<イッピン>
光國本店「夏蜜柑丸漬」
先日、萩市を訪問した際に、夏みかん菓子の専門店「光國本店」にお邪魔した。
このお店の看板商品「夏蜜柑丸漬」を、私はここ数年、親しい方やお世話になった方に決まってお贈りしている。
テレビ番組で取り上げられたことで有名になり、一時は入手困難になったほど、その美味しさは誰もが認めるところである。
光國本店の夏蜜柑丸漬は、大正5年、3代目光國により考案された。
アクを取り除いた夏蜜柑の皮を、大正5年の創製時から使用している糖蜜で煮込み、穴を開けて身をくり抜いたところに白あんの羊羹を流し込んで作られるこのお菓子は、なんと、1個を作り上げるまでに5日もの時間を要するという。
一つ一つの行程における手の込みようが窺われるが、その甲斐あって、皮のほろ苦さと羊羹の甘味がマッチした、稀に見る美味しさのお菓子となっている。
私が贈った方々からも「とても美味しい」と好評で、中にはわざわざ手紙で「確かな匠の技術を感じた」とその感動を伝えて下さった方もいたほどだ。そういった時は、私の親愛の気持ちや感謝の気持ちが、このお菓子を通してその方に伝わったことが分かり、いつもとても嬉しく思う。
上質なお菓子は、人と人とを繋ぐ力をも持つのである。茶会で上質な和菓子が出されるのも、そのことの表れであろう。
以上