括した統合医療は、いままさに地表に現れ、目に見える大きな流れとなろうとしています。」というお言葉をご自身のご著書「ステロイドは使わない!アトピーはこうして治す」(長崎出版、2004)に載せられています。丹羽先生が、「統合医療」を日本の医療の主流とすべく、今後も真摯に研究・診療に励まれ、より多くの、難病に苦しみ、悩む人の救いのともしびとなってくださることを願っております。

 

丹羽クリニックHP http://www.niwa-clinic.com/

 

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(2011年11月16日 朝9:18 神奈川県横浜市 藤が丘駅前にて
「プリンセスミチコ」を撮影)

 

さて、前回に引き続き、医療法人社団丹伎会 丹羽クリニック院長丹羽正幸先生についてご紹介いたします。

 

【糖尿病について】

さて、身近な難治性疾患には糖尿病がありますが、丹羽先生は糖尿病についても深く研究をされています。一般的に西洋医学では、血糖値をコントロールする食事療法、運動療法、薬物療法、インスリンを投与する治療法となっていますが、糖尿病は全身病で、代謝の疾患だそうです。西洋医学の行う個々の治療法ではなく、身体全体の代謝を改善してゆき、自然治癒力を取り戻す「丹羽式統合医療」が糖尿病治療にも力を発揮するのです。前々回にご紹介した丹羽式正體術や、前回ご紹介したアスクレルームなどの提携施設(「アスクレルーム」以外の提携施設については次回にご紹介します)の他にも、ビタミン・ミネラル療法も行われるそうです。(ビタミン・ミネラル療法については後述します。)

 

 

【アトピーについて】

丹羽式統合医療の実績で最も著名なものはアトピー性皮膚炎の治療です。先生は、アトピー性皮膚炎は、「皮膚」だけの問題ではなく、「身体」の問題であり、身体に問題があるからこそ、その問題点を解消するために体質の改善を行う必要がある、と都度述べられています。糖尿病と同様、アトピー性皮膚炎は皮膚だけの疾患ではなく、全身病なのです。

 

アトピー性皮膚炎を引き起こす原因は、私たちの身の回りに数多く存在しているそうです。体質、食生活、寝不足、夜型の生活、運動不足、ストレスの増加、生活環境…いろいろな原因があり、人それぞれに多様な原因があるそうです。アトピー性皮膚炎の語源は、「atopos」というギリシャ語が語源で、これは「奇妙な・よくわからない」という意味だそうです。現在主に実施されているのはステロイドを使った治療法ですが、丹羽先生は基本的にはステロイドを使わずにアトピー性皮膚炎を治すことは可能であると考えているそうです。約40年前からステロイドがアトピー性皮膚炎治療の中心として使われてきましたが、ステロイド治療が一般的に使われる一番の理由は、ステロイドには優れた抗炎症作用があるからだそうです。ステロイドを塗れば、痒くて痒くて夜中目が覚めてしまいよく眠れなかったりすることもなく、また炎症がおさまれば皮膚もきれいになります。しかし、ステロイドは、症状をおさえるために使われる薬であって、アトピー性皮膚炎を根治させる薬ではないということです。

 

丹羽先生は、ステロイドを全く否定しているわけではなく、ステロイドを使った治療はあくまでも「応急処置である」とお考えだそうです。つまり、風邪をひいて高熱がでたら解熱剤を使うのと同様ですが、頻繁に熱を出しているのに解熱剤を使って熱を下げればそれでよしとするのではなく、風邪をひかないような身体づくりをしなければ同じことの繰り返しです。ステロイドも同様で、長期間使用すべき薬ではなく、ステロイドをやめるための身体づくりが必要であると先生は考えているのです。

 

丹羽先生によると、アトピーの人に共通している弱点は概略以下の4つだそうです。

 

