「中国の最新諸事情」の最近のブログ記事

 

「中国の最新事情」
第2回 新型のコロナウイルスについて

 

高井・岡芹法律事務所
上海代表処 顧問・中国律師 沈 佳歓

 

 本来、今回は中国の春節に纏わる話を書こうと思っていましたが、不幸にも新型のコロナウイルスが予想外に中国国内に猛威を振るっているので、急遽話を変えて、新型のコロナウイルスについて、被災地にいる一中国人の視点から、現在の状況を記録する事にしました。

 まず、最新情報:1月29日24時までに中国衛建委(中华人民共和国国家卫生健康委员会)は、新たに38人が死亡したと発表しました。中国国内の死者は、これで合わせて170人となりました。
 と同時に、当局は、新型のコロナウイルスによる肺炎の患者が、29日24時までに、新たに1737人増え、7711人になったと発表しました。その他、感染の疑いのある人の数は4148人が増え、12167人と発表しました。(日本では11例)

 単なる数字だけでは、読者の皆様にはその重大性がわからないかもしれませんが、一つの例を上げると、17年前、2002年から2003年の間、半年以上にも渡って、東南アジアに恐怖を与えたとも言えるあの「SARS」も、発見から最終的な撲滅まで中国(香港、マカオーを含め)の感染者は全部で7082人しかいませんでした。
 つまり、わかず2ヶ月(2019年12月発見)の間に、今回の新型のコロナウイルスの規模、感染者、感染の疑いのある者、死亡者などの現状が既にSARSを全面的に超えたということです。しかも、その数が毎日増加し、減少する気配は見当たりません。

 今回の事件について、その発端や拡散の理由などに関して、今まで様々な説が挙げられましたが、人災だという声もありました。しかし、その各説の中に確たる証拠がなく、推測の領域を出ていないものが多いため、正式な発表がない今、私はここで特に言及しませんが、実際発生し、私が今体験している中国政府の対応策について、書きます。

 一つ、今回の春節にあたって、中国人にとって、一年に中で最も外出が頻繁とされる時期にも関わらず、中国政府が、全国を対象として、春節期間中外出を控え、自家隔離するようにという命令が出されました。今日までの一週間、このように篭って過ごす春節は人生初です。(政府命令により、まだ自家隔離中)
 二つ、最も深刻な湖北省武漢市がこれから10日以内に、二つの病院を建設し、竣工させると発表しました。“10日以内に、病院二つを”、豊臣秀吉の一夜城には敵わないが、現代病院建設史上としては、異例、異常とも言えるスピードでありましょう。
 これこそ、中国政府の決心、執行力の現れであります。このような覚悟があれば、今回我々も必ず、迅速に病状に勝つでしょう。 武漢、加油! 中国、加油!

 最後に、この場を借りて、九州の大分市が武漢に救援物資を援助することに対して、感謝いたします。
 大分市、ありがとう、日本、ありがとう。

 

 

今回より、高井・岡芹法律事務所 上海代表処 顧問・中国律師である沈佳歓先生に、中国の最新諸事情についてご寄稿いただきます。連載は1年間の予定です。

 

「中国の最新諸事情」 

第1回 秦の始皇帝と香港民主化デモ

 

 最近、出版関連の顧客からある漫画を紹介された。中国の歴史を描いた傑作で、是非読んでみて欲しいと言われた。そう、原泰久による日本の漫画作品“キングダム”であった。秦の始皇帝が難局を乗り切っていき、古代中国を統一し、初の帝国を建設する成長物語である。

 実際、読んでみたところ、実に良くできた作品である。しかし、同時になんだか違和感もある。秦の始皇帝といえば、私の世代から見れば、どちらかと言うと暴君・独裁者的なイメージがあり、鮮血にまみれた印象が圧倒的に強かったが、この漫画の中では人間味溢れたリーダーで皆の憧れといった存在となっている。もちろん、漫画だからといって馬鹿にしてはならない。私は史記など文献を調べ、始皇帝が暴君とされる根源を探し出した。

 その発端には“焚书坑儒(ふんしょこうじゅ)”という歴史事件があった。簡単に言えば、天下統一をし、至上の権利を手に入れた始皇帝の周りに、媚びる詐欺師とヤブ医者が群れてきた。当初は看過ごされた詐欺や騙しはどんどんエスカレートし、ついに、始皇帝の逆燐に触れ、彼らは処分され、詐欺に使われた書籍も焼かれたという事件であった。この出来事が後世の悪意が満ちた人達により誇張され、始皇帝が天下全ての書籍を焼く、自分に反対する学者を皆殺しにしたという話にまで歪曲されたのである。そのため、後世に暴君と残虐者のレッテルが貼られることになってしまった。なんという悲しい結末だろうか。

 真実は語られる度に変わっていくものだ。時間が経てば経つほど物事本来の全貌と目的は見失われるだろう。最近、世間を騒がせた香港でのデモ事件も、最初は「逃亡犯条例」の改正案を巡る紛争だったが、そのうち、改正案の延期が決定されたにも関わらず、デモが止むことがなかった。参加する民衆は、今回の「デモ」という行動の本来の意味についてもう一度考え直す必要がある。始皇帝のように“焚书坑儒”の二の舞にならないことを祈るばかりだ。

 

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