(1)胃腸が弱く、消化吸収能力が低い

消化吸収能力が低いと、身体が未消化の食べ物をうまく処理できないために、身体の中にあってはいけない異物であると誤認識し、免疫機能を発動させて排除しようとするのだそうです。皮膚の「膚」の字には「胃」という字が入っていることに、丹羽先生は中国医学の先人の深い洞察を感じる、と述べられています。皮膚の表面は、胃腸の状態が改善されることで消化吸収が良好となり、皮膚の栄養状態も良くなります。例えば、下痢や便秘状態に陥ると皮膚の状態が悪化してしまう(潤いがなくなり乾燥してしまう)のだそうです。

 

(2)皮膚が薄い

皮膚が厚いほど血管が多く、血液もたくさん流れるために皮膚をつくる機能も活発になりますが、皮膚の薄い人はどうしても皮膚の補修・回復が遅く、傷や炎症も治りにくいのだそうです。(また、ステロイド剤は皮膚を一層薄くする原因の一つだそうです)

 

(3)身体にゆがみがある

皮膚への血液は、必ずその下の筋肉の中を通る血管によって運ばれ、筋肉にゆがみやねじれがあるとそこで血管が圧迫され、その先にある皮膚の血流が悪くなってしまうそうです。

 

(4)よい汗をかけない

よい汗とは、水分量と皮脂の量が一定の割合でできているものです。例えば、早歩きをした時にかくサラッと流れる玉のような汗です。アトピーの人は、皮膚が薄くなって汗腺や皮脂腺の働きが衰えているため、上手く汗がかけない体になっているそうです。

 

(1)~(4)を克服し強い身体づくりをするために、丹羽式統合医療では、消風散、十全敗毒湯、補中益気湯、十全大補湯、四物湯、温清飲等の漢方による治療(体質改善)、ビタミン・ミネラル療法(サプリメント。これについては後述します)、正しいスキンケア指導、丹羽式正體(ゆがみを治して、皮膚の血液量を増加させる)を行っているのです。アトピー性皮膚炎で悩む人はもう何十年もステロイドを塗っている人が多いと聞きます。私の事務所にもアトピー性皮膚炎に悩む女性秘書がいますが、その秘書は、生まれたときからずっとステロイドを塗って症状を抑えているそうです。一度、丹羽先生が実践されているように、体質改善をしようと努力をしたそうですが、結局「すぐにかゆみがなくなり皮膚がきれいになる」ステロイドを使ってしまっているとのことです。このように、ステロイドの即効性から、長期間ステロイドを塗っている人が多いのが現実ですが、丹羽先生は、徐々にステロイドを少なくして、体質を改善し、皮膚を厚く丈夫にして、皮膚の免疫力を取り戻す、ということが大事だとおっしゃっています。そしてそれには根気と努力が必要だそうです。ステロイドは一瞬にしてかゆみを確かにとってはくれますが、身体全体の代謝を改善してゆき、自然治癒力を取り戻すという丹羽式統合医療の、一見遠回りに思える方法が、アトピー治療の根本治療として正しいといえると思います。本当にアトピー性皮膚炎を完治させたいなら、対症療法に依存する西洋医学だけではもはや限界なのでしょう。

 

 

 

【ビタミン・ミネラル療法(サプリメント)】

丹羽クリニックでは、上述してきたとおり丹羽式統合医療の中でビタミン・ミネラル療法も行われています。

 

「体内の環境を良くし他の治療効果を上げるもの」、「機能低下を抑制し代謝を助けるもの」、「免疫力を助けるもの」など、病気の方すなわち患者さんが長期間摂取しても問題が無く、しかも治療効果を上げることが出来るものである、ということがサプリメントで重要なことだそうです。丹羽先生は、38年間ビタミン、サプリメントを研究し、データを取り続けられていて、丹羽先生曰く「良いサプリメントは、飲みはじめて2週間程度で効果が現れるものであり、サプリメントで重要なのはクオリティの高い原材料を使用することと効果を最大限に生かす組合せであり、なおかつ健康被害がないものである。」とおっしゃっています。また実際市販されているサプリメントには、利用していても効果が無いもの、健康被害を出しているものが非常に多く存在しているそうです丹羽クリニックで使用するサプリメントは、丹羽先生自らが処方を考え、原材料、配合などを監修し、臨床で安心して患者さんに使えるもののみを使っているのだそうです。市販されているビタミン、サプリメントの中で、最も効果が高いそうです。

 

サプリメントの中でも、ビタミンA、ビタミンCは体の状態を良くするための基本となるものだそうです。以下は丹羽先生から教えていただいたビタミンA、Cの説明です。詳しくは、丹羽先生もしくはスタッフの方々に聞かれると良いでしょう。

 

◎ビタミンA

人の身体は、体の外界に通じる部分は皮膚・粘膜で全て覆われています。ビタミンAは、皮膚・粘膜の働きを正常にして、体を良い状態に保つ為には欠かせないビタミンです。

・   一般的に欠乏すると、夜盲症、感染に対する抵抗力の低下、成長不良、骨・歯の発育不良と変形、皮膚や粘膜の角質化、皮膚の異常乾燥、色素沈着などが起こると言われています。

 

◎ビタミンC

ビタミンCは、体内へきちんと吸収されると、体の65%以上を占める水の部分で幅広く作用し、様々な効果をもたらすビタミンです。その主な効果は、抗酸化作用であると言えます。ビタミンCは水溶性であるため多く摂取しても排泄してしまうと思われがちですが、実は体の重要な部分(脳、下垂体、副腎など)に多く存在します。ストレスや病気などで消耗されると、そこから補てんされ、現代人のほとんどは潜在的にビタミンC不足と言えます。ビタミンCは多めに摂り、重要な部分が十分満たされた状態で初めて色々な働きをしてくれます。代謝系も含め細胞レベルで状態を良くしていく為には必要不可欠なサプリメントです。

・   一般的なビタミンCの効果としては、免疫力を高める抗酸化作用、抗ガン作用、抗ウイルス作用、解毒作用、コレステロールを下げる、メラニン色素の生成を抑える、鉄・銅の吸収を助ける、ヘモグロビンの合成を助ける、アンチエイジングにおいて必要な細胞の結合組織であるコラーゲン(骨などを構成するタンパク質のひとつで、脊椎動物の細胞外基質<細胞外マトリクス:細胞を囲むもの>の主成分)の合成、血管・皮膚・粘膜・骨を強くする効果があります。そのほかにも、アンチエイジングにおいて重要な抗酸化作用、などがありますが、研究中のものも含めると、まだこの他にも様々な効果があります。

 

特に風邪やインフルエンザが心配なこの時期、ビタミンA、Cは健康を保つうえで必要不可欠です。

 

次回はアスクレルーム以外の関連施設等についてご紹介をして、丹羽先生のご紹介ブログ記事のまとめとしたいと思います。

 

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(2011年11月6日(日)朝7時2分 東京都渋谷区代々木公園にて雨上がりの薔薇を撮影)

 

さて、前回に引き続き、医療法人社団丹伎会 丹羽クリニック院長丹羽正幸先生についてご紹介いたします。

 

「丹羽式統合医療」の目的は、「病気の根本治療」にありますが、「丹羽式正體術」以外に、丹羽クリニックの提携施設として「アスクレル-ム」「温熱免疫ルーム」、「音楽音響ルーム」、「TRUE HANDS(正顔・フェイシャル・フットケア)」等があります。今回は「アスクレルーム」をご紹介したいと思います。

 

「アスクレルーム」の「アスクレ」とは、ギリシャ神話に出てくる医神「アスクレピオス」(優れた医術の技で死者すら蘇らせ、後に神の座についたとされる。)を語源としているそうです。ギリシャ医学は、身体の自然治癒力を重視しており(人間に自然治癒力があるとする考え方自体の歴史は非常に古く、世界三大古典医学といわれているインド医学<アーユルベーダ>、中国医学、ギリシャ医学などに共通しています)、丹羽先生も自然治癒力を高める為のシステムを構築した治療を実践なさっています。

 

 

「アスクレルーム」の五大機能は、下記の通りです。

 

① 細胞の活性化
細胞のエネルギー代謝を高め、新陳代謝を促進する

 

② リンパ球数の増加
免疫力、自然治癒能力、自己治癒能力が高くなる
人間の免疫力、自然治癒力等は、非常に高度で精密なシステムになっているそうです。免疫機能を担っている要素の例としては、この「リンパ球」が挙げられるそうです。「リンパ球」というのは総称であり、現在のところ「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」「B細胞」「T細胞」などが知られているそうです。ナチュラルキラー細胞は腫瘍細胞やウイルス感染細胞を直接撃退する力を備えていて、B細胞は体液性免疫や抗体産生に、T細胞は細胞性免疫に携わっているそうです。

 

③ 血管の拡張
身体の隅々まで血液を行き渡らせる

 

④ 筋肉の弛緩
血液の巡りをスムーズにする

 

⑤ 副交感神経の刺激
脳をリラックスさせ、ストレスを緩和させる
人間の「自律神経」は、正反対のはたらきをする「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経から成り立っているそうです。「副交感神経」がはたらくのは、睡眠中、リラックスしているとき、ゆったり過ごしているときで、昼間の活動によってたまった疲れや、体に受けたダメージを、「副交感神経」に切り替わった睡眠中に修復して元気な状態に戻す、いわゆる「からだの修復」が主な役割だそうです。

 

「細胞の活性化」「リンパ球数の増加」「血管の拡張」「筋肉の弛緩」「副交感神経の刺激」という5つの機能によって、人が持っている治癒能力が最大限に高まる、人の細胞が賦活(ふかつ)化する、これが「細胞賦活化療法アスクレルーム」と呼ばれる所以なのですが、丹羽先生は次のようにお話なさっています。

 

〈まず、アスクレルームは細胞賦活化を目的とした装置です。細胞の賦活化とは、細胞ひとつひとつを活性化させるという意味です。約2年間に亘り、数多くの利用者のデータをもとに、気圧の調整方法を研究し、工夫して、「最も効果的で、なおかつ最も副作用の少ない(耳の痛み・頭痛・めまい・脳貧血等にも配慮した)方法」へと改善を続けています。ただし、「気圧を高くすること」はなく、「気圧を低くするか、低くしたものを戻す」という調整を繰り返しており、現在のところは最大限に気圧を低くしても飛行機の中と同じ程度としています。酸素濃度に関しては、気圧の調整に伴って自然に変化させているものであり、人工的に酸素の充填や抽出を行っているものではなく、大変ナチュラルなものです。〉

 

つまり「アスクレルーム」は中身の気圧を常に変化させ続けるということなのですが、ルームの外よりも気圧が高くならないという基本方針の下、酸素の量を減らしたり戻したりを繰り返します。一番低い酸素濃度は、飛行機の中と同程度だそうです。飛行機の中と同程度になると、およそ人間は防御機構を持っていて、簡単にいうと低気圧でも耐える身体になっていくということです。

 

「防御機構」とはどういうことかといいますと、「アスクレルーム」内では気圧が低下しますが、これは人間が、自分の力で、常に一定の身体条件(外的条件が変わろうとも、常に一定の身体状態でいられるようにすること。)を保つようにする仕組みです。これは、人間の身体には外部の条件が変わろうとも自分の身体の状態を維持しようとする「余力」が残っていることを意味していて、これは人が持っている「生命力」です。「アスクレルーム」では、この「生命力」を引き出し、エネルギーの生産効率を上げることができるということです。

 

気圧を戻すということは、酸素の少ない状態から通常の酸素量へ復元するということになります。酸素の少ない状態とは、身体が酸素を渇望していることですので、気圧が少ない状態から通常の気圧に戻るときは、細胞の酸素の吸収力、細胞の利用効率が上がるということです。「アスクレルーム」で一番大事なことは、絶えず気圧を変化させていること、すなわち生体防御反応が絶えず機能していくということです。気圧を固定するとその気圧に慣れてしまった身体になってしまうことになりますので、そうならないために気圧を常に変化させることが重要だと思われます。

 

「アスクレルーム」に入ると、人間の体内では、薄くなっていく空気に対し、血管が拡張し、血液を体の隅々まで行き渡らせ身体の全細胞に酸素を効率よく運搬して身体を守ろうとする生体反応がおこります。それゆえ身体が温かくなり、それだけではなく血流が良くなり、脳への血流もよくなり、副交感神経が優位に働きます。副交感神経が優位に働くということは、身体をリラックスさせるということだそうです。具体的にいうと「眠くなる」「筋肉の緊張が和らぐ」「イライラしにくくなる」といったような効果があるようです。

 

 

私も丹羽先生と提携されている虎ノ門の「アスクレルーム」で何度も体感いたしましたが、私が「アスクレルーム」の施術を受ける時間は、私にとっては「睡眠時間」といってよいでしょう。「アスクレルーム」それ自体は、眠気を強く促す時間ではないのですが、副交感神経が活発になるからリラックスして、私は眠くなってしまうのです。

 

虎ノ門アスクレルームブログ http://ameblo.jp/ascletora

 

また、私たちは日常において「深呼吸する」という行為がありますが、深呼吸には副交感神経を強めてリラックスさせるという効果があるようです。たとえばラジオ体操の中に「深呼吸する」という行為がありますが、最後の深呼吸を必要と感じないならば、体操を十分に行ったとはいえないそうです。つまり、体操によって疲れた筋肉に酸素を補給することが最後の深呼吸で、また、最初の深呼吸はこれから動かす筋肉に酸素を与えるために必要な行為であり、眠っていた筋肉をおこしてあげる意味があるそうです。こういった意味において、体操には必ず深呼吸が必要なのです。ラジオ体操の中で最初と最後に深呼吸がありますが、これは意味もなく入っているのではないということです。

 

丹羽先生の「アスクレルーム」は、新宿と虎ノ門のほか、今月新たに調布市若葉町(京王線仙川駅)の湯けむりの里仙川店が開業されています。また、「アスクレルーム」によって体調改善された方々が、新規に設置を各地で企画されているそうです。海外からも、設置意向がもらされているそうです。丹羽先生は、様々な疾患で悩まれている方々により良い治療方法を提案することをご信念にされています。丹羽先生のご信念を具現化する一環として、アスクレルームを多店舗展開するにあたっては、アスクレルーム株式会社取締役社長 服部新一様が大いに協力されているようでございます。

 


最後に、「アスクレルーム」が行っている「酸素濃度が低い状態から通常の酸素量に戻る変化を繰り返すこと」は、まさに地球の歴史そのものをたどることだという考え方に感銘を受けました。つまり、丹羽先生は以下の様におっしゃっています。

 

<地球は、46億年前に誕生し、36億年前に海水の中で生命が誕生しました。27億年前に、太陽光を用いて海水を分解し、エネルギーを産生する細菌群が出現しました。そして、20億年前に初めて酸素が発生しました。生物は酸素を利用してエネルギーを効率よく作ることができるようになったのです。しかし、その頃の酸素濃度は現在の酸素濃度(21%)の10万分の1であったそうです。6億年前になるとやっと酸素濃度が1%になり、現在に至っているということです。> 

 

酸素の少ない状態から通常の酸素量に戻るという変化によって、血管が拡張し、血液を体の隅々まで行き渡らせ身体の全細胞に酸素を効率よく運搬して身体を守ろうとする生体反応から身体が温かくなり、それだけではなく血流が良くなり、脳への血流もよくなり、副交感神経が優位に働く等の効果が得られるということは、自分の小さな肉体が、地球の歴史をたどり、宇宙の歴史をたどり、宇宙との一体感を味わうことであるのだと思います。言いかえれば、人間は宇宙の一つの存在に過ぎないのです。

 

次回は、丹羽先生が「丹羽式統合医療」で特に実績を挙げられているアトピー性皮膚炎について等をお話ししたいと思います。

 

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(2011年11月1日(火)午前6時56分 東京都千代田区 北の丸公園にて撮影)

 

 

私が1997年5月以来、しばしばお世話になっている医療法人社団丹伎会 丹羽クリニック院長丹羽正幸先生は、日本統合医療学会代議員の肩書をお持ちで、「統合医療」を実践されているお医者様のうちの一人です。「統合医療」とは、病気で苦しむ人々が本当に必要な医療を自らの意志で選択できる、先端医療をはじめとした近代医学と、伝統医学や代替医療などが融合した医療のことです(「統合医療」については今後詳しくブログで私の思うところを述べるつもりです)。丹羽先生はご自分の治療法を「丹羽式統合医療」という独自の名称を付けて日々治療にあたられています。

 

丹羽先生は、人の生命力は強いもので、どのような病気でも、すべての人が持ち合わせている生命力と自然治癒力を最大限に生かし、身体の総合力を高めれば、根本治療に結びつくという信念のもと、診療と研究を続けられ、「丹羽式統合医療」を編み出されました。「丹羽式統合医療」は、自己のもつ自然治癒力を引き出すことで根本的な部分から治療を行っています。治療の対象を患部だけでなく、骨格や、筋肉、臓器、こころ、脳神経など人間の身体全体をトータルに捉えて行っています。丹羽先生は、「人は身体とこころを持つ生き物です。ですから、病気を治せても身体を根本から治すことは、西洋医学だけでは不可能だと考えます。また現代の医学は、薬で病を治そうとしますが、本来は自分の身体は自分の力で治せるようになるのが理想です。」とおっしゃっています。

 

さて、丹羽先生のご経歴は、1973年に横浜市立大学医学部を卒業され、横浜市立大学附属病院に入局、第二外科で多くの外科手術の執刀を務められました。その後米国カルフォルニア大学サンディエゴ校外科研究室研究員として勉学に励まれ、近代西洋医学の研究者、臨床の現場で日々活躍されていました。現在とは違い、丹羽先生は、もっとも近代西洋医学の真ん中をいく医者だったのです。(しかし近代西洋医学だけでなく、医学部在籍中より東洋医学研究会に所属し、漢方の第一人者、石原明医師に師事されていました。漢方のみならず鍼灸、アーユルベーダ、チベット医学、食養法など東洋医学の研鑽を積まれてきました。)

手術の執刀医を務めるうちに、臓器の病気の変化と体表変化の相対関係に気付かれ、すなわち「病気により生じた臓器の病変」と「体表に現れる歪み」との関係が、手術を行う中でより一層明確になったそうです。そこで、「手術以前にもっと他にすべきことがあるのではないか」と認識され、1988年にご自身で医療法人社団丹伎会「丹羽クリニック」を設立されました。以後、難治性疾患の治療を目的とし、「統合医療」の方法論の確立を目指した治療を行っています。開業以来、23年間で難治性疾患の患者さんを40、000例以上診てこられたそうです。

 

 

「丹羽式統合医療」の目的は、「病気の根本治療」にあります。そしてその特徴は、下記の5つが挙げられます。

(1)    多面的な診断(身体を様々な視点から診る)
近代医学・東洋医学の枠を超え、バランスを考慮して診断されています。

(2)    治療の組み立て(治療の処方)
薬だけを処方するのでなく、完治までの治療計画を処方されています。

(3)    様々な角度からの治療
一つの病気には、一つの病因・症状・身体の状態があるわけではありません。一つの病気には、患者それぞれの病因・症状・身体の状態があります。ですから、治療法も、患者一人一人に合わせて身体の内側・外側・心・脳神経・細胞など、様々なレベルと角度からアプローチされています。

(4)    効果が確認できた治療法のみを採用
代替医療とはいっても、根拠の薄いあやしげな民間療法などを取り入れているわけではなく、長年の臨床経験で効果が実証された代替療法を取り入れています。

(5)    薬・代替療法の処方
上記の(1)~(4)に基づき、薬(漢方薬は100種類以上を常備。西洋薬と漢方薬の相乗効果を引き出す独自の処方)と代替療法(関連施設と協力。「アスクレルーム」、「温熱免疫ルーム」、「音楽音響ルーム」、「TRUE HANDS(正顔・フェイシャル・フットケア)」等)を処方されます。

 

 

また、「丹羽式統合医療」の特徴として、筋骨格系のバランスを整える独自の手技療法「筋骨格系医学」を取り入れています。これは「丹羽式正體術」とよばれ、大変人気のある療法で、全国各地から患者さんがお見えになっています。「丹羽式正體術」はわかりやすくいえば整体、マッサージです。しかし丹羽クリニックでは一般で使用する「整体」という文字ではなく、あえて「正體」という文字で表現しています。「體(たい)」の字には、丹羽先生の深い意図があるそうです。「體」とは「からだ」の古字で、「骨」を「豊」かにすると書いて「體」と書かれているように、「骨が豊かであることが免疫力を高め、健康な体の基本となる」というお考えに由来するそうです。近代西洋医学的に言えば、血液を作る幹細胞は、骨の中にある骨髄でつくられます。「丹羽式正體術」では、筋肉を緩め、血流を促進させることで、幹細胞の働きを促し、どんどん元気な血液をつくり出すことを目的とします。それで、「正體(せいたい)」と書くのだそうです。

 

「丹羽式統合医療」に「丹羽式正體術」を取り入れられた経緯については、丹羽先生に次のように教えていただきました。

 

<“筋骨格系医学とは造語であり、私が医学生時代から40年間に渡り、疾病時における変形した内臓と歪んだ筋肉・骨格系の相対関係に着目・研究し、医学の本質を考えた結果、行き着いた言葉であります。現在私が行っている診断、治療方法において重要な概念であり、医学における治療の本質であると思っております。

46億年前に地球が誕生してから時はながれ、20万年前に新人(現代人の祖先)が誕生し、サルから直立2足歩行の人間として進化するまでの過程をみてみると、筋肉・骨格は大きく変化しています。そして病気に対しても人間への進化の過程を追うことで、ある程度理解出来ると考えます。

ただの解剖学としての筋骨格系という意味ではなく、20万年という新人誕生から直立2足歩行の人間へ進化する過程を考えて、個々の身体の問題を検証し、診断・治療へと進めていく為の概念としての筋骨格系であり筋骨格系医学はデータを基に系統立てた新しい方法論です。>

 

地球が宇宙に誕生した時代の話から、人類がサルから進化した時代、自分の身体の不調の原因論にまで結び付くということは、何とも壮大なスケールの話です。しかし、人間は宇宙の小さな構成物として宇宙に存在する以上、ごく当然のことであるとも思いました。

 

さて、私が丹羽先生に正體を施術していただくと「首が伸びましたよ」「胸が広がりましたよ」という言葉をいただきます。丹羽先生のお話によると「首をのばすとは、首の周りに硬くなって縮んだ筋肉がゆるめられた」ということになるそうです。そして、首の周りの筋肉がゆるむと血管の緊張がゆるみ、血管が拡張することで脳への血流が増え、その結果脳への循環が良くなり、右脳と左脳のバランスが整ってくるのだそうです。私は2度も脳梗塞を発症していますので、脳の神経については非常に興味があります。普段、人は環境や身体の使い方の癖(例えば利き手や利き足)などで偏った脳の使い方をしがちだそうです。ですから、私は先生の正體を受けることで、首の状態を正しい理想的な形にしていただき、自律神経と脳神経の機能を正常にしていただいているのです。

 

また、「胸が広がりました」という意味は、胸部の周りの筋肉をゆるめることをいうそうです。胸部を広げると呼吸がしやすくなると同時に、酸素を取り込む量が増えます。酸素を多く取り込むことで、血中の酸素濃度が高まり、細胞を活性化し、その結果免疫力を高めることにつながるのだそうです。

 

私が先生の正體を初めて受けた時、先生に私の身体は「象のようだ」といわれました。とても人間のかたさではなかったということです。筋肉をゆるめることで、自律神経と脳神経の機能を正常にしたり、細胞が活性化され、その結果免疫力が高められるというなら、私のように身体が「かたい」ということは、私が長らく身体の故障に苦しんでいることと密接に関係があるのでしょうか。

 

丹羽先生にお聞きしたところ、身体が「かたい」というのは、筋肉や骨格、靱帯がかたくなっているということだそうです。筋骨格系がかたくなっていると、身体が歪み、神経や血管が圧迫されて、内臓機能の働きが悪くなります。例えば胃炎、胃痛など胃の調子が悪い場合、実は多くの原因が身体の形態が歪んだり、ねじれたり、腹部や背中の緊張が強すぎることによるもので、胃が圧迫され、胃の動きが悪くなってしまうそうです。こうなると、近代西洋医学のように胃薬を処方するだけでは良くならず、正體で胸部を整え、背中や腹部の緊張をとることで改善されるのだそうです。

 

このように、正體によって骨格のバランスを整えることは、筋肉の緊張を取り、血流やリンパの流れが良好になり、その結果、新陳代謝(ターンオーバー)が高まり、胸部の周りの筋肉を温め、それらによって呼吸が楽になり、結局は自己免疫力が高まって、アトピー性皮膚炎、ぜんそく等が軽減、除去されていくという効果があるそうです。「丹羽式正體術」はアレルギー疾患を除去するという一見意外な効果があるのです。

 

また、身体を「柔らかく」するためには、正體はもちろんのことですが、身体を温めることも必要だそうです。身体を温めることで血行がよくなり、筋肉の緊張や歪みがほどけるということです。「身体を温めると病気は治る」ということについては、イシハラクリニック 石原結實先生、三井温熱株式会社東京施術所所長 岩間功先生、新潟大学 安保徹先生も述べてらっしゃいます(それぞれの先生につきましては、今後ご紹介したいと思います)。

 

「身体を温めること」が健康への第一歩であることは、このようにいろいろな先生が提唱されていることでありますが、私は専門家ではないので詳しいことはまだ勉強不足です。しかし、やや抽象的な話ではありますが、家族や友人が風邪をひいたときに「温かくして寝てね」と声をかけたり、けがをした人や病気で苦しむ人を「温かく見守る」といった、看護の世界で「温かい」という言葉が頻繁に使われるのは、先人からの教えでもありますが、人間が遺伝子レベルで「温めること」が人の癒しになることを体内で情報として持っているからではないでしょうか。

 

また、丹羽先生に治療をお願いすると、必ず安心感があります。丹羽先生の治療は1時間治療するうち、5分くらいしかありません。あとの55分はお弟子さんがされるのですが、この5分間で治療効果が発揮できているという実感がありありと体感できるのです。丹羽先生の肉体的な力強さはもちろんのこと、何より勘所を押すと迫力があります。これは丹羽先生の技術が優れているのはもちろんですが、患者に対して愛情をこめて気を入れて「温かく」治療にあたってくださっているからだと思います。

 

また「丹羽式統合医療」にはもうひとつの柱である、「アスクレルーム」がありますが、次回はその「アスクレルーム」についてご紹介する予定です。

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